Windows 10 Mobile Creators Updateにアップグレードできる端末は限定される！今後の展開に不安も（かのあゆ）

こんにちは。かのあゆです。PC向けWindows 10 Creators Updateが４月11日よりWindows Update経由でも配信開始となりました。Windows 10のスマートフォン・小型タブレット向けエディションであるWindows 10 Mobileに関してもCreators Updateの配信が開始になる予定ですが、こちらはPC向けから遅れて4月25日より、準備できた端末から順次配信が開始される予定となっています。

ただし、Creators Updateを受け取れる端末はかなり限られたものになるかもしれません。

Lumia以外のSnapDragon 210/400系CPU搭載端末が打ち切りに

Microsoftでは、Windows 10 Mobile Creators Updateとそれ以降のInsider Previewビルドで正式にサポートする端末を発表しており、以下の11機種のみWindows 10 Mobile Creators Updateへアップグレード可能となります。

• HP Elite x3
• Microsoft Lumia 550
• Microsoft Lumia 640/640XL
• Microsoft Lumia 650
• Microsoft Lumia 950/950 XL
• Alcatel IDOL 4S
• Alcatel OneTouch Fierce XL
• SoftBank 503LV
• VAIO Phone Biz
• MouseComputer MADOSMA Q601
• Trinity NuAns NEO

日本で正式に販売されている端末としてはHPのElite x3、Lenovoの（Softbank）503LV、マウスのMADOSMA Q601、トリニティのNuAns NEO、VAIOのVAIO Phone Bizの5機種のみWindows 10 Mobile Creators Updateを受け取れることになっています。これらの機種はQualcomm SnapDragon 820やSnapDragon 617を搭載しています。

日本ではMADOSMA Q501に採用されているSnapDragon 410はもちろんのこと、Anniversary Updateまでは正式に対応していたローエンド向けCPUでFREETEL KATANA01/02やドスパラのDG-W10M、GeaneeのWPJ-40-10と搭載端末が充実していたSnapDragon 210のサポートも打ち切られたことになります。

ただし、Windows 10 Mobile Creators Updateで完全にこれらのCPUのサポートが打ち切りになったわけではなく、Microsoftが自ら販売するLumia 550、Lumia 640/640XL、Lumia 650はSnapDragon 210/212やSnapDragon 400を搭載していますがアップグレード対象に入っています。

このリストに入っていない端末でもWindows InsiderでWindows 10 Mobile Creators Updateの正式ビルドである15063に更新できているというユーザーもいるようです。これらの端末は自己責任という形で使い続けることはできますが、今後Insider Previewで提供される最新ビルドには更新できないということになります。

またWindows Device Recovery Toolsで元のファームウェアに戻した場合、二度とビルド15063環境には戻せなくなります。

今回Lumia以外のSnapDragon 400系/210系CPUを搭載した端末のサポートを打ち切ったのは「これらのCPUを搭載した端末で最適なユーザー体験を提供できないことが分かったため」とのことなので、今回リストに入っていない端末がアップグレード対象に追加される可能性は残念ながら極めて少ないかと思われます。

実際SnapDragon 210搭載機の場合Annviersary Update適用後パフォーマンスが低下した端末も存在するようなのでこの点に関してはやむを得ない事情もあるのかもしれません。

アップグレード対象から外れた端末はWindows 10 Mobile Creators Update以降の大型アップデートを受け取ることができません。しかし、Windows 10 Mobile Anniversary Updateのサポート期間が2018年10月9日までとなっているため、サポート終了まではOSの脆弱性などを修正したセキュリティアップデート自体は提供されます。

Windows 10 Mobileの各バージョンのサポート期間は以下のサイトから確認可能です。

製品のライフサイクルの検索 Windows 10 Mobile : Microsoft サポート

繰り返しになりますが、アップグレード対象から外れた端末に関してもセキュリティ更新に関しては2018年10月までは受け取ることができるため、OSのサポート終了まではセキュリティ面では安心して使うことができます。

今後の予定が不透明に

日本で積極的に採用されていたSnapDragon 600系もすでにQualcommとMicrosoftの方針転換によりサポートを打ち切られており、SnapDragon 625や650を搭載したWindows 10 Mobile端末を開発することは不可能となってしまっています。

そのためトリニティのNuAns NEO、VAIOのVAIO Phone Bizはそれぞれ新機種の開発をより一般的でシェアが高いAndroidに移行してしまっており、MADOSMAシリーズを展開するマウスも今後新規にWindows 10 Mobile搭載端末を開発するのか不透明になってきています。

Microsoft自身も2015年12月に発売した「Lumia 950/950 XL」を最後に自社ブランドのスマートフォンを一切投入していないこともあり、今後Windows 10 Mobileは企業向けの端末に搭載されて一般ユーザー向けの販売から手を引く可能性や今後リリースされるARM版Windows 10に統合される可能性もありえなくはない状況になってしまっています。

SnapDragon 820や835を搭載したWindows 10 Mobile端末が一般ユーザー向け製品として日本で売れるかといえば正直微妙なところですし、ミッドレンジ向けCPUやローエンド向けCPUのサポートが打ち切りになったことにより、新規端末の開発も難しいといえる状況です。

2015年にWindows 10 Mobile端末が販売開始になった際は日本でも多数搭載端末が登場し、かつて端末が一切販売されていなかった時代から状況が大きく変わりましたが、この状況だと再びWindows 10 Mobile端末不在という状況に戻ってしまいそうで非常に心配しています…

関連リンク

Announcing Windows 10 Insider Preview Build 16176 for PC + Build 15204 for Mobile : Microsoft
Creators Updateに対応しないWindows 10 Mobileスマホはあるのか : ITmedia