こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回の記事は読者レビューということになるんですけど、ウインタブの読者レビュー企画とは異なり、「VOYO VBook V1」の実機を購入された方が自発的に投稿してくれたものです。厳しいご批判(それなりの理由があります)をされる一方、製品のいいところもしっかりチェックされている秀逸な内容だと思いますので、そのまま掲載いたします。というかこの方、冒頭で非常に怒っておられますが、読み進んでいくうちに「ガジェット愛」のようなものが伝わってきて、「結局この人は(ときにため息をつきながらも)最後までVBook V1を可愛がるんだろうなあ」と思いました(間違えていたらごめんなさい)。なので、ぜひ掲載したいと思いました。投稿者は「nemoさん」です。ご投稿ありがとうございました。
1.はじめに
はじめまして。今回、Gearbestからvoyo VBook V1(Wi-Fiのみ・Windows10単独モデル)を購入し、商品ページに記載されている情報とあまりに多くの違いがありましたので同商品の購入を検討されている方に少しでも参考になれば、と思い、このレビューを書いております。なお、本レビューはほとんどハードウェア面に関しての情報となりますのでご了承ください。
まずこのVBook V1に関してですが、これに興味をもつ方が惹かれるポイントはその抜群の携帯性にあると思います。少なくとも私が購入を決断した理由はそこでした。10.1インチサイズの画面回転式コンバーチブル、というだけで珍しいですし、それに加え、商品ページで紹介されている「重量790g」「厚み13mm」という数値は国産高級機のLet’s note(CF-RZ5)に迫りそうな勢いです。CF-RZ5はカタログ重量が約745gですのでLet’sのほうが軽量とはいえ差は50g程度に過ぎず、そして厚みは突起部除いて19.5mmですから、数値上VBookのほうが薄いことになります。
それでいて販売価格はLet’sが最安構成でもほぼ20万円なのに対し、VBook V1はセール時なら200ドル強と1/10とは言わないまでも実に1/8程度の安さです。これは期待できる! と思い、3/15までのプレセール期間中にGearbestに発注しました。
さて、長々文章を書かれても伝わりづらいかと思いますので、まずは写真でご確認ください。
手に取ったとき、わりとずっしりくるな、とは思いました。それにしても1006gとは!期待しつつも購入の段階で790gは眉唾物だと思っており、100gくらいは鯖を読んでくるだろうからまあ900g台前半くらいだろう、あわよくば900g切ってるといいな…と楽観的なことを考えておりましたがまさか1kgを数gとはいえ平然と超えてくるとは思いもよりませんでした。さすが中華クオリティ。これは詐欺と呼んでも差支えないのではないだろうか、などと考えてしまいます。
厚みについても同様ですね。全体として、ヒンジのある側のほうがない側に比べてほんの少し厚くなっていますがそれ自体は誤差の範囲であり、一方で”thickness 13mm”という表記との誤差はご覧のありさまです。もちろん写っていない部分もほぼ同様の厚みで、最薄部が13mmって言ったんだよ! という言い訳も通りません。ああ、液晶を180度開いてフルフラットにすればそれより多少薄くなるかもしれませんね。
本体の縦横寸法自体は商品ページの記載とほぼ同数値でしたので、厚みだけが約7mmほど増え、合わせて重量も220gばかり増えたことになります。
これはひょっとして違う機種が手違いで送られてきたのではないか? と一縷の望みを抱くも、少なくとも本体裏面の型式名ははっきりVBook V1だと主張しておりますので、合っているようです。
正直なところ、この表記との乖離具合でだいぶテンションが下がり、あまり積極的に触ることができておりません。ですが、せっかくですから、商品ページではわからない部分について少しだけ情報を提供させていただきます。
2.キーボードについて
ビルトインキーボードもこの商品の魅力の一つのはずですので、まずはそちらから。
目測で、キーピッチはおおむね17-8mmというところかと思います。写真もご参照ください。この数値自体には文句はありません。むしろ本体サイズを考えれば大健闘なのではないでしょうか。
ただし配列は割と特殊です。いわゆる変態配列に片足突っ込んでいる感じは否めません。特に、数字キーが明らかに小さく、かつファンクションキー兼用であることは商品ページの写真でわかっていましたが、EscにFn同時押しでF1を割り当て、以降数字の1にF2、2にF3… と1つずつズレて配置されている、というほかではなかなか見た記憶のないアクロバティックな作りとなっており、誤入力を誘発します。
それ以外にも、Enterが妙に小さかったり、特にキーボード右側で記号関係のキーが変則的な配置になっていたりと慣れるまでにはけっこうな時間を要しそうなキーボードだな、というのが正直な感想です。もちろん、これは本体の小型化とトレードオフなのである程度覚悟はしていました。
では打鍵感はどうかというと、かなり人を選びそうです。ストロークは適当に定規で計った感じで、1.5mmあるかどうか、というところでしょうか。やはり値段相応というべきか、パンタグラフの中でもかなりペナペナした感覚です。以前WintabさんでレビューされていたKKMoonの59キー超小型キーボードを私も所有しておりますが、あれよりも打鍵感は劣り、取りこぼしも発生しやすい、と、私個人としては感じます。
タッチパッドは大きめのように感じますが、本体がコンパクトだからそう見えるだけかもしれません。物理的なクリックボタンのない=押し込んでもカチっと音のしない、タップのみで操作するタイプです。なお、「高機能なタッチパッド」ではない扱いなので、たとえば3本指でタップすると必ずCortanaが起動しこの動作をアクションセンター起動に割り当て変更等はできないようになっています。
3.全体的な筐体のつくりについて
天板と裏側はほぼ樹脂製、開いた内面は確証はないけれど手触りなどから合金だろうか、と思います。シャンパンゴールドの色味は好みです。また、表面の加工はさらっとした手触りに仕上げられていて色のおかげもあり、指紋はほとんどつきませんし、目立ちません。この点は嬉しいです。
ただ、よく見ると細部の仕上げが適当だな、と感じます。
たとえばこれは液晶を閉じた状態でヒンジ部を背面から見ている写真ですが、外装樹脂部分の成形色らしき白っぽい部分が端のところで思いっきり露出しています。
同じようにUSBポートなどの開口部でも樹脂の地の色がはっきりと見えます。また、こうした部分を触るとケバが残っているような感触が指先に伝わります。
パッと見は良くても、細かい部分はこれまた値段相応ということのようです。
いわゆる4つのスタイル云々については特に問題なく機能します。ヒンジは金属製(たぶん)でかなり頑丈そうなので、ここが壊れる心配をする前にほかの部位にガタが来そうです。もちろん、180度より大きく液晶を開いて2軸目のヒンジが動いた段階で、ちゃんとキーボードにロックがかかります。これらに伴いヒンジのバネはかなり強めなので、閉じた状態から片手で開くのはまず無理です。
また、電源と音量調整のボタンはプラスチック製で、クリック感があるので手さぐりでも押せます。
4.うれしかったところ
さて、ここまであまりにも悪いことばかり伝えすぎている気がするので、個人的にうれしかった点も書いておきます。
モバイルバッテリー等からのUSB充電が可能
DC端子はEIAJ #1(外径2.35/内径0.7mm)ですので、市販されているUSB電源ケーブルが使えました。バッテリー残量が4%になった状態でスリープさせ、カタログ容量10000mahのモバイルバッテリー(Anker Astro E3 第二世代)を接続して一晩放置してみたところ、翌朝72%まで回復していました。
なお、本来の充電規格が5V3Aのため、モバイルバッテリーも最大3A出力対応のものを用いたもののケーブルの方がボトルネックとなり、実際の電流としては画像の通り1A程度しか流れていません。
作業しながらの給電は難しいかもしれませんが(まだ試していません)、移動中などにモバイルバッテリーをつないでおいて延命、といった使い方は可能かと思われます。
スタイラスが付属
商品ページではスタイラスは別売りと明記されていたのですが、箱を開けたら平然と一緒に入っていました。
MicroUSB端子から充電する電池内蔵のタイプです。端子の下の小さなでっぱりが電源スイッチで、OFFからONにするときは軽く押すだけでOK、切るときは長押しが必要と、使用中の誤爆に配慮された作りです。スイッチは電源ひとつのみです。また、稼働状態のわかるLEDがついています。
持った感覚としては4色ボールペン等太目のペンと似たような感じでしょうか。普通に使えます。Windows Journalで適当に文字などを書いてみた感覚では、一画一画の書き終わりをはっきり意識して液晶からスタイラスを離してやる必要があります。普通に紙とペンを使っているような感覚でいると線を連続して引いていると判定され、すべて一筆書きのようにつながってしまうことが多々あります。私個人としてはあまり手書きの需要がないので、マウス代わりに活用できそうです。
5.おわりに
ずいぶん長くなってしまい申し訳ありません。
総評としては、宣伝文句の数値を鵜呑みにして薄さ軽さに期待しすぎるとがっかりすること請け合いですが、それを理解した上でならサブ機として使い道を見出すことは可能なのではないかと思います。
厚みはともかく、本機のフットプリントはB5用紙とほぼ同じでコンパクトであることは間違いなく、たとえば国内で人気の高い低価格モバイルPCの代表格、ASUSのX205TAと比べてもより省スペースです。
画面もキーボードも小さいくせにVBookの方が重いじゃないか! という指摘はごもっともとして、X205TAはあくまでノートPCであり、液晶の視野角や液晶を開く際の最大角度など、人によっては「もうちょっとココどうにかならないかな」というポイントがないわけではないと思います。
VBookのほうはコンバーチブル機であり、IPS液晶の視野角の広さ、どの角度にも自由に開けるヒンジなどこの価格帯・サイズではほぼ唯一といえる強みをいろいろ持っているのは事実であり、それがハマる人にとっては非常に有用なマシンとなりうる可能性を十分に秘めているものだと感じます。
ただ、今回の騙し討ち(これくらいは言わせてください)を受けたいちユーザーとしては今後voyo製品をプレセールで買うことは永劫にありえません、というところでオチとさせていただきます。
コメント
ものっすごく参考になりました。
以前より(動作自体が全くダメと言う意味での)詐欺商品や値段以下の性能のものがかなり減ったとは言え、まだまだ公表値が実製品と大幅に違うものは有るんですねぇ。
モバイル機器としては200グラム以上違えば選択肢から外す人も出るでしょうし。
電池式のスタイラスが付いてたのは「製品が目標値を満たせなかったけどコレ付けるから」と言わんばかりですね。とはいえそのスタイラスは欲しい気はします。
(国内の信頼できそうなのを買うにも4千円前後からだしちょっと躊躇してます。)
いまのところは値段分にはしっかり使えそうなのと見た目が国内の5万円未満ノートよりも安くなさそうな外見が救いでしょうか。
ただ、ぼく自身はキーボード付きも欲しいとは思いながらもJPキーじゃないと記号の配置に戸惑うので日本市場向けの物しか選択できないです。
(その上大手メーカーばかりになるし品質は良いけど高めで買えずと・・・。)
あるえふさん、こんにちは、コメントありがとうございます。この方の文章、なんか私好きなんですよね。年齢とか全然わからないんですけど、頑固親父のやさしさみたいなのがあります。
キーボードの配列ですが、英字配列の一般的なものとあまり変わりありません。
たしかに画像を見た限り端の方はギュウギュウに詰め込んでかなりの無理をしているように見えますが、カッコの位置だけは標準的なものだと思います。
コメント失礼致します。
どちらでご購入なされましたか?