
HPは2024年5月以降、個人向けのノートPCには「OmniBook」という名称を使用しています。2026年5月現在「Spectre / Envy / Pavilion」といった製品ブランドを冠する製品は姿を消し、一部を除き (HPのHPブランドは継続販売されています)すべてOmniBookブランドとなりました。
画像左側が個人向けの「OmniBook」です。上位モデルから順に「OmniBook Ultra」「OmniBook X」…「OmniBook 3」と、5つの「シリーズ」が存在します。この記事では、上位モデルにあたるHP OmniBook UltraシリーズとXシリーズについてご説明します。
目次
1. OmniBook Ultra / Xとは?
OmniBook UltraシリーズとOmniBook Xシリーズは、すべてのモデルがCopilot+ PCに対応した上位モデルであり、高性能なプロセッサと先進的な設計が特徴です。
両シリーズには以下のような特徴があります:
- OmniBook Ultra:プレミアムなクラムシェルモデルと2-in-1(Flip)構成あり。OLEDディスプレイを搭載し、AI処理にも適した構成。従来の「Spectreシリーズ」に相当。
- OmniBook X:ややカジュアル寄りながら、2-in-1モデルも存在し、選択肢が豊富。Intel、AMD、QualcommのCopilot+ PC対応のCPUをカバー。従来の「Envyシリーズ」に相当。
以下に5モデルの主要スペックをまとめます(製品名をクリックするとHPの製品ページが開きます)。なお、表の一番上、OmniBook Ultra Flip 14-fhのみ2025年モデル (2024年10月発表)で2026年モデルは国内未発表、それ以外はすべて2026年モデルです。
| 製品名 | 主な搭載CPU | ディスプレイサイズ | 重量 | 価格の目安 |
|---|---|---|---|---|
| OmniBook Ultra Flip 14-fh ※2025年モデル |
Intel Core Ultra 9 288V (Lunar Lake) |
14インチ | 約1.34kg | 約28~33万円 |
| OmniBook Ultra 14-kd |
Intel Core Ultra X9 388H (Panther Lake) |
14インチ | 約1.27kg | 約40~65万円 |
| OmniBook Ultra 14-kg |
Snapdragon X2 Elite X2E-90-100 | 14インチ | 約1.27kg | 約35~50万円 |
| OmniBook X Flip 14-kb |
Intel Core Ultra 7 356H (Panther Lake) |
14インチ | 約1.39kg | 約26~38万円 |
| OmniBook X Flip 14-kc |
AMD Ryzen AI 7 450 (Gorgon Point) |
14インチ | 約1.40kg | 約21~33万円 |
2. Copilot+ PCについて
Microsoftによれば、「Copilot+ PC」は「AI 世代のために設計された、新しいクラスの Windows 11 PC」で、主なシステム要件は下記のとおりです。
NPU性能:毎秒40兆回以上の演算処理能力(40 TOPS以上)
メモリ (RAM):16GB以上
ストレージ:256GB以上のSSDまたはUFS
最大のポイントは「搭載するCPUが40TOPS以上のNPUを内蔵していること」です。HPだけでなく他社のノートPCでも、中位クラス以上の製品であればメモリとストレージの要件を満たせないものはほとんどありません。
この記事で紹介しているOmniBook Ultra / Xの5モデルは、すべてCopilot+ PCです。
各モデルが搭載するCPU(SoC)は以下のような特徴があります。
- Intel Lunar Lake(Ultra Flip 14-fh):2024年第3四半期に発表されたCore Ultraシリーズ2の型番です。バッテリー効率に優れ、モバイル用途に向くバランス型のCPUです。
- Intel Panther Lake(Ultra 14-kd、X Flip 14-kb):2026年第1四半期に発表されたCore Ultraシリーズ3の型番です。最先端のIntel 18Aプロセスを採用することで、CPU/GPU性能の向上と電力効率の改善が図られています。また「X7/X9」という新たなブランドレベルが採用され、これらの型番は内蔵GPUの性能が劇的に上昇しています。
- AMD Ryzen AI 400シリーズ(X Flip 14-kc):2026年第1四半期に発表されたRyzen AI 400シリーズの型番です。前世代のRyzen AI 300シリーズから変わらずZen 5ベースですが、CPU/GPU/NPUともに高性能。
- Snapdragon X2 Elite(Ultra 14-kg):2025年第3四半期に発表されたARMベースの型番です。前世代のSnapdragon XシリーズからCPU/GPU/NPU性能が大幅に向上しました。x86アプリとの互換性に課題(特に旧アプリや一部周辺機器)を残しますが、それも解消されつつあります。
3. OmniBook Ultraシリーズ(Flip / クラムシェル)
OmniBook Ultraシリーズは、HPの個人向けノートPCの中で最上位に位置づけられるラインです。2-in-1の「Ultra Flip 14-fh」と、クラムシェル型の「Ultra 14-kd」「Ultra 14-kg」の3モデルが展開されています。
Ultra Flip 14-fh

HP OmniBook Ultra Flip 14-fh
従来の個人向けノートPCのトップモデル「Spectre x360 14」の直接の後継機種です。CPUにIntelのLunar Lakeを搭載し、Lunar Lakeでは最高性能となるCore Ultra 9 288Vも選べます。ディスプレイは全モデルで2.8K(2,880×1,800)解像度の有機ELでDCI-P3 100%と高い発色品質を備え、リフレッシュレートも最大120Hzと高速です。また、上位モデルには4,096段階の筆圧に対応するペンも付属します。2-in-1ならではの柔軟な使い方が可能です。
この製品はウインタブで実機レビューをしており、CPU性能やディスプレイ性能だけでなく、筐体デザインや質感が「半端なくすごい」です。HPのトップモデルに相応しい「持つ喜び」を与えてくれる「上質」な製品と感じられました。
ウインタブ実機レビュー記事:
HP OmniBook Ultra Flip 14-fh レビュー - Core Ultraシリーズ2と高精細な有機ELディスプレイを搭載する上質なモバイル2 in 1 PC
Ultra 14-kd/kg

こちらは2-in-1ではなくクラムシェルノート(普通の形状のノートPC)で、Intel版とSnapdragon版があります。Intel版は最新世代「Core Ultraシリーズ3(Panther Lake)」を搭載しており、Panther Lakeの中でもより高性能なCore Ultra X9 388Hも選べます。特にCore Ultra X9モデルは内蔵GPUが「少し前のGeForce RTX40シリーズ」に迫る性能なので、PCゲームも楽しめます。
一方、Snapdragon版はSnapdragon X2 Plus X2P-64-100/Snapdragon X2 Elite X2E-90-100を搭載しています。ウインタブでは以前「ARM版Windows搭載機では動作しないアプリがある。またARM64ネイティブアプリ以外はエミュレーション動作となるので、本来の性能を生かせない」と考えており、よって「積極的にはおすすめしない」というスタンスでしたが、先日他社のSnapdragon搭載ノートPC (ASUS Zenbook SORA 16)をレビューし、考えを改めました。
まず、「動作しないアプリ」は依然として存在します。しかし、よほど古いアプリや特殊なアプリを使っていない限り、一般ユーザーが「詰む」ような場面はほとんどないと思います。次に「エミュレーション動作」ですが、実は最新のSnapdragon X2シリーズでは「エミュレーション動作であるにもかかわらず、x86CPUよりも快適」だったりするんですよね。
また、NPUの性能に関してはx86 CPU (Core Ultraシリーズ3やRyzen AI 400シリーズ)よりもSnapdragon Xシリーズのほうが明らかに高く、MicrosoftもSnapdragon搭載機に優先してCopilot+ PCの新機能を実装する流れにもなっています (詳しくはこちら)ので、もはやSnapdragon搭載のWindows PCを敬遠する必要はない、と考えています。
この製品には旧モデル「OmniBook Ultra 14-fd (Ryzen AI 300シリーズ搭載)」がありますが、ニューモデルになって筐体が大きく変わり、特に重量が1.57 kgから1.27 kgまで軽量化されました。毎日ノートPCをバッグに入れて持ち運ぶ人には「朗報」ですよね?また、ディスプレイも有機ELで解像度も2.8K(2,880×1,800)と高精細、リフレッシュレートも120Hzと高速です。筐体の質感については言わずもがな、HPのトップモデルなので悪かろうはずもありません。
ウインタブ製品紹介記事:
HP OmniBook Ultra 14-kd - Core Ultraシリーズ3(Panther Lake)搭載、薄型軽量化されたHPのハイエンドモバイルノート
HP OmniBook Ultra 14-kg - 最大85TOPSのNPUを内蔵するSnapdragon X2シリーズを搭載、最薄部7.3 mmと超スリムなハイエンドモバイルノート
4. OmniBook Xシリーズ(Flip)
OmniBook Xシリーズは、Ultraよりややカジュアルなポジションにありつつも、すべてCopilot+ PC対応の上位モデルです。2026年モデルはFlip(2-in-1)2機種で、フレキシブルな使い方が可能です。
X Flip 14-kb/kc

OmniBook X Flip 14-kb (インテル)
14インチの2-in-1 PCで、従来の大人気モデル「Envy x360 14」の後継機です。Intel版のkbはCPUに「Core Ultraシリーズ3(Panther Lake)」を、AMD版のkcは「Ryzen AI 400シリーズ (Gorgon Point)」を搭載しています。もちろんどちらもCopilot+ PCです。kbとkcは筐体重量と筐体色が少し異なりますが、筐体は同じと考えていいです。
ディスプレイは全モデル有機ELパネルで、上位モデルは2.8K(2,880×1,800)解像度、下位モデルはWUXGA(1,920×1200)解像度、Flip(2-in-1)筐体なのでタッチ対応し、4,096段階の筆圧に対応するペン入力ができます(ペンは別売りです)。
筐体サイズやディスプレイ品質は上位のOmniBook Ultra Flip 14-fhに近いものがありますが、価格はこちらのほうが安くなっています。
旧モデルの「Envy x360 14」は「HPの上位モデルであるにも関わらず、コスパが高くて購入しやすい価格」の人気モデルでしたが、OmniBook X Flip 14-kb/kcもその特徴を受け継ぎ、非常に魅力的な製品です。
ウインタブ製品紹介記事:
HP OmniBook X Flip 14-kb / 14-kc - Core Ultraシリーズ3 / Ryzen AI 400搭載の14インチ2-in-1、新色「ディープエスプレッソ」が素敵
5. 用途別おすすめモデル
5機種すべてがCopilot+ PC対応で高性能です。どれを選んでも「間違いない」と思いますし、最終的には購入される方がご自身で決めるべき話ではありますが、ここで「OmniBook UltraとX、どっちがおすすめ?」そんな疑問を持つ読者に向けて、ウインタブとしての用途別おすすめモデルを整理しました。
- 最上級の「持つ喜び」と質感を求める人:
→ OmniBook Ultra Flip 14-fh・OmniBook Ultra 14-kd/kg
(HPノートPCの最上位モデル) - 性能もデザインも優れた2-in-1を、少しでも安く手に入れたい人:
→ OmniBook X Flip 14-kb / kc
(全モデル有機ELディスプレイ、筐体の仕上げや価格で差別化) - 高性能・高品質と軽さを兼ね備えたモバイルノートを探している人:
→ OmniBook Ultra 14-kd/kg
(クラムシェル型で重量1.27 kg・Snapdragon X選択可)
6. まとめ
HPのOmniBook Ultra / Xシリーズは、Intel、AMD、Qualcommの最新Copilot+ CPUが選べる上位シリーズです。外観・性能・バッテリー・価格といった各ポイントに違いがあり、ユーザーのニーズに応じた選択が可能です。
OmniBook Ultra Flip 14とX Flip 14は、性能や機能面では大きくは変わりません。購入予算に余裕がある、Core Ultra X9にしたい、上質な筐体に魅力を感じるのならUltra Flip 14、少しでもコストを抑えつつ優れた機能を得たいならX Flip 14がおすすめです。また、Ultra Flip 14は決して低性能ではありませんが、CPUの世代がひとつ前、という点が引っかかる、という人もいるかもしれませんね。
OmniBook Ultra 14は「Flip」とは明確に製品特性が異なります。毎日バッグにノートPCを入れて持ち運ぶ、という人にはこの製品が向くと思います。
本記事が、皆様にとって最適な1台を見つけるヒントになれば幸いです。
7. 関連リンク
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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