ASUSのコンバーチブル2 in 1「ROG Flow X16 GV601」の実機レビューです。製品名に「ROG」と入っている通り、ゲーミング2 in 1という、ちょっと珍しい製品ジャンルです。ASUSは「ROG Flow X13(コンバーチブル2 in 1)」「ROG Flow Z13(デタッチャブル2 in 1)」という、他社にはない2つの13.4インチ「モバイル・ゲーミング2 in 1」を擁するメーカーですが、今回レビューするROG Flow X16 GV601はROG Flow X13を大きくした、という感じの製品です。ただし、単に大きくなっただけでなく、パフォーマンスやディスプレイ品質などが向上し、ハイスペック・ゲーミングPCと呼ぶにふさわしい内容になっていますし、クリエイターのニーズにも合う製品と言えます。
・珍しい「コンバーチブル2 in 1筐体のハイスペックゲーミングPC」
・重量級ゲームも高画質でプレイできるパフォーマンス
・Mini LEDを採用したディスプレイの発色品質は抜群!
・クワッドスピーカー搭載で臨場感あるスピーカー音質
ここはイマイチ
・キーボードバックライトはRGBだが1ゾーンのみ
・発熱量は大きめ(ただし、ゲームプレイに支障なし)
販売サイトはこちら
ROG Flow X16:ASUS Store製品紹介ページ
ROG Flow X16 GV601RW(RTX3070Ti):ASUS Store
目次
1.ROG Flow X16 GV601 スペック
スペック表
ROG Flow X16 GV601 | |
OS | Windows 11 Home |
CPU | AMD Ryzen 7 6800HS |
外部GPU | NVIDIA GeForce RTX3060/RTX3070Ti (すべて”Laptop”) |
RAM | 32GB(DDR5-4800) |
ストレージ | 512GB/1TB SSD((PCIe4.0 x4 接続) |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 16インチ(2,560 × 1,600)タッチ、165Hz |
ネットワーク | 802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.1 |
入出力 | USB3.2 Gen2 Type-C × 2、USB3.2 Gen2 × 2、HDMI、microSDカードリーダー、オーディオジャック、ROG XG Mobile インターフェース |
カメラ | Webカメラ(92万画素)顔認証対応 |
バッテリー | 90Whr/約7.9時間 |
サイズ | 355 × 243.5 × 22.9 mm |
重量 | 2.15 kg |
バリエーションモデル
・GV601RM-R7R3060:RTX3060/512GB SSD
・GV601RW-R7R3070TI:RTX3070Ti/1TB SSD(レビュー機の構成)
※2モデルの相違点はGPUの型番とSSD容量のみです
コメント
冒頭に書いた通り、ROG Flow X16はハイスペックなゲーミングPCでありながらヒンジが360°開口するコンバーチブル2 in 1筐体を採用した個性的な製品です。
CPUには最新型番のRyzen 7 6800HS、GPUにはGeForce RTX3060/RTX3070Tiが搭載され、ゲーミングノートとしては中位/上位クラスの構成と言えます。冷却面も強化されており、CPUグリスにはThermal Grizzly製の液体金属グリスを使用、3つのクーリングファンと5本のヒートパイプにより、安定した冷却を実現しています。また、RAMは32GBと大容量、SSDは512GB/1TBが設定されています。
ROG Flow X16はディスプレイの品質も極めて高くなっています。「Nebula HDR ディスプレイ」という名称で、Mini LEDを採用し解像度が2,560 × 1,600と高精細で、リフレッシュレートもゲーミングノートらしく165Hzと高速です。また「Dolby Vision対応」「Pantone色認証」「DisplayHDR 1000認証」「100%DCI-P3対応」と、非常に高い発色品質になっています。コンバーチブル2 in 1筐体なので、もちろんタッチ対応です。
では、さっそく筐体から見ていきましょう。
2.ROG Flow X16 GV601 筐体と使用感
同梱物
同梱物です。ペーパー類は取扱説明書と保証書、設定アプリMyASUSの説明(画像左下)、必ず初めにお読み下さい(画像下中央)が入っていました。取扱説明書は分厚く、親切な内容です。ACアダプターは大型で240W出力のもの、電源ケーブル込みの実測重量は735 gありました。結構な重さですが、240W出力ということもあり、ここは仕方のないところでしょう。
あと、こんなものが…。これはPCスタンドです。今回は試していない(折り目などがついていなかったため)ですが、「三角柱」になるように組み立てて、PCの底面に置くと、キーボード面に角度がついて使いやすくなるというものですね。…まあ、これを使うかどうかはお好みで…。
天板と底面
天板です。正確な筐体素材は不明ですが、金属製で表面に「グラビティテクスチャー」が施され、さらにサンドブラスト加工されています。
アップで見るとこんな感じ、細かい格子状の立体的な模様が入っています。手に持った際によく馴染み、滑りにくいです。
底面です。こちらにも天板と同様、グラビティテクスチャーが入っています。中央と上部に通気孔、下部の左右にはスピーカーグリルがあります。
側面
前面です。この面にはポート類、ボタン類はありません。
背面です。こちらにもポート類・ボタン類はなく、ゲーミングPCらしい、大きな通気口があります。
左側面です。画像左からDC-INジャック、HDMI、USB Type-C、少し間が空いてイヤホンジャックがあります。で、その「少し間が空いて」のところですが…
ゴムカバーを開けるとXG Mobile(ROG Flowシリーズ専用の外付けGPU BOX)用の接続コネクター(専用端子とUSB Type-C)があります。なお、今回のレビューではXG Moblileを接続してのテストはしませんが、ROG Flow X16はXG Mobileとも接続が可能です。
右側面です。画像左から電源ボタン、microSDカードリーダー、USB Type-A × 2です。コンバーチブル2 in 1筐体なので電源ボタンは側面ですね。また、XG Mobile用のコネクターも含めて考えると、入出力ポートの構成は充実しているほうだと思います。
この製品はACアダプターのほか、2つのUSB Type-Cポートからの充電が可能です。ただし、もともとのACアダプターの出力が240Wありましたので、スマホ用のモバイルバッテリーだと出力が小さすぎて充電はできないと思います(今回は100W出力の急速充電器でテストしました)。
ディスプレイ
正面から見たところです。ご覧のようにディスプレイのベゼルは上下左右とも細く、miniLEDの極めて美しい発色品質が活きるデザインになっています。
ただし、タッチ対応ディスプレイのほとんどがそうであるように、この製品のディスプレイもグレア(光沢)タイプです。この画像はわざと映り込みが激しくなるようにして撮影していますので、もちろん「いつもこんなふうではない」ですが、利用時には映り込みが少なくなるように少し配置に気を使ってやる必要があります。
ディスプレイの使用感
ASUSから事前にいただいていた資料に目を通す前に、写真撮影のためにROG Flow X16の電源を入れてみたのですが、その際には「ああ、これ有機ELディスプレイなのね」と思ってしまいました。実際にはMini LED採用のTFTでした。Mini LEDはディスプレイのバックライト光源であるLEDを小型化し、光量の調整をきめ細かく行うことで発色品質をより高くする効果があるとされます。
Mini LEDについてはこちらのサイトの説明が簡便で分かりやすいです。
「mini LED」ディスプレイとは?液晶や有機ELとの違いを解説:ノジマ
※他にも専門的な説明が掲載されているサイトが多数ありますので、興味のある人は「Mini LEDとは」といったワードで検索してみてください
有機ELと誤認してしまったのは「発色が鮮やかである」というのが理由なのですが、それって「黒の表現力が通常の液晶ディスプレイとは段違いに高い」ということだと思います。これは有機ELパネルの特徴でもありますから。
また、このディスプレイをASUSでは「Nebula HDRディスプレイ」と呼んでおり、「VESA DisplayHDR1000認証」「PANTONE認証」を取得、「100%DCI-P3」の色域に対応しています。実際に手持ちの液晶ディスプレイと比較してみましたが、原色が濃く、輪郭がくっきりとした、素晴らしい画質でした。さらに設定アプリArmoury Crateに「Game Visual」という調整項目があり、ここで利用シーンに合わせた発色の調整もできます(後述します)。
「パフォーマンス」「コンバーチブル2 in 1筐体」と並び、Mini LED採用ディスプレイの品質はROG Flow X16の大きなセールスポイントになっていると思います。ゲーマーだけでなく、クリエイター、そしてビジネスマンにとっても非常に魅力的な特徴と言えるでしょう。
キーボード
キーボードです。16インチサイズの製品ですが、テンキーはありません。アルファベットキーのキーピッチは手採寸で約19 mmで、キーストロークは1.7 mmと開示されており、実際に見た目よりもやや深めに感じられました。
また、バックライトはRGB(カラフルなもの)です。ただし、「1ゾーン」なので、個別のキーのバックライト色を変えたり、ゾーンごとに別な色を割り当てることはできません。
キートップにはわずかなくぼみがありますが、これってかなり微妙で、画像にしてみないとわからない感じ(もしフラットなキートップだったらすみません…)。
キーボードの使用感
実際にウインタブの記事執筆作業をしてみました。配列は素直で特に「あのキーはどこだっけ?」といったことはありませんでした。また、16インチでテンキーレス、ということもあり、大きくあるべきキーはちゃんと大きいですし、やたらと小さくて押しにくい主要キー、というのもありませんでした。しいて言えばスペースキーが小さめでしたが、私としては全く不満を感じませんでした。
打鍵音は小さく、「静音」と言ってもいいレベルです。静かな場所で使っても周囲に気を使う必要はないでしょう。また、見た目よりも少しキーストロークが深めに感じられ、これも打鍵感をよくしていると思います。テンキーレス、ということで数値入力が多い人には少しマイナスポイントになる可能性があるものの、テキスト入力がメインの人、またゲームプレイ時には素晴らしいキーボードだと思います。
あと、バックライトが1ゾーンのみ、というのはゲーマーには少し物足りないかもしれませんね。
筐体その他
コンバーチブル2 in 1筐体のため、ヒンジが360°開口し、テントモード(上から2番めの画像)、スタンドモード(上から3番めの画像)、そしてタブレットモード(一番下の画像)にして使えます。プレイするゲームタイトルにもよりますが、例えば外付けのゲームコントローラーを使うものであればテントモードやスタンドモードにしてプレイすると、冷却効率が上がると思われます。
スピーカーの使用感
ROG Flow X16はクワッドスピーカー搭載ということで、音質は素晴らしいものでした。キーボード面にある2つがツイーター(的)、底面の2つがウーファー(的)な役割のようで、配置もよく、クリアに聴こえます。
音響アプリはDolby Access。イコライザーで手動の音質調整も可能ですが、基本的にインテリジェントイコライザーを「バランス」にしておけばほとんどの利用シーンで満足できる音質になりました。この製品のスピーカーは音楽鑑賞用としてもゲーム用としても納得の品質だと思います。
発熱とファン音
発熱量は大きめです。ベンチマークテスト中にはArmoury CrateのシステムモニターでCPU温度が約90℃に達し、キーボード面の表面温度も上部中央が60℃程度まで上昇しました。現在のノートPCは「発熱によって壊れてしまう」ことを心配する必要はありませんが、FPSゲームなどでキーボードを使用する場合、表面温度が高くなってしまいますので、不快感を感じる可能性はあると思います。
また、通常利用(ゲーム以外で、テキスト入力をしているだけの状態)でもキーボード面には発熱を感じます。さすがにこの際は「熱い」とかではなく、特に不快感もありませんでしたが、他の製品と比較して、発熱量は大きめだよね、と感じました。なお、後述しますが、しばらくオンラインゲームをプレイしてみましたが、ベンチマークテスト中よりも発熱量は小さめで、発熱による性能低下は気にしなくていいと思います。
ファン音はベンチマークテスト中及びゲームプレイ中にははっきり聞こえるくらいの大きさになりましたが、他のゲーミングノートに比べて音量は小さめです。また、非ゲームプレイ、例えば文書作成や動画視聴の際にはファン音はしないか、あるいは非常に小さい音量なので、全く気になりません。
Armoury Crate
ASUSのゲーミングノートには設定アプリ「Armoury Crate」がプリインストールされています。ゲーミングに必要な各種設定はほぼこのアプリだけで完結できます。この画像はシステムモニターの画面ですが、左下のメニューからパフォーマンスモードの設定が可能です。この後ベンチマークテスト結果を掲載しますが、すべて電源接続をし、パフォーマンスモードを「Turbo」にして測定しています(Turboモードはバッテリー駆動時は選択できません)。
これは「Game Visual」のメニューです。プレイするゲームのジャンルに合わせて設定を変更できるほか、アイケアモードやビビッドモードなども選べます。私はレビュー期間中には主にデフォルトモードを使っていましたが、モードを変更するとはっきりと色味が変わりますので、いろいろ試してお好みのモードを選ばれるといいと思います。
ROG Flow X16のキーボード面上部に4つのホットキーがありますが、それらのキーの機能割当もArmoury Crateから設定できます。
こちらはキーボードのライティング設定。対応する周辺機器を持っていればASUSのAURA SYNC(デバイス間でライティングを統一させる機能)も使えます。
また、Armoury Crateとは別に「AURA Creator」というアプリが入っていました。このアプリはAURA Syncの設定、PC単体ではキーボードや筐体のライティングを設定できるものですが、ROG Flow X16は筐体のライティングがありませんので、キーボードのバックライトのみ設定できます。ただし、使い方が難しく、またこの製品のキーボードバックライトは1ゾーンのみなので、ひとつ上の画像、Armoury Crate内のライティング設定でも十分かな、という気がしました。
3.ROG Flow X16 GV601 性能テスト
ベンチマークテスト
上でご説明した通り、ベンチマークテストの実施にあたり、「電源接続をし、パフォーマンスモードをTurboに」して測定しました。また、このレビューは真夏(7月中旬)に実施したため、他の製品との比較において「気象条件」としては少し不利だったかもしれません。一応エアコンは効かせていたのですが、それでも28°Cくらいはありましたので、PC MarkやCINEBENCH R23など、測定時間がある程度長いベンチマークテストの場合は真冬にテストするのと比較して若干悪影響が出るのかもしれません。ただ、PCのパフォーマンスと外気温の関係について、明確な測定データは少なく、私が少し確認してみたところ、このサイトさんが参考になりました。
外気温がこのレビューに影響しているということは証明できませんし、多くの読者はあまり気にされないかと思いますが、ここのところ毎日暑く、筐体の発熱とかベンチマークスコアにわずかながら影響するのでは?と思ったものですから、一応念のため…。
表計算ソフトやビデオチャット、画像加工など、実際のビジネスシーンをシミュレートしたテスト、PC Markのスコアです。どちらかというとビジネス系のPCの性能測定で重視すべきベンチマークテストと言えます。また、このテストではCPU性能の影響が大きいとされますが、テスト内容にグラフィック系のシミュレーションも含むため、外部GPUの性能も少なからず影響します。
参考(ハイスペックゲーミングノート):
MSI Creator Z16P B12U(Core i9-12900H、RTX3080Ti)7,943
ASUS ROG Strix SCAR 17 G733ZX(Core i9-12900H、RTX3080Ti):7,773
ASUS ROG Zephyrus M16(Core i9-12900H、GeForce RTX3070Ti):7,720
MSI Katana GF66 12U(Core i7-12700H、RTX3070Ti):7,417
Lenovo Legion 760(Ryzen 9 5900HX、RTX3080):7,129
MSI GP66 Leopard 11U(Core i7-11800H、RTX3080):7,054
GIGABYTE A7(Ryzen 9 5900HX、RTX3070):6,827
ASUS TUF Gaming A17 FA706QR(Ryzen 7 5800H、RTX3070):6,744
MSI Stealth 15M B12U(Core i7-1280P、RTX3060):6,675
ASUS ROG FLOW X13(Ryzen9 5900HS、RTX3080):6,544
Lenovo Legion 560(Ryzen 7 5800H、RTX3060):6,488
HP OMEN X 2S 15(i9-9880H、RTX2080 Max-Q):6,447
ASUS TUF Dash F15(i7-11370H、RTX3070):6,225
Lenovo Legion Y740(17)(Core i7-9750H、RTX2080Max-Q):6,151
MSI GE66 RAIDER(i7-10875H、RTX2070):6,081
ASUS ROG Strix SCAR 15 G532LWS(i9-10980HK、RTX2070SUPER):6,023
MSI Pulse GL66 11U(Core i7-11800H、RTX3060):5,810
スコアのほう、文句なしの水準ではありますが、第12世代Core i7とGeForce RTX3070Ti搭載機としては少し伸び悩んだ感もあります。
続いてはグラフィック性能を測定する3D Markのスコアです。ゲーミングPCでは最も重要になるテストですね。
参考(ハイスペックゲーミングノート):
ASUS ROG Strix SCAR 17 G733ZX(Core i9-12900H、RTX3080Ti):12,849、28,768、7,999
Lenovo Legion 760(Ryzen 9 5900HX、RTX3080):12,070、26,488、7,622
MSI GP66 Leopard 11U(Core i7-11800H、RTX3080):11,730、24,606、7,513
ASUS ROG Zephyrus M16(Core i9-12900H、GeForce RTX3070Ti):10,974、25,158、6,562
ASUS ROG FLOW X13(Ryzen9 5900HS、RTX3080):10,698、19,394、7,346
MSI Creator Z16P B12U(Core i9-12900H、RTX3080Ti)10,614、23,960、6,520
MSI Katana GF66 12U(Core i7-12700H、RTX3070Ti):10,516、23,619、6,589
GIGABYTE A7(Ryzen 9 5900HX、RTX3070):10,393、23,177、6,394
MSI GS66 Stealth(i9-10980HK、RTX3080):9,276、20,063、5,873
ASUS TUF Gaming A17 FA706QR(Ryzen 7 5800H、RTX3070):8,981、21,434、5,488
ASUS ROG Strix SCAR 15(i9-10980HK、RTX2070SUPER):8,435、20,017、5,049
Lenovo Legion 560(Ryzen 7 5800H、RTX3060):8,273、18,927、-
Lenovo Legion 750i(Core i7-10750H、RTX2080SUPER Max-Q):8,156、18,070、-
MSI Stealth 15M B12U(Core i7-1280P、RTX3060)):8,023、18,153、4,491
ASUS TUF Dash F15(i7-11370H、RTX3070):7,767、17,671、5,136
MSI Pulse GL66 11U(Core i7-11800H、RTX3060):6,974、15,408、4,088
HP ENVY 15(i9-10885H、RTX2060 Max-Q):5,597、13,382、3,150
※左からTime Spy、FireStrike、Port Royalのスコア
過去データではCore i9-12900HとRTX3070Tiを搭載するASUS ROG Zephyrus M16とCore i7-12700HとRTX3070Tiを搭載するMSI Katana GF66 12Uが比較対象になると思います。特にKatanaに関しては「ブランドは違うがCPUとしては『同格』」と言えますので、特に重視すべき過去データと言えるでしょう。スコアの方ですが、Katanaとの差は非常に小さく、測定誤差に近いくらいの差しかありませんでした。
続いてはCPU性能のみを測定するCINEBENCH R23のスコアです。このテストではGPU(GeForce)の搭載有無は影響を受けないとされています。
参考:
MSI Creator Z16P B12U(Core i9-12900H):1,918、17,827
ASUS ROG Strix SCAR 17 G733ZX(Core i9-12900H):1,916、19,344
ASUS ROG Zephyrus M16(Core i9-12900H):1,891、17,881
MSI Katana GF66 12U(Core i7-12700H):1,800、15,593
MSI Modern 14 C12M(Core i7-1255U):1,797、8,791
MSI Stealth 15M B12U(Core i7-1280P):1,659、13,793
ASUS ROG Strix G15 G513RW(Ryzen 9 6900HX):1,580、14,830
ASUS Vivobook 15 OLED K512EA(Core i7-1165G7):1,497、5,555
MSI GP66 Leopard 11U(Core i7-11800H):1,491、12,210
ASUS Vivobook Pro 15 OLED(Ryzen 7 5900HX):1,482、12,108
dynabook MZ/HS(Core i7-1165G7):1,477、5,526
MSI Bravo 15 B5(Ryzen 7 5800H):1,422、11,241
Lenovo Legion 560(Ryzen 7 5800H):1,348、11,419
※左からシングルコア、マルチコアのスコア
第12世代Core 、Ryzen 6000番台とも、ウインタブでのデータが少しずつ揃ってきた感じですが、ROG Flow X16が搭載するRyzen 7 6800HSをウインタブでテストするのはこれが初めてです。傾向として、Intel Coreは第11世代ではシングルコアのスコアが高く、マルチコアはRyzenの後塵を拝する、という傾向が見られましたが、第12世代になってマルチコアのスコアも大きく改善しています。一方でRyzenについては5,000番台から6000番台になって、もちろんスコアは向上しているものの、Intel Coreほど顕著な変化になっていない、という気がします。
ROG Flow X16についてもシングルコア、マルチコアともRyzen 7 5800Hよりも改善されているものの、Intel Coreほど劇的な変化は見られませんでした。とはいえ、そういう横の比較ではなく、絶対的なスコアで見ると、十分に納得できる結果になったと思います。
次に個別ゲーム「ファイナルファンタジー15」のベンチマーク結果です。このテストは3D Markとは異なり、解像度の設定によりスコアが大きく変化します(普通はそうなります)ので、解像度をFHDに落として測定しました。
参考(ハイスペックゲーミングノート):
ASUS ROG Strix SCAR 17 G733ZX(Core i9-12900H、RTX3080Ti):11,839
MSI GP66 Leopard 11U(Core i7-11800H、RTX3080):11,658
Lenovo Legion 760(Ryzen 9 5900HX、RTX3080):10,966
MSI Creator Z16P B12U(Core i9-12900H、RTX3080Ti):10,605
ASUS ROG FLOW X13(Ryzen9 5900HS、RTX3080):10,371
ASUS ROG Zephyrus M16(Core i9-12900H):10,260
MSI Katana GF66 12U(Core i7-12700H、RTX3070Ti):9,451
GIGABYTE A7(Ryzen 9 5900HX、RTX3070):9,063
MSI GS66 Stealth(i9-10980HK、RTX3080): 9,004
ASUS ROG Strix SCAR 15(i9-10980HK、RTX2070SUPER):8,946
ASUS TUF Gaming A17 FA706QR(Ryzen 7 5800H、RTX3070):8,879
Lenovo Legion 750i(i7-10750H、RTX2080SUPER Max-Q):8,431
MSI GE66 RAIDER(i7-10875H、RTX2070):8,230
MSI GP75 Leopard(i7-10750H、RTX2070):7,995
ASUS TUF Dash F15(i7-11370H、RTX3070):7,869
MSI Stealth 15M B12U(Core i7-1280P、RTX3060)):7,513
ドスパラ GALLERIA GCR2070RNF(i7-9750H、RTX2070):7,440
MSI Pulse GL66 11U(Core i7-11800H、RTX3060):7,138
RTX3070Ti搭載機としては過去データとの比較で最高スコアとなりました。あと、あまり意味はありませんが1万点を越えた、というのがちょっとうれしいですね。
解像度をデフォルトの2,560 × 1,440(この製品の実際の解像度は2,560 × 1,600)にするとスコアが落ちます。当たり前ですけど。
SSDの読み書き速度を測定するCrystal Disk Markのスコアです。非常に高速で、ゲームプレイを含め、データの読み書きについて不満を感じることはまずないと思います。
ゲームプレイ
テントモードにしてゲーム「Forza Horizon 5」をプレイしてみました。キーボードを使うFPSゲームなどではクラムシェルノート形態(普通のノートPC形態)で使うことになると思いますが、外付けコントローラーでゲームをする場合、テントモードやスタンドモードにするとキーボード面がないぶんディスプレイとの距離が小さくなりますし、視界にキーボードが入らないのでゲームへの没入感も高まります。
また、テントモードやスタンドモードでは筐体背面が接地しないため、冷却性がさらに改善されます。この点もコンバーチブル2 in 1筐体のいいところと言えるでしょう。
プレイに先立ち、ベンチマークテストを実施しました。Forza Horizon 5は重量級と言っていいゲームですが、1,920 × 1,200解像度(画像上)でも2,560 × 1,600(解像度)でも余裕で「エクストリーム品質(レイトレーシング効果:高)」でのプレイが可能です。
また、発熱が少し心配でしたが、ベンチマークテスト中よりもゲームプレイ中のほうが発熱量が抑えられ、Armoury Crateのモニター画面では70°台半ば程度で推移していましたので、このゲームで問題に関して、またおそらくほとんどのゲームタイトルで発熱による性能低下を心配しなくていいだろうと思います。
4.ROG Flow X16 GV601 レビューまとめ
ASUS ROG Flow X16 GV601はASUS Storeで販売されます。7月21日現在、RTX3070Ti/1TB SSD搭載モデルが税込み369,800円で販売中、RTX3060/512GB SSD搭載モデルは8月4日発売で税込み319,800円となっています。
ゲーミングノートとしては中位(RTX3060モデル)/上位(RTX3070Ti搭載モデル)の構成でコンバーチブル2 in 1筐体を採用し、まだ搭載PCが数少ないMini LEDのディスプレイを備えた個性的な製品です。今回のレビューでは試せませんでしたが、XG Mobileを接続してさらなる性能アップもできますし、非常に美しいディスプレイでテントモードにしてまったり動画鑑賞も楽しめますし、もちろんクリエイターの多様なニーズにもしっかり応えることができる製品だと思います。
さすがにお値段も安くはありませんが、今なら「30日間返品保証キャンペーン」も開催中ですから、使っていて気に入らなければ返品もできますので、お試しも可能です。…で、そうすると結局買ってしまうんですけどね…。
5.関連リンク
ROG Flow X16:ASUS Store製品紹介ページ
ROG Flow X16 GV601RW(RTX3070Ti):ASUS Store