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法令遵守でなんとかドローンを楽しみたい(その19)- FPV空撮は、ドローン搭載カメラとアクションカメラのどっちがいい?

FPV空撮は、ドローン搭載カメラとアクションカメラのどっちがいい?
こんにちは、natsukiです。FPVドローンの楽しみは、レースやフリースタイルなどの「飛び」を楽しむのと、空撮を楽しむ、2つの方向性があります。ただ、「そこそこの腕前」でも楽しめるとなると、やっぱり空撮だと思うんですよ。飛びを楽しむにしても、その映像をよりきれいに撮っておくと楽しみも倍増ですしね。そして、FPVドローンの空撮は、「ドローン視点」ゆえに見下ろしとかはできませんが、スピーディーで、狭い場所のすり抜けやアクロバティックな飛行など「鳥のような」映像を撮ることが可能です。さて、その撮影方法は、大きく分けて3種類あります。今回は、空撮方法の特徴と、代表的な関係製品をまとめてみます。

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1.録画可能なFPVカメラで撮る

1S CineWhoop7 4K
1つめの方法は、録画が可能なFPVカメラで撮る方法です。これまで紹介してきた「Happymodel Mobula6 HD」や、「Eachine Cinefun 75mm」がこのタイプです。技術の進歩を実感できる分野で、2020年には扱いやすい超軽量の高性能カメラが次々と発売されました。

FHD(1080P)解像度

Runcam Split3-lite
FHD(1080P)解像度での撮影が可能なカメラは、2020年に6g~8g程度まで軽量化が進みました。これなら、1Sバッテリーの65mmフレームサイズにも搭載可能。

カメラの種類としては、以下のものが代表的です。
「RunCam Split 3 Lite」(Mobula6 HDに搭載)
「BETAFPV Nano HD」(Meteor65 HDに搭載)
「Hawkeye Whoop Split」

どれも、軽量化のため、専用のキャノピー(Hawkeye Whoop Splitは、多分RunCam Split 3 Liteと共通)じゃないと装着できないことには注意。これらを搭載した代表機が「Happymodel Mobula6 HD」「BETAFPV Meteor65 HD(1S)」です。

個人的なお勧めは、「RunCam Split 3 Lite」です。まず、「BETAFPV Nano HD」は、カメラの角度調整ができないというデメリットがあります。そして何より、「50FPS」での撮影に対応しているのがRunCam Split 3 Liteのみだからです。これは、屋内撮影の場合、照明との干渉を避けるために重要であることは、連載中に何度も言及してきたとおりです。

4K解像度

Runcam Split4
4K解像度のカメラも一気に軽量化が進み、10g~11g程度に収まりました。これは、次の2種類です。

「Caddx Loris 4K」
「Runcam Split 4」

いずれも、さすがに1Sバッテリーで動かすのは、できなくはありませんが電気的に不安定で、工夫が必要です。このあたりの試行錯誤は、前回の記事でやりました。1Sバッテリーで4K解像度撮影が可能なFPVドローンは、製品として販売しているのは、前回の連載で取りあげた「Eachine Cinefun 75mm」が、今のところ唯一です。一方で2Sバッテリー以上だと、特にCaddx Lorisはかなり多くの機体が採用しています。

この2種類のカメラは1長1短です。屋内撮影で照明との干渉を防ぐ「50FPS」撮影に対応しているのは「Runcam Split 4」の方だけです。一方、「Caddx Loris 4K」は4K解像度で最大「60FPS」、1080P解像度では最大「90FPS」の撮影に対応しているのに対し、「Runcam Split 4」は、4K解像度では最大「30FPS」、それ以下の解像度でも最大「60FPS」です。

屋内撮影能力を重視するなら、Runcam Split 4。4Kでの60FPSのスムーズな映像を求めたり、後からスローモーション処理をかけたいなどの需要がある場合は、Caddx Loris 4Kとなりますね。私は屋内撮影を重視しているので、Runcam Split 4を2つ運用中。お気に入りのカメラです。

FPVカメラで撮影するメリットとデメリット

FPVカメラで撮影するメリットは、ドローン全体が軽量で済むことと、運用が簡単なことに尽きます。バッテリーは、FHDクラスのカメラなら、管理しやすい1Sバッテリーの機体で十分だし、機体が軽くて済むということは、小回りがきき精密な操作も可能です。もちろん、スピードが欲しければ、パワーのある機体に積んでもかまいません。

デメリットは、軽量ゆえに、当然ながら機能は最低限ということです。もちろん手ぶれ補正はついていないので、ちゃんと使うには、後から何らかのソフトで手ぶれ補正をかけてあげることは必須でしょう。色や明瞭度、質感、暗部撮影能力など、映像そのものの質も、本格的なカメラには及ぶべくもありません。

2.アクションカメラを搭載する

BETA 95X
技術の進歩により、アクションカメラの小型化も進んできました。その結果、ドローンに積みやすい超軽量なカメラも出現しています。特に、「Insta360」というメーカーの存在感は大きいです。現状、ドローンに積むなら、以下の3種類が有力な選択肢となっています。

「Insta360 GO」

Insta360 GO
いろんなところで話題となっている、最軽量級アクションカメラ「Insta360 GO」です。その重量、なんと約20g。これなら、75mmフレームサイズのドローンなら十分に乗せて飛べます。2Sバッテリー機でのんびり撮影、3Sバッテリー機ならアクロバティック飛行もOKといった感じですかね。のんびり飛行なら、1Sバッテリーでもそこそこいけるか?

性能面で特筆すべきは、超優秀なブレ補正機能。一方、デメリットとというか、そもそもの商品の特性からくる縛りとして、このInsta360 GOは、せいぜい1分程度の「瞬間」を捉えることに特化したアクションカメラのため、撮影モードがとがりまくっています。後からのアップデートで、まさにFPVドローン用に多少長く撮れるモードが追加されたものの、それでも最大5分です。あと、画質は、解像度1080Pの25FPS止まり。というように、かなり特殊なアクションカメラなんですが、FPVドローンとの相性は抜群にいいですね。

ちなみに、Banggoodではしょっちゅうセール対象になり、セールシーズンにはしばしば15,000円~16,000円くらいの激安価格で売っているのに加え、実際にドローンに装着するためのマウントも多くとりそろえています。

Insta360 GO:Insta360
Insta360 GO 1080P Sports Action Camera:Banggood
Strap Bracket Mount For Insta360Go(Insta360 GOマウントの一例):Banggood

「GoPro」を剥く!

Naked GoPro
アクションカメラといえば、もちろん「GoPro」。これが使えれば、性能的に、もう文句はないわけですよ。だけど、FPVドローンに積むには重い。そこで、いわゆる「剥きプロ」というのをやってしまいます。はい、分解して最低限稼働する部品のみで再構成するという、荒技です。ムチャクチャに聞こえますが、ドローンの世界では、「剥きプロ用カメラマウント」や「剥きプロ用補助基板」なんかが当たり前に売っていて、本気で空撮したい人はやるのが当然ぐらいの雰囲気があります。重量は、どこまで削るかや、素体のGoProによっても変わりますが、タツジンが剥いたものは30gを下回るようです。

ただ、次の「Insta360 SMO 4K」の発売により、この危険を冒す必要はなくなりました。

Insta360 SMO 4K

OSM 4K
GoPro剥くくらいだったら、はじめっから剥いた状態で生産しちゃえば?という発想で生まれたのが、Insta360とBETAFPVのコラボにより生まれた「Insta360 SMO 4K」です。重量は、30g。これで、カタログスペック上はGoPro並の、つまりアクションカメラとして最高峰の撮影能力を誇るというトンデモ製品です。殻を削っているので、防水能力とかは皆無ですけどね。これは昨年末に発売されたばかりで、実際のその実力やいかにといったところ。ドローン側のサイズでいえば、3Sバッテリーの85mmフレームサイズくらいで、のんびり撮影目的なら十分飛ばせるでしょう。なお、電源もドローンのバッテリーからとりますが、動作電圧が6V以上のため、最低2Sバッテリーが必要で、安定動作を考えると3S以上のバッテリーだと安心です。BETAFPVのこのカメラ専用機体「Beta95X V3 Whoop」は、4Sバッテリーの95mmフレームサイズですが、ここまでパワーがあれば、アクロバティックな飛行も余裕のようです。

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価格は、25,000円~26,000円といったところ。

SMO 4K:BETAFPV
Insta360 SMO 4K:Banggood

アクションカメラのメリットとデメリット

アクションカメラを積むことのメリットは、いうまでもなく、映像の質の向上です。特に、ドローン撮影では避けられない「ブレ」を録画段階で抑制できるのは非常に大きい。もちろん、Insta360 GOとGoProではできることにまったく違いがあり、あとはアクションカメラの性能次第ということにはなります。それにしても、ブレ補正がどれだけ重要かというのは、単純な解像度やFPSでは録画可能なFPVカメラにすら劣るInsta360 GOが、実際には非常に重宝されていることからも分かります。

デメリットは、部品が増える分、管理が大変になるのと、重量増です。重量=パワーが増すということは、よりスピードを出せる一方、精密操作は難しくなりますし、パワーを支える多セルバッテリーの管理も大変です。もちろん、お金がかかることもですね。たいてい、アクションカメラの価格の方がドローン本体よりも高いですから。そしてなにより、法規制の壁が立ちはだかります。

日本の法規制強化との関係

さて、アクションカメラを積む場合に、今後、問題になってくるのが、予定されているドローンに対する法規制強化の、航空法適用外のサイズを現状の「200g以内」から「100g以内」にするという点です。もし、これが実施された場合、アクションカメラを重量に含めると、積むのは絶望的になります。ただし、ドローンの重量規制には、「工具を要さずに取り外しできる部品(バッテリーなど飛行に不可欠な部分は除く)」は重量に含めない、というルールがあります。つまり、はめ込み式などのワンタッチで取り外し可能なカメラマウントであれば、アクションカメラの重量はドローンの重量に入れる必要はないということになります。

で、取り外しが簡単なマウントを使うとして、ドローン側の方を考えると、プロペラガードがついたタイプで100g以内というのは、85mmフレームサイズの3Sバッテリーか、構成を頑張って4Sバッテリーくらいが限界でしょう。95mmフレームサイズになると、100g以内はまず無理です。つまり、Insta360 GOでの撮影なら、問題なし。剥きプロやInsta360 SMO 4Kの場合、のんびり撮影ならできるが、アクロバティックな撮影が可能なドローンは規制に引っかかる可能性が高い、ということになります。

一番手っ取り早い重量減の方法は、プロペラガードを取っ払って、プロペラむき出しのトゥースピック形状にしてしまうことなんですけど、それって規制の趣旨からすると本末転倒ですよね。参考までに、バレーボールが約270gです。これはもう、バレーボールとバスケットボールは全面禁止ですね。200g以下でも高性能なドローンが出てきたので……なんて意見も聞きますが、性能ガーというなら、100g以内でも長距離操縦、高性能画像送信可能なドローンは、とっくにあり、本体価格3万円で買えます。もちろん、日進月歩で小型軽量化はますます進んでいるので、法改正が実施される頃には、「100g」の持つ意味は、今現在とはまったく変わっているでしょう。性能面の規制は、重量によって線引きするところではないはずです。

3.デジタルFPV映像を録画する


世界のドローンではどんどん普及しつつある、デジタルFPV。手元のゴーグルに、ノイズ無しの美しい映像が飛んでくる、夢のような技術です。これなら、ドローンの側で撮影しなくても、飛んできた映像を撮影するだけ。

はい、日本では、電波法の規制により、業務用で使うことしか許可されていません。アマチュアはどうやっても使うことはできません。業務用として使うにしても、大変な手間とお金がかかります。以上。おしまい。

まあ、これに関しては、使用周波数の問題から、簡単に使われちゃ困るというのは分かるんですが、しかし、そこを取り巻く制度はもうちょっとどうにかならんもんかと思います。

4.まとめ

Mobula6 HD
見ていただいたように、運用が簡単なのは、やっぱりFPVカメラです。初めてのFPV空撮ということであれば、文句なしに、まずは「Happymodel Mobula6 HD」からはじめることをお勧めします。メリットは、圧倒的な安さと、部品(特にJST PH2.0コネクタの1Sバッテリー)の汎用性、狭い家の中でもぶん回せる操作の精密性と、運用が非常に手軽だからです。こいつを扱うことで、あとは自分の興味や必要性に応じて、その先どう発展させていこうというのが見えてくると思います。

Tinypusher
その上で、本格的な映像を撮りたければ(そして予算があれば)、やはりアクションカメラは欠かせないので、「Insta360 GO」か、「Insta360 SMO 4K」かを、選んでいくと良いでしょう。

やはり規制について一言

こうして見てみると、ドローン規制のちぐはぐさが浮き彫りになります。問題の本質は、重量などの物理的な部分ではないんですよ。空港など重要施設近辺の飛行は、当然ながら重量その他諸条件のいかんを問わずすでに全面禁止されているし、これも当然ながら、飛行が規制されていないからといって、誰かに怪我させたりとか何らかの損害を発生させた場合は責任が問われます。野球ボールは人に当たれば十分に危険ですが、その流通を規制しますか?あらゆる道具は、使用者がその結果に責任を負うのは当然のことで、その道具が銃や麻薬などの人間や社会によっぽど深刻な損害をもたらすものでない限り、道具そのものを規制するのはナンセンスです。もちろん、新しいことはなんでもダメ、という発想もあろうかとは思いますが、それは規制というものに対する根本の考え方の違いです。

問題は、ドローンに限らず、メガヘルツ帯の「長距離通信」に集約されます。長距離で操縦されちゃうと、何か問題が発生したときに責任の所在を問うことが難しいですからね。電波干渉や国防上の問題も、短距離通信とはレベルが違います。例えば、連載中でも触れた「TBS Crossfire」という、長距離での操縦を可能にする通信形式があります。アマチュアが日本国内で使うことはどうやっても非合法ですが、これは、分かる(登録・許可制による利用の可能性はあっていいと思いますが)。さんざんザル法と言われる電波法も、注意深くニュースを見ていると、実は長距離通信についてはそれなりに取り締まり実績があり、ギガヘルツ帯の短距離通信が黙認されている状況だということが分かります。また、電波利用の免許取得のテストで出題される問題は、基本的に長距離音声通信を前提としています。要するに、そもそも電波法という制度自体が、内容からも運用の実態からも、メガヘルツ帯の長距離通信のみをターゲットにした制度なわけです。長距離通信に十分な規制が必要というのは、分かる。ところが、そこに新しく出てきた、といってももはや十分に社会に浸透しているギガヘルツ帯の短距離通信を無理矢理はめ込もうとするから、矛盾だらけになる。

通信機材自体が、長距離通信か短距離通信かで使用する周波数帯は違うわけで(国際標準と日本の振り分けがズレているとはいえ、電波の特性上周波数が高ければ短距離というのは変わらない)、短距離通信のギガヘルツ帯を制度上も分割して、短距離通信に応じた実効性と合理性のある制度を作ることは、世の中に出回っている通信機はそのままで(というか、出回っている実態に制度を合わせて)十分に可能なはずです。もちろん、制度だけといっても関係のあれこれを変えていかないといけないので大仕事なんでしょうが、もはや現行の電波法は、有効な規制を行うという面においてすら、限界に来ているのは明らかです。

ようやく、改革の機運は訪れているようなので、より多くの人がこの問題に関心を寄せてくれることを願っています。

5.関連リンク

※ドローンに必要な資格や免許について知りたい人はこちら
今こそドローンをはじめよう! 日本でドローンを楽しむための資格は?免許は?

※ドローンの知識をじっくり学びたい人はこちら
「法令遵守でドローン」記事一覧

代表的な1SバッテリーのCineWhoop(FPVカメラで撮影可能なドローン)

Happymodel Maobule6 HD:Banggood
BETAFPV Meteor65 HD(1S):BETAFPV
Eachine Cinefun 1S 75mm:Banggood

ドローンに積めるアクションカメラ

Insta360 GO コンパクト アクションカメラ:Amazon
Insta360 GO 1080P Sports Action Camera:Banggood
SMO 4K:BETAFPV
Insta360 SMO 4K:Banggood

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コメント

  1. 今村 行男 より:

    『一番手っ取り早い重量減の方法は、プロペラガードを取っ払って、プロペラむき出しのトゥースピック形状にしてしまうことなんですけど』と説明されていますが、国土交通省への許可申請では、プロペラガードは機体重量に含みません。DJIの機体等を想定して説明された感はありますが、どうなんでしょうか?

    • natsuki より:

      いえ、該当箇所では、DJI製品は想定していません。うまく伝わらなくてすみません。

      引用していただいた部分を書いた第2節は、ドローンにアクションカメラを積む場合の話をしているので、DJIのMavicシリーズのように、はじめから、ジンバル付き高性能カメラを搭載したドローンは想定していません。そのようなドローンは、当然、本来のカメラで撮影すればよく、アクションカメラを積む必要は無いはずなので。
      なお、DJIのデジタル通信を利用したFPVドローンについては、第3節にて触れています。残念ながら、日本ではアマチュア利用はできません。事業者として登録すればいいものの、他にもいろいろ面倒な点があるので、ここでは触れません。
      この他、DJIのドローンについては、最近、2.4GHz帯を利用して日本の技適も取得したらしい新たなカメラシステムについての情報がリークされていて非常に気になるところですが、話が脱線するのでそれはおいておきます。

      さて、アクションカメラを積むようなFPVドローンの場合、プロペラガードがあるもののほとんどは、ガードがフレームと一体形成となっている、いわゆる「フープ形状」で、プロペラガードだけの着脱はできないようになっています。FPVドローンの場合は、基本的には、プロペラガードは着脱するものではなく、ガード付きの「フープ形状」か、ガード無しの「トゥースピック形状」かの二者択一となります。
      確かに、一部のトゥースピックには、かなりの運動性能の低下とひきかえにプロペラガードを装着可能なものも発売されてはいます。が、全体からすれば少数派のため、記事内では、そこまでわざわざ言及はしませんでした。