Microsoftは近年個人ユーザー向けWindows 11で自社サービスの利用を強く押し出していて、先日「初回セットアップ時にローカルアカウントの作成がより困難に」という記事を掲載しましたが、今回は「OneDriveのクラウドバックアップ機能の強制」についてご説明します。
従来のWindows 10やWindows 11では初回セットアップ時にMicrosoftアカウントをPCのアカウントと紐付けた場合、OneDriveのクラウドバックアップ機能を利用するか否かを選択する項目が用意されていました。これを有効にするとOneDriveに保存されているファイルの同期とドキュメント・画像・デスクトップのクラウドバックアップが有効化されますが、無効にした場合でもあとから同期を有効化したり、バックアップするフォルダを個別に設定することが可能です。かのあゆの場合、ドキュメントフォルダとデスクトップのクラウドバックアップ機能は使用していないので初期セットアップでは一度無効にしてから後でOneDriveの同期と画像フォルダのクラウドバックアップだけ有効化していました。
ところが、2024年初めにアップデートで初期セットアップの挙動が変更されたようで、OneDriveの設定項目が削除され、デフォルトでOneDriveに保存しているファイルの同期とドキュメント・画像・デスクトップのクラウドバックアップが自動的に有効化されるようになりました。
1.変更されたのは2024年初めから
Windows 11 バージョン21H2や2022 Update(バージョン22H2)、2023年10月にリリースされた初期バージョンのWindows 11 2023 Update(バージョン23H2)では初回セットアップ時にOneDriveの同期についての選択項目が用意されていたのですが、現在Microsoft公式サイトからダウンロードできるWindows 11 2023 Updateと「Copilot+ PC」及びWindows Insider Programで先行配信されているWindows 11 バージョン24H2ではそれがなくなっています。
すでに2022 Updateや「更新前の」2023 Updateが公式の手段で入手できないため実際に確認していませんが、これら旧バージョンでも初回セットアップ中に更新プログラムが適用されるため、OneDrive同期の設定項目が削除されているかもしれません。
2.OneDriveの無料プランを利用している場合、PCにファイルを置いただけでストレージを使い切ってしまう場合も・・・
デフォルト設定だとOneDrive上に保存されているファイルは必要なときだけインターネットからダウンロードする「ファイル・オンデマンド機能」が有効になっているので、初回セットアップであっても、いきなりクラウド上のファイルがダウンロードされてしまうことはありませんが、クラウドバックアップ機能も有効になっているため、PC内に保存していたファイルの量によっては無料プランで利用できる容量5GBをすぐに使い切ってしまうことになります。
現在の仕様だとOneDriveの同期・クラウドバックアップがデフォルトで有効になっていることに気づかない可能性も高く、「知らない間にOneDriveのストレージ容量を使い切ってしまっていた」という事態が発生する可能性があります。
一応初回セットアップ後にOneDriveアプリを開き、設定から同期やクラウドバックアップの設定を変更できますが、「OneDriveを使いたくない」「同期・クラウドバックアップするフォルダを後から選択したい」というユーザーにとっては迷惑な仕様になってしまいました。
またアプリによっては「Program Files」フォルダではなく、ドキュメントフォルダをインストール先に指定しているものもあり、それらのデータも自動的にクラウドにバックアップされてしまいます。デスクトップアイコンもそのまま同期してくるので、初回セットアップを済ませたらインストールされていないアプリのアイコンが勝手にデスクトップに配置されてしまうのも地味に不便になってしまいました。
3.まとめ
OneDriveは確かに便利ですし、PCの乗換や2台目、3台目のサブマシンを追加購入した際にデータの移行が楽になりますが、無料プランで利用できるのは5GBまでと、PC環境をバックアップするにはあまりにも足りなさすぎますし、先日取り上げたMicrosoftアカウントの件もそうなのですが、ここ最近のMicrosoft製品は少々自社サービスの押しつけが目立つようになってしまった印象を受けます。
GoogleやAppleもクラウドストレージサービスを展開していますが、初期設定で使用を強制されることはありませんし、中には「クラウドに自分の大事なデータを預けたくない」「他社クラウドストレージサービスを使用しているのでOneDriveを使う予定はない」というユーザーもおられるでしょうし、できれば元の仕様に戻してほしいところです・・・。