
ここ1年くらいの間に、低価格帯の中国タブレットでキーボードやマウス、タブレットケースなど、多数の周辺機器が付属する「セットモデル」をよく見かけるようになりました。これらの製品は概してスペックが低く、原神や鳴潮といったオープンワールド系の3Dゲーム (いわゆる「重いゲーム」)をプレイするには厳しく、動画視聴やニュースアプリの利用など、ライトユース向けと言えます。また、Googleドキュメントなどの事務系アプリはゲームアプリほどSoCに掛かる負荷が大きくはないので、低価格帯のタブレットであっても付属のキーボードやマウスなどを接続してちょっとした事務仕事に使うのには良さそうに思われます。
そもそも1万円台、2万円台で「タブレット本体、キーボード、マウス、ケース、ガラスフィルム、etc…」がセットになっている製品で「何でもできる!」と期待するほうが無理、というもので、特に「付属のキーボードってまともに使えるの?」という疑問をお持ちの人も少なくないと思います。
ということで、この記事では手持ちのキーボードと低価格帯タブレットに付属するキーボードを使い比べてみたいと思います。
使用したデバイス
Androidタブレット

LZF ZPad2
使用したタブレットはLZF ZPad2です。冒頭に書いた「セットモデル」で、キーボードやマウスなどが付属しています。
なお、この記事の趣旨とは直接関係がありませんが、念のために記載します。LZFのタブレット製品で「公称値よりもストレージ容量が小さい」という指摘が複数あり、現在LZFに調査を依頼しています。ウインタブがこれまでにレビューしたZPad2を含む2機種 (レビュー未公開品を含めると3機種)については、ツールを用いた検証によりストレージ容量に問題がないことを確認済みです。
キーボード

サードパーティ製の外付けキーボードとして使ったのはエレコムのPrecisionist miniです。テンキーレスの薄型・コンパクトなキーボードで実売価格が5,000円台後半なので、モバイル用途のキーボードとしては中価格帯くらいの製品です。

こちらは上にご紹介したLZF ZPad2に付属していたキーボードです。また、ZPad2と同様に低価格帯でキーボード等が付属するBlackview LINK 5のキーボードとほぼ同じ外観で、おそらく他社の同コンセプトのセット製品でも「実質的に同じキーボード」が付属しているものと思われます。なので、この記事の本題に適したキーボードだと思います。
検証前に

この検証では最初にエレコムのPrecisionist miniを、次いでZPad2に付属していたキーボードをそれぞれBluetooth接続しましたが、「その都度タブレットを初期化」しています。つまり
端末初期化→Precisionist接続・使用→端末初期化→ZPad2キーボード接続・使用
という流れにしています。検証中についあちこちの設定をいじってしまうこともあり、それが他のキーボードの操作に影響するのを防ぐためです。
サードパーティ製キーボード (Precisionist mini)

Precisionist miniを接続し、ZPad2の設定にある「物理キーボード」の項目を開いてみました。Precisionist miniは日本語配列のテンキーレスキーボード (90キー)ですが、キー数が異なる (テンキー付きを想定したものになっている)ものの、一切手を加えることなく「正しいキー配列」として認識されました。
次に、Google PlayにあるGoogleドキュメントアプリを使用し、500字ほどテキスト入力を試しました。
・かな/英数の切り替え:Windows PCと同様に、左上のE/J (全角/半角)キーで切り替えができました。
・キーボード最上段のキー:マルチメディアキー、輝度、音量などすべて正常に動作しました。
・ショートカット:Android OS用のショートカット (Windows+Sでスクリーンショットなど)も使えました。
・言語切り替え:後述します。
言語切り替えとかな/英数切り替え
なお、私も間違えて理解していたのですが、「日本語入力のオン/オフ (かな/英数切り替え)」と「言語の切り替え」、そして「IME切り替え」は実はそれぞれ別物です。
Windows PCで言う「半角/全角キーを押しての切り替え」は、IMEを切り替えているのではなく、同じIMEの中での「日本語入力のオン/オフ」です。また、よく言われる「IME切り替え」とは、Google日本語入力からATOKに変更するなど、入力システム (アプリ)そのものを変更することを指します。
一方、今回の「言語の切り替え」とは、使っているキーボードアプリ (Gboardなど)の中で「日本語モード」と「英語モード」を切り替えることを指します。
今回はAndroid端末で検証しているので話が分かりやすく、Precisionist miniのE/J (全角/半角)キーを押すことによって「日本語入力のオン/オフ」が切り替わり、「Ctrl+Space」キーで「Gboard内の言語 (日本語⇔英語)」が切り替わります。ただし、当然「言語を切り替える=キーボードアプリ側に複数の言語設定が必要」なので、Gboardに日本語しか登録されていない場合はCtrl+Spaceキーを押しても何も起きません。Gboardの設定で英語を追加すれば、Ctrl+Spaceで言語の切り替えができるようになります。
付属のキーボード

ZPad2に付属していたキーボードを本体に接続したところ、ご覧の通り、英語配列のキーボードであるにも関わらず、日本語配列のキーボードと認識されました。ひとまず、この状態でGoogleドキュメントアプリ上で文字入力をしてみました。
・かな/英数の切り替え:左上の「~ (チルダ)」キー (日本語キーボードの全角/半角キーの位置にあるキー)で切り替えができました。
・キーボード最上段のキー:マルチメディアキー、輝度、音量などすべて正常に動作しました。
・ショートカット:Android OS用のショートカット (Windows+Sでスクリーンショットなど)も使えました。
・言語切り替えとキー配列:後述します。
言語切り替えとキー配列
左上の「~」で日本語のオン/オフはできましたが、この際のキーボード配列は常に「日本語」です。このキーボードは英語配列なので、記号キーの位置が日本語配列と異なり、例えば「@」は「Shift+2」の位置に印字されていますが、この状態だと「Shift+2」を押しても「”」が入力されてしまいます。なので、 (あるあるですが)「あれ、@を出すのにはどこを押したら良いの?」と戸惑ってしまいます。
設定の「言語」に英語を追加すると、物理キーボードの項目に自動的に「English (英語キーボード)」が追加されます (画像左)。
この状態で文字入力をし、「Ctrl+Space」で言語の切り替えをすると、日本語入力時は日本語配列のキーボードに、英語入力時は英語配列のキーボードになります。つまり、日本語入力時に「Shift+2」を押すと「”」が入力され、英語入力時に「Shift+2」を押すと「@」が入力されます。
ここから先は趣味の問題かと思いますが、私の場合は「英語配列のキーボードであれば、日本語入力時も英語入力時も英語配列のままであって欲しい。言語の切り替えによって物理キーボードの配列まで変わってしまうのは困る」と感じます。
よって、画像左の「日本語 (12キー)」のところをタップして画像右の画面を出し、日本語入力時にも英語キーボードになるように設定します。これで言語の切り替えをしてもしなくてもキーボードの配列は変わりません (常に英語配列のまま)。
この点、個人的には「かなりトリッキー」だと感じます。「どうやっても日本語IME有効時にキーボードを英語配列にできない」という人もおられたんじゃないか、と思いますね。
ちなみに、Precisionist miniを接続し、英語の言語パックを追加した際の物理キーボードの設定がこちらです。Precisionist miniでは日本語であろうと英語であろうとキー配列は日本語のまま変わりません。つまり、私たちユーザーが面倒な設定をする必要がない、ということです。
使用感
Precisionist miniでの使用感は「Windows PCとほぼ同じ。Android OSのショートカットも使えるのでラッキー」という感じでした。もともとPrecisionist miniは少なくともボトムレンジのキーボードではないので打鍵感も悪くはなく、非常に快適に文字入力ができました。Precisionist miniだけでなく、同等以上の価格帯のキーボードであればAndroidタブレットでも問題なく、気持ちよく使えると思います。
一方、ZPad2の付属キーボードですが、こちらも決して悪くはありません。キーピッチが17mmと狭く (PCキーボードの標準的なキーピッチは約19mm)、当初少し使いにくいと感じましたが、17mmというのは「どうしようもなく狭い」わけではなく、割とすぐに慣れました。正直なところ、「ちょっと疲れやすい」とは感じましたが、普通に文字入力は可能でした。
ただし、打鍵感は「価格なり (オマケなり?)」です。私も含めウインタブ読者には、少しお金をかけて外付けキーボードを購入している人が少なくないと思いますが、そういう人には「がっかりの打鍵感」ではあります。薄っぺらくて安っぽいというのは間違いありません。とはいえ、キーストロークも思ったより深めですし、「キーボードの気持ちよさ」に特にこだわっていない人にはこれで十分かもしれません。「実用品」としては悪くないと思います。
まとめ
この記事では、LZF ZPad2の付属キーボードを検証してみました。「実用品」としては決して悪くない、というのが結論です。まあ、「キーボード沼」という言葉があるように、こだわりだしたら際限がないのがキーボードですし…。
ただし、中国メーカー各社が販売している「キーボードなどが付属する低価格帯タブレット」の場合、付属キーボードはほとんどが英語配列です。そして、記事中で触れた通り、Android端末で英語キーボードを使い、日本語入力と英語入力をスムーズに切り替えながら快適に使うためには結構な手間がかかります。PCやタブレット、スマホについてあまり詳しくない人なら「詰むかもしれない」ですね。
「日本向けには日本語キーボードを付属させて!」と言いたいところですが、世界中で日本語キーボードを使っているのは日本人だけだと思うので、低価格帯の中国タブにそれを望むのは無理というものでしょう。
この記事が少しでも読者の方々のお役に立てれば幸いです。
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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