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Beelink SER3 3200Uの実機レビュー - Ryzen 3 3200U搭載のミニPC、性能、コスパとも良好です

Beelink SER3 3200U
BeelinkのミニPC「SER3 3200U」の実機レビューです。Beelink製品は直近で「SER4」「SEi8」を実機レビューしていますが、このSER3はSER4とよく似た外観で、システムスペックがSER4よりも低くなっています。そのぶん購入しやすい価格なので、比較的ライトな用途、例えばOfficeソフトを使っての資料作成や動画視聴、Webブラウジング、SNSなどをメインに使いたい人に向きます。

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なお、レビュー機はBeelinkにサンプル提供していただきました。この場にて御礼申し上げます。ありがとうございました。

ここがおすすめ
・CPUのRyzen 3 3200Uは最新のCeleron Nシリーズよりも高性能
・RAM/SSDとも有名ブランドのものを使用し、高速
・RAMとSSDへのアクセスが容易
・筐体にしっかり感があり、デザインもカッコいい
ここはイマイチ
・Jasper Lake搭載の中華ミニPCよりは高めの価格(ただし、コスパは高いと評価)
販売サイトはこちら
SER3 3200U:Beelink公式サイト
Beelink SER3(8GB/256GB):Banggood
Beelink SER3(16GB/500GB):Banggood

1.Beelink SER3 3200U スペック

スペック表

  Beelink SER3 3200U
OS Windows 11 Pro
CPU AMD Ryzen3 3200U
外部GPU なし
RAM 8GB/16GB(最大32GB)
ストレージ 256GB/500GB M.2 NVMe SSD
2.5インチSATA・HDDスロット空き×1
光学ドライブ なし
ディスプレイ なし
ネットワーク 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetoosh 4.0
入出力 USB Type-C(データのみ)、USB 3.0 × 4、HDMI × 2、オーディオジャック、LAN(RJ45)
カメラ なし
バッテリー なし
サイズ 126 x 113 x 40 mm
重量 295 g

バリエーションモデル

・RAM8GB/256GB SSD
・RAM16GB/500GB SSD

コメント

実機を確認したところ、OSはWindows 11 Proでした。CPUはRyzen 3 3200Uで、先にレビューをしたSER4のRyzen 7 4800Uよりも世代が古く、かつグレードも下で、Passmarkが公表しているベンチマークスコアは3,885と、Jasper Lake世代のCeleron N5100(ノートPC用、スコア3,183)よりは高いものの、やはりJasper Lake世代のCeleron N5095(デスクトップPC用、スコア4,010)とは「いい勝負」くらいの性能です。

RAMは8GB/16GBを選べ、2スロットありますのでDIYで最大32GBまで搭載可能です。ストレージはRAM8GBを選択する場合は256GB、RAM16GBを選択する場合は500GBとなりますが、レビュー機の構成はRAM16GB/512GB SSDでした。また、レビュー機に使われていたのは「SSDがKingston製、RAMがCrucial製」でした。

また、ストレージに関しては筐体内部に2.5インチのHDDスロットがあり、増設が可能です(おそらくHDD/SSDとも搭載可能だと思いますが、他社製品でHDDのみ対応、SSD非対応というケースがありましたので、この記事では「HDDスロット」と表記しています)。

通信まわりではWi-Fi6には対応しません。SER4はWi-Fi6対応でしたが、SER3はこのあたりにコストダウンの影響が見られます。また、入出力ポートでもUSB Type-Cポートが映像出力には対応しません(SER4は映像出力対応)。

サイズは…、というか筐体はSER4にそっくりで、ほぼ同寸です。まあ、ミニPCの場合、サイズが若干大きいとか小さいとかは使用感にはあまり影響しないです。

2.Beelink SER3 3200U 筐体

Beelink SER3 3200U 同梱物
同梱物です。SER4とほとんど同じ内容です。HDMI-HDMIのケーブルが2本あり、うち1本はケーブルの長さがかなり短く、ディスプレイの背面に設置する場合に使うという用途に限定されそうです。ACアダプターは出力57Wで重量の実測値は220 gでした。また、画像下にあるのはディスプレイの背面に取り付けるためのブラケットです。

また、この画像にはありませんが、ネジ類(筐体開口用の予備ネジなど)がいくつか入っていました。

Beelink SER3 3200U 取扱説明書
取扱説明書には日本語の表記もあり、必要最低限(しかし十分)な説明になっていました。

Beelink SER3 3200U 上面
上面です。大部分がメッシュになっていて通気性も十分と思われます。SER3は見た目がSER4にそっくりですが、筐体素材はSER4(金属製)とは異なり、樹脂製です。ただし筐体の質感は決して悪くはなく、華奢な印象もありません。

Beelink SER3 3200U 前面
前面です。左端の小さな穴は「CLR CMOS(リセットボタン)」です。中央にはUSB 3.0 Type-Aが2つにUSB Type-C、その横にイヤホンジャック、右端が電源ボタンがあります。ここも見た目はSER4と同じですが、SER4と異なり、USB Type-Cポートは映像出力には対応しません。

Beelink SER3 3200U 背面
背面です。画像左から有線LAN、USB 3.0 Type-A × 2、HDMI × 2、DC-INジャックです。USB Type-Aポートは割と接近した位置にありますので、接続する端子部分の形状によって干渉してしまう可能性があります(一般的な端子形状の周辺機器であれば特に問題はないと思います。私の手持ちの周辺機器は問題なく接続できました)。

Beelink SER3 3200U 側面
側面です。左右全く同じ形状なので、片側のみ掲載します。側面にはボタン類はなく、通気口があるのみです。SER4では通気口部分が赤く塗られていましたが、このSER3ではおとなしめに筐体と同色のブラックになっています。

Beelink SER3 3200U 下面
底面です。BIOS(UEFI)のアクセス方法などが書かれていますが、もちろんこの面にポートやボタンはありません。ただし、左右のゴム足のところに開口用のネジが4つあります。

Beelink SER3 3200U 開口
開口してみました。精密ドライバー1本で容易に開口できます。「精密」でなくとも、小さめのプラスドライバーがあれば大丈夫だと思います。画像右のフタの部分(こちらが底面になります)に2.5インチのドライブベイがあります。今回のレビューではSSDやHDDを接続していませんが、配線も完備されているようなので、装着は容易だと思います。

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本体部分には、画像左側にRAMスロット、右側にM.2 スロットがあります。

Beelink SER3 3200U RAMスロット
RAMスロットは2つ、SODIMM DDR4-2400という規格のRAMが対応します。レビュー機はRAM16GBという構成で、Crucial製の16GBが一枚装着されていました。より高いパフォーマンスを狙うのであれば8GB × 2という構成のほうが良かったのですが、「増設ありき」で購入する場合は16GB × 1のほうが望ましいですよね。このあたりは人それぞれの評価になると思います。

Beelink SER3 3200U M.2 スロット
SSDはM.2 NVMe 2280という規格です。レビュー機にはKingston製のものが装着されていました。

Beelink SER3 3200U Wi-Fi
SSDを外すとWi-Fiモジュールが出てきます。レビュー機にはIntel Intel 3165NGWが装着されていました。ac規格まで対応します。ちなみにこのモジュールには技適マークがついています。

Beelink SER3 3200U 内部
今回はこれ以上の開口はしておりません。この画像はメーカーサイトにあったものですが、マザーボードを取り外すとCPUにアクセスでき、冷却ファンも確認できると思います。ただし、構造上、ここまでの開口は難易度がかなり高くなってしまいます。

一通り筐体を確認してみました。少なくともRAMやSSDにアクセスするための開口は容易で、普通に使うぶんにはメンテナンス性が高いと思います。この構造であればPCにあまり詳しくない人でも容易にDIY作業が可能でしょう。また、Beelink製品はRAMやSSDにノーブランド(あるいは聞いたこともないようなブランド)品を使っておらず、パーツコストを惜しんでいる印象もありません。

筐体のデザインは好みにもよると思いますが、個人的にはとてもカッコいいと思います。また、SER4とは異なり、筐体の大部分は樹脂製ですが、質感も十分だと感じました。

3.Beelink SER3 3200U システム

Beelink SER3 3200U システム情報

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Beelink SER3 3200U ストレージ情報

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システム情報です。スペック表と同じく、CPUはRyzen 3 3200U、RAMは16GBですが、すでにご説明した通り、SSDはスペック表の500GBではなく512GBでした。国内メーカーのPCに見られるような設定系や音響系の独自アプリはなく、ほぼ「素のWindows」という状態でした。

Beelink SER3 3200U UEFI

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UEFI(BIOS)画面です。American Megatrends製で、調整項目は多めですが、TDPの変更などはできず、機能としては標準的なものでした。

4.Beelink SER3 3200U 性能テスト

ベンチマークテスト

Beelink SER3 3200U PC Mark

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表計算ソフトやビデオチャット、画像加工など、実際のビジネスシーンをシミュレートしたテスト、PC Markのスコアです。テレワークなどのお仕事用とか学習用としてこの製品の購入を考える場合、最も参考になるテストだと思います。

ウインタブで最近レビューしたPC(Core i5やRyzen 5以下のCPUを搭載しているもの)のスコアはこんな感じです。

Lenovo ThinkPad E15 Gen 3(Ryzen 5 5500U):4,638
MSI Summit E13 Flip Evo(Core i5-1135G7):4,572
HP ProBook 430 G8(Core i5-1135G7):4,131
VAIO SX12(Core i3-1005G1):3,401
MSI Modern 15 A10M(Core i3-10110U):3,234
TRIGKEY Green G2(Celeron N5095):2,268
BMAX Y11(Celeron N5100):1,628

スペック説明のところで、「Jasper LakeのCeleron N5095といい勝負くらいの性能」と書きましたが、PC MarkのスコアはJasper LakeのCeleronよりもずっと上でした。ただし、第10世代のCore i3とほぼ互角くらいなので、そこまで高い性能とはいえません。まあ、エクセルとかパワポの資料を作ったり、Zoomミーティングをしたりといった用途では全く問題ないと思います。

Beelink SER3 3200U 3D Mark
次にグラフィック性能を測定する3D Markのスコアです。

VAIO SX12(Core i3-1005G1):463、1,407、3,315
MSI Modern 15 A10M(Core i3-10110U):364、879、2,177
※左からTime Spy、Fire Strike、Wild Lifeのスコア

SER3のスコアは第10世代のCore i3と同程度で、Ice Lake(Core i3-1005G1)よりは低く、Comet Lake(Core i3-10110U)よりは高いくらいでした。また、Celeron N5095搭載のTRIGKEY Green G2では「参考程度」の意味合いでTime Spyのみ計測しており、199という非常に低いスコアになっていましたので、グラフィック性能に関してもJasper LakeのCeleronよりは数段上と言えそうです。

Beelink SER3 3200U CINEBENCH R23
CPU性能のみを測定するCONEBENCH R23のスコアです。ここでもCore i3機、Jasper Lake機と比較してみましょう。

VAIO SX12(Core i3-1005G1):1,050、2,248
MSI Modern 15 A10M(Core i3-10110U):1,018、2,460
TRIGKEY Green G2(Celeron N5095):617、2,181
※左からシングルコア、マルチコア

CPUの「素の性能」を測定するテストですが、ここでは第10世代のCore i3よりも若干低めのスコアとなりました。また、これを見るとJasper LakeのCeleron N5095が健闘していることもわかります。

PC Markや3D MarkのスコアにはRAMやSSDの速度も影響しているものと思われますが、SER3はRAM容量が16GBと大きく、SSDもNVMeなので、「CPUだけでない、パソコンとしてのトータルの性能」がTRIGKEYやBMAXよりも上、ということが言えるのでしょう。ちなみにTRIGKEY Green G2のレビュー機はRAMが8GBでSSDはSATAでした。

Beelink SER3 3200U Crystal Disk Mark
ラストはSSDの読み書き速度を測定するCrystal Disk Markのスコアです。PCIe-NVMe SSDとしてはそれほど高速なほうではありませんが、それでもSATAよりは圧倒的に速いです。ベンチマークテストの結果がCeleron機よりも良好だったのは、このあたりの要因も大きいと思います。

発熱とファン音

発熱に関しては高評価できます。お仕事でOffice系のソフトを使ったり、動画を視聴したりといった用途では発熱を気にする必要はありません。3D Markのテストを連続して回したりといった、高負荷なことをすると通気口からやや熱い排気を感じましたが、異常性はない、というか「いやこれ普通でしょ」くらいの印象です。

SER4のレビューでは「ファン音が少々耳障り」と評価しましたが、SER3ではそれも気になりませんでした。もちろんファン音はしますが、静かですし、使っていて耳障りとは感じませんでした。ファンについてはSER4よりもSER3のほうが快適でしたね。

5.Beelink SER3 3200U レビューまとめ

Beelink SER3 3200UはBeelink公式サイトで販売中で、5月7日現在の価格は8GB/256GB版が319ドル、16GB/500GB版が369ドルです。また、Banggoodでも販売中で、5月7日現在、8GB/256GB版が339.99ドル(44,689円)、16GB/500GB版が389.99ドル(51,261円)でした。この価格は先にレビューしたSER4(5月7日現在、Beelink公式サイトで16GB/500GB版が599ドル)よりもずっと安価です。

この製品の購入にあたっては、Jasper LakeのCeleron搭載のミニPCが比較対象になると思いますが、中華のCeleron機よりは数10ドル~100ドルほど高価ではあります。ただし、そもそも(Passmarkスコアがどうであれ)Ryzen 3 3200Uは最新のCeleron Nシリーズよりは高性能ですし、RAMやSSDの品質(規格)が高いこともあって、お仕事用のPCとしてはCeleron機よりも快適に使えると思います。また、筐体の質感やメンテナンス性も良好です。個人的にはCeleron機から購入予算を多少上乗せする価値は十分すぎるくらいにあります。

6.関連リンク

SER3 3200U:Beelink公式サイト
Beelink SER3(8GB/256GB):Banggood
Beelink SER3(16GB/500GB):Banggood

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