法令遵守でなんとかドローンを楽しみたい(その11)- BETAFPV Beta85X / Beta75X HD Digital発売、別次元のカメラ技術「DJI Digital FPV System」の革命的小型化が進む

BETAFPV Beta85X / Beta75X HD Digital
こんにちは、natsukiです。先日、BETAFPVより「Beta85X / Beta75X HD Digital」という「DJI Digital FPV System」を搭載した衝撃的なマイクロFPVドローンが発売されましたので、紹介したいと思います。先に申し上げておきます。今回紹介する製品は、現在の日本では、業務用を除いて利用することができません。ただ、ここまで世界の技術は進んでいるということを知って欲しい。また、今後の日本の電波行政も、改革をせざるを得ないでしょうが、その背景にある技術革新の一端を少しでも多くの人が知っておくことは、健全な改革が行われるために無駄ではないと思います。

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1.別次元のクォリティを持つ「DJI Digital FPV System」

何がスゴいのか?

現在、日本のFPVで一般的に使われるのは、アナログ通信です。アナログ通信映像は、どうしてもノイズが入り、映像そのものも荒いです。よく見るきれいな空撮映像は、ドローンに搭載しているカメラに録画されたもので、リアルタイムでみているものではありません。手持ちのドローンの録画映像から比較してみましょう。

空中散歩~カメラ録画映像とFPV映像の比較

まあ、これは機材も悪いので、もっといい機材を使えばかなりマシにはなります。それでも、リアルタイムで見ているアナログのFPVの品質の悪さは伝わるでしょう。これは、遅延の少ない映像を見るためにはやむを得ないことでした。

ところが、昨年、DJIが発表した「DJI Digital FPV System」は、世界中の度肝を抜きました。

えーっと、え? これマジでリアルタイム映像? ちょっと別次元過ぎて意味わかんないレベル。

価格も許容範囲、というか、性能からすると安い

BETAFPV Beta85X / Beta75X HD Digital
でもでも、さぞやお高いんでしょう? 日本じゃ買えないんで、はっきりいくらとは言えないんですが、はい、カメラとVTXとゴーグルセットで、コミコミ8万円くらい。ゴーグルだけなら、6万円弱。

……確かに高いけれど、ある程度本格的にドローンをやるなら、出せない金額じゃないです。だって、アナログ通信でも、トップクラスのゴーグルが約6万円、4K録画可能なFPVカメラが約1万円、これに日本国内で使えるいいVTXが数千円、って、アナログ通信の最上級クラスで揃えるのとあんまり変わらないじゃん。そうそう、VTXの開局申請にさらに約2万円かかりますね。

やはりたちはだかる電波法の壁

この「DJI Digital FPV System」は、5.8GHz帯の電波を利用します。また、DJIは日本でもMavicシリーズやTelloなど、技適を取得して電波法をクリアしたドローンの販売実績があるため、開局申請の手間はかかるものの、日本でも使えるんじゃないかと期待が高まりました。

が、結論を言うと、結局DJI Digital FPV Systemは、「無人移動体画像伝送システム」となり、アマチュア利用の道は断たれたのでした。逆に言えば、業務用の利用は可能なわけですが、これはこれで様々なハードルがあります。業務用利用のあれこれについては、話が逸れるので、ここでは割愛します。

2.進む小型化とお手軽化

「Caddx Vista」の登場と、搭載ドローンの発売

でも重いんでしょう? ……軽量化に関しては、すぐにCaddx社がDJI Digital FPV Systemに対応した「Caddx Vista」シリーズを発売、カメラ重量をおおむね30gに納めてきます。

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そしてもちろん、このCaddx Vistaを搭載したドローンが発売されていきます。代表例として、今年初めに発売された「Beta95X」があげられるでしょう。

ただ、まだデカい、重い。フレームサイズは95mm、重量はバッテリー抜きで110g。いや、これでも十分、小型軽量ですけどね。でも狭い日本の屋内などで飛ばすには、もっと小型化しないと。

従来のCineWhoopと変わらないサイズ・重量の「Beta85X / Beta75X HD Digital」発売

そして先日、さらなる小型化、軽量化を成し遂げたカメラ「CaddxFPV Nebula Nano Kit」をさらにカスタムして軽量化して搭載した、「Beta85X Whoop Quadcopter (HD Digital VTX)」「Beta75X Whoop Quadcopter (HD Digital VTX)」が発売されるに至りました。

BETAFPV Beta85X / Beta75X HD Digital
これがざっとのスペック表。重量に注目してください。昨年発売された、1080Pでの撮影が可能な85mmフレームの「Beta85X HD」が重量80g、75mmフレームの「Beta75X HD」が重量57.6gです。完全上位互換、というか、すでに見たように別次元のスペックアップであるにもかかわらず、さらに軽量化。特にBeta75X HDは、このスペックなら、調整次第で狭い屋内もスイスイいけそうです。

カメラ性能だけにとどまりません、Beta85X / Beta75X HD Digitalは、数キロに及ぶ(もちろん条件次第)長距離の操縦も可能な「TBS Crossfire」を搭載したバージョンもあるんです。TBS Crossfireの利用する周波数は、日本ではアマチュアが使うには完全違法のため、使用できません。が、製品としては、お値段1,500円ほどプラスするだけで、それほどの性能を付加することも可能なんです。

価格は、レシーバーの選択にもよりますが、約30,000円。と、いうことは、まったくのはじめからでも、

ドローン本体(Beta85X / Beta75X HD Digital):約30,000円
DJI Digital FPV Systemゴーグル:約60,000円
操縦機(Jumper T8SG V2.0 Plus):約10,000円

コミコミ約10万円で、これだけの最新技術が手に入ってしまいます。

3.このままでよいのか?

DJI Digital FPV Systemも、TBS Crossfireも、日本のアマチュアドローンの技術水準からすると、はるかに飛躍したまるでSFの世界です。しかし、これだけの技術が、安価に、誰にでも手に入る状況が、すでに世界にはあるんです。

現状のドローン行政、電波行政の大きな問題点は、悪意のある、もしくはモラルの低い、あるいは無知な人へ、実効性のある抑止と取り締まりを行うことができず、現実に問題が起こっても有効な対応を行えず、正直者だけがお金を吸い上げられているところにあるでしょう。率直に言って、技術の進歩について行けていない。例えば、現行の体制では、いくら違法だと叫んでも、DJI Digital FPV SystemとTBS Crossfireを搭載したBeta85X / Beta75X HD Digitalを、入手し、使用するのを抑止することはできませんから。対策として、銃や麻薬のように取り締まりの強度、特に輸入の水際対策を強めて、何か新しい社会問題につながりそうな技術は日本社会から閉め出し、研究機関だけのものとするべきと考える人もいるでしょう。ストレートに言うとキツいですが、そういった指向を持つ人は存外に多く、その方向で政策が進む可能性は十分ありうるように思います。しかし、そんなことをしているあいだにも、世界との技術の裾野の差は開いていきます。それは、社会全体の技術に対するリテラシーの差が開くということです。それでよいのでしょうか?

最後に、今回の記事、そしてそもそもこの一連のドローン連載は、「健全な行政が行われる背景作りのために、一人でも多くの人に情報を発信する」ことも、頭の隅に置いて執筆しています。どの程度の意味があるかは分かりませんが、何もしないよりはマシだろうという思いです。大前提として、規制の撤廃を求めているのではなく、政策論争をするつもりもありません。より現実的に合理性と実効性のある行政のあり方を考える、その材料を提供したいのみ、という趣旨を、どうぞご理解ください。

4.関連リンク

Digital VTX Series:BETAFPV
DJI Digital FPV System:DJI(日本国内からは多分アクセスできません、画面右下の国指定を日本以外にすることで閲覧できます)

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