こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。2016年3月版のWindows タブレット機種比較特集、今回は少し脱線してクラムシェルのノートPCについて比較してみます。脱線ではありますが、価格帯がWindows タブレットと競合する水準の「クラウドブック」に絞っています。また、ディスプレイサイズは「11.6インチ縛り」としました。「クラウドブック」の定義は決して明確ではないし、メーカーがそう明言しているわけでもありませんが、この記事ではクラウドブックを「気軽に使える低価格で、Webサービスやクラウドストレージの活用を前提とした、RAMとストレージがミニマムな製品」と考えました。
価格帯が近いので、「タブレットにしようか、ノートPCにしようか」と悩む人も多いと思いますが、両者は全然異なる特性を持っています。キーボードが着脱できる、ということのほか「タッチ操作ができるかどうか」というのも大きな相違点です。このクラスのノートPCはディスプレイがタッチパネルではありません。サイズが小さく、価格も安いですが、あくまでもトラディショナルなノートPC、ということになります。
これらタブレットにはあってクラウドブックにはない機能を「ないと困る」と考えるか「もともと必要ないので、その分割安な方がいい」と考えるかは人それぞれです。ちなみに私はどっちも好きです。
目次
1.対象機種
ASUS Vivobook E200HA
OS: Windows 10 Home 64ビット
CPU: Intel Atom X5-Z8300
RAM: 2GB
ストレージ: 32GB
ディスプレイ: 11.6インチ(1,366 × 768)
ネットワーク: 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.1
カメラ: 30万画素ウェブカメラ
入出力: USB 3.0、USB 2.0、microHDMI、microSD
バッテリー稼働時間: 12時間
サイズ: 286 × 193.3 × 17.5 mm / 980 g
価格: 37,584円(2016年3月5日現在の直販サイト価格)
※KINGSOFT Office 2013 Standard付属
紹介記事:ASUS Vivobook E200HA - EeeBookがCherryTrailを搭載してリニューアル!
直販サイト製品ページ:VivoBook E200HA
この製品はもともとEeeBookという名称で販売されていたのですが、つい最近CPUをCherryTrail世代のAtomに換装しVivoBookとしてリニューアルされました。クラウドブックの多くはCPUにCeleronを搭載していることが多いのですが、この製品はあえてタブレットと同じようにAtomを搭載しているのが特徴です(ただし、Celeronより高性能とは言い切れません)。
他のクラウドブック同様、RAMが2GB、ストレージが32GBとミニマムな性能ではありますが、それが悪いと言ってしまってはクラウドブックの存在を否定することになってしまいますね。
この製品のセールスポイントはなんといっても重量が1 kgを切っていることで、これは競合製品のどれもが達成できていません。Atomの恩恵でしょうかね?
DELL Inspiron 11 3000
OS: Windows 10 Home 64ビット
CPU: Intel Celeron N3050 / Pentium N3700
RAM: 2GB / 4GB
ストレージ: 32GB eMMC / 128GB SSD
ディスプレイ: 11.6インチ(1,366 × 768)
ネットワーク: 802.11ac対応、Bluetooth
カメラ: Webカメラ
入出力: USB 2.0、USB 3.0、HDMI、microSDスロット、オーディオ、電源
バッテリー稼働時間: 10.25時間
サイズ: 292 × 196 × 18.45~19.88 mm / 重量1.18~1.22 kg
価格: 37,778円(2016年3月5日現在の直販サイト価格)
紹介記事:DELL Inspiron 11 3000 - 注目の11.6インチ、デル製クラウドブックが日本でも発売!
直販サイト製品ページ:New Inspiron 11 3000シリーズノートパソコン(2016/2/9発売)
DELLの最新クラウドブックです。もともとInspiron 11という製品はエントリー~ミドルレンジの2 in 1でしたが、リニューアルによってクラウドブックとなりました。バリエーションが2つあり、下位モデルの方は典型的なクラウドブックなのですが、上位モデルの方は断然高性能(CPUがPentium、RAM4GB、ストレージ128GB)なので、もはやクラウドブックとはいえませんね。ちなみに上位モデルの価格は53,784円です。この価格もクラウドブックじゃないです。
CPUにはCeleron N3050を搭載しています。N3050の性能については後述しますが、RAM、ストレージ容量と合わせて「ごく普通」のクラウドブックといえます。また、この製品は非常に厳しい信頼性テストに合格しており、製品の耐久性や堅牢性といった部分では高く評価できます。
HP Stream 11-r000
OS: Windows 10 Home 64ビット
CPU: Intel Celeron N2840
RAM: 2GB
ストレージ: 32GB
ディスプレイ: 11.6インチ(1,366 × 768)
ネットワーク: 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0
カメラ: 92万画素Webカメラ
入出力: USB 2.0、USB 3.0、HDMI、microSDスロット、オーディオ、電源
バッテリー稼働時間: 10.5時間
サイズ: 300 × 206 × 18.4 mm / 重量1.18 kg
価格: 29,916円(2016年3月5日現在の直販サイト価格)
紹介記事:HP Stream 11-r000 シリーズ - 日本での販売も開始!11.6インチのクラウド・ノートPC
直販サイト製品ページ:HP Stream 11-r000
個人的には最もクラウドブックらしい製品がこれだと思っています。スペックはまさにクラウドブックで特筆すべきところはありませんが、筐体のカラー(鮮やかなブルー)といい、いい意味でプラスティッキーな素材といい、使っていて楽しくなるような製品です。
また、対象機種中唯一3万円を切る低価格、というのも魅力です。楽しいデザインに低価格ということで、個人的には「クラウドブックのお手本」という感じがします。
マウス LuvBook C
OS: Windows 10 Home 64ビット
CPU: Celeron N3150
RAM: 2GB / 4GB / 8GB
ストレージ: 32GB SSD / 500GB HDD / 1TB HDD / 120GB SSD
ディスプレイ: 11.6インチ(1,366 × 768)
ネットワーク: 802.11 b/g/n、Bluetooth 4.0
カメラ: 100万画素Webカメラ
入出力: USB 2.0 × 2、USB 3.0、HDMI、D-sub、SDスロット、オーディオ
バッテリー稼働時間: 6.1時間
サイズ: 292.4 × 210.5 × 22.7 mm / 重量1.3 kg
価格: 37,584円(2016年3月5日現在の直販サイト価格)
紹介記事:マウスコンピューター LuvBook C - 基本に忠実な11.6インチモバイルノートPC
直販サイト製品ページ:LuvBook C シリーズ
この製品は他の対象機種と少し異なっています。CPUはCeleron N3150とワンランク上で、私はこのCPUを搭載した製品を試用したことがありますが、CherryTrail世代のAtomよりも高性能、という印象を持ちました。ベースとなるモデルはRAM2GB、ストレージ32GBですが(だから対象機種に含めています)、RAMとストレージはカスタマイズが可能で、RAMは最大8GB、ストレージは最大1TBのHDDもしくは120GBのSSDに換装することができます。
また、入出力ポートの種類と数も群を抜いていて、D-subまで装備されています。ビジネス利用にも十分に耐えられる構成だといえますね。
2.性能で選ぶ
今回の対象機種は複数のバリエーションが存在するモデルもあり、それらの上位モデルまで含めて比較してしまうともはやクラウドブックの機種比較にならなくなってしまうので、ベースとなる最下位構成のものを使います。ただし、最下位構成となるとRAMは2GB、ストレージは32GB、ディスプレイは1,366 × 768でワンメイク状態になってしまうので、性能比較ができるのはCPUとWi-Fi、そしてバッテリーくらいかな、と思います。
まずCPUではLuvBook Cが最も高性能です。でも「体感的にどのくらいの差なのか」というのは記事として書くのが難しいので、Passmarkが公開しているベンチマークスコアを掲載します。
LuvBook(N3150):1,614
VivoBook(Atom Z8300):1,229
Stream(N2840):1,051
Inspiron(N3050):918
このうち、私が使ったことがあるのはN3150とN2840、そしてAtom Z8300ですが、これらのCPUの体感差というのはあまり感じられませんでした。Webブラウジングや動画視聴、簡単な画像加工、Microsoftストアアプリなどを使う分にはどれも快適です。Microsoft Officeも、例えばExcelで複雑なマクロや大容量のデータを処理するのでなければ全く問題なく使えます。
一方で、オンラインゲームのようにPCの性能を要求するものだと、対象機種のどれもあまり快適には使えません。そういうことで、これらのCPUの性能差は「普段使いならどれでも大丈夫、でも重いソフトウェアはどれでも厳しい」みたいな話になってしまいます。もちろん、アプリの起動などの「サクサク感」は微妙に異なると思いますし、「ちりも積もれば山」という言葉もありますから、上位のCPUを選ぶ意味はあると思います。
次にWi-Fiを見てみましょう。私もびっくりしたのですが、LuvBook以外は全部802.11ac規格に対応しています。低価格なジャンルであるにもかかわらず、これって素晴らしいです。自宅で使っているWi-Fiルーターが対応しているのであれば、LuvBook以外の製品は満足の行く通信環境を作ることができると思います。
最後にバッテリー稼働時間の公称値を比較してみます。
VivoBook(Atom Z8300):12時間
Stream(N2840):10.5時間
Inspiron(N3050):10.25時間
LuvBook(N3150):6.1時間
バッテリーの稼働時間はバッテリーの容量によりますが、搭載しているCPUも関係するでしょう。やはりAtom機であるVivoBookが好成績となっています。VivoBookは重量も1 kg切り(重量はバッテリーのサイズに左右されます)であるにもかかわらず、素晴らしいです。しかし、StreamとInspironも10時間越えなので、決して悪くはないですね。LuvBookはCPUが高性能なせいか、ちょっと厳しい結果になっています。
3.筐体で選ぶ
筐体のデキ、ということならどれを選んでも問題はないです。クラウドブックというのは安っぽさを逆手に取った元気のいいカラーリングやデザイン、というのが魅力だと思っていますが、その意味ではStreamのブルーとInspironのレッドやホワイトが印象的です。私はStreamは試用したことがあるのでわかりますが、Streamの素材感は「楽しくなる」ようなものでした。
ちょっと性質が異なるのはLuvBookです。この製品は他の対象機種のようにポップな感じは全然なく、むしろビジネスマシンとしてカチッと作りこまれています。個人的にはクラウドブックの楽しいデザインも大好きですがLuvBookのようにシンプルでプレーンなデザインにも好感を持っています。ビジネスに使うのであればLuvBookでしょうね。入出力ポートが非常に充実しているというのもビジネス向けです。
最後にVivoBookです。StreamとかInspironと比較すると「楽しさが中途半端」に感じられますが、キーボードの作りこみもしっかりしていますし、タッチパッドも大型で使い勝手のいいものになっています。また、何度も書いていますが重量が1 kg切り、というのは特筆すべき軽さだといえるでしょう。他の対象機種が1.2 kg程度であることから考えても非常に立派ですし、ありがたいです。
4.価格で選ぶ
最下位構成で単純比較してみましょう。
Inspiron:37,778円
LuvBook:37,584円
VivoBook:37,584円
Stream:29,916円
ほぼ37,000円台で横並びの中、Streamが群を抜く安さになっています。これは評価していいでしょう。お手軽スペックのクラウドブックにあって、価格が安いというのは非常に大きなメリットです。それ以外の対象機種については価格差が購入の決め手にならない、ということだけはわかりますねw
5.まとめ
クラウドブックというジャンルは「気軽に使える」というところが大きいと思います。例えばセカンドマシンとして、あるいは子供さん用に、という用途にぴったりです。今回、代表的なクラウドブックを比較してみましたが、実際に購入する人の利用目的によって評価が大きく変わってくると思います。
仕事用に使うのであればLuvBookでしょうね。クラウドブックとして最下位構成を選んでも十分仕事用に使えそうですし、予算やニーズに応じてRAMやストレージが増強できるのもビジネスマシンとしてはありがたいです。もうセカンドマシン、という感じではありません。
一方セカンドマシンとか子供用、ということならStreamを推したいです。一番大きいのは価格ですが、とにかく筐体が抜群に「楽しい仕上がり」になっています。この製品を使っているとみんな笑顔になれると思いますよ!
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