今年春以降、各社から従来より割安で新型のCPUなどを搭載した10インチモデルがどんどん発表されていますね。昨年暮れからしばらくの間、Windowsタブレットといえば8インチ、という感じでしたが、現在では8インチか10インチか、あるいはサブノートか、という感じで、購入を考えている人は頭を悩ませていることでしょう。
今回は「どのサイズのWindowsにするのか?」という視点で私の考えをまとめてみました。例によって今回もSurface Proについては触れていませんが、文脈上「10インチの仲間」と理解して下さい。それと、個別機種のスペックについては本文で触れていないので、一番下の「関連リンク」のところでチェックをお願いします。
1.サイズ感
8インチタブレットのタテ×ヨコのサイズはざっくり書くと21センチ強×13センチ強、一方の10インチタブレットは25センチ強×17センチ強なので、一回り大きい、という感じです。ちなみにB5サイズの寸法が25.7センチ×18.2センチなので、10インチタブレットはだいたいB5用紙と同じくらいのサイズ、と考えるとわかりやすですね。厚さについては8インチと10インチで大きな差はなく、1センチ前後です。このサイズ感だと例えばバッグに入れて持ち運ぶ際、8インチだと楽で10インチだとじゃまになる、ということはない、と思われます。
手で持った感じでも、大きさだけなら10インチでも扱いにくい、ということはなさそうです。ただし小柄な女性や子供の場合は、8インチの方が取り回しが楽であることは間違いありません。問題なのは重さです。8インチタブレットの重さはほとんどが400グラム以下で、最も高スペックなThinkPad 8で430グラムとなっていますが、10インチタブレットの場合550~650グラムほどになります。私は「タブレットの快適性は重さで決まる」と思っています。長時間片手で持った際に8インチと10インチでは体感的に相当な差が生じるはずで、10インチを選ぶ場合、この点はかなり不利になるということを覚悟すべきです。
2.コンテンツ消費型スタイル
「コンテンツ消費型」というのは必ずしも適当な表現じゃないかもしれません。海外メディアでよく”content consumption”という表現が使われているので、適当に訳してみました。要するにWebブラウジングとか、動画視聴とか、用意されたWebコンテンツを楽しむような使い方、という意味でコンテンツ消費型、という言葉にしています。わかりにくくてすみません。
より具体的に書くと、YouTubeとか艦これとか電子書籍とか、または様々なWindowsストアアプリ、それもゲームなどを楽しむための使い方ですね。このような場合、通勤電車の中だったり、自宅のソファーで寝転んでいたり、昼休みにお弁当を食べながらだったりという使い方になりますが、より軽く持ちやすい8インチタブレットのほうが便利に使えると思います。画面が小さいと言っても日頃スマホの画面に慣れている身としては十分な大きさですし、一人で楽しむぶんには8インチでそれほど不満は出ないはずです。
10インチの方が画面が大きいぶんだけYouTubeにしても迫力があると思いますが、それ以上に重さがジワジワ来るはずです。なので、コンテンツ消費型の使い方なら8インチの勝ちでしょう。
3.生産性ツールとして
これも正しい表現といえるかわかりませんが、”content creation”という表現を海外メディアで見かけたので。要するにExcelやWordで資料を作ったり、フォトレタッチソフトで画像を加工したりといった、何かを生み出す、言い換えると仕事に使う、という意味でご理解ください。
このような使い方をする場合、たいていはキーボードとマウスなどのポインティングデバイスを使うことになります。タブレットのソフトキーボードも使えますが、半日とか一日という長時間の作業に使う気にはなれません。この場合、外付けのキーボードを使うことになりますが、四六時中キーボードを使う作業をするのなら、タブレットを買うよりもノートPCを買うほうが正しい選択だと言えます。
そこを百歩譲って、キーボード使用を前提とする場合、8インチでもDELL Venue 8 Proのようにスッキリとしたケース兼用のキーボードがついている機種もありますが、10インチタブレットのほうが圧倒的に有利になります。最近の10インチモデルはキーボードが付属していたり、純正キーボードが用意されているものがほとんどです。これらの純正品はタブレットと組み合わせた際のデザイン性と、実際の使い勝手に優れています。また、8インチにピッタリとサイズが合うキーボードと10インチ用のキーボードでは、キーピッチ(キーの大きさ)が違いますので、10インチ用のほうがすっと入力しやすいと言えます。
また、画面の大きさも効きます。8インチと10インチの差は(当たり前ですけど)2インチですが、どちらも十分に大きいサイズとは言えません。でもこの2インチの差は作業する際の目の疲れに大きく影響します。8インチの場合、集中してExcelやWordを操作すると、私の場合は1時間位でかなり目が疲れてしまいますが、10インチの場合は目の疲れはかなり軽減されるはずです。
よって生産性ツールとしてとらえた場合、10インチのほうがずっと使いやすいということになります。
4.価格
Surface Proに言及しない最大の理由はここです。それはさておき、8インチタブレットの価格は3万台後半から4万円台です。ThinkPad 8だけはもうちょっと高くて5万円台後半からになります。一方10インチタブレットは5万円台後半からで、実質的には6~9万円くらいです。HPのOmni10だけはOfficeレスで4万円台という例外的な低価格になります。なので、安くおさめたい、という人には8インチということになりそうです。10インチの方は安くなったとはいえ、まだまだ8インチとの価格差は大きめですね。こうしてみると、やはり8インチってものすごくお買い得な「パソコン」って改めて思います。
5.結論
タブレット本来の使い方なら8インチ
気軽に持ち歩いて、どこでもコンテンツ消費、ということを重視するなら8インチです。このように割り切れる人の多くは自宅に自分専用のデスクトップPCやノートPCを既に持っているか、あるいはWindowsのデスクトップを使う必要がない人だと思います。じゃiPadとかAndroidでもいいじゃん、という声も聞こえてきそうですが、いざというときにデスクトップが使える、という安心感は異常です。例えばメインマシンが不調のとき、例えばめったにない出張に行かされるとき、例えば数年ぶりに自宅に仕事を持ち帰らなくてはならないとき…。なので8インチであってもWindowsタブレットを買う場合は念の為に外付けキーボードも一緒に買うようにしましょうね。
仕事でも使いたい人には10インチ
頻度は人それぞれにせよ、あらかじめ仕事(あるいは学業)でも使うことが想定される場合は10インチです。また、自宅のPCがWindowsXPなので早めに買い換える必要があるけど、あんまりヘビーには使わないし、タブレットで済ませたいなあ、的な人にも10インチをおすすめします。特に最近の10インチモデルはキーボードの使用を半ば前提としているものが多く、タブレットというよりは「2 in 1」というべき内容になっていますので、B5ノートPCの機能を完全に代替すると思ってOKなのです。明らかにExcelもWordも使わないような休みの日にはタブレットだけ、通勤や出張の際にはキーボードをセットして持ち歩く、というスタイルになると思いますが、生産性ツールとして完璧な仕事をしてくれると思います。
言われてるほど非力じゃないよ
Windowsタブレットの多くはCPUにAtomを使っています。以前ネットブックが流行った際に「安かろう、悪かろう」との悪評もあり、その元凶としてAtomプロセッサが低スペックであることが指摘されていたせいで、いまだにAtomという名前をよく思わない人もいるみたいですが、現在のAtomは格段に進歩しています。非力さを感じるケースはPhotoshopで画像加工をしたり、インストール型のネットゲーム(艦これのようなブラウザゲームではない)をする時などですが、それ以外にはほとんど不満を感じることはありません。Excelの計算処理が遅いと感じることもないし、YouTubeがカクカクすることもありません。なので上に書いたコンテンツ消費型の使い方ではほぼ不満はなく、生産性ツールとして専門性の高い演算処理などをする場合に不満が出る可能性があるくらいです。逆に言えばゲーマーはタブレットでゲームをやろうと思わないでしょうし、専門職の人もタブレットで複雑なプログラムを走らせるようなことをしようと思わないでしょう。普通の人が普通にタブレットを使う、ということでは全く問題はないと思いますよ。
それと最後にストレージについて書きます。OneDriveなどのクラウドストレージを使う場合、一般的な64GBで困る可能性は低いです。本当は「可能性はありません」と書きたいのですが、使い方は人それぞれですから…。32GBの場合は、使わないアプリやソフトウェアをこまめにアンインストールするとか、クラウドに置けない資料などはmicroSDに保存するとかの手間が必要ですが、そこを我慢できれば十分快適に使うことができます。私も32GBを使っていますが、今のところ特に困ったことはありません。しいて言えばWindowsストアアプリをインストールする際、必ず内蔵ストレージが選ばれてしまうので、レースゲームとかアクションゲームのようにサイズが1GBを越えるようなアプリをたくさんインストールしたい、という人には辛いかもしれません。
6.関連リンク
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