
ASUS ExpertBook Ultra B9406CAAの実機レビューです。ExpertBookというのはASUSの法人向けPCブランドですが、ASUS Storeにて個人顧客も法人向けPCを購入できます。
これはExpertbookシリーズのラインナップです。レビュー機ExpertBook Ultra B9406CAAはシリーズのフラッグシップモデルという位置づけで、CPU性能、ディスプレイ品質、筐体のデザインや質感と、どこをとっても「法人向けだからスペックが低い・古い」「筐体が無骨」「ボリュームディスカウントなしでは割高」ということがありません。むしろ「個人ユーザーが自分のお金で買ってほしい」とすら思います。それほど出来のいい製品です。
なお、このレビューはASUS Japanよりレビュー機の貸し出しを受け実施しています。
・CPUにCore Ultraシリーズ3を搭載するCopilot+ PC
・堅牢で超軽量な筐体
・高精細で発色のよい有機ELディスプレイ
・ASUS独自のAI機能を多数搭載
ここはイマイチ
・特になし。強いて言えばさすがにちょっとお高い
目次
1. スペック
スペック表
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| OS | Windows 11 Pro |
| CPU | Intel Core Ultra 5 325/Core Ultra 7 356H Core Ultra X7 358H |
| RAM | 32GB/64GB (LPDDR5X、オンボード) |
| ストレージ | 512GB SSD (PCIe 4.0 ×4接続 NVMe/M.2) 1TB SSD (PCIe 5.0 ×4接続 NVMe/M.2) |
| ディスプレイ | 14インチTandem OLED (2,880×1,800) タッチ、120Hz 14インチOLED (2,880×1,800) タッチ、120 Hz ※Corning Gorilla Glass Victus |
| 無線通信 | Wi-Fi 7、Bluetooth 6.0 |
| ポート類 | USB Type-C (Thunderbolt 4)×2 USB 3.2 Gen 2 Type-A、HDMI オーディオジャック ※USB Type-A – LANアダプター付属 |
| Webカメラ | 207万画素 顔認証対応 |
| バッテリー | 70 Wh |
| サイズ | 310.9×212.8×10.9-16.4 mm |
| 重量 | ジェットフォグ:990 g~ モーングレー:1.1 kg |
バリエーションモデル
ジェットフォグ:
Core Ultra 5 325/32GB(LPDDR5X-7467)/512GB(PCIe 4.0)/OLED
Core Ultra 7 356H/32GB(LPDDR5X-8533)/1TB(PCIe 5.0)/OLED
モーングレー:
Core Ultra X7 358H/32GB(LPDDR5X-8533)/512GB(PCIe 4.0)/Tandem OLED
Core Ultra X7 358H/64GB(LPDDR5X-8533)/1TB(PCIe 5.0)/Tandem OLED
※左からCPU/RAM/SSD/ディスプレイ
レビュー機の構成は「モーングレー/1TB SSD」モデル (上記4モデルの一番下)です。
2. 外観と使用感
ケーブル/アダプター

ACアダプターはやや大きめのサイズでケーブル込みの実測重量は356 gでした。出力も90Wと大きく、搭載CPUのCore Ultra X7 358Hのターボパワー時の最大電力80Wに合わせた仕様と言えます。

ExpertBook Ultra B9406CAAはビジネスノートPCながら、本体には有線LANポートがありません。しかし、付属品の中にLAN – USB Type-Aのアダプターが入っていました。
天板と底面

天板です。筐体素材はマグネシウム・アルミニウム合金で、「ナノセラミックテクノロジー」が採用されています。…と書いてもよくわからないと思いますが、普通のアルミとは異なり、ちょっとざらついた感じの手触りで手によく馴染みます。いい意味で金属っぽくないですね。
この筐体はMIL規格 (MIL-STD-810H)準拠の堅牢性を備え、ナノセラミックテクノロジーにより表面の硬度は9Hと、傷がつきにくく非常に頑丈なものになっています。
レビュー機のディスプレイ面を持って筐体を持ち上げてみました。このようにディスプレイ面はたわみますが「無傷」です。
これはASUSのパートナー向けイベント「ASUS Summit 2026」での一場面です。キーボード面に1リットルの水をかけてもExpertBook Ultraは正常に動作しました。…これね、ASUSから「試していい」とは言われていたんですが、さすがにちょっと怖くてレビュー機では試せませんでした。
ASUS Summit 2026ではほかにExpertBook Ultraに100 kgの重りを載せた後でも正常に動作し、天板に傷がつかないことを実証していました。

底面です。中央に通気口があり、左右にスリット状のスピーカーグリルがあります。
側面

前面

背面
前面と背面です。こちらにはポート類やボタン類はありません。

左側面には画像左からUSB Type-C (Thunderbolt 4)、HDMI、USB 3.2 Gen 2 Type-A、イヤホンジャックがあります。

右側面です。USB 3.2 Gen 2 Type-AとUSB Type-C (Thunderbolt 4)があります。合計で4つあるUSBポートが左右にバランスよく振り分けられていますので、使い勝手はいいです。
ディスプレイ

ディスプレイはASUSが他社に先駆けてノートPCに積極的に導入を始めた有機ELパネルが使われており、解像度も2.8K (2,880×1,800)と高精細です。レビュー機の有機ELパネルは「タンデム有機EL (Tandem OLED)」というもので、メーカーによれば「有機ELパネルを2層重ねることで、ディスプレイ強度を高め、通常の有機ELディスプレイよりも約3倍の明るさ (1,400nits)を実現し、消費電力を大幅に削減できるビジネスに最適なディスプレイ」とのこと。また、リフレッシュレートも120 Hzと高速です。
発色は「素晴らしい」の一言です。手持ちのPCモニターと比較しても遜色はなく、むしろレビュー機のほうが鮮やかに感じられました。ただし、もともとASUS製品の有機ELパネルは非常に発色品質が高く、視力の悪い私には「ASUSの他の有機ELパネルとタンデム有機ELパネルの発色の差」はわかりませんでした。この記事では「とにかくキレイなんだよ!」としか言いようがないですw
設定アプリMyASUSには有機ELパネルの保護機能やSplendidという画質調整機能もあります。

ExpertLumi ライティング
すみません、写真撮影をしていないのですが、ディスプレイ下部に「ExpertLumi」というライトがついています。ExpertLumiはシステムの起動時に短時間点灯し「セレモニー性を演出する」ためのものですが、今後システムステータスを示すなどの機能拡充も予定されているとのことです。
キーボード

キーボードです。「84キー日本語キーボード (イルミネートキーボード) (JIS配列)」と開示されています。キーピッチは手採寸で約19 mm、キーストロークはノートPCとしては標準的な深さです。バックライトは明るさを4段階に調整可能です。
タイピング音は小さく、ほぼ静音と言っていい水準です。タイピングの感触もよく、長時間のテキスト入力でも疲れを感じません。
それと、タッチパッドがかなり大きく、パームレストとの境目のデザインが個性的ですよね。
このタッチパッドは「ハプティック (触覚フィードバック)」に対応しており、表面はガラスのように滑らかな質感です。また、スマートジェスチャーにも対応しており、音量調整や輝度調整、曲送りができます。
ヒンジ開口

薄型で超軽量なモバイルノートなので、ヒンジは水平位置 (180度)まで開口できるのか、と思いきや、この画像が最大開口角度です。ただ、開口角度は大きく、実用性には全く問題がありません。
スピーカー/マイク/カメラ
ExpertBook Ultra B9406CAAはキーボード面と底面に合計6つのスピーカーを搭載しています。Web会議はもちろん、音楽鑑賞や動画視聴でも臨場感のあるステレオサウンドを楽しむことができます。
ドルビーアトモスに対応しており、画像のようにイコライザーもついていますので、お好みに合わせた音質に調整することもできます。
Web会議ツールとして「AI ExpertMeet」というアプリが入っていました。議事録の作成や翻訳字幕、カメラの調整 (透かしを入れるなど)が可能ですが、高度な機能を使う場合は有料となります。
これはAI ExpertMeetのカメラ調整機能です。無料でも画面に透かしを入れたり、名刺の表示ができます。
これはWindowsの設定画面です。ExpertBook Ultra B9406CAAはCopilot+ PCのためWindowsスタジオエフェクトが使えます。おそらくAI ExpertMeetの有料プランを契約すればスタジオエフェクトを上回るカメラ調整機能が使えると思いますが、このままでもオートフレームやアイコンタクト、背景ぼかしの機能を使うことができます。

マイクはAIノイズキャンセリング機能が使え、周囲の雑音を消してくれます。最近の上位クラスのノートPCでは珍しくない機能ではありますが、拍手をしながら話したり、周囲で別な人の声が聞こえても、正確に話者の声だけを拾ってくれます。
3. 性能テスト
ベンチマークテスト
ベンチマークテストの実施にあたり、レビュー機を電源に接続し、Windowsの電源設定を「最適なパフォーマンス」に、設定アプリMyASUSのファンモードを「パフォーマンスモード」にしました。
表計算ソフトやビデオチャット、画像加工など、実際のビジネスシーンをシミュレートしたテスト、PCMarkのスコアです。ビジネス系のPCの性能測定で重視すべきベンチマークテストと言えます。ウインタブが最も重視しているテストです。
参考(過去データから一部抜粋):
Core Ultra X7 358H:9,813
Core Ultra 7 356H:9,283
Core Ultra 7 355:8,254
Core Ultra 9 185H:8,099
Ryzen AI 9 365:7,896
Ryzen AI 7 350:7,791
Ryzen AI 9 HX 370:7,511
Core Ultra 7 258V:7,527
Ryzen 7 8845HS:7,446
Ryzen 9 8945HS:7,110
Ryzen 9 PRO 6950H:6,987
Ryzen 7 8840U:6,949
Ryzen 7 PRO 6850H:6,858
Core Ultra 7 155H:6,849
Ryzen AI 5 340:6,767
Ryzen 5 8645HS:6,708
Core 7 150U:6,700
Core i9-13900H:6,542
Core Ultra 5 135H:6,485
Core Ultra 7 255U:6,404
Core Ultra 7 155U:6,392
Core Ultra 5 125U:6,376
Core i9-13900HK:6,344
Core Ultra 5 225U:6,334
Ryzen 5 7535U:6,021
外部GPUを搭載しないノートPCとしてはウインタブ初の1万点越えとなりました。レビュー機が搭載するCore Ultra X7 358HはCore Ultraシリーズ3 (Panther Lake)の中でも高性能なもので、CPU性能だけでなく内蔵GPUのIntel Arc B390も「GeForce RTX40シリーズ並み」という下馬評のあったほど高性能です。
PCMarkはどちらかというとCPU性能が重視されるテストですが、テスト項目の中に画像加工などグラフィック性能が要求されるものも含んでいますので、Intel Arc B390の実力がいかんなく発揮された結果がこのスコア、と言えるでしょう。
CPU性能を測定するCINEBENCHです。
CINEBENCH 2024の過去データ (一部抜粋):
Snapdragon X2 Elite Extreme X2E-94-100:147、1,622
Core Ultra 9 275HX:132、2,094
Core Ultra X7 358H:124、881
Core i7-14700:122、1,177
Core Ultra 7 258V:121、676
Core Ultra 7 356H:119、859
Core i9-13900HK:117、827
Core i9-13900H:117、687
Core i7-14650HX:115、1,244
Core Ultra 7 355:115、552
Ryzen AI 9 HX 375:114、1,144
Ryzen AI 7 350:114、878
Core Ultra 9 185H:111、910
Ryzen AI 9 HX 370:110、942
Ryzen AI 9 365:109、1,008
Snapdragon X Elite:108、1,038
Snapdragon X Plus X1P-42-100:108、754
Core Ultra 7 155H:105、964
Core Ultra 7 155U:101、533
Core Ultra 7 255U:101、516
Core Ultra 5 225U:98、482
Core Ultra 5 125U:95、533
Core Ultra 5 125H:95、516
※左からシングルコア、マルチコアのスコア
CINEBENCH 2026のスコア
Snapdragon X2 Elite Extreme X2E-94-100:618、6,689
Core Ultra X7 358H:512、3,548
Core Ultra 7 356H:491、3,456
Core Ultra 7 355:469、2,190
※左からシングルスレッド、マルチスレッドのスコア
シングルコア (シングルスレッド)、マルチコア (マルチスレッド)とも非常に高いスコアとなりました。先日、この製品と同型のCPUを搭載する製品をレビューしましたが、その時よりもマルチスレッドのスコアが顕著に伸びています。伸びた理由はおそらく「レビュー機のACアダプターの供給電力が90Wと大きいこと (以前レビューした製品は65Wでした)」ではないか、と推測します。

グラフィック性能を測定する3DMarkのスコアです。
参考(過去データから一部抜粋):
Core Ultra X7 358H:7,679、14,022、48,013
Core Ultra 7 258V:4,397、8,611、35,677
Core Ultra 9 185H:4,143、8,223、31,710
Core Ultra 7 155H:3,924、8,338、24,476
Ryzen AI 9 365:3,895、8,885、34,303
Ryzen AI 9 HX 370:3,800、8,026、31,138
Core Ultra 5 135H:3,454、7,235、24,791
Core Ultra 5 125H:3,392、7,301、23,168
Core Ultra 7 356H:3,384、6,302、29,775
Ryzen 7 8845HS:3,330、7,908、29,873
Ryzen 9 8945HS:3,282、7,893、31,591
Ryzen AI 7 350:3,268、6,991、28,542
Core Ultra 7 355:3,224、6,391、29,902
Ryzen 7 8840U:2,943、7,206、27,471
Ryzen 5 8645HS:2,437、6,253、24,401
Core Ultra 7 255U:2,430、4,916、20,096
Core Ultra 5 225U:2,372、4,897、20,396
Core Ultra 7 155U:2,319、5,162、19,024
Ryzen AI 5 340:2,123、5,159、22,941
Core Ultra 5 125U:2,081、4,826、19,421
Core 7 150U:1,512、4,138、14,563
Core i5-1334U:1,386、3,672、13,157
※左からTime Spy、Fire Strike、Night Raidのスコア
3DMarkも「とても外部GPUを搭載しないノートPCとは思えない」くらいのスコアです。もっとも「GeForce RTX40シリーズ並み」というには少々無理があり、ウインタブの過去データではRTX 4050搭載機でもTime Spyが1万点オーバーだったりします。しかし、このスコアであれば多くのPCゲームは動作すると思います (グラフィック設定を低くする必要があるゲームタイトルもあります)。
この製品はそもそも「法人向けのビジネスPC」なので、ここまでのスコアが出るのなら大満足、というところでしょう。ただ、その気になればゲームもできる、ということですw

SSDの読み書き速度を測定するCrystalDiskMarkのスコアです。レビュー機のSSDはPCIe 5.0規格で、非常に高いスコアが出ています。最近はビジネスPCでも上位クラスの製品にPCIe 5.0規格のSSDが搭載されるケースが増えてきましたが、仕事用ならこんなに速くなくてもいいのでは?という気はしますね。
バッテリー
Windowsの電源設定を「最適な電力効率」に、MyASUSのファンモードを「ウィスパーモード」に、ディスプレイ輝度を70%、音量を30%に、キーボードバックライトを「自動調整」にして下記の作業をしました。
画像加工ソフトGIMPで簡単な画像加工を約45分
ブラウザー上でテキスト入力を約15分
ブラウザー上でYouTubeの動画視聴を約35分
上記トータルで約95分使用し、その間のバッテリー消費は17%でした。単純計算で1時間あたり10.7%のバッテリー消費、バッテリー駆動時間は約9時間20分ほどとなります。
Core Ultra シリーズ3 (Panther Lake)となり、バッテリー持ちは非常に良くなりました。これでもCore Ultra 7 355など「Xがつかない」型番よりはバッテリー持ちが少々悪いのですが、これだけの性能のモバイルノートで9時間以上もバッテリーが持つ、というのは「少し前なら考えられなかった」水準です。
4. レビューまとめ
ASUS ExpertBook Ultra B9406CAAはASUS Storeで販売中 (一部モデルは予約販売中)で、6月17日現在の価格は299,800円からです。また、レビュー機は最上位モデルで価格は499,800円です。
最上位モデルに関してはさすがに「いいお値段」ではありますし、最低価格の299,800円というのも決して安価とは言えませんが、それでも私の評価は「買い」です。購入予算が確保できるのであれば、ぜひ購入していただきたいモバイルノートである、と評価します。
先日「ASUS ZenBook SORA 16」という製品をレビューさせてもらいましたが、その時から「最近のASUS製品はいつにも増して個性的、そして魅力的」と感じていて、今回ExpertBook Ultra B9406CAAをレビューしてみて、その印象がさらに強まりました。この製品は性能面、筐体品質面、デザイン面のどこをとっても非の打ちどころがありません (お世辞ではありません)。
5. 関連リンク
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
▶ サイト紹介・ウインタブについて















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