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ASUS Zenbook SORA 16に見る「ARM版Copilot+ PCを選ぶ根拠」

ASUS

ASUS Zenbook SORA 16 (UX3607OA) ディスプレイ
先日実機レビューをした「ASUS Zenbook SORA 16」はCPU (SoC)にSnapdragon X2 Elite Extreme X2E-94-100を搭載する、「国内では唯一無二 (4月19日現在)」のCopilot+ PCで、実に最大80TOPSという超高性能なNPUにより、高いオンデバイスAI性能を誇ります。

実機レビュー記事はこちらです。
ASUS Zenbook SORA 16 レビュー - Snapdragon X2 Elite ExtremeはベンチマークでIntel/AMDを圧倒!独自素材セラルミナムの質感も最高な「16インチモバイルノート」

今回は「ARM版Windows PC (Snapdragon搭載のWindows PC)」の優位性と、Copilot+ PCの最新機能について、少し詳しく見ていきたいと思います。

おことわり:
この記事は2026年4月19日現在の各種情報に基づいて執筆しています。よって、今後記事内の情報が古くなり、実態にそぐわないものになる可能性が高いです。また、記事中で他のCopilot+ PCとの比較もしていますが、Copilot+ PCは機種数が多く、比較の内容や説明はすべてのx86版Copilot+ PCやARM版Copilot+ PCを網羅したものではありません。
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1. 新機能の実装はSnapdragon搭載機から

ASUS Zenbook SORA 16 (UX3607OA) Windowsバージョン

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これはZenbook SORA 16の「バージョン情報」のスクリーンショットです。見ていただきたいのはOSのバージョン (赤枠の部分)で、「26H1」になっています。実はこのバージョンはIntel / AMD CPUを搭載するx86版Windows PCには配信されておらず、2026年4月19日現在だと「25H2」です。Windows IT Pro Blogによれば、26H1はSnapdragon X2シリーズ搭載機のみに配信されている、とのことです。この点についてはASCIIに解説記事が掲載されています。

What to know about Windows 11, version 26H1:Windows IT Pro Blog
今年のWindows 11には26H2以外に「26H1」がある!? 新種のCPUでのAI対応の可能性:ASCII.jp

Zenbook SORA 16の実機レビュー記事の中で、私は「おそらくSnapdragon搭載機はIntel/AMD CPU搭載機よりもMicrosoftに優遇されていると思われます 」と書きました。優遇という表現が適切かどうかはわかりませんが、以前からMicrosoftはCopilot+ PCの新機能 (オンデバイスAI機能)について、Snapdragon搭載機 (ARM版Windows)に先行して実装するということをしてきており、それが現在も継続しているのは間違いありません (参考記事)。

ウインタブはかなり前からARM版Windowsには「レガシーなWindowsアプリの互換性」に懸念があり、その割にARM版Windows機の価格が安いわけでもなく、実体験として「世の中で言われているほどバッテリー持ちが良いわけでもない」と感じていたことから、読者には「積極的にはおすすめしない」というスタンスで記事を書いてきました。

ただ、ウインタブが「互換性ガー」と文句を言っている間、ARM版Windowsはx86版Windowsに対して「AIの領域」で確実に数カ月は先行している状況になっています。このことを物語っているのが「26H1はSnapdragon X2シリーズ搭載機のみに配信された」という事実です。

そういえばMicrosoftが2024年にCopilot+ PCの認定を始めた当初、「Snapdragon搭載機のみ」が認定されていましたよね。これはCopilot+ PCの要件に「40TOPS以上のNPUを内蔵していること」があり、それを満たすことができるCPU (SoC)はSnapdragon Xシリーズのみであった、ということが理由です。

思えばこれまで、欠点ばかりを見てARM版Windowsを評価してきたような気がしています。

2. Copilot+ PCの主要な機能をチェック

せっかくなので、おそらくCopilot+ PCの独自機能が『ベストな状態』で実装されているであろう、Zenbook SORA 16のオンデバイスAI機能 (Copilot+ PC独自機能)を見てみます。また、現在手元に他社のCore Ultraシリーズ3搭載のCopilot+ PCがありますので、適宜比較しながら説明したいと思います。

ASUS Zenbook SORA 16 (UX3607OA) Copilot+ PCガイド

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これはCopilot+ PCを起動した際に表示されるチュートリアル画面です。Zenbook SORA 16でも表示されましたし、Core Ultraシリーズ3のCopilot+ PC (Windows 11 Home 25H2)でも表示されました。このチュートリアルにはCopilot+ PCの独自機能がスライド形式で案内されています。

ASUS Zenbook SORA 16 (UX3607OA) Copilot+ PCガイド

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これは「クリックで実行 (Click to Do)」の説明画面です。

ASUS Zenbook SORA 16 クリックで実行

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「クリックで実行」はWebサイトを開き、「Windowsキー+マウス左クリック」で起動します。「画像でもOK」というのがポイントで、ここで画像を選択して右クリックするとBing画像検索やペイントアプリで背景削除、といったことがシームレスに行えます。

Core Ultraシリーズ3搭載機とは右クリック時の項目が若干異なり、Core Ultra機には「フォトで背景をぼかす」「フォトでオブジェクトを消去」という項目もありました。よって、「クリックで実行」についてはCore Ultra機のほうが項目が多いです。

ASUS Zenbook SORA 16 (UX3607OA) Copilot+ PCガイド

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Copilot+ PCが市場に出回り始めた頃からあったペイントアプリの「CoCreator (コクリエイター)」は一段と機能が充実しました。

ASUS Zenbook SORA 16 (UX3607OA) ペイントアプリ

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ペイントアプリの上部にあるCopilotロゴを選択すると、CoCreator以外にも多数の機能が実装されているのがわかります。なお、Core Ultraシリーズ3搭載機ではメニュー項目に「生成フィル」「リスタイル」がありませんでした。

ASUS Zenbook SORA 16 (UX3607OA) CoCreator

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試しにいらすとやさんにあったイラストをCoCreatorで加工 (生成?)してみました。ここに掲載しているのは「かなりうまくいったほう」で、「なんじゃこれ?」というのも少なくありませんでしたが、2024年頃の製品レビューで試したよりも出来栄えが良くなったなあ、とは思いました。

ASUS Zenbook SORA 16 (UX3607OA) Copilot+ PCガイド

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こちらはおなじみ、Webカメラにエフェクトを加えることができる「Windowsスタジオエフェクト」です。私が知る限り、Windowsスタジオエフェクトは「必ずしもCopilot+ PCの要件を満たす製品だけでなく、NPUを内蔵するCPUを搭載していれば使える」のですが、機能には差があります。

ASUS Zenbook SORA Windows スタジオエフェクト

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これがZenbook SORA 16のWindowsスタジオエフェクトの設定項目です。項目数は私がこれまでにレビューしてきたノートPCの中で最も多く、特に「クリエイティブフィルター」というのは初見でした。また、Core Ultraシリーズ3搭載機では「自動フレーミング」「アイコンタクト」「背景の効果」の3項目のみで、自動フレーミングの項目にはシネマティックフレーミングというのがなく、アイコンタクトの項目でもテレプロンプターはありませんでした。

ASUS Zenbook SORA 16 (UX3607OA) Copilot+ PCガイド

動画やWebミーティングの際などにリアルタイムで字幕を表示できるライブキャプション機能です。

ASUS Zenbook SORA 16 (UX3607OA) ライブキャプション

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これはYouTubeでCNNニュースを翻訳してみたところです。私が試した限りだと、「翻訳でない、普通の字幕なら実用性があるが、翻訳は全然ダメ」でした。私たちの母国語が日本語である、というのもハードルを上げているような気がしますが、CNNに関しては再生速度を落としても翻訳速度が明らかに遅く、しかも正確性を欠くものでした。

ASUS Zenbook SORA 16 (UX3607OA) Copilot+ PCガイド

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プライバシー保護の観点から実装が遅れた「リコール」ですが、Zenbook SORA 16にはプレビュー版ながら実装されていました。この機能についてはCopilot+ PCの目玉としてあちこちで話題になっていましたが、私が試すのは今回が初めてです。

ASUS Zenbook SORA 16 (UX3607OA) リコール

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リコールを使うにあたり、デバイスのセキュリティ強化が必須となります。大前提として「Microsoftアカウントによるサインイン」「Windows Helloによるロック解除」および「デバイスの暗号化」が必要です。Zenbook SORA 16はメーカーからお借りしたPCなので、リコール機能を試すのにあたり、ちょっと面倒な思いをしました (個人所有の場合はこれらの設定を済ませていることが多いと思うので問題ないでしょう)。

また、この画像にあるように結構な量の初期設定をする必要があります。

ASUS Zenbook SORA 16 (UX3607OA) リコール

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リコールアプリの画面はこんな感じです。「私が見た画面」を「最大で無期限」に記憶してくれます (ただし、リコールに割り当てるストレージ容量により、「本当の意味での無期限」にならないこともあります)。また、過去の特定の日時の履歴を簡単に表示することができます。

特にWebで調べ物をする際に「あれ?以前検索したサイト、どこだっけか?」と考え込んでしまうこともしばしばですから、確かにリコール機能はあると便利でしょうね。もちろん「リコールから除外するURL」も登録できますが、「閲覧したことを隠したい、ろくでもないサイト」って、ネットサーフィンの上にたどり着くようなところが多いので、あらかじめ除外しておくのは難しいですよね。まあ、逆に言えばリコールがオンになっていることにより、ろくでもないサイトへのアクセスを控えざるをえない、という効果は期待できるかもしれませんw

最後に、Zenbook SORA 16とCore Ultraシリーズ3搭載機の上記Copilot+ PC諸機能 (オンデバイスAI機能)の挙動差ですが、私の体感ではZenbook SORA 16に軍配が上がります。明らかにZenbook SORA 16のほうがキビキビ動きました。ただし、今回は「2機種のみの比較」なので、常にSnapdragon搭載機のほうがx86搭載機よりも優れた挙動になる、ということは断定できません。というか、Snapdragon X2 Elite Extreme X2E-94-100がとんでもなく高性能、ということなんじゃないか、と思います。

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パフォーマンス

ARM版Windowsで動かないアプリがある、というのは間違いありません。しかし、その数は少なく、ARM64ネイティブアプリ以外でもほとんどのアプリはエミュレーション動作します。ウインタブがレビュー中に確認できた「動かなかったアプリ」は「Google日本語入力」と「ベンチマークソフトのPCMark10」の2つでした。

ASUS Zenbook SORA 16 (UX3607OA) 3DMark

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Zenbook SORA 16の性能については別記事で詳しくご説明する予定ですが、ひとまずこの画像をご覧ください。これはベンチマークソフトの「3DMark」のTime Spyというテストのスコアです。Time SpyはARM64ネイティブ対応していないと思われます (念のため、AIアシスタントでDeep Researchをかけてみましたが、「ARM64ネイティブ対応していない」と断言されました)ので、このスコアはエミュレーション動作によるものです。…4,536点ですよね…。

ウインタブの過去データを見ると、

Core Ultra 7 258V:4,397
Core Ultra 9 185H:4,143
Core Ultra 7 155H:3,924
Ryzen AI 9 365:3,895
Ryzen AI 9 HX 370:3,800

つまり、Time Spyに関しては「エミュレーション動作であるにもかかわらず、x86の上位型番よりも高いスコアが出た」ということです。

わずかながら動かないアプリがある、というのは間違いありませんが、もはやエミュレーション動作だから常に遅いとは言えないですね。このことから、Snapdragon X2 Elite Extreme X2E-94-100の卓越した性能により「ARM版Windowsのアーキテクチャ上の制約がほとんどなくなった」「多くのアプリでほぼ狙ったパフォーマンスが出るであろう」ことを意味すると思います。

なお、PCゲームに関しては、ARM版Windowsではアンチチートプログラムが動かないゲームタイトルが多い (つまり動作しない、プレイできない)という制約が依然として残っており、PCゲームに特化した見方をする場合、ARM版Windowsにはまだ課題は多いです。よって、Zenbook SORA 16をゲームプレイ用として購入する際はご注意ください。

まとめ

ウインタブが指摘してきたARM版Windows PCのウイークポイントとして「動作しないアプリがある」「ARM64ネイティブでないアプリはエミュレーション動作となるので多少は動作が緩慢になる可能性がある」「巷間言われているほどバッテリー持ちはよくない」というものがあり、「その割にx86版Windows PCと比較して価格は安くない」と感じられることから、積極的に読者にはおすすめしない、と決めつけていました。

しかし、Zenbook SORA 16をレビューしてみて、依然として動作しないアプリがなくなっていないにせよ、ちょっと考えてみれば、それが特殊なアプリや古いアプリに依存していない一般ユーザーの使用感を大きく損なうものではないと考えられること、エミュレーション動作となるアプリでさえ、x86系の上位CPU搭載機と比較して決して低速とは言えず、むしろ高速になるケースもあることから、もはやARM版Windows PCを敬遠する理由がかなり薄れていると感じました。

また、これまでスルーしてきた「ARM版Windows PCを選ぶ理由」ですが、ここまで述べてきた通り、Copilot+ PCの新機能はARM版Windows (特にSnapdragonの上位モデル)に先行して実装されること、およびCopilot+ PCの機能はすべてのPCで同一なわけではなく、おおむねARM版Windows PCのほうが充実していると思われることが挙げられます。

最後に機種個別の話になりますが、Zenbook SORA 16はこの記事執筆時点で国内唯一のSnapdragon X2 Elite Extreme 搭載PCであり、性能はもちろん、筐体の品質 (サイズ感、手触りなど)が抜群の出来であることを踏まえると、30万円強という価格でもむしろ割安なのではないか、と思います。ASUSはガチですごい製品を作ったよなあ。

関連リンク

執筆者:ウインタブ
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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