
「Android タブレットとの付き合い方」をテーマにした特集記事です。先日「Android タブレットとの付き合い方 - キーボードとマウスを接続してノートPC代わりに使ってみた」という記事を掲載しましたが、今回はAndroid タブレットをPCのサブモニターとして使ってみましたので、その様子をご紹介したいと思います。
この特集の大前提になっているのが「ウインタブで紹介したり、レビューしたりする」ことの多い、低価格帯の中国タブレットをどのように活用するか、ということです。これらのタブレットはAmazonで1万円台から手に入るので、「ちょっと買ってみようかな…」くらいの気持ちで購入できます。しかし、「買ったはいいが、結局ほとんど使っていない」というケースも多いと思います。もしそうだとしたら、ちょっともったいない…。
さて、AndroidタブレットをPCのサブモニターとして使うためにはいくつかの条件があります。最もわかりやすいのは以下の2つです。
・タブレットのポート (ほとんどがUSB Type-C)が「映像の入力」に対応していること
・タブレットがPCからの映像を無線で受信できること
まず1つめです。ウインタブが知る限り、タブレット (特に格安な中国タブレット)で映像の入力に対応するUSB Type-Cポートを備えたものはありません。「映像出力」のほうは一部の製品で対応していますが、「映像入力」に対応する製品ってあるんですかね?
次に2つめ。タブレット製品の多くは映像を「送信 (キャスト)」できます。しかし、PCの映像を「受信」できるタブレットは多くありません。Lenovoなど一部の大手メーカーで独自技術を使って映像を受信できるようにした製品がありますが、低価格帯の中国タブレットの場合、そのような機能を備えた製品は (ウインタブが知る限り)ありません。
となると「無理じゃん!」と思ってしまいますが、実は低価格帯の中国タブレットであっても有線、無線ともPCのモニターとして使う方法はあります。実際に試してみましたので、以下にご説明します
1. 使用機材

ノートPC「Lenovo ThinkPad X13 Gen 4 (Intel)」です。この記事ではタブレットをThinkPadのサブモニターにすべく、いろいろと試してみました。

ALLDOCUBE iPlay70 Pad Pro

LZF ZPad2
PCモニターとして使用したタブレットは「ALLDOCUBE iPlay 70 Pad Pro (12.1インチ)」と「LZF ZPad2 (13.4インチ)」です。ディスプレイサイズが大きめなので、PCモニターとしてうまく動作してくれれば、ThinkPad X13の強い味方になってくれそうです。

今回はPC – タブレット間で有線接続2パターンと無線接続1パターンを試しました。有線接続のための機材としてUGREEN 8K 60Hz HDMI ケーブルとUGREEN 2K@30Hz HDMI キャプチャーボードを購入しました。これら機材は超ハイスペックなものである必要はありませんが、ケーブル類が接続のボトルネックになるのはよろしくないので、ある程度マシなものにしています。また、ウインタブが私物としてケーブル類やアダプター類を購入する際、豊富なレビュー経験に基づき、最も信頼しているUGREEN製のものを選ぶことが多いです。

HDMIケーブルは長さ1 mのもので、購入当時の価格は1,199円、キャプチャボードは2,774円、しめて3,973円でした。なお、私はHDMIケーブルは数本所有していますが、それらは長さ2 mほどありまして、今回の作業用としてはいささか長すぎると考えたので新たに購入しました。長さ50 cmというものもありますが、50 cmにしてしまうとPCとタブレットの配置の自由度に制約が出るであろうと判断して1 mにしました (例えば、PCの左側面にHDMIポートがあり、タブレットをPCの右側に配置する場合、50 cmのケーブルだと短すぎると思います)。
このほか、サンワダイレクトのUSB Type-Cケーブル (USB 2.0規格のもの)を使用しました。
2. 使用アプリ・ソフトウェア

nExt Camera
有線接続を2パターン試した、と書きましたが、そのうちの1つ、「HDMIケーブル+HDMIキャプチャボード」による有線接続で使用したのが「nExt Camera」というAndroidアプリ (無料)です。もちろんタブレット側にインストールします。
このパターンは「PCから送られてきた映像信号を『外付けカメラからの映像』とみなし、その映像を表示する」という仕組みです。なので本来はPCのサブモニター用というよりは「外付けカメラ用」のアプリですね。
「そんな仕組みで大丈夫なのか?」と不安になる人もいるかもしれませんが、結果は後ほど…。
この手のアプリは他にもあり、「USB Camera」という、よりメジャーなアプリも試してみましたが、今回の作業環境ではうまく表示ができませんでした。

次に有線接続のもう1パターンと無線接続で使用したのが「Spacedesk」というアプリです (無料)。このアプリはタブレット側とPC側の双方にインストールする必要があります (Androidアプリ / Windowsアプリ)。

これはWindows版のアプリです。残念ながらSpacedeskも含め、今回ご紹介しているアプリはすべて日本語化されていませんが、項目に「Local Area Network」と「USB」というのがありますよね?つまり、Spacedeskは有線接続と無線接続のいずれにも対応しています。
3. 試してみた
nExt Cameraにて接続

ThinkPadとLZF ZPad2
まずはnExt Cameraで。「PCにHDMIケーブルを接続→HDMIケーブルにHDMIキャプチャボードを接続→キャプチャボードからタブレットに接続」という順番で接続してみたところ、タブレット側に「「nExt Cameraを開きますか?」のようなポップアップが表示され、「OK」すると、この画像のようになりました。ただ、タブレット側に余地 (黒い帯)が大きめに出てしまいました。

「複製」ではなく「拡張」にすると、黒い帯はかなり細くなりました。ThinkPadのアスペクト比は16:10、ZPad2のアスペクト比も16:10なので、理屈上は黒い帯は出ないはずですが、アプリの仕様からか16:9にしか設定できず、どうしても上下に帯が出てしまいました。ただ、表示域としては十分です。

モニターとして使っているタブレットの画面をスマホで撮影
発色品質はさすがに少し落ちます。また、マウスカーソルの動きにも少し遅延が感じられます。発色面ではクリエイティブ系の作業は無理 (キッパリ)、遅延という点ではPCゲームは無理 (キッパリ)ですが、ビジネス用のサブモニターということであれば十分使えそうです。タブレット画面上で文字入力をしてみましたが、遅延はあまり気になりませんでした。

PC側とタブレット側の設定をあちこちいじってみて、縦向き表示も可能であることを確認しました。
Spacedesk・無線

Spacedeskで無線接続を試しましたが、こちらも表示は可能でした (縦向き表示も可能)。発色品質はnExt Cameraと同等か、やや劣るくらいです。ただしこれ、私の自宅のネット回線 (Wi-Fiだと16Mbps程度と低速です)では使い物になりません。遅延が尋常でなく大きいです。サブモニター上でマウスを動かしてみると10秒くらい経ってからようやく動くというありさま。画面遷移も相当に鈍いです。これだと「サブモニター側に静止画像を表示させ、そのまま何もせずに閲覧だけをする」くらいしか使えません。はっきり言って意味がありません。
なお、お使いのWi-Fiが高速なものである場合はこれよりも挙動は大きく改善すると思いますが、私の環境ではそれを試すことはできませんでした。
Spacedesk・有線

次にSpacedeskで有線接続をしてみました。こちらもPC側のSpacedeskアプリでUSB接続を選択し、問題なく接続ができました。
発色と遅延はnExt Cameraと大差ありません。また、nExt Cameraの場合とは異なり、PC側でアスペクト比16:10の設定が可能だったので、黒い帯もなくなりました。トータルの使用感はnExt Cameraと大差ない、という印象です。

ThinkPad X13-Beelink Mate Pro-ALLDOCUBE iPlay 70 Pad Pro
ここまでLZF ZPad2を使ってきましたが、ALLDOCUBE iPlay 70 Pad ProのほうはnExt Cameraでの接続がうまくいきませんでした。おそらく「電源管理」に問題がある、というか、iPlay 70 Pad Proでは「HDMIキャプチャボードが起動時に大きめの電力を要求したため、タブレット側で保護機能が作動した」ということではないかと思われます。
実際、セルフパワーのドッキングステーション「Beelink Mate Pro」を間に入れ、接続中もPCとタブレットに給電されるようにしたところ、iPlay 70 Pad ProでもnExt Cameraが使えました。
4. まとめ
今回、有線接続で2パターン、無線接続で1パターンを試しました。結論を言うと、読者が手軽に試すことができ、かつ効果を実感できるのは「Spacedeskで有線接続」だと思います。nExt Cameraの場合、HDMIケーブルとHDMIキャプチャボードが必要になり、ケーブルのほうはお持ちの人も多いでしょうが、キャプチャボードは購入が必要になる可能性が高いです。また、ALLDOCUBE iPlay 70 Pad Proのように、ドッキングステーションなどで供給電力を確保しなくてはならないケースもあり得ます。そして、Spacedeskの無線接続は (ウインタブでは確認できませんでしたが)よほど回線速度が速くないとまともに動作しないと思われます。
Spacedeskで有線接続する場合、必要な機材はデータ用のUSB Type-Cケーブル1本のみです。よって、お金をかけることなく (あるいはわずかな出費で)タブレットをWindows PCのサブモニターとして使う (試す)ことができます。
低価格な中国タブを持て余している皆さん、一度試してみてください!
5. 関連リンク
Android タブレットとの付き合い方 - キーボードとマウスを接続してノートPC代わりに使ってみた
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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コメント
大変興味深い記事で、私も試したくなりました。
持ち出し用サブのLenovo IdeapadとOdea A12で無線で試してみたいと思います。幸いどちらも自宅のWi-Fi 5につながるのでそれなりの速度はでるはずなので、結果が楽しみです。
こんにちは。無線接続については私の環境は適切とは言えないので、ぜひ試してみた結果をお知らせください。記事に追記します。
ちょっとテストしてみました。
PC側はLenovo Ideapad 1 14AMN7という機種で、メモリはギリギリですが足りていて、ストレージの空きには問題ない状況です。画面はフルHDです。
タブレット側はAndroidで、Odea A12という機種です。メモリやストレージには問題はないでしょう。画面はPC側から見ると2000*1200という解像度です。
PC側にはSpeeddeskのDriver x64版を、タブレット側にはspacedeskのアプリを、それぞれspacedeskのサイトから最新版をダウンロードしてインストールしています。
PCもタブレットも同じバッファローの無線LANルーター(アクセスポイントモード)に接続し、Wi-Fi5で接続しています。それぞれのGoogle Speedtestは下りが200Mbps前後、のぼりが90Mbpsで問題はないでしょう。PCはAPとのリンクスピードは866Mbpsでしたが、タブレットは433Mbpsでした。
それぞれ、単体ではYoutubeの動画なども普通に見ることができています。
さてPCのサブモニターにしてみた結果ですが…うーむ。ウィンタブさんの実験ほど遅くはないのですが、例えるなら60fpsの動画が12fpsになったような感じです。
一応動画として見れなくはない。ただ、マウスの操作にマウスカーソルが追従できていない、という感じです。あと大きなウィンドウをタイトルバーをドラッグして移動すると、fpsが1桁に落ちているように見えます。
なので、サブディスプレイとして利用する場合、動きが重要なアプリを動かすのは無理があるかもしれません。例えばExcelをゆっくり操作するぐらいなら問題はなさそうですが、打鍵速度が速いと挙動が心配です。ペイントのようなマウスの細かい操作が重要になると追従を待つ必要があり、ストレスを感じると思います。
ちょっと今日は時間がないのでこの辺で。
詳細な検証ありがとうございます。Spacedeskの無線接続時の挙動については他の方からもご意見をいただいており、私のほうでももう少し確認作業をしてみたいと思います。幸い手元に複数の中国タブレットがありますので、機種間の挙動の違いを確認できるのと、Wi-Fiの接続環境 (隣接して複数の端末を同じWi-Fiに接続した場合の挙動差など)について試してみるつもりです。また、高速な通信回線が使えるライターさんもいますので、そもそもの回線品質の違いがどう影響するのかも調べてみたいです。
まぁボトルネックがどこか、という話になると思います。
無線通信だとまずはアクセスポイント(AP)と各デバイスの通信速度でしょう。私の場合Wi-Fi5なのでHDMI1.4の速度より遅くなりますから、Wi-Fi 6以上で検証された方がいると快適度はかなり変わると思います。
あと有線もUSB2.0なのか3.xなのかでかなり変わるでしょう。ただタブレット側がUSB3.x対応かどうかはちょっとわかりにくいのです。
運用を検討するなら、サブモニターにあまり動きのない情報を集めればいいのかもしれません。例えばExcelのブックを3つ開いたときに、更新するブックはメインのパソコンで開き、閲覧するだけのブックをサブモニターに表示させるとうまく使えるのではないかと思います。