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「Adobe Firefly」を試す - Adobeが提供する、商用利用が可能で無料でも利用可能なAI画像生成サービス

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こんにちは、natsukiです。先日、Microsoftの提供するAI画像生成サービス「Bing イメージクリエーター」を紹介しました。このサービスは、非常に手軽ながらも、生成した画像の用途は非営利目的に限られるものでした。今回紹介するAI画像生成サービス「Adobe Firefly」は、グラフィックソフト大手のAdobeが提供するサービスで、その大きな特徴は「学習元に著作権がクリーンなコンテンツを利用して、商用利用が可能である」ことにあります。そして、制限はありながらも、無料での利用も可能となっています。ちょっとした挿絵イラストの作成などには十分利用可能な実力があるので、フリー画像素材と同様な用途で使うことのできるサービスです。

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Adobe Firefly:Adobe
Adobe ExpressでAdobe Fireflyの生成AI機能が商用利用可能に:Adobeによるプレリリース

先の記事でも触れましたが、この記事は、AIによる画像生成そのものに対する賛否を表明するものではありません。一方で、AI画像生成の普及に当たって、大きな問題となっていることのひとつが、学習元の著作権でしょう。そこにAdobeなりの回答を出したサービスがこの「Adobe Firefly」です。グラフィックソフト大手企業としての蓄積があるからこそできるサービスとも言えます。今後、このAI画像生成という技術とどう向き合っていくかという面においても、注目すべきサービスだと思います。

1.アカウントを作成すれば、まずは無料で利用可能

アカウント登録

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利用には、アカウント登録が必要です。Google、Facebook、Appleアカウントとの連携にも対応しているので、そちらを使ってもよいでしょう。これだけで、あとはブラウザからサービスにアクセスするだけで、利用可能。

無料での制限

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無料での利用の場合、AI画像生成を行うたびに消費される「生成クレジット」が、毎月25付与されます。し……シブい。まあ、Adobeは、グラフィック作成サービスの収入で成り立っている企業ですから、これは仕方のないところ。クレジット残数は、アカウントアイコンから確認可能。なお、「生成クレジット」は、画像生成の他、Adobeの各種サービス内で、テキスト効果や色の再配置など、AIを利用するサービスで共通して消費するものです。

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クレジットを使い果たすと、無料プランの場合、これ以上のサービス利用はできません。他の有料プランに入っている場合は、プランによって制限付きながら利用できる場合もあります。特に、一部プランでは、サービス開始直後の特例措置として、11/1までAI画像生成が使いたい放題になっています。Adobeのプランは多様なので、プランごとの生成クレジット付与数については、下記をご参照ください。

生成クレジットに関するよくある質問:Adobe
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また、無料利用の場合は、生成画像の左下にロゴがつきます。

2.作成例

作成メニュー

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作成に当たっては、文書での指示の他、右側のメニューから「縦横比」「コンテンツタイプ」「スタイル」「色合い」「ライト」「構図」といった指示が可能です。画像生成サイズは、縦1,024ピクセルで、横幅は縦横比の指示によって異なります。画像形式はjpgです。

生成した画像は、もちろん「ダウンロード」や、「リンクをコピー」による共有が可能。または、ある程度の編集や、類似画像の生成も可能です。類似画像の生成には、生成クレジットを消費しますが。

作例

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「真珠の耳飾りを付けて、青いターバンを巻き、白い襟のついた赤い服を着て、こちらを振り返ってみる、ヨーロッパ人の少女。絵画風。」と指示。エフェクトの指定無し。

某名画をイメージして指示してみました。……姿勢の指示を聞いてくれませんね。

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「真珠の耳飾りを付けて、青いターバンを巻き、白い襟のついた赤い服を着て、こちらを振り返って見る、ヨーロッパ人の少女。絵画風。」と指示。エフェクトの指定あり。

絵のタッチについては、右側のメニューで指示すると、それっぽくしてくれます。

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「ヴァイオリンを演奏する男性。」と指示。エフェクトの指定無し。

試してみた感じの印象として、人体や動物の体についての破綻が、非常に少ないですね。ご覧の通り、この画像では、左上以外、弓が完全に破綻していますが(左上もよく見ると弓はおかしい)、人体は、右上の人物の指が大きすぎたり指の角度がおかしいくらいで、致命的な破綻がありません。

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「ヴァイオリンを演奏する男性。」と指示。エフェクトの指定あり。

アート調でごまかせば……、うーん、細部の変なところもさることながら、弦楽器の弓は鬼門のようですね。

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「トリケラトプスに襲いかかる、ティラノサウルス。」と指示。エフェクトの指定あり。


なぜか混ざってしまって指示通りに作ってくれない、ティラノサウルスとトリケラトプスです。思い通りの生成はしてくれないものの、全体のバランスは破綻がなく非常に優秀です。

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「オーケストラ。全体。観客も含む。」と指示。エフェクトの指定無し。

試した限りでは、人数が多いような指示を出すと、かなり指示とかけ離れていく印象。もっとも、やはり各オブジェクトの破綻は非常に少なく仕上がります。同様の指示を出すと、雰囲気は指示に従いながらも、複雑さが増すに従って破綻しまくりのシュルレアリスムに寄っていく「Bing イメージクリエーター」とは好対照で面白い。

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「太古の海を泳ぐ、オウムガイ。」と指示。エフェクトの指定増し増し。

こういう、ゴチャゴチャとした表現は、AI画像生成の得意分野。

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「パソコンのトラブルで、頭を抱えて悩む人物。シンプルなイラスト。」と指示。エフェクトの指定無し。

そして、シンプルなイラストが、非常に実用的。商用利用可能なことと合わせて、こういう表現こそ、「Adobe Firefly」の真骨頂と言えるでしょう。

3.まとめ

この「Adobe Firefly」も、純粋なAI画像生成サービスとしては、かなり「雑な」部類に入ります。このサービス単独で、細部まで思い通りの画像を出力することは難しいでしょう。機能的には、「Adobe Photoshop」「Adobe Illustrator」などの、既存のAdobeによるグラフィック作成サービスを補完するものという位置づけでもあります。

一方で、生成画像が「商用利用可能である」ということが明記され、かつAdobeという世界的なグラフィック作成サービスを提供する大企業によって提供されていることは、「Adobe Firefly」の非常に大きな特徴です。これは、「Adobe Firefly」が、実質的に「フリー素材」のように利用可能であるということです。無料利用の場合は、利用回数にかなりの制限があるものの、それでも、挿絵としてのイラスト作成など、活躍の場は多いでしょう。手軽に利用でき、かつ実用的なAI画像生成サービスとして、要チェックです。

4.関連リンク

Adobe Firefly:Adobe
Adobe ExpressでAdobe Fireflyの生成AI機能が商用利用可能に:Adobeによるプレリリース

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