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Core i9-12900HとCore i7-12700H(Alder Lake-H)のPassmarkスコアをTiger Lake-Hやデスクトップ向けCPUと比較してみる

Alder Lake-HのPassmarkスコア
こんにちは、近郊ラピッドです。ノート向けハイエンドCPUのAlder Lake-H(第12世代 Core)はかなり高い性能を発揮するとされています。そこで今回はAlder Lake-Hの製品群のうち、Core i9-12900HとCore i7-12700Hのベンチマークスコア(2022年3月上旬現在)を、前世代のTiger Lake-H(第11世代)やデスクトップ向けAlder Lake、そしてデスクトップ専用のRocket Lake(第11世代)と比較してみました。

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近年のハイエンドCPUはCINEBENCH R23で比較されることが多いですが、今回はノート向けCPUの性能比較でよく使われるPassmarkのスコアで比較します。Passmarkはそこまで高負荷なベンチマークではないため、エンコードなどの長時間負荷を掛け続けた場合とは少し異なる傾向になると思われますが、それでも参考になる指標だと思います。

また、Passmarkのスコアは価格.comにも掲載されている上に、一部のPC関係の販売店でスコア表が掲示されていますので、CINEBENCH R23よりもこちらの方が直感的に大まかな性能を把握しやすいという方もおられると思います。

1.Tiger Lake-Hとの比較の結果

Alder Lake-HのPassmarkスコア
このような画像の結果となっています。注意すべき点として、現状ではCore i9-12900HとCore i7-12700Hはサンプル数が少なくなっており(i9が16、i7が21)、これから変動する可能性も少なくないという点が挙げられます。ただしカタログスペック上の性能を考えるならば、この位のスコアを出していても不思議ではないように感じます。

Tiger Lake-H45と比較すると、マルチスレッド性能はi9-12900Hの場合は前世代のi9-11900Hから約1.4倍の性能になっており、大幅な性能向上を果たしています。1世代でここまで性能向上を果たすのは驚異的です。i7-12700HもTiger Lake-H35のi7-11375Hの2倍以上のスコアになっており、とても高い性能になっています。

また、シングルスレッド性能が1.2倍程度になっているのも見逃せない点となっています。シングルスレッドテストのスコアを比較すると、Alder Lakeに採用されているPコアは前世代のコアよりクロック当たりの性能が大幅に伸びていることが分かります。特にCore i7-12700Hは4.7GHzというそこまで飛びぬけて高いクロックでもないにもかかわらず、このような高いシングルスレッド性能を持っていることは驚異的だといえます。

シングルスレッド性能を上げるには、既にかなり高くなっている上限クロックを無理やり引き上げるか、クロック当たりの性能を地道に上げるしかありません。このようにシングルスレッド性能はなかなか上げにくい分野となっているため、1世代でここまで上昇するのは驚きです。

このように、Alder Lake-HのCore i7-12700Hやi9-12900Hは前世代とは一線を画する性能になっています。高いマルチスレッド性能を求める方は間違いなくAlder Lake-Hを選んだ方が良いといえます。ただ、Tiger Lake-H45も十分高性能なので、セールなどで大幅に安く販売されていればTiger Lake-H搭載機を購入するメリットはありそうです。

2.同世代デスクトップ向けCPUとの比較の結果

Alder Lake-HのPassmarkスコア
Eコアを持たないCore i5-12400と比較すると、Core i7-12700Hの方が軽く上回る結果となっています。この2つのCPUはPコア数が同じですが、i7-12700Hの方は8基のEコアによってかなり性能が底上げされている形となっています。

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Eコアを4基持つCore i5-12600Kと比較すると、Core i7-12700Hに近いスコアとなっています。i5-12600Kはフルパワーで回せばもっとスコアは上がるようですが、それでもCore i7-12700Hと同格レベルに留まりそうです。

Pコア8基・Eコア4基のCore i7-12700Kと比較すると、流石にCore i9-12900Hの方が性能は下回ります。それでもAlder Lake-Hがかなり高性能なことには変わりありません。

デスクトップ版Core i7やi9のK付きモデルは確かに高性能ですが、大半の方にはCore i7-12700Hでも十分な性能だと思います。デスクトップ向けAlder Lakeと言えども、Core i5クラスではCore i7-12700Hを上回るのは難しいようです。

ただ、第13世代のRaptor LakeだとCore i5クラスでもEコアが増え、Core i5-13400(?)でもEコアが4基搭載されるという噂があります。もしそれが本当だとすると、Raptor Lake世代のCore i5下位でもCore i7-12700Hにある程度近いスコアを出せるかもしれません。

3.前世代デスクトップ 向けCPUとの比較の結果

Alder Lake-HのPassmarkスコア
前世代デスクトップ向けCPUであるRocket Lakeと比較しました。上記の画像のように、Core i7-12700Hはi5-11600Kを大差で上回り、現状ではi7-11700Kどころかi9-11900Kも上回っているスコアとなっています。

現状ではi9-11900Kを上回っているとはいえ、サンプル数が少ない現状ではまだ上回ったと断定することはできないと思います。この勢いならば「上回りそう」という感じでしょうか。

ノートPC向けCPUが前世代のハイエンドデスクトップCPUにも優位性を保つことができるのは驚異的だと言えます。シングルスレッドテストを比較してもCore i7-12700HやCore i9-12900Hの方が優位と言えます。

前世代のデスクトップ向け第11世代CoreであるRocket Lakeを最上位モデルも含めて全体的に上回りそうなスコアとなっているのは驚異的です。従来ならばデスクトップPCでないと荷が重かったような高負荷なクリエイティブ作業も、Alder Lake世代のハイエンドノートPCならば快適に処理できるようになったと言えそうです。

旧世代のデスクトップからハイエンドノートに乗り換えるのもAlder Lake世代では十分現実的な選択肢になったと思います。

4.まとめ

全体的な結果を見ても、今回のAlder Lake-H、特にCore i9-12900HやCore i7-12700Hはかなりの高性能になっていると言えます。デスクトップ向けCPUと比較しても、第11世代のRocket Lakeの最上位モデルを現時点では上回っているスコアとなっており、同世代のAlder Lakeのデスクトップ版と比較してもK付きのi5クラスを現時点では上回っています。今世代のCore i5-12600Kはi5ブランドながらもEコアを4基搭載する等、かなりの高性能であることを考えると、Core i7-12700HやCore i9-12900Hはノート向けとしては非常に高性能となっているのが分かります。

シングルスレッド性能も大幅に向上し、前世代のTiger Lake-Hやデスクトップ向けのRocket Lakeと大きな差を付けており、新世代のPコア(Golden Cove)の能力がよく伝わってきます。

また、今回はCPU性能を比較しましたが、グラフィックス性能もXeグラフィックスに底上げされているため、Intel Arcと連携する際もTiger Lake-H45より連携の効果を発揮しやすくなっています。

現時点ではAlder Lake-Hの一部のモデルだけがPassmarkのスコアが出始めている状態なので、Alder Lake-P・Uの信頼できるスコアが出回るのはまだ先の話になると思います。ただAlder Lake-Pも、結構期待できる性能だとは思います。

一方でちょっと気がかりなのはAlder Lake-Uでしょうか。EコアがあるとはいえPコアが2基しかありません。消費電力も抑え気味な中で、Eコアがどの程度マルチコア処理に貢献するのかが気になります。

5.参考リンク

PassMark Software

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