OMEN(オーメン)という言葉は「兆し」とか「前兆」あるいは「お告げ」という意味なんだそうですが、私達日本人がこの単語から連想するのはホラー映画の「オーメン」だと思います。はっきり言って「怖い」「おどろおどろしい」というイメージが強いので、「なんでパソコンにこんな名前をつけるんだろう?」などと思ってしまいます。今回紹介する「OMEN by HP 15」はHPのハイエンドなゲーミングノートですが、ブラックの筐体に赤いアクセント、というデザインなので、OMENという語感と合わせて、なんだか近寄りがたい印象もあります。
製品名は置いておいて、この「OMEN」という製品、ゲーマーの間ではおなじみで、それなりに代を重ねています。そして、そのOMENの15.6インチが2018年モデルになりました。なお、OMENをはじめとするHPのゲーミングPC戦略については、7月12日に開催されたHPの新製品説明会の模様を記事にしていますので、下記のリンクも合わせてご覧ください。
HPの「ゲーミングPC新製品説明会」に行ってきました!市場を睨んだブランド展開と製品投入の説明が面白かった!
1.スペック
OMENのノートPCには15.6インチと17.3インチがあり、さらに「OMEN X」というリアルにハイエンドな製品(17.3インチです)もあります。今回リニューアルされたのはその中で「15.6インチのXなし」です。15.6インチのゲーミングノートとしては現在のところHPのトップモデルではありますが、スペックのほうはやや常識的なものになっています。
OSはPro版オンリーとなります。CPUは第8世代(Coffee Lake)の6コア、Core i7-8750Hです。GPUはGeForce GTX1060もしくはGTX1070(with Max-Qデザイン)となり、RAMは16GB、ストレージは256GB SSD + 2TB HDDです。Core i9とかGTX1080の設定はありません。おそらく「OMEN X」がリニューアルされる際に採用されるのかもしれないですね。このスペックでも十分すぎるくらいに高性能だと思いますが、「やや常識的」と書いたのはリアルにハイエンドなCPUとGPUの搭載がないことによります。
この製品で力が入っているのは、まずディスプレイです。解像度こそFHDにとどまるものの、リフレッシュレート(1秒間に何回画面が切り替わるかという数値です。この数値が大きいほどディスプレイの反応速度が速く、画面がなめらかに遷移します)は144 Hz(一般的なノートPCは60 Hz)です。
ゲーミングノートではここ最近、「リフレッシュレート」が注目されていて、各社120 Hzくらいのものをリリースしていますが、OMENは従来モデルから120 Hzのディスプレイを採用しており、さらにニューモデルで144 Hzにレベルアップしています。また、HPのご担当者によれば、高リフレッシュレートのディスプレイはTN液晶やVA液晶が多くなるところ、「OMENはIPSです」とのことでした。
それと、「画面がなめらかに」ということだとNVIDIAのG-Syncに対応するかどうか、というのも重要ですが、もちろんOMENは対応します。
入出力ポートはかなりの充実ぶりです。そして、ポートの数と種類を充実させただけでなく、配置も大きく見直しています。
このように映像出力系ポートとLANポートを背面に配置し、接続の利便性と接続時の快適操作を考慮したつくりになっています。
ニューモデルの設計で注力された点がもう一つ。エアフローの改善です。冷却まわりのパーツを変更し、通気口を大型化することによって、筐体サイズのコンパクト化(後述します)によっても冷却性能を維持・向上させています。
2.筐体
横幅360 mmというのはゲーミングノートとしてではなく、15.6インチのスタンダードノートとしても最小クラスとなります。つまり、「すごく小さくなりました」
従来のOMENはいかついデザインに加え、サイズのほうもなかなか大柄でした。一方でニューモデルは本当に小さくなっています。厚さだけはほんの少し大きくなりましたが、記事タイトルにあるように「ふた回りくらい」小さくなったと言っても過言ではないと思います。重量が2.48 kgありますし、ゲーミングノートですからACアダプターも大型になっていると思いますので、持ち運びは容易ではないでしょうが、「その気になれる」かもしれません。
ディスプレイのベゼル幅もかなり細くなりました。「ベゼルとゲーム時の没入感」の関係性については私もよくわからないですが、まあ、ベゼルは細いほうがいいですよね、カッコよく見えるし。
天板のデザインは相変わらず、と書くと叱られますね。ご覧の通り決して地味ではありませんw
キーボードです。日本仕様は日本語配列となります。26キーロールオーバー(26個のキーを同時押ししてもすべて認識されるということです)、アンチゴースト機能があり、もちろん専用の設定アプリ「OMENコマンドセンター」でバックライトの設定も可能です。
それとこの製品、ノートPCでありながら、拡張性も考慮されています。この画像は7月12日に開催されたHPの新製品説明会で使われていたものですが、背面パネルの着脱が容易にできるように設計されています。一般的なプラスドライバーが1本必要ですが、それ以外の工具は不要とのことです。
3.価格など
OMEN By HP 15(2018)はHP Directplusで販売中で、7月14日現在の価格は下記のとおりです。
パフォーマンス(GTX1060): 199,800(215,784円)
ハイパフォーマンス(GTX1070): 219,800円(237,784円)
※カッコ内は税込み価格
パフォーマンスモデルとハイパフォーマンスモデルの違いは搭載するGPUの型番のみです。HPの15.6インチゲーミングノートのトップモデルだけあって、安いとは言えない価格ですが、細部までゲーマーのことをよく考えて作られていると思いますし、Pavilion Gaming 15にライトゲーマーやコンテンツクリエイターのニーズを任せ、OMENは純粋なゲーミングマシンとしての性能(CPUやGPUだけでなく、パッケージングとしての総合性能)を追求する、ということで、ある意味わかりやすいコンセプトになったと思います。ただ、面白いのはゲーミングに特化しつつ、筐体を従来モデルよりもはるかにコンパクトに、そしてスタイリッシュに仕上げたことによって、逆に私みたいな非ゲーマーが見ても「ずいぶんカッコよくなったなあ、欲しいなあ」と思えるようになった、ということです。
最近はウインタブがメーカーさんの製品発表会などに参加させてもらう際、お題が「ゲーミングPC」である、ということが本当に増えました。また、実機レビューをさせてもらえる製品もゲーミングノートのウエイトが上がってきています。PC市場はここのところ伸び悩んでいるようですが、その中にあって好調なのがゲーミングPCのジャンルである、ということは各社揃っておっしゃいます。私達も次に購入するPCは「ゲーミング」になるかもしれないですね。