こんにちは、natsukiです。今回は、スマホ用動画撮影セットをレビューさせていただきます。見てのとおり、スマホに装着して、スマホの動画撮影能力を底上げしようというキットです。この製品は、ドスパラの系列店で面白デジタルガジェットストアの上海問屋(会社名はサードウェーブ)で扱っているものです。
スマホのカメラが長足の進歩を遂げる昨今ですが、性能が上がれば上がるほど、スマホではどうしようもない部分も浮き彫りになります。特に、動画撮影ともなると。色々とある中で目立つのは、「ズーム」「マイク」「(接写時の)照明」ではないでしょうか。このうち、「ズーム」はどうしようもないとして、残りの「マイク」「照明」を増強してしまおう、というのがこの製品のコンセプトです。というか、一般的なホームビデオやデジカメでも、「マイク」「照明」は弱い部分なので、この製品を使うことで、スマホは一気に本格的な撮影機材となるわけです。
1.筐体
箱です。「PULUZ」というブランドの製品ですね。メーカー公式サイトをのぞいてみると、撮影機材に特化したメーカーのようで、ノウハウは十分と思われます。実際、これから見ていくように、非常に細かい配慮の行き届いた造りになっています。
同梱品一覧です。説明書は、中国語と英語で、マイクに関するものです。といっても、つなぐだけなんで、あまり必要はないと思いますが。
マイク
マイクがらみのものをピックアップして、見ておきます。
保護用の巾着袋、説明書、マイク本体、コード、延長コード、です。デリケートな部品なので、巾着袋は嬉しい。通常のコードは、取り付け方にもよりますが、スマホのジャックにギリギリ届く長さになっています。延長コードを使うかは、適宜判断すると良いでしょう。コードがぶらぶらすると、特にカメラとジャックの位置が近いデザインのスマホだと、カメラ視界にコードが入りかねないし、タッチノイズもあり得るので、標準のをあえてギリギリの長さにしてあるわけですね。
照明
照明がらみのものは、こちら。
角度調整用スタンドは、マイクにも使えます。
裏面は、電池ケース。単3電池4本です。フタに黄色く色が付いていますが、実は、前面の照明カバーと裏面の電池カバーはまったく同サイズのため交換可能で、色つきのカバーに換えることで照明の具合を調整できます。また、このようにフタは頻繁に取り外すことを想定しているため、摩耗によって緩くなることのないように、マグネットで固定されます。うーん、細かい心遣い。左下には、microUSB使用時の給電ランプがあります。
側面です。この角度からは見えませんが、上部に電源スイッチがあります。側面のダイヤルで、光量も調整可能です。ただし、最低限でもそうとう明るいです。また、底面にはmicroUSBポートが見えますが、microUSBからの給電も可能とのこと。
ところが、このmicroUSB接続時の挙動がちょっとよく分からない。「microUSBを接続し、電池が入っていない状態」では、電源ボタンや光量調整ダイヤルに関係無く、給電ランプが点きます。しかし、電源ボタンやダイヤルを操作しても、ライトは光りません。「microUSBを接続せず、電池が入っている状態」では、もちろん普通に使えますが、当然ながら給電ランプは点きません。「microUSBを接続し、電池が入っている状態」では、電源を入れてダイヤルを操作して、実際に光っている間のみ、給電ランプが点きます。つまり、ライトを使うには電池が入っていることが最低限の条件になっている。microUSBに接続するアダプターやモバイルバッテリーを色々取り替えて試しましたが、microUSBのみからの給電では、ライトが点かない。かといって、充電電池を内蔵しているわけでもなさそう。
怪しいのが、この、電池ボックスの内側側面にある端子。というか、これ、どう見ても専用電池の端子だよね。どうも、microUSBを使う場合は、ここに乾電池とは別の充電バッテリーを装着しないとダメなんじゃなかろうか? 問題は、専用バッテリーの規格が分からないこと。メーカーサイトを見ても、色んなカメラの互換バッテリーを販売しているものの、この製品用のバッテリーがあるのかどうかはよく分からんのですよね。とりあえず、電池駆動のみと理解しておいた方がよさそうです。
スタンド
三つ足スタンドです。
このように、球体関節になっていて、フレキシブルな角度調整が可能です。
枠(リグ)
枠……というか、様々なオプションをつけるための固定部分を「リグ」というらしいです。この製品を調べてて、はじめて知りました。
フル装備だと、このようになります。えーっと、ある程度使ってから気づいたんですが、スマホをこの向きで取り付けると、画面が固定フレームと重なってしまって操作しづらいですね。画面を手前向きに取り付けるべきです。
マイクやライトをつけるアタッチメントは、上部左右の他に、上部中央にもあります。重量バランスや、ライトの角度をみて付け替えるとよいでしょう。
縦装備も可能です。もっとも、この場合はかなりバランスが悪くなるので、角度は気をつけないといけません。
スマホをつかむ部分は、ごらんのようにかなり余裕があります。スマホ以外にも、薄型のデジカメであれば、ボタンなどの配置によっては取り付け可能です。まあ、そこまでは期待しない方がいいでしょう。
なお、スタンドとリグの固定は、汎用のカメラ固定ネジなので、付属スタンドではなく、一般の三脚などに固定することも可能となっています。
2.実際に撮ってみた
こういうものは、やっぱり使ってみないとですね。
照明
照明の実用例を撮ってみます。
ウインタブでレビュー写真を撮るとき、いつも苦労するのが、こういうポート部分です。どうしても、影になりがちなんですよね。まあ、これはわざとやっていますけど。ちなみに、この撮影は暗所撮影能力に優れるMi 9にて。
そういうときに、カメラ側に照明があれば、この通り。うん、これは今後のレビュー写真用に、かなり活躍しそうです。副作用として、ホコリが目立ちます。……日頃からきれいにしておかないとですね。
マイク
マイク性能もみてみたいと思います。
比較のために、このキットを「UMI Z」に接続したものと、「Mi 9」の素の状態を並べて、同時撮影をします。撮影アプリは、両方ともデフォルトのカメラアプリで、設定も、解像度をHDクラスにした他は一切いじっていません。UMI Zは、2年前の中華スマホで、現UMIDIGIブランドの名を知らしめたと言ってもよい名機ですが、とはいえ2年前の2万円スマホ。素の撮影能力は、現在の水準から見るとやはり弱いです。なぜこれを選んだかというと、3.5mイヤホンジャックを備えているからです。一方のMi 9は、今年度のXiaomi渾身のフラグシップ。動画撮影能力の高さもウリの1つで、映像はもちろん、録音能力も並みのスマホよりは良いです。あくまで「スマホとしては」ですが。
……えー、それでは、恥ずかしながら、一曲演らせていただきます。先に、目一杯言い訳しておきます。まともに楽器に触るの数年ぶりです。演奏そのものについては突っ込まないでください。それと、曲の途中でつなげていますが、これは子供の声が入ってしまって録り直したためです。生活音が入らないように録りきるのってほぼ不可能なんで、勘弁してください。前半は「UMI Z + 撮影キット」での、後半は「Mi 9」での録音となります。編集ソフトは、先日レビューした「Movavi Video Editor Plus」です。では……
はい、トランペットを至近距離でという、無茶振りでした。しかも、音響効果のかけらもない自宅で。
映像については、私自身とかあれこれが移ってしまっているので、撮影後にごく一部分だけを切り抜きました。もちろん、カメラ性能は、UMI ZとMi 9では大きな差があるのですが、今回は切り抜いてしまっているのでそこは見ません。
さて、録音状態を聴いてみると、さすがに音割れが発生しています。特に「UMI Z + 撮影キット」での継ぎ足した部分は、顕著です。それでも、両者の質の違いははっきり分かりますね。音量を考えると、ギターとか、弦楽器くらいなら、音割れも気にしなくて良いと思います。音楽の録音は上を見ればキリがないですが、個人的には、演奏のエッセンスを伝える品質はあると評価します。気軽にYOUTUBEやニコニコ動画に「演ってみた」をアップするくらいなら、耐えうる品質なんじゃないでしょうか。なお、撮影中に子供の声が入ってしまったわけですが、人間の声の録音となると、Mi 9の素のマイクに比べて、そのクリアさは際立ちます。想定される用途を考えると、人間の声をメインにチューニングしてあるのかもしれません。なので、実況動画などであれば、十分に実力を発揮してくれると思います。
3.まとめ
Amazonなどで検索してみると、似たようなキットは色々あるようですね。正直なところ、キット内容はカタログ上はどれもさほど変わりません。一方、実際にこういうキットを使ってみたレビューというのは、管見の限り少ないので、今回のレビューが参考になれば幸いです。
この製品は、上海問屋にて税抜き4,980円で販売しています。絶対値で見るとなかなかいいお値段ですが、同系統の製品と比べるとむしろ安価な部類となります。しかしその品質はしっかりとしたもので、レビュー中で見たとおり、きちんと要点を押さえた期待通りの活躍ができる造りです。実際に使ってみると、使いやすいように非常に細かな部分まで気配りがなされていることが分かります。またマイク性能も、「至近距離でトランペット」という極悪なことをやっても、一切調整なしでご覧のとおりそこそこの品質で録ってくれました。ズームさえ必要でなければ、スマホとこれで、たいていのシーンはカバーできるんじゃないかな?
これ以上のクオリティを求めるとなると、ガチな機材が必要になってくるでしょう。その場合は、費用もさることながら、機材に対する専門的な知識も要求されます。このキットが素晴らしいのは、専門的知識は一切必要なく、スマホにつないで、いつも通りデフォルトのカメラアプリで撮影するだけで、それなりに本格的な撮影ができるところです。
動画撮影がますます手軽になる中、こういうキットをひとつ持っておくと便利ですね。動画配信はもちろん、それこそ、ウインタブのようなサイト向けの撮影には最適なわけで、今後の記事作成にも利用していきたいと思います。なにより、こういうキットがあると撮影が楽しくなりますから。
4.関連リンク
スマートフォン用動画撮影セット DN-915700:上海問屋(ドスパラ公式サイト内)
使用ソフト:Movavi Video Editor Plus
コメント
UMI Z + 撮影キット と UMI Z + 内蔵マイク で検証してみてください。
以前honor9でズームマイクを使おうとしたのですが、カメラアプリの制約で外付けマイクに切り替わらなかったんです(むしろ殆どのカメラアプリが対応してない?)
opencameraというアプリで外部マイクを選択できるので試したら外部マイクから録音出来なかった結果が出ました。
外部マイクを外すとかマイクを優しく擦れば録音しているか区別つくと思います。
アドバイスありがとうございます。おっしゃるとおりのミスをしていました、お恥ずかしい……
録り直したものを再アップさせていただきました。今度は、(カットしていますが)マイクをなでたりなどして、確実にマイクで音を拾っていることを確認しているので大丈夫です。
ついでに、至近距離で楽器を録音したときは、Mi 9よりもUMI Zのほうがちゃんと録れるという意外なことも分かりました。過去、UMI Zでオーケストラを(十分な距離を取って)録ったときは、お世辞にもよい音質とは言えず、現在Mi 9は、ホームビデオ的な撮影には十分活躍しているので、当然といえば当然かもしれませんが、スマホのマイクだと環境によるハマるハマらないの差は大きいんでしょうね。
米アマゾンですが、ビデオ・ライトの同等品でバッテリーが付属します。
https://www.amazon.com/Lighting-Camcorder-Smartphone-Facebook-Vlogging/dp/B07NV1BLG1
USBはバッテリーのチャージのみなのでしょう。
情報ありがとうございます。
なるほど、やはりUSBはバッテリーなしだと機能しないようですね。
セット内容からあえて電池を抜いているのは、おそらくこれ、リチウム電池の輸送規制がらみっぽいですね。ご紹介のリンクも、日本への発送不可だし。
通常の電池で使うしかなさそうです。
なお、おかげさまで、おそらくですが、バッテリーの型番は判明しました。
「BP-4L 3.7V 2500mAh for NOK E90/E61i」ノキア製品用のバッテリーの流用?
もちろん、多分ですので、入手・使用ともども自己責任で。