
昨今の半導体価格高騰を受け、ビジネスノートPCジャンルでは高い評価を得ているThinkPadシリーズの製品価格も上昇しています。その中で最も購入しやすい価格なのがEシリーズで、製品価格は上昇しているものの、搭載CPUや筐体の品質からみた価格は依然としてシリーズ中では「お買い得」な水準にあります。この記事ではThinkPad Eシリーズの2026年モデルについて、スペックや選び方の違いを比較しつつ、用途別のおすすめモデルを解説します。
目次
1. ThinkPad Eシリーズの特徴
ThinkPad Eシリーズは、上位シリーズ(X1シリーズやTシリーズなど)よりも価格を抑えつつ、堅牢な筐体や優れたキーボードなど、ThinkPadらしさをしっかり継承したスタンダードモデルです。Lenovoは低品質な製品にThinkPadの名を冠したりしません。
Eシリーズは14インチと16インチの2サイズ展開で、用途や設置環境に応じた選択もしやすいです。Intel CPUを搭載するもの (以下、Intel版と言います)とAMD CPUを搭載するもの (以下、AMD版と言います)があり、2026年モデルでは「Intel版のIWLを除くすべてのEシリーズ」がCopilot+ PCの性能要件を満たしています。
以下、Intel版とAMD版の搭載CPUについてご説明します。
- Intel版(Core Ultra シリーズ3):「Core Ultraシリーズ3 (コードネームはPanther Lake)」のCPUで、最大47TOPS (Core Ultra 5 325)から最大50TOPS (Core Ultra 7 356H)の高性能なAI処理チップNPUを内蔵しています。Eシリーズに搭載される型番には「末尾にアルファベットのないもの」と「末尾にアルファベットHがつくもの」がありますが、Hがつくもののほうがより高性能です。ただし、一般的なビジネス利用においてはアルファベットなしの型番でも十分な実力があります。
- Intel版 IWL(Core シリーズ3):「Core シリーズ3 (コードネームはWildcat Lake)」のCPU(Core 3 304 / Core 5 320 / Core 7 350)で、Ultraのつかないメインストリーム向けの型番です。高効率なLP-Eコア(Darkmont)を中心に構成されており、上位のCore Ultraほどの強力なNPU性能 (AI機能)は求めないものの、省電力性と日常的なビジネスワークの快適さをリーズナブルに両立したい場合に適した選択肢となります。なお、このCPUを搭載するモデル (IWL)はCopilot+ PCの要件を満たしていません。
- AMD版:「Ryzen AI 400シリーズ (コードネームはGorgon Point)」のCPUで、最大50TOPSと、こちらも高性能なNPUを内蔵しています。また、Eシリーズの下位モデルでは前世代の「Ryzen AI 300シリーズ (コードネームはKrackan Point)」を搭載するモデルもありますが、こちらも最大50TOPSのNPUを内蔵しており、Copilot+ PCの要件を満たしています。基本的に「型番につく数字が大きいほど高性能」ではありますが、Intel版と同様、一般的なビジネス利用ではどの型番を選んでも性能面に不満を感じないと思います。
どのCPUが優れているかは一概に言えませんが、NPU性能の高いCopilot+ PCにしたければIntel版 (Core Ultraシリーズ3)かAMD版にするのがいいですし、Copilot+ PCであることにこだわらず、価格を抑えたければIntel版 (Coreシリーズ3)にするのがいいでしょう。Intel版 (Core Ultraシリーズ3)とAMD版については、ウインタブとしては「お好みで選んでOK」だと思っています。ただし、ウインタブの経験上、より基本設計が新しい Core Ultra シリーズ3の「バッテリー持ち」が大きく改善している、ということは言えます。
Intel Core Ultraシリーズの型番一覧はこちら
Intel Coreシリーズの型番一覧はこちら
AMD Ryzen AIシリーズの型番一覧はこちら
2. Eシリーズの2026年モデル一覧表
下記がThinkPad Eシリーズの2026年モデルの一覧表です。
| 製品名 | CPU | ディスプレイ (主なもの) |
重量 | 実売価格(目安) |
|---|---|---|---|---|
| E16 Gen 4 (Intel) ▶ メーカーサイト |
Intel Core Ultra 5/7 (Panther Lake) |
16.0インチ IPS 1,920×1,200 / 2,560×1,600 |
約1.63kg | 約21〜32万円 |
| E16 Gen 4 IWL(Intel) ▶ メーカーサイト |
Intel Core 3/5/7 (Wildcat Lake) |
16.0インチ IPS 1,920×1,200 |
約1.71kg | 約16~29万円 |
| E16 Gen 4 (AMD) ▶ メーカーサイト |
AMD Ryzen AI 5/7 (Gorgon Point) |
16.0インチ IPS 1,920×1,200 / 2,560×1,600 |
約1.63kg | 約18〜32万円 |
| E14 Gen 8 (Intel) ▶ メーカーサイト |
Intel Core Ultra 5/7 (Panther Lake) |
14.0インチ IPS 1,920×1,200 / 2,880×1,800 |
約1.34kg | 約21〜32万円 |
| E14 Gen 8 IWL(Intel) ▶ メーカーサイト |
Intel Core 3/5/7 (Wildcat Lake) |
14.0インチ IPS 1,920×1,200 |
約1.41kg | 約15~28万円 |
| E14 Gen 8 (AMD) ▶ メーカーサイト |
AMD Ryzen AI 5/7 (Gorgon Point) |
14.0インチ IPS 1,920×1,200 / 2,880×1,800 |
約1.34kg | 約18〜32万円 |
ウインタブではこれら4機種の製品紹介記事を掲載しています。
Lenovo ThinkPad E16 Gen 4 / E14 Gen 8 - ThinkPadシリーズのエントリーモデルがCopilot+ PCに。Intel版とAMD版を選べます
Lenovo ThinkPad E16 Gen 4 IWL / E14 Gen 8 IWL - ThinkPadシリーズのエントリーモデルにWildcat Lakeが搭載されました
3. 持ち出す機会が多いならE14、据え置きでじっくり使うならE16
E16はディスプレイサイズが16インチのスタンダードノートです。キーボードにはテンキーもついており、自宅や事務所などじっくり作業するのに向きます。また、ディスプレイも標準的な1,920×1,200解像度のものに加え、タッチ対応するものと、2.5K(2,560×1,600)解像度でリフレッシュレートが120 Hz、100%sRGBの色域に対応する高品質なものを選べます。筐体重量は1.63 kgと16インチノートとしては比較的軽量ですが、モバイル利用を前提とするサイズ感ではありません。
なお、Intel版 (IWL、Coreシリーズ3)は2.5Kディスプレイの設定はありません。
一方、E14は14インチで携帯性に優れたモデルです。筐体重量は1.34kgから、ということなので「モバイルノート」として購入するのもアリです。モバイルノートとしてはちょっと重いですが、USBポートは合計で4つもありますし、有線LANポートもついているなど、「多少重くても我慢できる」理由も見いだせます。
ディスプレイは1,920×1,200解像度のもの、1,920×1,200解像度でタッチ対応するもの、そして2.8K(2,880×1,800)解像度、リフレッシュレート120Hz、100%sRGBと高品質なものも選べます。なお、Intel版 (IWL、Coreシリーズ3)は2.8Kディスプレイの設定はありません。
4. どのCPUを選ぶべきか?
上にも見解を書きましたが、Intel版 (Core Ultraシリーズ3)とAMD版のどちらが高性能か、ということは一概には言えません。強いて言えば「どちらを選んでも間違いはない」です。ただし、バッテリー持ちについてはIntel版 (Panther Lake)のほうが優位にある可能性が高いです。
ウインタブではこれまでにCore Ultraシリーズ3 (Panther Lake)搭載のノートPCを複数回実機レビューしています (例:Dell XPS 14 (DA14260) / MSI Prestige 14 AI+ D3M)が、「15時間前後のバッテリー駆動時間」と評価したものが多いです。ウインタブの過去の経験に照らすとこの結果は「驚異的」です。一方でRyzen AI 400シリーズについては搭載PCのレビューを1回しており (HP OmniBook X Flip 14-kc)、その際のバッテリー駆動時間を11時間強と評価しました。Core Ultraシリーズ3には及ばないものの、こちらも「性能の割には非常に良好」だと思っています。
Intel版 (IWL、Coreシリーズ3)はAI処理チップNPUを内蔵しているものの、その性能は低く (15TOPS~17TOPS)、Copilot+ PCの要件 (40TOPS以上)を満たしません。よって、Windows 11のCopilot+ PC向け機能を使うことができません。しかし、CPUとGPUの処理性能は決して低くはなく、ビジネスPCたるThinkPadシリーズ用にふさわしい実力がありますし、ウインタブではまだ搭載PCをレビューしていないものの、高効率なLP-Eコアを中心に構成されているため、省電力性という点ではCore Ultraシリーズ3やRyzen AI 400シリーズを上回るバッテリー持ちを発揮する可能性が高いと推測しています。
次に製品価格を比較してみましょう。7月28日現在の価格を掲載します。
●E16 Gen 4の場合
OS:Windows 11 Home
CPU:Core Ultra 5 325 / Core 5 320 / Ryzen AI 5 435
RAM:16GB
SSD:512GB TLC
ディスプレイ:16インチ(1,920×1,200)
Intel版の価格:244,970円
Intel版 (IWL)の価格:204,050円
AMD版の価格:228,063円
●E14 Gen 8の場合
OS:Windows 11 Home
CPU:Core Ultra 7 355 / Core 7 350 / Ryzen AI 7 450
RAM:32GB
SSD:1TB TLC
ディスプレイ:14インチ(1,920×1,200)タッチ
Intel版の価格:328,922円
Intel版 (IWL)の価格:294,822円
AMD版の価格:326,007円
E16はベーシックなモデルで、E14はCPU/RAM/SSD/ディスプレイのスペックを上げたモデルで比較してみましたが、もっとも安価なのはIntel版 (IWL、Coreシリーズ3)です。またIWLはRAM8GBなど、他の2機種にはない廉価構成も選べるので、最低価格にこだわる場合はさらに安く仕上げることもできます。また、AMD版については最新のRyzen AI 400シリーズではなく、前世代のRyzen AI 300シリーズのCPU (こちらもCopilot+ PC対応です)も選択でき、その場合は価格を低く抑えることができます。
※なお、この価格差はあくまで「一例」です。E14、E16とも注文の際に構成を変更でき、変更内容によって価格差も変わってきます。また、製品価格は変動しますので、適宜Lenovo公式サイトで試算してみてください。
5. まとめ
私はThinkPadの大ファンです。このことは常日頃、いろいろな記事で表明していますので、ウインタブを愛読してくれている人なら、この点はよくご存知かと思います。
また「低スペック機と低価格機の擁護派」でもあります。SNSなどでは低スペック機を小馬鹿にする論調を目にすることもありますが、私は「ウインタブの記事を書く程度ならCPUはIntel N100で十分」という認識です。
こういう人間なので、もともとThinkPad Eシリーズは「ストライクゾーンのThinkPad」でした。残念ながら昨年末から続く半導体価格の高騰により、Eシリーズの価格もかなり上昇してしまいましたが、それでもThinkPadシリーズの中では「スペックから見た価格」は最も安いです。
毎日PCをバッグに入れて外出するのであれば超軽量なX1・Xシリーズが向きますし、PCにより高い質感や「気持ちよさ」を求めるのであればX1・X9・XシリーズやTシリーズがおすすめですが、「少しでも低予算でThinkPadらしさを味わいたい」のであればEシリーズが最良の選択肢になると思います。
6. 関連リンク
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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