
こんにちは、natsukiです。ここ数年、ホームサーバー用を想定したミニPCというのが一つのジャンルになりつつあります。ウインタブでもたびたびレビューしている他、私自身もミニPCをホームサーバーとして長期運用してきました。そんなホームサーバー用ミニPCとして、2スロットの3.5インチHDDベイを備えるのが、「Beelink ME Pro」シリーズです。初代(といっても発売は半年前とごく最近ですが)をウインタブで詳しくレビューしていますので、下記記事もご覧ください。

その後、このME Proはラインナップの拡張が図られています。今回レビューするのは、CPUにIntel Wildcat LakeのCore 3 304を採用した「ME Pro (Wildcat Lake)」です。「ME Pro」のIntel N95/N150から、CPUが新世代に強化されるとともに、スロットやポート類などの構成そのものが大きく変更されて、ずいぶんと性格も様変わりしています。なお、レビュー機は、メーカーからのサンプル提供によるものです。
1.基本スペック
| OS | Windows 11 Pro |
| CPU | Intel Core 3 304 |
| RAM | 16GB (DDR5 5600MHz) ※シングルチャンネル・換装可能 |
| ストレージ | 512GB (換装不可、UFS?) ※M.2 2280「PCIe 4.0×1」スロット×1 ※2.5/3.5インチ SATA HDDベイ×2 |
| ディスプレイ | なし |
| 無線通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.4 |
| インターフェース | USB Type-C(40Gbps,Supports video output)×2 USB 3.2 Type-A(10Gbps)×1 USB 2.0 Type-A(480Mbps)×2 HDMI (4k@60Hz) オーディオジャック LAN(RJ45、10GbE) LAN(RJ45、2.5GbE) |
| カメラ | なし |
| バッテリー | なし |
| サイズ | 166×121×112 mm |
| 重量 | 1,535g(実測値、HDD未搭載時) |
まず目につくのが、最新世代のCPU Intel Core 3 304を搭載していること。もっとも、このCPUは廉価向けとされるもので、最新世代とはいえ、グラフィックには期待できません。そもそも、メモリがシングルチャンネルです。あくまで基礎的な処理やオフィスワーク向けといったところでしょう。ベンチマークは、後掲します。
そのメモリは、前機種「ME Pro」では換装不可能でしたが、「ME Pro (Wildcat Lake)」では換装可能となりました。ただし、上記のようにシングルチャンネルです。
ポート類は大幅にグレードアップ。特に2つのUSB Type-Cは、Thunderbolt 4相当の能力を持ち、また有線LANポートのうち1つは10GbE規格です。また、シンプルに数の比較でも、USB Type-Cポート1つ(と言ってもThunderbolt 4相当なので、1つでも機能差は大きい)、数が増えています、
一方で、ストレージスロットは減少しました。「ME Pro」は、SSD M.2 2280スロットを3つも備えていましたが(うち1つはデフォルトでシステムの入っている512GB SSD装着済み)、「ME Pro (Wildcat Lake)」は、換装不可のシステムストレージ500GB弱の他、SSD M.2 2280スロットは1つのみです。なお、スペック表の表記がややこしいことになっていますが、規格は「PCIe 4.0×1」です。一般的にはレーン数4本の「PCIe 4.0×4」のものが多いですが、レーン数が1本となっています。これは、本機のような、多数のストレージを搭載可能なミニPCによく見られる工夫です。当然、「PCIe 4.0×4」に比べると、データ通信速度は大幅に低下します。それでも一般的なSATAを余裕で上回る速度は出ます。ともかく、SSD M.2スロットは、実質的に1つ減少しました。これは、下記の筐体を見ると分かるように、メモリを交換可能にしたこととのトレードになっています。
2.本体

それでは、まずハードを見ていきましょう。なお、前機種「ME Pro」は、レビュー時点で本体には技適がありませんでしたが(モジュールにはあり)、この「ME Pro (Wildcat Lake)」は、箱を包むパッケージに技適番号のシールが貼ってありました。

同梱品です。はじめ開けたときに本体とマニュアルくらいしかなくていぶかしんだのですが、ケーブルやアダプターその他はHDDスロットに入っていました。左から、六角レンチ、HDD固定用ネジ、HDMIケーブル、LANケーブル、電源アダプター、です。

本体です。正面はメッシュ生地、その他の部分は放熱性に優れたアルミ製で、シンプルながら一目見て高いビルドクオリティを感じさせます。

正面には電源ボタンとUSB 3.2 Type-A(10Gbps)ポート、RESET・CLR CMOSキーがあります。

背面のポート類です。左から、DC-IN、LAN(2.5GbE)、LAN(10GbE)、HDMI、USB 2.0 Type-A(480Mbps)×2、USB Type-C(40Gbps,Supports video output)×2、3.5mmオーディオジャック、となります。USB Type-Cポートは、実際、レビューにあたっては、USB Type-Cポートからディスプレイ接続を行っているので、確実に映像出力に対応します。

そして背面のふたをパカッ。ここはマグネットなので、シリコン製のベロを引っ張って開けます。うむ、このサンダーバード感あふれるデザインがたまりません!

2つのHDDベイは、六角穴付きボルトで固定されているので、付属の六角レンチで開けます。

それだけじゃない!なんと、最下段のマザーボードユニット(ファンなどいろいろ含むのですが、とりあえずこう呼んでおきます)まで、交換可能! 換える実用性があるかはさておき、これについては、記事を改めて前機種「ME Pro」と交換してみようと思います。

底面です。六角レンチはここに収納します。

六角レンチ収納シリコンをはがすと、六角穴付きボルトがあるので、それを外すと、底面を開けてマザーボードユニットにアクセスすることができます。ここに、メモリスロットとSSD M.2 2280スロットが1つずつあります。ふたにはSSDに接するようにシリコンが貼り付けてあり、これを通じて放熱する構造になっているので、基本的にヒートシンクは要りません。

なお、このメモリとSSDの交換手順については、やや情報が錯綜していて、メモリの交換については、付属のマニュアルには「底面からではなくマザーボードユニットを引っこ抜いて行うように」指示があり、一方で本体表面に書かれている注意書きには「マザーボードユニットを引っこ抜くときには、メモリとSSDをあらかじめ外すこと」とあります。また、SSDについては、このようにつけたままマザーボードユニットを引っこ抜かないように注意書きがあり、またレビューにあたってメーカーよりも同様の注意を受けています。

実際に見てみると、メモリの換装は、底面からでも、またメモリを付けたままマザーボードユニットを引っこ抜いても、問題無く可能です。SSDの方は、底蓋の冷却用シリコンが圧着しているので、必ず底蓋を外してからマザーボードを外す必要があります。底蓋さえ外せば、一見、抜き差しの際に干渉することはないように見えますが、やるなと言われることをあえてやって破損しては大変なので、試してはいません。あるいは、SSDにあえて自前のヒートシンクをつけたり、冷却用シリコンがSSDの側に付着してしまっていた場合などには干渉しそうです。いずれにしても、メモリやSSDの換装は底面から行い、また、マザーボードユニットを外す場合は、SSDはあらかじめ底面から外しておく、というのが安全な手順です。
3.HDDやSSDを装着してみる

HDDベイは、3.5インチと2.5インチの両方に対応します。差し当たり、手元にある2.5インチのHDDを2台、装着してみました。

ベイには、3.5インチを想定したシリコンが装着されているので、ひっぺがして、とりあえず裏面に貼っておきました。また、サイドのクッションも1カ所干渉するので、外して適当な突起部分に引っ掛けておきます。

裏面からネジ止めして装着完了。なお、ここのネジは普通の十字穴のため、自前でプラスドライバーを用意する必要はあります。

SSDは、先ほど見たように底面から。スロットには「PCIe 4.0×1」の表記があります。

ここも、プラスドライバーが必要ですが、装着自体は特別なことはなく非常に簡単です。

HDDのベンチマークです。これは完全にHDDの方がボトルネックとなっていますね。

SSDの「PCIe 4.0×1」スロットのベンチマークです。ただし、接続したSSDは「PCIe 3.0×4」対応のものなので、スロット側の1レーンであることと、SSD側のPCIe 3.0であることの両方のボトルネックの可能性があり得ます。このSSDは前にレビューした「ORICO J-10」です。品質的にはPCIe 3.0規格のSSDの中でもそれほど高くない部類なんですが、それでもデータストレージとしては十分すぎるスペックで、実際、レビューから2年間、データサーバーの一部として活躍を続けています。おかげさまで、シールが熱で劣化してしまっているのはご愛敬。詳しい性能は下記記事を見ていただくとして、スロット側にボトルネックがなければ、PCIe 3.0規格の低い方とは言っても、シーケンシャルリード3000MB/s、シーケンシャルライト1500MB/s以上は出ます。従ってこの数値は、レーン数が1レーンであることによる制約であると見てよいでしょう。SATAよりは速いかな、程度の数値で、マシンスペックを考えれば十分ですが、例えば10GbEの有線LAN接続を活かして、大容量データを一気にやり取りしたい!のようなよっぽど特殊な状況下だとボトルネックになるかもしれません。


1TBのHDD×2に、1TBのM.2 2280 SSD×1と、フル装備したストレージです。Cドライブが本体付属のシステムストレージで、500GB弱あります。

おまけです。本体付属のストレージのデータ転送速度です。この本体付属ストレージがわりと謎で、視認できる位置にはなく、「CrystalDiskInfo」で検出できず、「SSD-Z」では検出こそするもののすべてのデータが不明。数値からして、おそらくSSDではなくUFSなんじゃなかろうかと推測できますが、よく分かりません。まあ、Intel Core 3 304のシステムストレージとしては必要十分でしょう。
4.処理能力のベンチマーク
さてさて、Intel Core 3 304の処理能力はどの程度のものなのか、ベンチマークをとってみます。大前提として、Intel Core 3 304は、エントリーPC向けのCPUです。とは言っても、エントリーPC向けCPU定番のIntel N100に比べると、世代が進んだことによる全面的な高性能化だけでなく、構成の面でも、高性能コアであるPコアを1基備え(N100はすべてEコア)、基準消費電力は15W(N100は6W)と、基本スペックが根本的に異なります。一方で、「ME Pro (Wildcat Lake)」のメモリはシングルチャンネルなので、ここはCPUに関係無く、グラフィック面では不利な点です。以上を踏まえて、ベンチマーク結果を見てみましょう。

やっぱり、分かりやすいのはこれ。主にビジネスシーンでの能力を測るPC Markの結果です。総合5,000点越えは、一般的にオフィスワークに十分とされる数値で、なかなか大したものです。ちなみに、N100やN150は、おそらく電源設定などによりかなり幅があるものの、おおよそ2,000~3,000台です。内訳をみてみると、やはりというかなんというか、「Digital Content Creation」の値が4,687と低く、一方で「Essentials」「Productivity」はかなりの健闘。
参考(過去データから一部抜粋):
Ryzen AI 7 350:7,791
Core Ultra 7 258V:7,527
Ryzen 9 PRO 6950H:6,987
Ryzen 7 8840U:6,949
Core Ultra 7 155H:6,849
Ryzen AI 5 340:6,767
Ryzen 5 8645HS:6,708
Core Ultra 7 255U:6,404
Core Ultra 7 155U:6,392
Core Ultra 5 125U:6,376
Core Ultra 5 225U:6,334
Ryzen 5 7535U:6,021
Core i7-1360P:5,929
Core i5-1340P:5,677
Core i7-1355U:5,452
Core i5-1334U:5,145
Core i7-1255U:4,834
Core i5-1335U:4,775
Core i5-1135G7:4,066

こちらは、グラフィック性能を測る3D Markのスコア。さすがに、3D Markで測定するような3Dゲームを動かすレベルのグラフィック性能は持ち合わせていません。それでも、とりあえずこのくらいのスコアが出ただけでも立派です。
参考(過去データから一部抜粋):
Core Ultra 7 258V:4,397、8,611、35,677
Core Ultra 7 155H:3,924、8,338、24,476
Core Ultra 5 125H:3,392、7,301、23,168
Ryzen AI 7 350:3,268、6,991、28,542
Ryzen 7 8840U:2,943、7,206、27,471
Ryzen 5 8645HS:2,437、6,253、24,401
Core Ultra 7 255U:2,430、4,916、20,096
Core Ultra 5 225U:2,372、4,897、20,396
Core Ultra 7 155U:2,319、5,162、19,024
Ryzen AI 5 340:2,123、5,159、22,941
Core Ultra 5 125U:2,081、4,826、19,421
Core i7-1360P:1,786、4,991、16,779
Core i7-1355U:1,760、4,859、16,891
Core i5-1334U:1,386、3,672、13,157
Ryzen 5 7530U:1,281、3,137、13,730
Ryzen 7 5825U:1,242、3,226、12,859
Ryzen 3 5425U:1,122、2,848、11,949
※左からTime Spy、Fire Strike、Night Raidのスコア

最後に、CINEBENCH 2026のスコアです。こちらは、サンプル数が少なくコメントしづらいのですが、参考にどうぞ。
以上から、これまでのCPUで言うと、現在でもオフィスワーク向けPCのCPUとしてはまだまだ見かけるCore 5 120Uあたりに、もう一歩で届きそうなくらいという数値です。予想通り、グラフィック性能は限定的ながら、オフィスワークには十分な性能を持っているといってよいでしょう。
5.まとめ
今回レビューした「Beelink ME Pro (Wildcat Lake)」は、前機種「ME Pro」の進化版でありながら、特性がやや異なっています。
CPUがIntel Core 3 304になり、これは従前のIntel N95/N150から性能が大幅にアップ。一般的なオフィスワークくらいなら、不安を感じることはありません。もっとも、あくまでエントリー向けCPUであり、メモリがシングルチャンネルということもあって、グラフィック性能が貧弱なことは承知しておく必要があります。
ポート面は、全面的にスペックアップするとともに、USB Type-Cを1つ追加。たかが1つと言っても、規格がThunderbolt 4なので、その汎用性は大幅に広がります。一方で、「ME Pro」がM.2 2280 SSDスロットを3つも備えていたのに対し、「ME Pro (Wildcat Lake)」は、内部ストレージとして500GB弱を備えながらも、SSD M.2 スロットは1つのみです。ただし、メモリの換装は可能になりました。
全体として、ひたすらストレージサーバーに特化した前機種と比べ、「ME Pro (Wildcat Lake)」は、ストレージ接続ポートが減った分、汎用性・応用性が拡張され、3.5インチHDDスロットを2つ有するというストレージサーバーとしての有用性は健在ながら、より多様な使い方が可能になりました。例えば、私は実際にIntel N100搭載のWindowsタブレット「CHUWI Hi10 X1」をサブマシンとして日々使っていますが、やはりN100の動作は、「サブマシンだからまだ許される」もっさり感はあります。N100やN150くらいでは、ファイルサーバーとオフィスワークマシンの兼任は荷が勝つでしょう。しかしIntel Core 3 304の「ME Pro (Wildcat Lake)」であれば、ファイルサーバーとオフィスワーク用デスクトップPCの両立がそれなりに可能です。もともとギークなミニPCというジャンルだけに、いろいろとアイデアを試すシステム的な余裕があるというのは、それだけでとても楽しいものですね。
なお、この「ME Pro」シリーズには、さらなる高性能ラインナップも予告されています。それらについての紹介は、下記記事をご覧ください。

6.関連リンク
ウインタブをきっかけに、海外通販で奇天烈なガジェットを漁ることにハマる。趣味は旅行(自然も史跡も)、アマチュアオーケストラなど。自分の知識欲も満たせるので、楽しんで記事を書いています。興味を持ったもの、面白いと思ったものを、読者の皆さんと共有できれば幸いです。▶ サイト紹介・ウインタブについて



コメント
N95/N150はPCIe3.0×9レーンだったけどWildcat LakeではPCIe4.0×6レーンだからインタフェースが豊富なミニPCだとレーン配分が大変そうだね
1レーン辺りの帯域幅は2倍になってるからPCIe4.0のSSDにすればx1でも旧モデルの3.0×2と同等の速度が出るはずだけど
こんばんは、natsukiです。情報ありがとうございます。
PCIeレーンは、規格が上がったけれど、数が減っているんですね。
ME Pro(無印)が、システムストレージに「M.2 2280 PCIe3.0×2」規格スロットのSSDを使用しているのに対し、「ME Pro 2」がシステムストレージにおそらくUFSを使用しているのは、そのあたりが要因かもしれません。すると、その気になれば「ME Pro 2」も、システムストレージをUFにしてPCIeレーンを節約した分、SSDスロットをもっと増やせそうな気もしますが、実際には、記事の通り、SSDスロットをつぶしてメモリを換装可能にし、レーン数を競合するUSBポートを増設するという、取捨選択を行った構成となっています。限られたレーン数と物理的な設置面積をどう配分するかというのも、ミニPC構成の面白い部分ですね。