BigBlueのポータブル電源「Cellpowa500」の実機レビューです。168,000mAh(537.6Wh)と、モバイルバッテリー10個分以上の巨大な容量を備え、500WまでのAC出力も可能な製品です。パッと思い浮かぶのはキャンプなどのアウトドア・アクティブティ用、またご家庭での緊急時の予備電源用、といった用途ですね。また、今回はCellpowa500のベストパートナーとも言えそうなソーラーチャージャー「Solarpowa100」も一緒にレビューさせていただきます。
なお、レビュー機はBigBlueよりサンプル提供していただきました。この場にて御礼申し上げます。ありがとうございました。
目次
1.Cellpowa500 スペック
スペック表
コメント
冒頭に書かせていただいたとおり、Cellpowa500は168,000mAh(537.6Wh)と、日頃はモバイルバッテリーくらいしかレビューしないウインタブとしては非常に大きな容量と言えるポータブル電源です。おなじみのUSBポートからの充電であれば4デバイスを同時充電できますし、4つのUSBポートはすべて急速充電(Type-AはQuick Charge 3.0、Type-CはUSB PD)に対応します。また、「普通のコンセント」も2つあり、冷蔵庫とか電子レンジは無理ですが、消費電力500Wまでの家電に給電することも可能です。さらにシガーライターソケットもありますので車載用デバイスの充電にも使えます。あと、DCポートも2つあります。
次にソーラーチャージャーのSolarpowa100ですが、これは「Cellpowa500専用」のオプション品で、(条件が揃えば、ですが)太陽光により、わずか6時間でCellpowa500をフル充電することができます。
余談ですが、私は当初「この手の製品は毎日使うわけではないので、普段はPC用のUPS(無停電電源装置)にしよう」と思ったんですね。しかし、Cellpowa500には安全機能が搭載されており「充電しながらAC出力は不可」でした。なので、UPSとして使うのは難しいです。
なお、メーカーより、以下の点はぜひ読者の方々にアピールしていただきたい、というリクエストをいただいています。これらのアピールポイントは実機レビューでは検証が難しいため、私からのコメントは控え、メーカーからのご案内通り記載します。
●リン酸鉄リチウムバッテリーを搭載していることにより、サイクル寿命が2,000回以上と長く、毎日充電されても5年半ほど使える計算です。また、発火点温度は三元系(ニッケル、マンガン、コバルトの化合物)の3倍以上と言われ、熱分解温度が高く、熱爆走や破損による発火及び爆発の心配はありませんので、安全性は抜群です。
●安全性に優れたBMS(バッテリーマネジメントシステム)を導入し、様々な充放電及び環境条件下での安全なオペレーション、パフォーマンス及びバッテリー寿命を支えます。
●電圧と電流をコントロールして、常に最大の電力量を取り出すことのできるMPPT機能を搭載しています。
今回のレビューでは実際にスマホの充電から暖房用ヒーターまで、いくつかの機器を実際に充電してみましたので、筐体のご説明とあわせ、使用感についても述べていきたいと思います。
2.筐体
Cellpowa500
まずはCellpowa500の同梱物から。左端にあるのがACアダプターで96Wのもの(90WでCellpowa500に給電されました)、その左がシガーライターソケット用のケーブル、中央がケーブル類を収納するポーチ、画像下の左側が電源ケーブル、右側がUSBType-C – USB Type-Cのケーブルです。ケーブルに関してはUSB Type-A関連のもの、およびDCポート用のケーブルは付属していませんでした。
また、ペーパー類では右上が保証カード(保証書ではなく、故障時の連絡先が書かれていました)、その下が取扱説明書です。取扱説明書は日本語の記載もありましたし、使い方もわかりやすく説明されていました。なお、保証に関しては明確な保証書、というものがないので、修理対応については購入を証明するものを提示する必要があると思います(Amazonは購入履歴を簡単に表示できますので、特に問題はないでしょう)。
本体前面です。ちなみに、この製品は重量が7.8 kgと開示されていて、実測値も7.8 kgだったのですが、実際手にとってみると「かなり重い」と感じました。…まあ、スペック表にウソはないんですけどね…。
で、前面に操作系のパネルとかポートが集中して配置されていますので、ここでもう少しご説明します。
まず、中央にモニターがあります。この画像は「電源を入れただけ」なので、ゼロが並んでいますが、左上が充電電力(この製品を充電する際に数値が表示される)、その下が放電電力(この製品から他のデバイスに電力を供給する際に表示される)で、その下に容量切れになるまでのおおよその時間(放電時)もしくは満充電までのおおよその時間(充電時)が表示されます。例えばCellpowa500に500Wの電気ヒーターを接続すると、上から2番めの放電電力のところに500と表示され、容量切れになるまでのおおよその時間が48(分)と表示されます。
右側にあるのがバッテリー残量表示です。レビュー機が到着し、初めて電源を入れたときのバッテリー残量は73%でした。
次に左上の白い四角ですが、ここは「DC系のポート(給電用)」が並んでいます。一番上のカバーで覆われているのがシガーライターソケットです。そして右上の白い四角には家庭用のコンセントが2つ、つまりAC電源(給電用)です。どちらの四角にも下にボタンが付いていますが、このボタンを押すとポート(ソケットやコンセント)が使えるようになります。
一番左下にあるのが充電用のDCポート(Cellpowa500を充電するためのポート)です。その横にUSB Type-Aポートが2つ、USB Type-Cポートが2つ並び、一番右下の赤いボタンがメイン電源です。なお、Cellpowa500本体の充電はDCポートもしくは2つのUSB Type-Cポートから可能です。
まあ、いろんなものがついてはいますが、基本的にメイン電源を入れ「白い四角の下にあるボタンを押してから使う」という点以外は特に難しいことはありません。メイン電源さえ入っていればUSBポートはただ挿すだけで使えますし。
背面です。なにやら文字が書いてありますが…。
拡大するとこんな感じ。メーカーのアピール文ですね。実はこれ、その下にあるライトを保護するために貼られています。
アピール文を外すと、このようにLEDライトが顔を出します。ライトの下にあるのがライト点灯用のスイッチです。
このライトは非常に明るいです。一応「4WのLED」で、輝度については説明がありませんでしたが、一般的な懐中電灯よりも「広角(広い面積を照らせる)」で、停電時でも室内を十分に明るくできます。また、輝度は「高」「中」のほか「SOS(モールス信号のパターン)」で点滅させることもできます。
なにげに、「これで停電時でも家族で晩ごはんが食べられるなあ」と思いました。
側面です。左右側面とも「全く同じ」ですね。この製品はファンを内蔵していて、動作電力が180W以上(充電時/給電時とも)になるか、内部のバッテリー温度が45℃以上になると自動的にファンが動き出します。そのせいもあって左右に通気口がついています。
上部にはハンドル。伸縮式になっています。繰り返しになりますが、この製品は7.8 kgと重量級なので、持ち運びにはハンドルが必須です。ただし、両側面の通気孔付近が少しくぼんだ形状になっていますので、この部分に手を引っ掛けて持ち運ぶこともできます。
底面にはゴム足と各種認証マークがありました。
この製品、内部ではしっかり安全対策が取られています。外装は上部のシルバーの部分が金属製と思われ、他は樹脂製で(かなり重いこともあり)安っぽさは感じられません。
Solarpowa100
続いてソーラーチャージャーのSolarpowa100です。外箱に入っていた時点で大きさに圧倒されましたね。表面はファブリック製で、この画像には写っていませんが取扱説明書(日本語あり)と保証カード、Cellpowa500を充電するためのケーブルが付属していました。
こちらが背面。
前面・背面ともこのように脚がついています。
広げるとこんな感じ。展開すると横幅は1メートルを越えますので、撮影場所に困るくらいの大きさです。また、見た目は重そうに見えますが「実際にも重い」ですw かさばる上に重量も3.73 kgあります。
採光する面はIP65の防水・防塵性能を備えていますが、旧に土砂降りの雨が降った場合に耐えられるかはわかりません。でも、耐火性もある、ということで、むしろこっちのほうが安全上は重要かと思います。
Solarpowa100をどこに配置するか、というのはお住まいの状況によって異なります。後述しますが、この製品に限らず、ソーラーチャージャーは「日光に当てないと力が出ない」ので、この製品を設置でき、かつできるだけ日当たりのいい場所を探す必要があります。
3.Cellpowa500 使用感
家庭用電気ヒーター
Cellpowa500の容量から考えて、単にスマホを充電するような使い方だとバッテリーの減り具合がわかりにくいと思い、家庭用の電気ヒーター(消費電力500W)に接続して使ってみました。駆動の状況はこんな感じです。
スタート:Cellpowa500の残量72%
20分後:Cellpowa500の残量32%
※電気ヒーターは強(500W)で使用
20分でちょうどバッテリー容量のちょうど40%を消費しました。単純計算だとフル充電の状態からバッテリーを使い切るまでに50分、ということになります。500Wで50分使える、ということは416.7 Whですね。公称値が537.6Whなので、ロス率は約22.4%(変換効率77.6%)となります。この種の製品の平均のロス率はわかりませんが、Webで調べてみるとモバイルバッテリーではロス率30%くらいが普通とのことなので、それに照らすと悪くない結果と思われます。
画角が悪く申し訳ありません。これがヒーターを使っていた際のモニター画面です。ご覧のように放電電力のところに502Wと表示されています。また、残量表示もあり、残量66%のときに「容量を使い切るまでに34分」と表示されていますが、上記の単純計算だと「30分で50%」のペースで容量を消費することになるので、残量表示は完璧とまではいきませんが、そこそこは正確、と言えるでしょう。
なお、家庭用電気ヒーター使用時はファンが作動しました。ファン音は「普通のノートPCよりはうるさい」です。というか神経質な人なら気にするレベルですね。
災害時などに、Cellpowa500を使って暖をとれるか、ということについて考えてみると「ちょっと厳しい」でしょうね。そもそも家庭用電気ヒーターで消費電力500Wというのは「そんなに暖かくはない」です。室内全部を暖める能力はなく、足元を暖めるなどの局所暖房と考えるのが妥当だと思います。この程度の暖房で50分しか使えない、というのは「非力すぎ」でしょう。ごく短時間、緊急の用途で暖を取るくらいの使い方しか想定できません。もちろんCellpowa500は暖房用のポータブル電源ではないので、このことが評価を落とす、という意味ではありませんけど。
ちなみに、この電気ヒーターは弱(250W)でも使えますが、弱にすると当然Cellpowa500の駆動時間も2倍に伸びます。
スマホの充電
POCO M3 Pro(5,000 mAh/18.5Wh)がバッテリー切れになっていたので、POCOに標準付属しているUSBケーブルで充電してみました。POCOは18Wの急速充電が可能なので、もし18Wで充電できるとすれば約1時間で満充電できることになります。
結果、POCOのバッテリー残量0%から96%まで充電するのに要した時間は約110分でした。平均の充電ワット数は約10Wです。これも以前UGREEN 100W PD充電器 CD226という製品でテストした際のワット数とほぼ同じなので、「妥当」と判断します。スマホのスペック上で「18Wの急速充電」と書かれていても、実際は10Wくらいになってしまうんですよね。
なお、POCOの充電の際、Cellpowa500の残量インジケーターは6%ほど減りましたが、まあ、ビッグダディの家でもない限り家族全員のスマホを余裕で満充電できると思います。
Cellpowa500を充電
実際に私の自宅でCellpowa500をコンセントに繋ぎ、充電してみました。
スタート:26%
30分後:35%
3時間後:76%
こんな感じです。3時間で50%の充電にとどまりました。ちなみに充電中に充電電力は90W(ACアダプターの定格出力とほぼ同じ)だったので、ほぼ計算は合います。なので、日本の家屋で、付属のACアダプターを使って充電する以上、2時間で80%の充電は不可能です。メーカーの説明をよく見ると「2つの60w PD (USB-C)ポートとDCポート入力を同時に接続すれば」2時間で80%充電が可能、ということのようです。つまり、付属のACアダプターに加え、PD充電器なんかを総動員して、寄ってたかって充電すればいける、ということですね。
…やらないでしょ、そんなの…。
結論として、付属のACアダプターの定格出力(96W)を考慮すれば、「0%から満充電まで約6時間」と考えておくほうがいいです。
Solarpowa100
すみません、私の住環境だとSolarpowa100の真価を確認できませんでした。
私はマンション住まいなので、「タイミングを見てベランダで充電する」という方法を取りました。しかし、あいにく今は真冬(冬至が終わって間もない、ソーラーチャージャーには最悪の時期)で晴天でもベランダに直射日光が当たる時間は長くはなく、直射日光が当たる時間帯であっても上の画像のようにベランダの手摺が邪魔になってしまいます。
この状態で測定できた時間は1時間ほど、この際の充電電力はおよそ10Wに過ぎませんでした。また、直射日光が当たらない時間帯だと充電電力は2W程度まで下がってしまいます。なので、私の環境だと「6時間でCellpowa500を満充電できる」というのは夢のまた夢です。おそらくこの季節に私の自宅のベランダで充電が切れたCellpowa500をソーラーチャージャーだけで満充電させるには数日、あるいはそれ以上を要すると思います。
季節が真夏で、終日直射日光を当てられるような環境をお持ちの人であれば「6時間で満充電」は不可能ではないかもしれません。しかし、レビュー時期がレビュー時期で、私の自宅が自宅なので、このレビューで良好な結果をお伝えするのは「まあ無理」です。
ただし、Cellpowa500は毎日必ず使う、という感じの製品特性ではないと思いますし、「キャンプ場など、比較的遮るもののない場所で使う」とか「気長に省エネで容量確保」ということであればメリットはあると思います。…できれば夏至近辺でテストしたかった、というのが本音ですね。
4.Cellpowa500 レビューまとめ
Cellpowa500はAmazonで販売中で、1月4日現在の価格は44,999円ですが、製品ページに1月12日まで有効の7,000円OFFクーポンがありますので、37,999円で購入ができます。また、ソーラーチャージャーのSolarpowa100もAmazonで販売中、1月4日現在19,800円で、やはり製品ページに10%OFFクーポンがあり、17,820円で購入可能です。両方合わせて55,819円です(すべて税込み価格です)。
「2時間で80%充電」など、少しばかり現実から乖離した説明がありましたが、その性能(ロス率やインジケーターの親切表示など)は高く評価できます。Solarpowa100についてはレビュー環境が整わず、真価が測れなかった、というのが残念でした。
私の場合、レジャーに出かけることが少ないので、普段使いでこの製品を愛用する場面はあまりないと思います。一方、レビューにあたっては私の奥さんが俄然張り切りましたね。彼女は私と違って日頃から災害に備える努力をしており、水とかインスタント食品などを備蓄しています。その延長線上だとポータブル電源、しかもソーラーチャージャー付き、というのは極めて魅力的な備品と言えます。また、日頃からソーラーチャージャーで充電しておく習慣をつければ夜間の読書(スタンドの使用)などで省エネになる、というメリットもあります。
この手の製品は「どう使うか」をイメージする必要がありますよね。キャンプなどの行楽に出かける機会が多い人、うちの奥さんのように災害時の予備電源として、などなど、ニーズを見いだせればCellpowa500とSolarpowa100の組み合わせはとてもいい買い物になると思います。
5.関連リンク
BigBlue Cellpowa500:Amazon
BigBlue Solarpowa100:Amazon
コメント
小ぶりな500Whくらいな非常用とかより車中泊にちょうどいい小ぶり感で
使い回し良さそうな奴探してたのでレビューありがとうございます
そういえば最近のポータブル電源業界もスマホみたいに超高速充電がブームですね
日本のクラウドファンドでも出資金で最高記録出して話題になりましたが
最近EV用の200Vコンセントで3000W充電できるDELTA Proまで出しちゃったし進化すごすぎです
こんにちは。私「電気の話」が超苦手でして(natsukiさんは割と得意)、記事中に書いた各種計算が間違えていないか、ということに少しドキドキしています。この手の製品は私も初めて使いましたが、「ひとつ持っておきたい」と思いました。私はワゴン車に乗っていますので、車中泊しながらノマドでウインタブの記事を書く、とかやってみたいです。