こんにちは、natsukiです。ドローンをなんとか日本で楽しみたい、今回はドローンに関わる基本的な用語集です。ドローンの世界は、はじめからある程度の技術力が要求されるので、いきなり専門用語の山にぶちあたります。私も、一番はじめは、あちこちのドローンブログなどを読んでみても、まず語句が分からなくて苦労しました。そこで、よく使うものや、商品名に含まれるような語句をまとめて、ざっと解説した用語集を作ってみました。並びはジャンル別にして、おおむね基本的なものから順に並べています。厳密さはあんまり追求せず、ついでに初心者向けの小ネタも盛り込んで、これからドローンの世界に入っていく人の少しでも参考になるように書いたつもりです。どうぞご利用ください。
今こそドローンをはじめよう! 日本でドローンを楽しむための資格は?免許は?
目次
1.ドローンの種類や基本性能など
FPV
「First Person View」の略です。「一人称視点」などと訳されます。ドローンに搭載したカメラによる視点で、多くの場合は、主にその映像を見て操縦することまでも意味します。
なお、日本の航空法では、この「FPV」は「目視」とはみなされないため、FPVによる飛行は「目視外飛行」となります。したがって、航空法の規制対象となる本体重量200gを越えるドローンでFPV飛行を行うことは、特別な許可の無い場合は、原則としてできません。
トイドローン/ミニドローン/マイクロドローン
かなりアバウトな名称で、厳密な定義はないと思います。日本の航空法では、本体重量が200gを越えるかどうかで規制の度合いが大きく異なりますが、そのため、200g以下のものを「ミニドローン」、さらに手のひらサイズのものを「マイクロドローン」と称する例をよく見かけます。また、200g以下といっても、縦横30cm近くあるものも存在するので、200g以下のものは「トイドローン」と呼ぶ場合もよく見ます。あるいは、性能や価格によって呼び分けている場合もあるようですし、はっきり決まっているわけではないです。
Tiny Whoop(タイニーフープ)
手のひらサイズのドローンにカメラを搭載して、FPV(ドローン視点)で操縦することを前提としたドローンの総称です。本来は、「Team BIG Whoop」というドローンレーサーチームがあって、それをもじって名付けられたらしいです。
日本で本格的にドローンを楽しむのであれば、個人的には、このTiny Whoopが、実現可能性と奥深さの両面で最適なんじゃないかと思っています。というか、規制の関係で、他の楽しみ方は厳しい。ウインタブでの一連の連載記事も、基本的に、このTiny Whoopを対象として書いています。
ダクトガード/ダクト型ガード
明確な定義はないので、色々表記されますが、要は、わっか状のプロペラガードです。プロペラガードの中では、特に強度と安全性に優れます。屋内で飛ばすなら、このタイプを強く推奨します。
ただし、その分重く、運動性はやや制限されます。
Toothpick(トゥースピック)
「つまようじ」を意味する、プロペラガードのないタイプのドローンです。本体構造が一見、非常に華奢に見えるためにこの名称があります。ガードがないので、軽量な上に大きなプロペラを搭載でき、サイズの割には非常にパワフルで高い運動性能があります。2019年に大量にリリースされた、流行のタイプです。もちろん、ガードが無いということは、「空飛ぶチェーンソー」なわけで、飛ばす場所には十分に気をつけましょう。
Cine Whoop(シネフープ)
「Cine」は「Cinema」の略です。Tiny Whoopの中でも、高解像度(一般的にFHD画質以上を差す場合が多い)の動画を撮影可能な機種を差します。技術の進歩によるカメラの小型化で、2019年に大量にリリースされました。これを飛ばすのは、娯楽でドローンをはじめる際の、とりあえずの目標になると思います。
最高にロマンあふれるんですが、最先端技術のギリギリの固まりなので、非常にデリケートで、物理的な脆さ、消費電力、振動など、トラブルの多いこと多いこと。例えば、2019年前半にリリースされた「Caddx Turtle V2」というカメラは、その軽量さと高い汎用性で数多くのドローンに搭載され、一気にこのシネフープの世界を広げた革命的な部品でした。なんですが、先駆者だけあってトラブルも実に多い。「Caddx Yellow Screen」で検索すると、世界中の阿鼻叫喚が飛び込んできます(笑)。ええ、私も苦しみましたとも。Banggoodで、ケーブルとか基板とかの部品単位で購入して修理を重ねて(部品単位で売っていることが、このカメラの普及率の高さとトラブルの多さを象徴しています)、こうしてドロ沼に沈んでいくわけです。
とにもかくにも、シネフープはロマンいっぱいトラブルいっぱい。これを扱うだけで、否応なくいろいろと学ばされます。
2.商品の構成
ドローンを買うときの、商品の構成です。
RTF
「RTF」とは、「Ready-to-Fly」の略称です。操縦機とバッテリーを含めて、遊ぶために必要なすべてのものがそろっていることを意味します。FPVの場合は、ゴーグルも含めます。まれに、「RTR(Ready to Run)」という表記も見られます。
FPVではないほとんどのドローンは、この形態で販売されています。逆に、FPVドローンは、自分で操縦機やゴーグルを別途準備するのが一般的なので、この販売形態は少ないです。FPVドローンでも、Eachine E013、Eachine E013 Plus、Eachine Noviceシリーズ、EMAX TinyHawkシリーズなどは、RTFでの販売も行っています。
特に、Eachine E013は、ドローン本体、バッテリー、操縦機、ゴーグル全部コミコミで、通常どうやっても1万円近くか越えてしまうような内容が、セール時はおおむね6,000円前後まで下がるという異様な安さで、素晴らしいパッケージングです。が、しかし、操縦系統が独自のもので技適がないため、どうやっても日本では電波法違反になってしまいます。
Eachine E013に限らず、FPVドローンのRTFで一緒に付いてくる操縦機は、ほとんどの場合、技適の問題で日本では使えません。おそらく、Makerfire Armor 65 Liteが唯一の例外だと思います。
BNF
「Bind-N-Fly」の略です。ドローン本体のみで、操縦機やゴーグル、ときによりバッテリーがついていません。まれに、「RTB(Ready to Bind)」という表記も見られます。
ある程度ドローンの扱いが慣れた人にとっては、操縦機やゴーグルは自分の使い慣れたものを使う場合が多いので、このように、本体のみで販売されるものがあります。FPVドローンのほとんどはこれです。
PNP
「Plug-N-Play」の略です。ドローン本体のみで、かつ、操縦機からの電波を受信するレシーバーが付いていません。まれに、「PNF(Plug-N-Fly)」とも表記されます。
ある程度ドローンの扱いに慣れた人は、自分の使い慣れた操縦機を使いたいものですが、そのためには、操縦機とドローン本体のレシーバー(受信機)の電波形式(プロトコル)が対応している必要があります。そこで、好きな電波形式のレシーバーを付けられるように、あえてレシーバーを外して販売されている場合があります。FPVドローンでは、ときどき見かけます。
ARF
「Almost-Ready-to-Fly」の略です。組み立てキットで、自分で組み立てる必要があります。適宜、部品を補う必要がある場合も多いです。キットなので、どの程度までの部品がそろっているかは、商品によってまちまちです。
3.ドローンの機体の部分名称と関係用語
上の画像は、「Happymodel Mobula7 HD」という、FPVで操縦しつつカメラ映像をFHD画質で録画可能な、いわゆるCine Whoopの代表機種です。典型的な構成例となっています。
フレームサイズ ― 65mm、75mm、85mmなど
フレームは、そのまんま本体を支える部品のことです。ダクト型のプロペラガードを備えるフレームの場合は、65mm、75mm、85mmの3つのサイズが一般的です。この数字は、モーターの対角線上の距離を示しています。当然、小さい方が小回りがきき、大きいほどパワフルですが、狭い場所での飛行には向かなくなります。一般的に言って、85mmサイズだと、屋内で飛ばすのは厳しいと思った方がいいでしょう。写真は、左から65mm、75mm、85mmサイズです。
プロペラガードのないタイプだと、フレームサイズではなく、プロペラのサイズ「~インチ」でドローンサイズを表現する場合もよくありますので、混同に注意です。
フレームだけ購入するときは、単純な大きさの他にも、モーターのサイズと合致するか、下記のFCなどの基板を止めるネジ穴がどこにあるか、などにも注意です。ネジ穴については、前後左右の4カ所タイプが一般的ですが、入門機として定番のEachine E010、Eachine E011、JJRC H67のフレームは、このネジ穴の位置とFC基板の形状が独特です。
FC
「Flight Controller」の略です。ドローンの心臓部とも呼べる部分です。ドローンのすべての部品は、基本的にここにつなぎます。後述の、その他の様々な部品が内蔵されている場合もよくあります。
Silverware、Betaflightなど
FCを動かすファームウェアです。他にもたくさんありますが、「Silverware」と「Betaflight」が圧倒的に有名です。設定などについては、非常に複雑で情報量が一気に増えるので、ここでは勘弁してください。
ESC
「Electric Speed Controller」の略です。モーターの制御装置です。画像例に出したHappymodel Mobula7 HDも含め、多くの場合、FCに内蔵されているので、初心者は特に気にしなくていいでしょう。これが独立した部品になっているのは、かなり上級者向けなドローンです。
レシーバー
操縦機からの電波を受信する部分です。FCと一緒になっている場合も多いです。また、一緒になっているものでも、あえてレシーバーを追加することで、別の操縦機で操縦したり、操縦距離を伸ばしたり、操縦感度を安定させたりできる場合があります。画像は、外付けレシーバーの定番「Frsky XM+」です。
重要なのは、レシーバーと操縦機の電波の形式(プロトコル)が一致しないと操縦できません。そのため、先述のように「BNF」と書いてあるドローンは、好みのプロトコルのレシーバーを付けられるように、あえてこのレシーバーを外して販売しています。
プロトコルについて詳しくは、後の操縦機関係の用語を見てください。
VTX
「Video Transmitter」の略です。「x」がないじゃん、って思うかもしれませんが、「x」は、どんな文字でも入る、とか、省略の意味でも使われるので、そういうことだと思います。ともかく、ドローンのカメラ映像電波を発信する部分です。
FPVの場合は、遅延を解消するために、5.8GHz帯の電波を使用するので、日本国内で運用するには、「無線従事者免許」を取得した上で、このVTXを「無線局」として「開局」し、「無線局免許」の発行を受ける必要があります。また、まず間違いなく技適の認証を受けていないため、専門の保証機関から日本の技術適合水準を満たしていることの「保証」を受ける必要もあります。日本でドローンを運用するにあたって、最大の障害となる部分です。このあたりの詳細は、連載の第3回と第4回をご覧ください。
DVR
録画機能です。ほとんどの場合、microSDカードに記録します。ドローン側で録画することにより、通信によるノイズが入りません。その一方、重量が増加するのと、それなりに電力を喰う部分でもあります。カメラやVTXとセットになっている製品もあります。解像度、ファイル形式、無線操作の有無、などなど、性能はまちまちです。
せっかくなら飛行画像をきれいに録画したいというのは夢なんですが、自分でドローンを組む場合、こいつの電力消費にはいつも悩ませられます。
ジンバル
カメラの振動や傾きなどを吸収する、物理的な構造です。安定した非常に美しい空撮動画を撮影できる反面、この機構を搭載するためには相応のサイズが必要です。
いままで、ジンバル付きドローンはゆうに200gを越えてしまうため、日本国内で運用するのには航空法の規制によって非常な困難をともなっていました。それが、2019年秋、空撮ドローンの世界的大手DJIから、ジンバル機構を備えながら重量200g以下を実現した「MAVIC MINI」が発売されたため、空撮ドローンの日本での間口が大きく広がりました。現在、日本国内で手に入るドローンで、ジンバルを備えながら200gを切るのは、このMAVIC MINIのみのはずです。
4.モーター関係
Brushed Motor(ブラシモーター)/Brushless Motor(ブラシレスモーター)
「Brushed Motor(ブラシモーター)」が、普通のモーターです。カタカナでは「ブラシモーター」と「ed」の発音を省略する表記が一般的なようです。安いですが、使えば劣化するので、消耗品です。
「Brushless Motor(ブラシレスモーター)」は、より高性能なモーターで、当然、価格も上がります。小さくてもパワフルなので、屋内で飛ばすにはそれなりの腕が要ります。まずは、「Brushed Motor」の機体に慣れて、自信が付いてから手を出した方がいいと思います。
「Brushed Motor」に比べて、モーターとしての寿命ははるかに長いのですが、構造上、開口部があるのため、ここに異物が入ってダメになったり(分解掃除は可能です)、ケーブル部分がどうしても接地しやすかったり、単純にパワーがあるので派手にクラッシュして破損したりと、物理的なもろさがあります。
モーターサイズ
モーターの頭に、「716 Motor」のように、4桁か3桁の数字が付いている場合があります。これは、モータ-のサイズです。4桁の場合は上2桁、3桁の場合は上1桁が、モーターの直径を表し、下2桁が、高さを表します。「0615 Motor」や「615 Motor」なら、直径6mm高さ15mmというように、基本的に単位はmmのはずですが、太さ8.5mm長さ20mmのモーターを「8520 Motor」と表記したりもするので、そこは雰囲気で読みます(笑)。
なお、ブラシモーターは、615、716、8520のように、基本的に縦長で、ブラシレスモーターは、0603、0803、1103のように、平べったい形状が多いです。
商品名称では省略されることが多いのですが、他にも、モーターによって重要なサイズとして、軸の太さと、ブラシレスモーターでは固定部分のネジ本数があります。軸の太さが合わなければプロペラを取り付けられないし、ブラシレスモーターだけになりますが、固定用のネジの本数が合わなければフレームに取り付けられないので、必ず商品情報で確認しましょう。
kv/rpm
モーターの性能の目安となる回転数です。「kv」は、1Vの電圧をかけたときの回転数。「rpm」は、特定の電圧をかけたときの回転数です。kv×V=rpm という式をよく見かけますが、実感としてはそんな単純なものなのかどうか、かなり疑問です? 例えば、経験上、Aliexpressで安く売っているブラシモーターは、同じ数値でも性能に非常にバラツキがあります。これが、単に品質表示の問題なのか、測定条件の問題なのか、考えられる要素は無数にあるものの、ともかく、数値が信用できません。多少値が張っても、BanggoodやBetaFPVから購入したものなら、まあ、おおむね数字と操作感が対応します。
また、特にブラシレスモーターについては、回転数が高ければいいってもんじゃありません。なまじ回転数が高いと電力消費が激しく、あっという間にバッテリーがなくなります。ブラシレスモーター採用ドローンには、複数の回転数のモーターを選択できるものがありますが、これは回転数が高い方が高級というわけではなく、回転数が低いのはパワーを抑えて飛行時間を延ばしたスタミナタイプ、回転数が高いのは飛行時間が短くなる代わりによりスピーディーな飛行を可能にしたレースタイプ、という認識でいいと思います。
cw/ccw
モーターの回転方向です。それぞれ、「Clockwise Rotation(時計回り=右回り)」「Counter Clockwise Rotation(反時計回り=左回り)」の略です。コネクター付きモーターの場合は、セットで購入しましょう。必ずではないですが、画像のようにケーブルの色で区別している場合がよくあります。コネクター無しの場合は、区別してあるのもありますが、はんだづけの極を逆にすればいいだけなので、区別が無い場合もあります。
5.プロペラ関係
デフォルトで付いているものについては、特に気にする必要はないと思います。スペアや、交換して飛び具合の違いを確かめるときには、サイズと羽(ブレードとも呼びます)の本数、穴の径に注意です。
サイズは、ダクト型プロペラガードを持つフレームの場合、フレームサイズとプロペラサイズが対応していて、
65mmフレームならプロペラは31mm、
75mmフレームならプロペラは40mm、
85mmフレームならプロペラは48mm、
となります。また、モーターのシャフトの太さと、プロペラの穴の太さも合わせる必要があるので、注意してください。
さらに大きくなると、「インチ」で表現する場合もあります。プロペラガードのない、トゥースピックなどのプロペラは、インチで表現するのが一般的です。
羽の本数は、2~4本が一般的で、よく少ないほどエネルギー効率がよく、多いほど反応がいいというようなことが言われますが、様々な要素に左右されるようで、実際には使ってみないと分かりません。とりあえずは、デフォルトの枚数が無難ではあります。
羽の形状も色々あります。これも、どれがいいかは試してみないと分かりません。とりあえず、Gemfanブランドは人気ですね。
なお、ブラシレスモーターのプロペラは、固定部分が特殊な形状のものもあるので、これも要注意です。
6.カメラ関係
TVL
「TV Line」の略です。「水平解像度」と訳され、アナログ画像における解像度を示します。数が多ければそれだけ映像がはっきりするはず、……なんですが、経験上、あんまりあてになりません。多くの場合、コントラストや、明るさ表現の幅である「ダイナミックレンジ」や、色表現性能など、数値に表れにくい部分での性能の方も大きく影響するからです。つまり、使ってみなきゃ分からんということです。もちろん、高いにこしたことはないので、目安程度に。
FOV
「Field of View」の略です。「視野」「視野角」などと訳されます。FPVで操縦する際には、視野角の広い魚眼レンズでないと、まともに操縦できません。だいたい120度以上が目安です。
ところがこれも、対角線の角度なのか、縦の幅の角度なのか、横の幅の角度なのか、明記していない場合が非常に多い。やっぱり、使ってみないことには分からない場合が多いです。ちなみに厳密には、縦の視野角は「VFOV」、横の視野角は「HFOV」、対角線の視野角は「DFOV」で、これが明記してあれば安心なんですが、そういうのは少数派ですね。
チルト
カメラの角度です。空撮ドローンだと、これを無線で調整できるものもあります。
地上を撮影する空撮ドローンの場合は、どのくらい下向きにできるかで、撮れるアングルが決まってきます。
一方でFPVドローンの場合は、ドローンは基本的に前傾姿勢で飛行し、角度がきついほどスピードが出るため、スピードを出す場合ほどカメラを上向きに取り付ける必要があります。
7.VTX関係
NTSC/PAL
映像の通信方式です。地域によってどちらを採用しているかの違いがあり、日本は基本的にNTSCなので、そちらを選んでおけば良いでしょう。もっとも、ドローンで使う場合は他の機器と連携するようなものでもないので、PALでも使えないわけではないです。NTSCの方がフレームレートが高く、PALの方が色表現に優れている、らしいです。
バンド/チャンネル/周波数
VTXは、通常、設定によって複数の周波数を発信することができます。周波数を設定するときは、バンドとチャンネルによって決定します。
これは、カメラ付きVTXの定番「Eachine TX06」ですが、上段のダイオードがバンド、下段のダイオードがチャンネルを表しています。
Eachine TX06の周波数表はこのようになっています。上の画像では、3つめのバンドと1つめのチャンネルのダイオードが点灯しているので、現在利用している周波数は、Band-EのCH1で、5705MHzとなります。なお、この周波数表は、このEachine TX06と同じものが多いんですが、製品によってはまったく異なる場合もあります。手持ちのものでは、ゴーグルの「Eachine EW30」はまったく表が異なり、単純に「3つめのバンドと1つめのチャンネル」にしても、全然違う周波数になってしまうので困りものです。
さて、気をつけなくてはいけないのは、日本国内では、たとえ保証を受けて開局申請を終えていたとしても、発信できる周波数が法律で制限されています。ズバリ、
5705、5740、5745、5780、5785、5790、5800
の7種類。これ以外の周波数は、違法となりますので、ご注意ください。
OSD
「On Screen Display(オンスクリーンディスプレイ)」の略です。バッテリー電圧や電流、受信電波強度、傾き、飛行時間などなど、ドローンの様々な状態を、VTXを通じて表示する機能です。FCとFC内のファームウェア、それともちろんVTXが、対応している必要があります。
SmartAudio(スマートオーディオ)
VTXの周波数を、操縦機などからの無線で設定する技術をいいます。これも、FCとFC内のファームウェア、それともちろんVTXが、対応している必要があります。個人で趣味で飛ばしている分には、あまり使うことの無い機能だと思います。
8.バッテリー関係
mAh
容量です。mAhで容量を表すことの是非については、手前味噌になりますが、こちらの記事をご参照ください。ドローンで使うバッテリーは、通常はリポバッテリーかハイボルトリポバッテリーのみなので、まあ、mAhで表現してもだいたい比較できるかと思います。
HV
「High Volt」の略です。通常のリポバッテリーの電圧が標準3.7V、最大4.2Vであるのに対し、HVリポバッテリーは標準3.8V、最大4.35Vです。たかが0.1Vと侮るなかれ。挙動は明らかに違う。ただし、通常のリポバッテリーとは、充電器も別になるので注意。
C
放電・充電の能力を示します。「シーレート」と読みます。「Capacity」の略です。これが高いほど、瞬間的な出力に優れます。「30C/60C」のような表記も多いですが、この場合は、標準30Cで、最大瞬間60Cというような意味になります。
なお、式は
A(最大電流)=放電容量(Ah)×放電能力(C)
なので、同じ「30C」でも、放電容量の大きいバッテリーは、最大電流も大きいということになります。Ahの大きいバッテリーは、長持ちするだけでなく、パワーもあるというわけですね。その分、重いわけですが。
S
バッテリーの構成単位です。「1S」「2S」「3S」などと表記します。読みは「セル」なんだけど、スペリングは「Cell」のはずだし、なんで「S」なのかはよく分かりません。先ほどの「C」と区別するため?
1Sというのが通常のリポバッテリー。2Sは、2つ直列になっているので、標準電圧が3.7V×2で7.4Vになります。Sが増えれば増えるほど、電圧が上がってパワーを出せるというわけです。
当然、回路への負担がまったく違うので、ドローンごとに適切なセル数が指示されています。先ほどのHappymodel Mobula7 HDは、2Sと3Sどちらにも対応しているんですが、説明書には「3Sで設定を誤ると燃えます」と、とんでもないことが書いてあります(初期ロットのもので、後期ロットのものは改善しているらしい)。
また、2S以上のバッテリーは、内部的に複数のバッテリーが直列接続してあるため、充電には、それぞれを均等に充電するための特殊な充電アダプターが必要になります。ここは要注意な部分です。運動性能や撮影性能の高いドローンは、どうしても2S以上のバッテリーを要求するものが多いですが、バッテリーも付いているし、と勢いだけで買ってしまうと、充電できなくて泣きを見ることになります。
9.コネクター(プラグ)関係
バッテリーや、その他ドローンの各部分をつなぐときに利用するコネクターですが、いろいろと規格があって困りものです。大きく分けて、「JST」「XT」「平形」「BT2.0」の、4つの系統があります。ついでに、ケーブルの太さの単位にも触れておきます。
JST
最も多く使われる規格です。ドローンでよく使われるのは以下のものです。また、端子の本数を「ピン」と言います。
JST PH / JST 2.0mm / mCPX :端子間2.0mmのコネクターです。主にバッテリーに使われます。
JST GH / JST 1.25mm / MCX :端子間1.25mmのコネクターです。モーターや、VTX、カメラなどへの電源供給によく使われます。
JST SH / JST 1.0mm :端子間1.0mmのコネクターです。VTXやカメラによく使われます。
JST 0.8mm :端子間0.8mmのコネクターです。正規のJSTにはない規格のはずです。まれにカメラに使われます。
とりあえず、JST PH(2.0mm)の2ピンと、JST GH(1.25mm)の2ピンは、オス・メスともにたくさん買っておくと、使う機会が多いです。ただし、バッテリー接続用のJST PH(2.0mm)の場合は、後述のケーブルの太さにも注意。
なお、ドローンで使うことはまず無いのですが、単なる「JST」とのみ表記される規格もあるので、ややこしいことこの上ない。
XT
大電圧・大電流のバッテリー用のプラグです。実際にドローンの部品として使うのは、バッテリープラグにXT30、XT60、バッテリー充電用としてまれにXT90、でしょう。もっとも、私のレベルだとXT30しか使ったことがありません。数字が大きければ大きいほど、サイズが大きく大電力に耐えられるので、強力なバッテリー用となります。
平形 / WALKERA / MOLEX
すいません。これ、正式名称を知りません。ネットで調べてもよく分からない。バッテリー用のプラグとして、よく使われるものです。ワルケラ製ドローンで多く使われたことから「ワルケラプラグ」とか、見た目から「平形プラグ」などと呼ばれることが多いようです。
困ったことに、バッテリーでよく使うので、一定数購入して、JST PHと使い分けられるようにしておいたほうがいいです。
BT2.0
BETAFPVというFPVドローン専門メーカーのみの、オリジナル形状です。マイクロドローンのバッテリーに特化したもので、2019年秋より、関係製品の販売がはじまっています。
AWG
これはコネクターの種類ではなく、ケーブルの太さの単位です。注意しなくてはいけないのは、型番の数が大きいほど細いということです。型番の数が小さい(ケーブルが太い)ほど、当然、抵抗が少なく、大電力に耐えられます。
バッテリーに接続するコネクターのケーブルの場合は、抵抗が大きい(ケーブルが細い)と、最悪、負荷をかけたときに電力不足に陥って、飛行中にドローンやカメラがダウンするという恐ろしい事態になります。バッテリーにつなぐケーブルに関しては、必ずデフォルトのケーブルと同じか、それより型番の小さい(ケーブルの太い)ものを選ぶようにしましょう。1Sバッテリー用の場合、24AWG以上(数値が少ない)が目安ですね。2S、3Sなど、電圧が高くなれば相応に太くしておく必要があります。
バッテリー直結以外の部分については、あまり気にする必要はないと思います。
10.センサー類
ドローンに搭載されているセンサー類です。積んでいるかどうかで飛行性能に差がでるものだけ、取り上げます。
気圧センサー
高度維持に使います。たぶん、最も安価な高度維持機能で、あんまり精度はよくない場合が多いです。
オプティカルフローセンサー
主に下向きのカメラから、画像を解析して姿勢を制御し、風などによって流されないように一定位置にとどまります。応用として、真下に手などをかざして動かすと、付いてきたりします。
フォローミー
空撮ドローンで搭載しているものがあります。空撮カメラからの画像を解析して、特定の対象を追いかけます。
GPS
人工衛星から位置情報を受信して、同じ座標にとどまり続けたり、決められたルート通りに飛行したり、操縦者の手元に自動で戻ってきたりします。なお、電波を「受信」するだけなので、電波法には抵触しません。
11.操縦機関係
プロポ/トランスミッター
操縦機のことです。「プロポーショナル」の略です。和製英語のようで、英語で表現する場合は「Transmitter(トランスミッター)」と呼ぶのが普通です。電波を発信するものなので、日本国内で使用する場合には、技適認証のある製品を使用しなくてはいけません。
プロトコル
操縦機とドローン本体のレシーバーとでやりとりする電波の形式です。これが一致しないと、操縦できません。メジャーなところでは「Frsky」「Flysky」「DSMX」「S-FHSS」「Bayang」などがあります。ドローン側のレシーバーは、複数のプロトコルに対応しているものは極めてまれなので、ドローンのレシーバーのプロトコルに合わせた操縦機を用意するか、レシーバーそのものを操縦機に合わせて取り替えたり増設したりする必要があります。操縦機も、基本的に1つの操縦機で1つのプロトコルですが、一部の「マルチプロトコル」の操縦機は複数のプロトコルに対応します。または、それぞれのプロトコルに対応したモジュールを増設できる場合もあります。
なお、マルチプロトコルで技適を通っている操縦機は非常に少なく、代表的なものに「Jumper T8SG V2 Plus」があったんですが、すでに後継製品が発売されて終売状態です。しかも、後継製品は技適が通っていないため、残念ながら、現在マルチプロトコル操縦機の入手は極めて困難で、先行きも暗い状況にあります。
Frsky、Flysky、DSMX、S-FHSS、Bayang、など
上記の、プロトコルの種類です。ドローン本体のレシーバーと操縦機のプロトコルが一致しないと、操縦できません。「Frsky」「Flysky」は名称が似ていますが、まったく別物です。
一方、ドローン本体と操縦機がセットで販売されているものの中にはプロトコルが不明なものもあります。例えば、Eachine E011とJJRC H67はBayangプロトコルで操縦可能ですが、Eachine E010は、付属の操縦機以外だとJumper T8SG V2 Plusなどのマルチプロトコル操縦機の専用のプロトコルでないと操縦できず、さらにロットによっても違うようです。Eachine E013などのように、まったく不明で、付属の操縦機以外での操縦は不可能となっているものも多くあります。
バインド
操縦機とドローンのレシーバーとの通信を確立することです。プロトコルによって、またはレシーバーやドローンの種類によって、「両方の電源を入れた状態で所定のスティック操作を行う」「バインドボタンを押しながら通電させる」「通電させてからバインドボタンを長押しする」などなど、やり方が千差万別で、案外苦労させられるところです。一度バインドしてしまえば、二度目以降は自動で接続されるものも多いです。
12.アンテナ関係
主に、操縦機とゴーグル、それから比較的大型のドローンのVTXのアンテナについての用語です。
ダイバーシティ
複数のアンテナで電波を送受信して、それらを選択したり合成することで、感度を向上させる技術です。ドローンの場合、多くのゴーグルで採用しています。アンテナの角度を変えたり、感度や特製の異なる、形状の違ったアンテナを複数装備するのが一般的です。
TX/RX
「TX」は「Transmitter」の略で、送信を意味します。「RX」は「Receiver」の略で、受信を意味します。
クローバーリーフアンテナ/クローバーアンテナ
全方向に対して受信・送信感度の高い、オールマイティなアンテナです。欠点は、形状から、もろくてかさばること。
マッシュルームアンテナ/きのこアンテナ/パゴダアンテナ
マッシュルームアンテナは、クローバアンテナにカバーをかけて、強度を増したものです。パゴダアンテナは、形状を変えてクローバーアンテナと同様の特性を持ちながら、強度を増したものです。写真は、マッシュルームアンテナです。ゴーグルには、とりあえずこれを付けておけば安心。
パネルアンテナ/パッチアンテナ
指向性の強いアンテナです。ダイバーシティーゴーグルでは、全方向対応のマッシュルームアンテナと、前方対応のパネルアンテナを組み合わせるのが一般的です。
RHCP/LHCP
「RHCP」は「右旋偏波」、「LHCP」は「左旋偏波」と訳します。電波の波形(?)が右回りか左回りかということで、発信器と受信機の回転を合わせる必要があります。……と、杓子定規に書いてみたものの、初心者レベルではドローン側のVTXのアンテナの種類なんて気にすることはまず無いと思います。 キノコアンテナを積めるサイズの、高度なドローンを扱うようになってくると関係してくる要素です。
SMA/RP-SMA
アンテナのプラグ形状です。画像は、Banggoodの商品解説ページから持ってきたものですが、見た通りですね。ネジを挿す側か受ける側か、内部の端子が挿す側か受ける側か、の組み合わせで4種類あります。これが合わないと、当然、取り付けられないので要注意です。
例えば、マルチプロトコルプロポ「Jumper T8SG V2 Plus」の本体のプラグは「SMA Female」のため、アンテナを買い換える場合は(実際にポキッとやっちゃいまして、買い換えています)、アンテナのプラグは「SMA Male」じゃないといけません。
または、FPVゴーグル「Eachine EW30」の本体のアンテナプラグは「RP-SMA Female」なので、感度向上のためにもっといいアンテナを付けようと思ったときは、アンテナ側のプラグは「RP-SMA Male」の必要があります。
こんな感じで、アンテナのプラグは機器によってかなり違うので、要注意です。
dBi
アンテナの発信・受信強度を示します。が、指向性など、いろいろな要素も絡むので、非常に定義の複雑な数値です。目安程度に見ておくとよいでしょう。
13.ドローンの操縦と動き
Angle mode/Holizon mode/Acro mode/
ドローンの根本的な機体制御です。基本的に、自動の制御が多ければ多いほど、飛行は安定して簡単ですが、操縦の自由度は狭まります。例えば、高度維持機能などの付いた空撮用ドローンで、任意の軌道を描いて宙返りすることなどは不可能です。
Angle modeは、何も操作しなければ、自動で水平を維持します。めいっぱいレバーを倒しても、ドローンは傾くだけなので、特殊機能を使わない限り宙返りなどの機動はできません。その分、飛行は安定します。Eachine E010などの初心者向けのドローンは「Angle mode」のみです。空撮ドローンの場合は、さらにこれに高度維持機能やGPSなどの、各種センサーに基づく機体制御を備えている場合も多いです。
Holizon modeは、レバーを一定以上倒したときのみ、水平維持機能が解除されます。つまり、宙返りが可能になります。細かいことを言いだすと、かなりめんどくさいモードなんですが、宙返りのできるAngle modeという理解で、とりあえずはいいと思います。好みですが、操縦に慣れればあまり使いません。
Acro modeは、文字通り「アクロバット」な機動を可能にするモードで、水平維持機能を切ってしまいます。操縦難易度は一気に上昇し、Angle modeとはまったく異なる技量が要求されます。初見でまともに操縦できる人は、まずいません。例えば、前進しようとして何も考えずに前傾すると、水平維持機能が無い状態では、ドローンは地面へ向かってフルスピードでダイブします。シミュレーターである程度練習を積まないと、瞬時にドローンを壊して終わるでしょう。練習を積んでも、現実の重力と風や、モーター瞬発力の限界などの前に四苦八苦しますから。しかし、習熟すればするほど、まさに縦横無尽に飛び回ることが可能になるので、FPVドローンの真の醍醐味はこのAcro modeを極めることにあると言っても過言ではありません。
なお、「Air mode」という言葉も散見されます。この言葉は、Acro modeと同じ意味で使う場合と、後述のドローンの機動を性制御するBetaflightというソフトウェア上で、Acro mode中に機動がスムーズになるよう補助する機能を指す場合とがあります。
スロットル
ドローンの上下運動を指します。また、ドローンが傾いている場合には、推力にもなります。
ラダー/ヨー
ドローンの旋回です。ラダーともヨーとも言います。
ピッチ/エレベーター
ドローンの前後方向の傾きです。傾いた方に進みます。ピッチともエレベーターとも言います。言葉のイメージ的に「エレベーター」というと上下運動しそうな感じがしますが、上下運動は「スロットル」なので、注意。
ロール/エルロン
ドローンの左右方向の傾きです。ロールともエルロンとも言います。左右にスライド移動するほか、ロールと組み合わせることで、スムーズな旋回が可能になります。
モード1/モード2
操縦機のスティック操作の方法の違いです。日本で伝統的に使われてきたのは「モード1」で、世界的には「モード2」が一般的です。現在、ドローン本体や関係部品は、実質的に輸入品に頼ることになるため、今からはじめるなら「モード2」に慣れておいた方がいいと思います。なお、モード3、モード4なども存在しますが、使うことはまず無いでしょう。
アーム
飛行可能なスタンバイ状態にすることです。ものによっては、軽くプロペラが回転します。Eachine E010、Eachine E011、JJRC H67など、安価なドローンではこのプロセスが省かれているものも多くあります。
フリップ
宙返りのことです。
ジェロ
カメラ映像が、プロペラの振動によってゆらゆらと揺れることです。操縦するためのFPV画像なら酔う程度ですむんですが、撮影がメインのCine Whoopにとっては、いかにこれを少なくするかが常に悩みの種です。
デスロール
操縦不能になってきりもみ落下することです。悪夢。でもよくある。
トリム
ドローンのバランス調整です。無風の状態で何もしていないのに流される場合は、調整が必要です。
14.まとめ
大体こんなところでしょうか。ここまでやってくる中で、自分がつまずいたりややこしいと思ってメモしておいたこと、気に留めておいたことをざっとまとめてみました。これ以上の情報が必要になる頃には、きっとこういう用語集がなくてもいけるくらいのレベルになっていることとと思います。どうぞ、ご活用ください。
15.関連リンク
※ドローンに必要な資格や免許について知りたい人はこちら
今こそドローンをはじめよう! 日本でドローンを楽しむための資格は?免許は?
※ドローンの知識をじっくり学びたい人はこちら
「法令遵守でドローン」記事一覧