こんにちは、natsukiです。法令遵守でドローンを楽しみたい連載の今回は、電池についての知識をまとめてみます。FPVドローンを飛ばす場合、バッテリーは非常に重要な要素です。まず、バッテリーの性能、特に「セル数」は、そのままドローンの「できること」の枠を作ります。当然、高度なバッテリーを使うドローンほど、高度な機能を実現できる。ところが、セル数の多いバッテリーは充電が難しく、よく分からずにそういうバッテリーを必要とするドローンを買ってしまうと、本体はあるのにバッテリーを充電できずに飛ばせない、という悲惨なことにもなりかねません。
または、バッテリーは別売というドローンも多く、付いていてもデフォルトで付いている数だけでは十分に遊ぶには数が足りないし、いずれにしても、バッテリーは消耗品なので、必ず新しいのを買い足す必要がでてきます。追加のバッテリーは、デフォルトのバッテリーと同じものや推奨バッテリーを買ってもいいんですが、かならずしもそれに縛られず、バッテリーの特性を分かった上で、ある程度自由に選ぶのも、楽しみのひとつです。もちろん、自作した場合は適切なバッテリーを自分で選択しなくてはいけません。ところが、非常にいろんな種類のバッテリーがあるので、はじめの頃は、いったい何を買えばいいのか戸惑ってしまいますね。そこも整理してみます。
今こそドローンをはじめよう! 日本でドローンを楽しむための資格は?免許は?
目次
1.バッテリーのスペック情報を整理
ドローンに使うリポバッテリーといっても、多種多様なものがあり、ざっと、以下のようなスペック情報があります。とりあえず、どんなドローンに何がいいかは後回しにして、情報を整理しておきましょう。
連載第5回の用語集の、「8.バッテリー関係」「9.コネクター(コネクタ)関係」も見ていただくと、分かりやすいかと思います。
通常のリポバッテリーか、ハイボルト(HV)リポバッテリーか
リポバッテリーには、単なるリポバッテリーと、ハイボルト(HV)リポバッテリーがあります。手前が通常のリポバッテリー、奥がHVリポバッテリー。違いは、「ハイボルト」の名称から分かるように、HVリポバッテリーの方が電圧が高いです。通常のリポバッテリーが標準3.7Vなのに対し、ハイボルトリポバッテリーは標準3.8Vで、満充電時の最高電圧は、通常のリポバッテリーの場合4.2V、ハイボルトリポバッテリーなら4.35Vになり、ここから使用にともなって電圧が減少していきます。画像のバッテリーのように、表記は標準値だったり最高値だったりまちまちなので注意。3.7Vもしくは4.2Vと書いてあれば、通常のリポバッテリー、3.8Vもしくは4.35Vと書いてあれば、HVリポバッテリーです。
0.1V~0.2V程度の電圧差でも、操作感は大きく違うんですが、一方で、回路が壊れることはまずありません。だから、通常のリポバッテリー用のドローン、例えばEachine E010などにHVリポバッテリーを使っても大丈夫です。まずここは、ご安心ください。
ただし、この2種類は一般的に形状が違います。多分、一番使うであろう200mAh~300mAhあたりの放電容量の場合、通常のリポバッテリーは、座布団のような比較的幅のある形状をしているのに対して、HVリポバッテリーは、スティック状の細長い形状です。
そのため、通常のリポバッテリー用のドローンのフレームにHVリポバッテリーを装着するには、写真のようにダンパーをかませたりフレームを加工するなどの、バッテリーを固定するための改造が必要になります。
手っ取り早いのは、100円ショップでスポンジ両面テープを買ってきて、片面は紙を貼ってしまって、バッテリーホルダーにクッションを作ればいいですね。これは、バッテリー形状に合ったフレームの場合でも、バッテリーがガタついたり緩いときに有効です。
もひとつ、気をつけないといけないのは、通常のリポバッテリーとHVリポバッテリーでは、充電器が違います(スイッチ切り替えなどで両者に対応するものはあります)。これは、それぞれに合った充電器を使わないと非常に危険なので、必ず確認してください。
セル数「S」
セル数というのは、バッテリーをいくつ直列つなぎしているかです。「セル」とは「Cell」なんですが、なぜか単位は「S」です。複数のバッテリーをつないだ、「2S」以上のバッテリーを、一般に多セルバッテリーと呼んでいます。直列つなぎなので、電圧は単純にセル数の分だけ増えます。画像のは、3SのHVリポバッテリーで、3.8V×3=11.4Vです。
当然、セル数の多いバッテリーほど、重く、パワーがあります。同時に、回路にかける負荷も大きくなるので、ドローンごとにバッテリーのセル数が指定されています。このセル数が、実質的にそのドローンが「できること」を制約しているといっていいでしょう。大きかったり、重い、もしくは電力を喰う部品を積んでいたり、よりアクロバティックな動きを追求するドローンは、それだけ多くのセル数を要求します。まあ、間違える人はいないと思いますが、これだけの電圧差があると、誤って指定以上のセル数のバッテリーをつなげば、当然ながら回路が焼き切れて終わります。そうでなくても、セル数が増えるほど、対応しているはずのドローンでも、設定を誤ったり部品が劣化したりなどによって焼き切れるリスクは大きくなるので、より扱いに慎重さが求められます。
そして実は、それ以上に、2S以上の多セルバッテリーを扱う上で最大の壁となってくるのは、充電です。多セルバッテリーの充電には、特殊な充電器や、状況に応じた周辺機器が必要で、かなりお金と知識が必要なんです。このことについては、後述します。
放電容量「mAh」
これは、言うまでもないでしょう。これが多いほど、スタミナがあります。ただしその分、重くもなります。厳密に言えば、通常のリポバッテリーとHVリポバッテリーでは電圧が違うので、mAhで容量を比較することには問題があるのですが、慣例になっちゃっているので仕方ありません。もっとも、ドローンがらみは、正確な情報を期する必要が強いためか、ちゃんとWh表記も併記してあるバッテリーも多いです。「商品名」としてはmAhが使われてしまいますけどね。
コネクタ形状
はいこれ、めんどくさい。1Sのバッテリー場合、よく使われるものには、3種類あり、しかもコネクタの呼称が必ずしも統一されていない。
最もよく使われるのが、この「JST PH」「JST 2.0mm」「mCPX」などと呼ばれるコネクタです。
こちらも少なめだけどチョイチョイある「平形」「WALKERA」「MOLEX」などと呼ばれるコネクタ。HVリポバッテリーでは、まず使われません。現在の状況だと、少なくともFPVドローンについては、新しく買うバッテリーでこのコネクタを選ぶメリットはほぼありません。
これは、私は対象ドローンを運用していません。「BT2.0」という、FPVドローンの有名ブランドBETAFPV独自のコネクタです。2019年秋頃より発売されました。当然、BETAFPV製ドローンにしか使えないのですが、他のコネクタが一般的な電子機器との共通規格であるのに対し、BT2.0はドローンに特化したコネクタなので、電池の持つパワーをより効率よく引き出せます。特に瞬間的に電池のパワーを引き出すことに優れているようです。性能にこだわるなら、試してみる価値は大きいですね。
2S以上のバッテリーには、「XT30」という形状のものが多く使われます。さらにセル数の多い強力なバッテリーだと、より大きい「XT60」の場合もあります。この辺のドローンを使いこなす頃には、ベテランになっていると思います。
それから、バッテリー側のコネクタが、バッテリーに直に付いているものと、ケーブルで伸びているものがあります。これはまあ、どっちでもいいです。ケーブルの方が、取り回しはしやすい分、ジャマなのと、わずかですが重量増にはなります。また、ケーブルタイプなら、はんだづけによってDIYでコネクタの付け替えも容易です。バッテリーなんで、リスクは分かった上でやる必要はありますが、上記の「BT2.0」コネクタを使うために、今までに買ったバッテリーのコネクタを交換するなんてことは、大いにあり得るでしょう。ケーブルの方がなにかと汎用性はありますが、その分かさばる、ということですね。
出力レート「C」
電池の「瞬発力」を表す数値で、単位は「C」です。通常のリポバッテリーでは、1種類のみを表記し、HVリポバッテリーでは、通常値と最大値を併記するのが一般的です。これが高い方が、よりアクロバティックな飛行に向きます。1SのHVバッテリーなら、「30/60C」で十分かな。そもそもこれ、計算式からすると、放電容量によっても変わってくるので、厳密に考え出すとかなりややこしい話になるんですが、長くなるので割愛。
HVリポバッテリーを使っている分には、レースとかのレベルでない限り、あんまり気にしなくていいと思います。
通常のリポバッテリーだと、C25からC45くらいまでありますが、電圧が低い分、それなりに操作感に反映されてきます。ただ、Cレートが高めのFPVドローン用リポバッテリーは、実質Banggood専売で、Banggoodは電池輸送に厳しく(日本には送れなかったり送料が高かったり)、一方で、最近はHVリポバッテリーの入手が容易になってきたので、今からはじめるなら、パワーの大きくより入手のしやすいHVリポバッテリーでの運用をはじめから考えておいた方がいいと思います。
2.「1Sバッテリー」で飛ばせるFPVドローンのバッテリー選び
ここからが、肝心の、どういうことに気をつけてバッテリーを選んだらいいの?ということです。まず、一番お手軽な「1Sバッテリー」で飛ばすことのできるFPVドローンに話を絞って進めます。
「65mmフレーム」サイズの場合
屋内向けで、デビューにお勧めなのが、最も小型の「65mmフレーム」のサイズです。このような、わっか状のプロペラガードがついたフレームは、主に「65mm」「75mm」「85mm」の3サイズがよく使われます。大きくなればなるほど、パワフルになりますが、小回りは効かなくなります。
この「65mmフレーム」の場合は、サイズ以外のドローンのスペックに関係無く、HVリポバッテリー250mAh~300mAhが万能に使えます。350mAhでも、まあいけます。それ以上は、バッテリーが重すぎてやめた方がいいですね。ちなみに、400mAhの1S HVリポバッテリーは非常に少なく、450mAhもあまりありません。
「75mm」「85mm」のフレームサイズの場合
「75mm」「85mm」のフレームサイズになると、もちろん大きい分パワー消費が激しいので、容量も大きくする必要がある他、瞬発的なパワーも必要になってきます。総じて、このサイズの場合、1Sバッテリーでは、アクロバティックな飛行はパワー不足で困難と思った方がいいでしょう。サイズ以外にも、モーターがブラシかブラシレスか、モーターサイズやKV値はいくらかなど、微妙なバランス調整も要求されます。
要するに、65mmフレームとは違って、最適なバッテリーを選ぶにはそれなりの経験が要求されるということです。まずは65mmフレームで慣れて、色々分かってきてから、自分のやりたいことに応じて、より大きいフレームの世界に足を踏み入れていくとよいと思います。
余談:「Cinewhoop」は、1Sバッテリーでは無理があるはず、だったのが……
ところで、ドローンの大きな楽しみのひとつが、空撮です。空撮可能なFPVドローン、特にFHD以上の画質のものを、よく「Cinewhoop」と呼びます。これを飛ばすのが、FPVドローンを飛ばす、1つの目標になるでしょう。当然、このタイプはカメラの重量と消費電力が増すため、1Sバッテリーでは、まっとうな空撮はできない、……というのが、今までの一般的な常識でした。
1Sバッテリーでも安定動作する空撮もできるFPVカメラとしては、HD画質の「Turbowing CYCLOPS 3 DVR」ってカメラが実質的に唯一無二で(似たようなのに「Eachine DVR03」ってのもあるんですが、技術的に無理しすぎていてバランスが悪くお勧めできません)、または、格安のアクションカメラをバラして、そのカメラ部分を強引に搭載なんてことをする人もいたようです。それでも、画質はHD止まり。やっぱり電力消費は激しい。しかも、撮れる映像は、数値から期待出来るほどいいわけでもありません。
これは「Turbowing CYCLOPS 3 DVR」を使った作例ですが、通常のFPVドローンでは不可能な「見下ろし型の空撮」を行うために作った機体です。カメラを吊り下げるギミックの分、機体重量が増すため、85mmフレームを使って積載量を増やそうという安易な発想です。見下ろし空撮が目的なので、アクロバティックな飛行はしません。参考までに、使用部品は以下の通り。
フレーム:BETAFPV Beta85 85mmフレーム 8520モーター対応
モーター:8520 ブラシモーター 15000KV
プロペラ:BETAFPV 48mm 3枚羽根
FC:BETAFPV Lite FC(VTXの付いていない旧型)
カメラ:Turbowing CYCLOPS 3 DVR
VTX:Eachine VTX03S
これでも、550mAh~650mAhのHVリポバッテリーで、2分の飛行がやっとなんですよね。うーん燃費が悪い。結果論でいえば、75mmフレームの方がバランスはよかったかな?
ところが、最近、この「まともに空撮したければ、2S以上のバッテリーが必要」という常識を技術革新でひっくり返したドローンが出現して、話題になっています。
「Happymodel Mobula6 HD」というドローンで、デフォルトのバッテリーは1Sの250mAhのHVリポバッテリー。これで、FHD画質1080Pの空撮が可能です。ただ、飛行時間はさすがに2分半程度にとどまり、振動もけっこうあるようです。
このところ「1Sバッテリー」「65mmフレーム」でできることが、飛躍的に広がっている
ちょっと前まで、「1Sバッテリー」のドローンは、基本的に「飛ぶだけ」で、いろいろと制約の多いものだったんですよ。だから、空撮をしたかったり、よりアクロバティックな飛行を求めたりとか、ちょっと高度なことをしたければ、基本的には2S以上のバッテリーが必要でした。根本には、1Sバッテリーでは推力の問題で65mmフレームのサイズを飛ばすのが限界、そのため、重量が重かったり電力を喰う高度な部品は積めない、ということがあったわけです。
それが、この半年くらいで、技術の進歩により、1Sバッテリーのドローンの性能が飛躍的に向上しています。まず、電子部品のさらなる小型化によって、それまで別部品であったVTXとFCを統合するようになってきました。これで、それまでのVTX分の重量が、まるまる浮きます。これ、日本のユーザーにとっては、VTXの使い回しができなくなったので、FCごとにいちいち開局申請をしなくてはならないという悩ましい進歩なんですけれど。ソフト面では、モーターのノイズを低減してパワーの無駄を省く電力の効率化がすすみ、さらに上記の「Happymodel Mobula6 HD」は、1Sバッテリーで十分動作してFHD画質撮影が可能でしかも軽量という、今までからするとまさに技術革新と呼んでいいようなかなり衝撃的なカメラを積んでいます。
そんなわけで、かつては「飛ぶだけ」だった「65mmフレーム」&「1Sバッテリー」の世界は、今や大きな自由度を得ようとしています。今後は、とりあえず1Sバッテリーだけでも、十分に楽しめるようになりそうです。
3.「1Sリポバッテリー」と「2Sリポバッテリー」の間には、「充電」という大きな壁がある
さて、バッテリーのセル数が増えると、その分電力が強化されるので、サイズ、運動性能、消費電力の高い高度な部品の搭載など、できることの幅が広がります。上述のように、最近は技術の進歩で、1Sバッテリーでもかなり色々できるようにはなってきたんですが、それでも、安定して高度なことを行おうとすると、やはり多セルバッテリーが欲しくなります。ところが、ここに立ちはだかる大きな壁が。先ほどちょっと触れた、充電です。
「1Sバッテリー」は、単体のバッテリーです。そのため、充電する場合には、コネクタにつなぐだけです。ところが、「2S以上のバッテリー」は、単体のバッテリーではなく、2つ以上のバッテリーを直列につないでいます。そのため、その内部バッテリーそれぞれの電圧がきっちり一致するように充電する、高機能な充電器を使わなくてはいけません。
これは、前回の連載で登場した、操縦機用に使っている、2Sリポバッテリーの充電器です。Banggoodで、200円台。Aliexpressなら100円台で手に入ります。
7.4V Lipo Battery USB Balance Charging:Banggood
操縦機の場合は、バッテリーにそれほど負荷をかけないので、多少内部バッテリーの電圧がそろっていなくても、さほど危険性は高くありません。だから、こんな簡易的な充電器で十分です。あ、多セルであればなおさら、通常のリポバッテリーか、HVリポバッテリーかには要注意で。
ところが、バッテリーの性能を限界まで引き出すドローン本体用の場合には、神経質になる必要があります。多セルバッテリーを、内部の電圧を一致させながら充電できる、高機能な充電器を「バランスチャージャー」と言いまして、これが必要になります。そして、なかなかにいいお値段がする。機能によってピンキリですが、まあ、5,000円前後は覚悟した方がいいです。ものによっては、余裕で数万するものもの。しかも、それを買って、はいオシマイではなくて、アダプターだったり、複数同時に充電するための機材(「パラレルボード」といいます)だったり、追加で購入する必要のある周辺機器も何かとあり、充電環境を一通り整えるのに、おおむね、コミコミ10,000円くらいはかかります。加えて、それらをどう選ぶか、設定はどう行うか、などなど、かなり高度な予備知識も要求されます。
この辺のことをよく知らずにFPVドローンを買うと、泣きを見るかもしれません。例えば、FPV撮影で現状最高峰となる4Kカメラを撮影したドローンでも、価格は案外お安く、セール価格で2万を切るくらいで買えちゃったりします。スペック見ると、このお値段でこの性能!?と、テンション上がるわけですよ。ところが、現状で4Kカメラ搭載のFPVドローンは最低3S、おおむね4S以上のバッテリーが必要です。やったぜ、安い!と、バッテリーの十分な知識がなく買ってしまうと、せっかく買ったのに、バッテリーを充電できずに飛ばせないという、空しいことになってしまうわけです。
ついでに言えば、多セルバッテリーは、当然ながらその分価格も高いので、ランニングコストもバカになりません。
4.「2Sバッテリー」までなら、「1Sバッテリー」を直列でつないで代用できる
ということで、高度なことをやるなら多セルバッテリーが必要なんですが、多セルになった途端、充電に非常に金と知識がかかるというジレンマがあるわけです。
ところで、多セルバッテリーというのは、内部的に1Sバッテリーを直列しているだけのものです。じゃあ、1Sバッテリーを束ねて直列につなげばいいんじゃない?とも思うわけです。はい、実は、2Sバッテリーの代用くらいなら、かなりこれでいけます。「2Sドローン」の中には、もともと、この1Sバッテリー直列接続を前提とした作りのものもあるくらいですから。
とはいえ、本来の2Sバッテリーと比べるとエネルギー効率は悪くなるし、接続部分のコネクタは、本来、1S用のコネクタです。そこにあまり高い負荷をかけるのも不安ですね。なので、この手法は、通常は2Sまでで、3S以上ではあんまりやりません。
1Sバッテリーを2Sとして直列接続するためのコネクタは、Banggoodだけでも複数種類売っています。
URUAV 2S PH2.0 20AWG 100mm Solering Power Cable Wire:Banggood
24AWG JST to PH2.0 Plug Silicone Connector Cable for 2S Whoop Drone:Banggood
2 PCS Eachine TRASHCAN 75mm PH2.0 Powre Cable Wire:Banggood
Emax Tinyhawk Freestyle PH2.0 Adapter Cable:Banggood
まあ、このくらいの部品なら、わざわざ買わなくても、自作してもいいでしょう。私も、自作しています。線と、コネクタと、保護用の熱収縮チューブがあれば、比較的簡単なはんだづけですぐできます。ちなみに、こういったシンプルな工業部品は、Aliexpressで探すと、べらぼうに安い。他にも色々と使うので、セール時なんかにまとめ買いしておきましょう。今見たら、私は、ケーブル1本1mあたり約90円、PH 2.0mmコネクタ50個で約70円、熱収縮チューブの太さ8種類4色128片詰め合わせを約140円で購入しています。
ちなみに、1Sバッテリー3つ直列するコネクタも売っていますが、さすがにこれは色々と怖いので、よく分かっている人向けです。
3 in 1 50mm 24AWG XT30 Male Plug to PH2.0 Female Plug Cable:Banggood
ケーブルの太さには、一応注意
一応の注意点として、せめて抵抗を少なくしてバッテリーのパワー減少を少なくするため、ケーブルの太さには気を使った方がいいかもしれません。ケーブルの太さは、先に挙げたBanggoodの2つ直列コネクタだと、1つめに「20AWG」、2つめに「24AWG」の表記があります。私の持っているMobula7 HDに付属してきた直列コネクタは「22AWG」でした。また、バッテリーについているケーブルは、1Sバッテリーの場合、「22AWG」が多いです。なおこの太さの単位「AWG」は、数字が小さいほど太いです。また一般的に、1Sバッテリー用のコネクタのケーブルは「24AWG」であることが多いです。なので、大雑把に言って「20AWG」の太さなら、まあ大丈夫でしょう。あんまりケーブルの抵抗を減らすと、今度はコネクタ部分への負荷も心配ですからね。そんなに極端じゃなければ、多少太くても大丈夫だとは思います。
直列で2Sバッテリーとして使うなら、どんな1Sバッテリーがよい?
このような使い方に耐えうる1Sバッテリーは、ズバリ、「HVリポバッテリー」で、「65mmフレーム」なら、「300mAh」、「75mmフレーム」なら、「350mAh」です。細かくは、モーターの出力なども考慮に入れるべきですが、これで大きくは外れないと思います。
「85mmフレーム」サイズになると、色々とバランスが難しいので、こればかりは、一般解はないでしょう。このサイズは、ある程度慣れてから手を出して、試行錯誤する必要があると思います。
5.結論 その1 ― まずは、1Sバッテリーか2Sバッテリーのドローンまで。それで十分楽しめる
と、いうことで、はじめのうちは、不用意に多セルバッテリーに手を出すべきではありません。
まずは、1Sバッテリーで飛ばせるドローン。慣れてきたら、1Sバッテリーの2つ直結で2Sバッテリーのドローン。ここまでで、遊びの幅はそうとうに広がります。「75mmフレーム」&「2Sバッテリー」のFPVドローンは、非常にバランスがよく、構成次第でかなりの拡張性を持ちます。余計なものを積まなければ、そうとうアクロバティックな飛行もできますし、または、FHD解像度の撮影カメラも積めます。私は持っていないのですが、最近流行の、20gの超軽量アクションカメラ「Insta360 GO」も、十分積んで飛ばせるようです。
昨年までの技術水準で、「2Sバッテリー」の限界を象徴するのが、こいつ「Happymodel Mobula7 HD」です。「75mmフレーム」「FHD画質の空撮が可能」「2Sもしくは3Sバッテリー」という、代表的なCinewhoopです。非常に構成バランスの良い名機で、ゆっくり飛んで撮影してもブレが少なめで、操縦もしやすく、飛行時間も2Sの350mAhバッテリーで4分くらいはいける。唯一の弱点は、搭載カメラ「Caddx Turtle V2」が非常に脆くてトラブルメーカーなので、これだけは、様子を見て他社カメラや後継カメラに換装した方がいいかもしれません。で、なかなか安定して飛んでくれるんですが、2Sバッテリーでは、アクロバット飛行は決定的に苦手です。縦向きの宙返りなんかは、よっぽど広いところで高度とってやらないと、怖くてできません。3Sバッテリー使用で一気に運動性能が向上しますが、説明書には、きちんと設定をしないと焼けると書いてあるので(笑)、やっぱりアクロバティックな飛ばし方は怖いです(安全性については後期ロットで改善したらしい)。つまり、2Sバッテリーでは、「運動性能」と「安定した空撮性能」のどちらかなら実現可能だけど、両立はなかなか難しいということですね。
ただ、先述のように、どんどん技術革新が進んでいるので、「2Sバッテリー」の世界も、これからますます広がってくるものと思われます。例えば、おそらくのんびり飛行には適さないと思うのですが、最近発売された「Beta65X HD」なんかは、65mmフレームの2Sバッテリーで、かなり安定したFHD画質の撮影能力と、運動性能を両立しているようです。
このあたりまで飛ばしてくれば、いろいろと分かってくるはずなので、それから3S以上の多セルバッテリーの世界に飛び込んでも遅くはありません。
ドローンを買う段階から見ると
逆に、ドローンのスペックの方から見ると、まずは、次の条件のドローンの枠内で遊ぶのがいいでしょう。この組み合わせなら、比較的バランスがいいので、かなりいろんな種類があり、また、自作や改造の幅もあります。
・65mmフレーム / 1Sバッテリー
・65mmフレーム / 2Sバッテリー
・75mmフレーム / 2Sバッテリー
6.結論 その2 ― とりあえず、バッテリーは何を買っておけばいいの?
バッテリー購入についての、結論です。ズバリ、HVリポバッテリーの、250mAh~350mAhを買っておけば、1Sバッテリーのドローンと2Sバッテリーのドローンで汎用的に使えるので、間違いないです。
よりきちんというと、
250mAh前後のHVリポバッテリーは、65mmフレームの1Sバッテリーで飛ぶドローンに最適です。軽量なので、運動性能を重視したい場合は、これで決まり。ただし、直列につないで2Sバッテリーの代用として使うには力不足になりがちです。65mmフレームで2Sバッテリーとして使うならまだいけますが、75mmフレームで運用するのは厳しいと思います。
300mAhのHVリポバッテリーも、65mmフレームの1Sバッテリーで飛ぶドローンに最適です。250mAhクラスに比べると、やや重量が増しますが、その分スタミナはあります。また、65mmフレームで2Sバッテリーで飛ぶドローンに、直列につないで2Sバッテリーの代用として使ってもよく合います。かなり万能に活躍してくれます。
350mAhのHVリポバッテリーは、65mAhフレームの1Sバッテリーで飛ぶドローンに使う場合、やや重量があるため、少し振り回されはしますが、スタミナはあるので、のんびり飛ぶなら十分に使えます。また、75mmフレームの2Sバッテリーで飛ぶドローンに、直列につないで2Sバッテリーの代用として使うのに最適です。75mmフレームになると、積載量や運動性能に余裕が出てくるので、アクロバティックな飛行をしたり、空撮用カメラを積んだり、受信機を増設してちょっと遠くまで飛ばしたりと、かなり遊べるでしょう。
HVリポバッテリーの入手が簡単になってきたので、はじめから使おう
連載第2回では、まずはHVでない通常リポバッテリーの強化版でというようなことも書いていたのですが、その後、HVリポバッテリーの入手が、どんどん安価で容易な状況となってきました。価格もほとんど変わらないので、少なくとも、FPV用の1Sバッテリーを買う場合は、現状ではHVリポバッテリーだけを考えておけばいいでしょう。あ、劣化は、明らかにHVリポバッテリーの方が早いですが、そもそも消耗品なので。
7.販路について、最近はAmazonで買えるので推奨
最近、徐々に国内のドローン愛好家が増えてきたこともあってか、幸いなことに、HVリポバッテリーは、かなりAmazonで安定供給されるようになってきました。価格も、海外通販と比べて遜色ないレベルです。この状況が続いてくれることを願っています。もちろん、管見の限りすべてAmazon直売ではなくマーケットプレイスですけども。それでも、ある程度不良品が混じるのがやむを得ないリポバッテリーの場合、Amazonの保証品質と配送品質で届くのは非常にありがたいことです。特に理由がなければ、Amazonで購入すべきでしょう。「HVリポバッテリー」と、お望みの容量で検索をかければ、いくつか引っかかると思います。
逆に海外通販で購入する場合は、他の製品に比べて2重にリスクが大きくなります。まず、どこかで引っかかってしまって、送られてこない可能性。リポバッテリーは、この危険が通常製品よりも高いです。それから、リポバッテリーは、どうしても一定割合で不良品が発生します。海外通販での購入の場合、何本も買って1本だけ不良品、のような場合は、補償が難しい場合もあります(これは、完全にケースバイケース)。なので、通常はお勧め出来ません。ただし、よくあるセールやクーポンを注意深く見ていると、ときたまとんでもなく安くなる場合があるので、そういうときは、ある程度不良品も混じっているのを覚悟の上で、利用するのはありかもしれません。特にMakerfireは、けっこう掘り出し物がある印象です。
8.絶対に欠かせない周辺機器3種
リポバッテリーを扱うとき、「充電器」「電圧チェッカー」「保管バッグ」は、絶対に必要になります。以下、安くてお勧めのものを紹介しておきます。
充電器
HVリポバッテリーには、専用の充電器が必要です。形状には、主に3タイプがあります。
もっとも安価なのが、基板むき出しタイプ。見ての通り、USB直差しで、4~6本程度をまとめて充電できます。ただ、かなり大きな難点として、ご覧の通り、USBに直接挿すので、場所が限られます。引っかけて、パキッとやっちゃいそうなのも怖いところ。リポバッテリーの物理的破損(しかも充電中!)は、最悪炎上するのでシャレにならないですから。このタイプ、私も持っておこうとして何度か買ったんですが、なぜか縁がなく、在庫切れだったり輸送中に行方不明になったりで、手元に届いたことがありません(笑) ちゃんと返金はしてもらってます。Aliexpressで300円台から400円台、Banggoodで約500円くらいで買えますね。通常のリポバッテリー用か、HVリポバッテリー用かを間違えないように注意。
6CH USB 3.8V 1S LiHv Battery Charging Adapter Board:Banggood
ちょっと値は張りますが、こういう、各バッテリーの電圧をリアルタイムで表示してくれるのがあれば、ベストです。というのは、リポバッテリーというのは、「使い切った状態で長時間放置」すると、簡単に電池がダメになり、逆に、「満充電での保管」も劣化を早めます。つまり、保管時には、「ほどほどの電圧」にしておかないといけないんですね。この辺が面倒なところで、私もできる限り、HVリポバッテリーなら、3.8V以上4.0V以下くらいで保管するように心がけています。で、これはどうするかというと、使い切った後、充電を途中で切り上げるのが手軽です。電池の状態を示す液晶が付いていれば、どのくらいで切り上げるとよいか分かるというわけです。欠点は、かさばること、それから、INPUTプラグの形状が特殊な場合が多いので、ここも気をつけてください。たいてい、電源アダプターを別に買う必要があります。価格は、AliexpressでもBanggoodでも、だいたい2,000円前後くらい。
URUAV 6 in 1 PRO 5X4.35W 5X1A Battery Charger:Banggood
私が、愛用しているのはこれ、「AOKoda CX405」というものです。ピンで押すボタンで、通常リポバッテリーとHVリポバッテリーを切り替えできます。Aliexpressでうまくすれば1個300円台後半~400円前後で手に入ります。BanggoodやMakerfireだと1個500円台。同時に充電できるのは4本までですが、ご覧の通り、小さくて柔軟性が高く、充電する場所を選びません。とはいっても、アダプタ部分はさすがにそれなりの幅と厚さがあるので、隣り合ったUSBに挿すのは無理があるとは思います。あと、満充電は、インジケーターで分かりますが、途中は分かりません。保管前の、ほどほどの充電は、勘に頼ります(笑)。
AOKoda CX405 4CH Micro USB Battery Charger:Banggood
CX405 1S Battery Charger(2個セット):Makerfire
電圧チェッカー
電圧チェッカーも必須アイテムです。これも、色々ありますね。
おそらく、最も安いのはこのタイプ。Aliexpressなら100円台で、プラスチックのケースをかぶせた同等品もたくさんあります。が、お勧めしません。多セルバッテリーもチェックできて、安くて小さくて、一見よさそうなんですが、なぜだか、チェックするときにバッテリーのいろんな情報が順番に表示されて、電圧は後の方なんですよ。とりあえず電圧だけチェックしたい場合がほとんどなのに、これはイライラする!
お勧めなのはこれです。Aliexpressでだいたい300円台から400円台。Banggoodで約500円。チャッと挿せば、パッと電圧が表示される。そうそう、こういうのでいいんだよ。弱点としては、備え付けのコネクタにしか対応していません。JST 2.0mm、JST 1.25mm、MOLEXには対応。BT2.0は無理です。多セルバッテリーも無理です。
1S LiPo Battery Voltage Checker:Banggood
1S LiPo Battery Voltage Meter Checker:Banggood
多セルバッテリーのチェックには、私はこれを使っています。このバッテリーチェッカー、要注意で、外見が同じでも中身(機能)に差があるものがあるようです。なので、価格もピンキリ。私は、電圧がチェックできればそれだけでいいので、Aliexpressで400円台で買った、一番安いやつ。
保管用の耐火バッグ
リポバッテリーは、危険なものでもあります。特にFPVドローン用のものは、保護ケースに入ったりもしてませんからね。実際に、炎上など、リポバッテリーの事故が起こるのは、充電中の場合と、物理的に破損した場合が多いようです。充電中に目を離すのは、ダメ、絶対! これは肝に銘じておきましょう。
あとは、可能性は低いとはいえ、保管中に破裂や炎上をする可能性もゼロではありません。そこで、私は、次のように保管しています。
まず、耐火巾着袋に、小分けして入れておきます。この耐火巾着袋は、バッテリーの種類ごとに小分けでき、素材が柔らかくて取り出しやすいので、ものすごく便利! 小分けするのは、利便性の面でも、延焼を防ぐ面でも有利です。Banggoodで、1つだいたい200円台ですが、3つで600円台のセット品も売っているので、そっち推奨。クーポンとか使うともっと安く入手できることもあります。これはともかく、バッテリーの種類が増えるのに応じて、たくさん持っておいて損はないです。
Realacc New Model Lipo-Battery Explosion Proof Bag(1つ):Banggood
3PCS Realacc New Model Lipo-Battery Explosion Proof Bag(3つセット):Banggood
ただ、素材が柔軟ということは、耐火性能にどこまで期待できるか怪しいので、保管時はこれをより大きな耐火バッグに突っ込んでおきます。これも、サイズやセール価格によりますが、Banggoodで400円~700円くらいでいろいろあります。もちろん、延焼しやすいものの近くには絶対置かない。とりあえずはこんなところでしょうか。
9.まとめ
バッテリーは、FPVドローンの性能の枠組みを作る非常に重要な要素です。特に、使うバッテリーのセル数は、そのままドローンのレベルといってもいいくらいです。それだけに、他の要素とどうバランスをとるか、常に頭を悩ませる部分なので、まとめてみました。ご覧のように、1Sバッテリーと多セルバッテリーでは、扱う難易度に大きな差があります。そして、ちょっと前までは、何か凝ったことをやろうとすると多セルバッテリーが必要で、これも地味にドローン普及の壁のひとつだったと思うんですよ。ところが、ここ1年くらいの技術の進歩で、1Sバッテリーのドローンや、1Sバッテリー直列で2Sバッテリーを代用した範囲内でも、たいていのことはできるようになってきました。これで、ますますFPVドローンの間口は広がってきましたね!
10.関連リンク
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