MSI Prestige 16 A12Uの実機レビューです。この製品は「ビジネス・クリエイターノートPC」という位置づけで、高性能なCPUと外部GPUを搭載しています。また、ディスプレイには国内向けノートPCとしては採用例が非常に少ないミニLEDを採用しており、動画・画像編集、3Dモデリング、3Dアニメーション制作といったクリエイティブワークや高負荷なビジネスニーズにも応えることができます。
・ミニLEDディスプレイの高い発色性能
・ビジネスシーンでも映える、美しく高級感のある筐体
・ゲーミングノートとして見ても高いパフォーマンス
ここがイマイチ
・品質の割に安いと言えるが、それでもやっぱり高価…
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Prestige-16-A12UD-098JP:MSIストア
目次
1.Prestige 16 A12U スペック
スペック表
Prestige 16 A12U(A12UD-098JP) | |
OS | Windows 11 Pro |
CPU | Intel Core i7-1280P |
外部GPU | NVIDIA GeForce 3050Ti Laptop GPU |
RAM | 32GB(オンボード, LPDDR5) |
ストレージ | 1TB M.2 NVMe SSD |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 16インチ (2,560×1,600) 165Hz |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.2 |
入出力 | USB Type-C(Thinderbolt 4)× 2、USB 3.2 Gen2 Type-A × 2、HDMI、microSDカードリーダー、オーディオジャック |
カメラ | Webカメラ(207万画素)顔認証対応 |
バッテリー | 82Whr/5,280mAh(最大10.5時間) |
サイズ | 358 × 258.55 × 16.85 mm |
重量 | 2.1 kg |
コメント
Prestige 16 A12Uはビジネスにもクリエイティブワークにも向く製品です。CPUのCore i7-1280Pは第12世代のバランスタイプ(P型番)ですが、ノートPCによく使われているCore i7-1260Pが12コア16スレッドであるのに対し、14コア20スレッドとなっており、パフォーマンスも上です。また、外部GPUにGeForce RTX3050Ti Laptopを搭載しており、ビジネス用としては非常に高いグラフィック性能を備えています。CPUとGPUの構成を見ると、ほとんどのオンラインゲームも快適にプレイできる実力がある、と言えます。
ディスプレイは「クリエイター仕様」です。16インチで解像度は2,560 × 1,200と高く、ミニLEDを採用しているため、一般的な液晶ディスプレイよりも高い発色性能になっています(ミニLEDについてはこちらの記事をご参照ください)。規格面・数値面ではDisplayHDR 1000に対応、DCI-P3相当の広色域、最大輝度 1,000nit、コントラスト比100,000:1、Calman(ディスプレイの性能を検証するために広く使用されている色校正)認証も取得しています。また、それだけでなく、なにげに「リフレッシュレート165 Hz」だったりもするので、ゲームプレイにも向きます。
では、筐体から見ていきます。
2.Prestige 16 A12U 外観
まずはACアダプターから。本体のUSB Type-Cポートに接続して充電/給電します。GeForce搭載機としては100Wと出力が控えめでながらサイズはコンパクトで、電源ケーブル込みの実測重量は390 gでした。このサイズ感は外部GPU非搭載のスタンダードノートよりは少し重いですが、ゲーミングノートなどの高性能PCと比較するとかなり軽量です。
天板です。筐体色は「アーバンシルバー」で筐体素材は金属、見た目も手触りも高級感があります。また、この筐体はMIL規格(MIL-STD 810G)に適合する耐久性を備えています。MSI製品は天板ロゴのデザインがゲーミングPCとビジネスPC・クリエイターPCで異なります。ゲーミングPCだと「ドラゴンのロゴ」になるのですが、Prestige 16 A12Uはビジネス・クリエイターPCなので、ドラゴンではなく「デザインされたアルファベット文字」です。…まあ、ドラゴンっぽい製品じゃないですからねえ。
底面です。左右にスピーカーグリルがありますが、Prestige 16 A12Uはステレオスピーカー搭載です。また、一見すると筐体を開口し、内部にアクセスできそうに見えますが、MSI製品はユーザーが筐体内部にアクセスすると保証が切れてしまいます。この画像の中央に「FACTORY SEAL」というシールが貼ってあり、このシールを剥がさないと筐体の開口ができません。そして、このシールを剥がすと保証が切れる、という仕組みです。
Prestige 16 A12UはRAMがオンボードなので増設や換装はできません(ただし、もともと32GBという大きな容量を搭載しています)。ストレージはM.2 NVMe SSDなので換装可能ですが、換装したい場合はMSI公認サポート店に作業を依頼すれば保証は切れません。
前面と背面です。こちらにはポート類はボタン類はありません。前面(上の画像)を見ていただくと、上部から中央へ、また下部から中央へ絞り込まれた形状になっているのがわかると思います。この形状により、ヒンジ開口は容易です。
背面(下の画像)にはやや大きめの通気口があります。
また、Prestige 16 A12Uは造形にも特徴があり、筐体後部が斜めにカットされています。また、リフトアップヒンジ構造(後述します)になっていますので、天板後部に保護材(2つの小さな突起)がついています。
左右側面です。左側面(上の画像)には左からHDMI、USB Type-C × 2(いずれもThunderbolt 4)、WebカメラのON/OFFスイッチがあり、右側面(下の画像)には左からイヤホンジャック、microSDカードリーダー、USB Type-A × 2があります。
Thunderbolt 4はもちろん超高速(40Gbps)なデータ伝送が可能ですし、右側面のUSB Type-Aポートも両方ともGen2規格(伝送速度10Gbps)と高速です。大容量の動画・画像データを扱う上ではとても便利だと思います。ちょっと残念なのが有線LANポートが装備されていないことと、SDカードリーダーがmicro規格であることですね。デジカメでは現在でもフル規格のSDカードを使用していることが多く、この製品のクリエイターノートとしての特性を考えると、できればフル規格のSDカードリーダーにしてほしかったところ。
キーボードです。アルファベットキーのキーピッチは手採寸で約19 mmと標準的、一方でテンキー部分はそれより狭く約15 mm程度なので、テンキーを使って大量の数値入力をするには少々慣れが必要ですね。また、テンキー部分の上下の配列もかなり個性的で、上部に「2列にわたって」加減乗除キーが配置されており、ENTERキーも最下段に横長の形状になって配置されていて、「あれっ」と思いました。
また、アルファベットキーの配列にもクセがあります。一般的なノートPCでは左下にあるFnキーが右下にあります(ただし、設定アプリMSI Center ProでWindowsキーと入れ替えることが可能)。まあ、MSIのノートPCはこの配列が多いんですけどね…。
バックライトは輝度を3段階に調整可能でバックライト色はホワイトです。
キーボードの使用感
試用中に気になったのは「右Shiftキーが小さく、隣接する『ろ』キーとくっついている」ことです。『ろ』キーは英語入力の際にShiftキーと同時押しで『_(アンダースコア)』になるため、使用頻度が高い人も多いと思います(私もそうです)。この2つのキーのサイズと配置については少々不満ですね。ある程度慣れれば問題ないかとは思いますが、当初はミスタイプを誘発しそうです。なお、上で指摘したテンキー部分の配列ですが、私は高速で大量の数値入力をしないので、キーピッチが狭いという点は気になりませんでした(つまり、キーを視認しながら押していた)。しかし、加減乗除キーの配列はやはり厳しく、指をうろうろさせて探すことがしばしばでした。
しばらくテキスト入力をしてみましたが、打鍵感は良好で、気持ちよく使えます。また、打鍵音も小さく、静かな場所でも周囲に気を使う必要はなさそうですね。キートップの印字は薄暗い場所ではやや視認性が劣るので、バックライトを点灯させるほうが使いやすいです(バックライトは最低の輝度でも十分でした)。
タッチパッドはかなりの大型で手触りもなめらかです。また、タイピング中に手のひらがタッチパッドに触れても誤動作しません。もちろんジェスチャ操作にも対応しますし、タッチパッドを多用する人にはとても使いやすいと思います。
ディスプレイは16インチで解像度は2,560 × 1,600です。アスペクト比(画面の縦横比)は16:10で、ミニLEDを採用しています。
ディスプレイ用の設定アプリ「TRUE COLOR」がインストールされていました。このアプリはディスプレイ設定用としてはかなり細かい調整が可能です。モードを「sRGB、Adobe RGB、DCI P3、Display P3」に設定でき、それぞれのモードで輝度などを微調整することもできます。
また、sRGB、DCI P3、Display P3の3つのモードではCalmanのレポートを表示させることもできます。その他、キャリブレーション(対応する機材が必要です)もできるようになっています。まあ、クリエイター以外の人はsRGBモードにしておけば問題ないと思いますけど…。
ディスプレイの使用感
Prestige 16 A12Uのディスプレイ仕様はメーカー側できちんと発色品質を開示しているため、ここでは発色品質についてのコメントは不要と考えます(いや、すごくキレイ!くらいの感想になってしまいますし…)。
実際に使ってみて「とにかく明るい」ということに驚かされました。これはミニLEDの特徴と思われますが、ここまで明るいディスプレイを搭載するノートPCを見るのは初めてですね。ただ、ディスプレイの輝度調整機能は適切で、私は文書作成の際には輝度50%にして使っていましたが、この場合は明るすぎて困る、ということはありませんでした。
発色、また発色の調整余地の大きさ、そして輝度とも、クリエイターの利用に耐えられる、素晴らしい品質のディスプレイだと思います。
Prestige 16 A12Uはヒンジを開口すると天板が接地し、筐体後部がせり上がる構造(リフトアップヒンジ構造)です。そのため、使用時にはキーボード面に適度なつき、タイピングがしやすくなります。
ヒンジはほぼ180°開口可能です。この構造だとビジネスミーティングなどの際に向かい側にいる人と画面共有が容易になります。
スピーカーの使用感
音質はクリアで、ノートPCの内蔵スピーカーでよく見られるこもった音質だったり、薄っぺらい音質ではありません。ただ、製品の価格帯を考慮すればこれは当然とも言え、その意味では「可もなく不可もなく」と評価すべきだと思います。
音響アプリには「DTS Audio Processing」がインストールされており、これを使うと一気に臨場感が増します。具体的には低音から高音までメリハリの効いた音質になります。このアプリはイコライザーも搭載しており、音質調整の調整の余地もありますので、いろいろ試してみれば好みの音質に仕上げることができると思います。
バッテリー駆動時間
Prestige 16 A12Uは16インチサイズと、モバイル利用にはあまり向かないサイズで、外部GPUを搭載していますので、基本的には電源接続して使うことが想定されます。しかし、(外部GPUが仕事をしない)比較的軽めの使い方をしてバッテリー消費量を測定しました。
設定アプリMSI Centerには「ユーザーシナリオ」という項目があり、利用シーンに応じてパフォーマンスモードを変えることができます。今回はユーザーシナリオをSmart Auto(AIが最適なモードを選択してくれる)にして下記の作業をしました。またディスプレイ輝度を70%に、音量を30%にしています。
・ブラウザーでYouTubeを開き、動画視聴・音楽鑑賞を20分
・画像加工ソフトGIMPで簡単な画像加工を30分
・テキストエディタで文章入力を20分
上記トータルで70分使用し、バッテリー消費量は25%でした。単純計算だとPrestige 16 A12Uのバッテリー駆動時間は5時間弱ということになります。ただし、繰り返しになりますが、外部GPUが動き出すような負荷の高い作業をする場合はバッテリー駆動時間は一気に短くなります。また、バッテリー駆動の場合、外部GPUは本来の性能を発揮できず、高負荷な作業ではパフォーマンスも大きく下がってしまいますので、できるだけ電源接続をして使うことをおすすめします。
発熱とファン音
Prestige 16 A12Uの冷却システムは「Dynamic Cooler Boost」です。「Cooler Boost」というのはMSIのゲーミングノートに使われているシステムなので、信頼性は非常に高いです。
PC負荷が小さいOfficeソフトの利用時などはほぼ無音です。また、ファン音を大きくするためにベンチマークテストを立て続けに数回実施したり、オンラインゲームも1時間ほどプレイしてみましたが、その場合はファン音が大きくなるものの、音量は最大で55dbほどで「うるさい」という感じではなく、音質も不快なものではありません。
発熱量も小さいですね。オンラインゲームのプレイ中でもキーボード面の上部と背面が熱を持ち、キーボード操作でも少し熱を感じますが、特に不快に感じるようなことはありませんでした。冷却性能および静音性は十分、と評価できます。
3.Prestige 16 A12U 性能テスト
Prestige 16 A12Uは本来ゲーミングノートではないのですが、CPU/GPU/ディスプレイ性能を見るとゲームプレイにも向きます。なので、今回はゲーミングノートと同じ内容のベンチマークテストをしました。各種ベンチマークテスト実施にあたり、レビュー機を電源に接続し、設定アプリMSI Center Proのユーザーシナリオを「ハイパフォーマンス」にして測定しました。
表計算ソフトやビデオチャット、画像加工など、実際のビジネスシーンをシミュレートしたテスト、PC Markのスコアです。どちらかというとビジネス系のPCの性能測定で重視すべきベンチマークテストと言えます。また、このテストではCPU性能の影響が大きいとされますが、テスト内容にグラフィック系のシミュレーションも含むため、外部GPUの性能も少なからず影響します。
参考(過去データから一部抜粋):
MSI Creator Z16P B12U(Core i9-12900H、RTX3080Ti)7,943
ASUS ROG Zephyrus M16(Core i9-12900H、RTX3070Ti):7,720
DELL G15(Core i7-12700H、RTX3060):7,685
MSI Katana GF66 12U(Core i7-12700H、RTX3070Ti):7,417
ASUS ROG Strix G15 G513RW(Ryzen 9 6900HX、RTX3070Ti):7,347
ASUS ROG Strix G15 G513RM(Ryzen 7 6800H、RTX3060):7,037
GIGABYTE A7(Ryzen 9 5900HX、RTX3070):6,827
MSI Stealth 15M B12U(Core i7-1280P、RTX3060):6,675
マウス DAIV 6P-RT(Core i7-12700H、RTX3050Ti):6,603
MSI GE66 RAIDER(i7-10875H、RTX2070):6,081
ASUS ROG Strix SCAR 15 G532LWS(i9-10980HK、RTX2070SUPER):6,023
HP Pavilion 15-eh(Ryzen 7 5825U)5,954
MSI Pulse GL66 11U(Core i7-11800H、RTX3060):5,810
dynabook RZ/HV(Core i7-1260P):5,564
ASUS Vivobook S 14X OLED(Core i7-12700H):5,528
VAIO SX14(Core i7-1280P):5,452
VAIO SX12(2022)(Core i7-1260P):5,437
MSI Modern 14 C12M(Core i7-1255U):5,366
VAIO SX14(Core i7-1195G7):5,278
Lenovo ThinkPad X13(Core i7-1165G7):5,205
Lenovo IdeaPad Slim 550 14(Ryzen 5 5500U):5,076
DELL Inspiron 14 AMD(Ryzen 5 5625U):5,031
ASUS VivoBook 15 K513EA(Core i7-1165G7):5,017
DELL XPS 13 Plus(Core i5-1240P):4,980
Microsoft Surface Laptop Studio(Core i7-11370H、RTX3050Ti):4,955
dynabook MZ/MV(Core i7-1255U):4,924
HP Spectre x360 14(Core i7-1255U):4,834
HP ENVY x360-bf(Core i7-1250U):4,833
PC Markのスコアは6,000点オーバーとなり、このテストが想定するビジネスシーンでの利用では申し分ない性能、と評価できます。過去データのうち、MSI Stealth 15M B12Uが「同じCPU、ワンランク上のGPU」を搭載しており、マウスDAIV 6P-RTが「ワンランク上のCPU、同じGPU」を搭載しているのですが、この2機種はどちらも6,600点台のスコアとなっています。CPUおよびGPUの性能差からみて、妥当な結果になったと思います。
続いてはグラフィック性能を測定する3D Markのスコアです。ゲーミングPCでは最も重要になるテストですね。
参考(ゲーミングノートの過去データから一部抜粋):
ASUS ROG Strix SCAR 17 G733ZX(Core i9-12900H、RTX3080Ti):12,849、28,768、7,999
MSI GP66 Leopard 11U(Core i7-11800H、RTX3080):11,730、24,606、7,513
ASUS ROG Strix G15 G513RW(Ryzen 9 6900HX、RTX3070Ti):11,088、26,107、6,904
MSI Creator Z16P B12U(Core i9-12900H、RTX3080Ti)10,614、23,960、6,520
MSI Katana GF66 12U(Core i7-12700H、RTX3070Ti):10,516、23,619、6,589
GIGABYTE A7(Ryzen 9 5900HX、RTX3070):10,393、23,177、6,394
ASUS ROG Flow X16 GV601(Ryzen 7 6800HS、RTX3070Ti):10,259、24,084、6,277
ASUS ROG Strix G15 G513RM(Ryzen 7 6800H、RTX3060):9,359、21,320、5,363
MSI GS66 Stealth(i9-10980HK、RTX3080):9,276、20,063、5,873
DELL G15(Core i7-12700H、RTX3060):9,274、19,738、5,233
MSI Stealth 15M B12U(Core i7-1280P、RTX3060)):8,023、18,153、4,491
MSI Pulse GL66 11U(Core i7-11800H、RTX3060):6,974、15,408、4,088
マウス DAIV 6P-RT(Core i7-12700H、RTX3050Ti):5,629、12,138、-
HP ENVY 15(i9-10885H、RTX2060 Max-Q):5,597、13,382、3,150
ASUS Vivobook Pro 16x OLED(Ryzen 7 5900HX、RTX3050):4,470、9,640、-
Microsoft Surface Laptop Studio(Core i7-11370H、RTX3050Ti):4,462、8,943、-
MSI GF63 Thin 10U(Core i5-10500H、RTX3050):4,187、9,486、-
※左からTime Spy、FireStrike、Port Royalのスコア
3D MarkはGPUの型番に対して割と素直な結果になることが多いです。しごく当たり前の話ですが、Prestige 16 A12Uのスコアは「RTX3060搭載機よりは下、RTX3050搭載機よりは上」という結果になっています。この結果も妥当ですね。同じGPU(RTX3050Ti)を搭載するマウスDAIV 6P-RTとの比較では「ほんの少し負けている」んですが、ほとんど気にしなくていいレベルでしょう。測定誤差と理解してもいいかもしれません。
なお、GeForce RTX3050Ti Laptopはリアルタイムレイトレーシングに対応するGPUですが、レイトレーシング性能は非常に低いと言わざるを得ません。3D Markのテストの中に「Port Royal」という、レイトレーシング性能を測定するものがあり、実際に測定してみましたが、スコアは「300点台」でした。レイトレーシングに対応するゲームで、レイトレーシングをオンにしてプレイすることを重視するなら、おそらくRTX3070以上のGPUが必要になると思います。…Prestige 16 A12Uはゲーミングノートではないんですけどね…。
次に個別ゲーム「ファイナルファンタジー15」のベンチマーク結果です。このテストはディスプレイ解像度によってスコアに大きな影響が出ます(当然ですね)。Prestige 16 A12Uは解像度が2,560 × 1,600と高いので、今回は「1,920 × 1,080」にして測定しました。
ご覧の通り「普通」という結果になっています。また、2,560 × 1,600にして測定したところ、スコアは「3,578」と、これまた「普通」の範疇に収まりました。まあ、一応「普通」ではあるのですが、本気でFF15をプレイするのであれば「高品質」ではなく「標準品質」でプレイされる方が快適だと思います。
CPU性能のみを測定するCINEBENCH R23のスコアです。このテストではGPU(GeForceなど)の搭載有無は影響を受けないとされています。
参考(過去データから一部抜粋):
dynabook AZ/HV(Core i7-1260P):1,809、8,940
ASUS Vivobook Pro 15X OLED K6501ZM(Core i7-12650H):1,806、14,632
MSI Katana GF66 12U(Core i7-12700H):1,800、15,593
MSI Modern 14 C12M(Core i7-1255U):1,797、8,791
ASUS Vivobook S 14X OLED(Core i7-12700H):1,745、11,543
HP Spectre x360 14(Core i7-1255U):1,666、7,671
VAIO SX14(Core i7-1280P):1,661、9,354
MSI Stealth 15M B12U(Core i7-1280P):1,659、13,793
dynabook GZ/HV(Core i7-1260P):1,655、7,586
VAIO SX12(2022)(Core i7-1260P):1,647、8,813
HP ENVY x360-bf(Core i7-1250U):1,636、7,295
dynabook RZ/HV(Core i7-1260P):1,634、8,524
ASUS ROG Strix G15 G513RW(Ryzen 9 6900HX):1,580、14,830
dynabook MZ/MV(Core i7-1255U):1,558、5,094
dynabook SZ/MV(Core i7-1255U):1,551、5,160
ASUS ROG Flow X16 GV601(Ryzen 7 6800HS):1,543、13,832
ASUS Vivobook 15 OLED K512EA(Core i7-1165G7):1,497、5,555
MSI GP66 Leopard 11U(Core i7-11800H):1,491、12,210
ASUS Vivobook Pro 15 OLED(Ryzen 7 5900HX):1,482、12,108
dynabook MZ/HS(Core i7-1165G7):1,477、5,526
ASUS M3700WY(Ryzen 7 5825U):1,454、9,046
MSI Bravo 15 B5(Ryzen 7 5800H):1,422、11,241
DELL Inspiron 14 AMD(Ryzen 5 5625U):1,364、8,013
Lenovo Legion 560(Ryzen 7 5800H):1,348、11,419
Lenovo IdeaPad Slim 550 14(Ryzen 5 5500U):1,170、6,973
ASUS ZenBook 14(Core i5-8265U):1,023、3,691
HP Pavilion x360(Core i5-7200U):790、1,740
スコアのほう、同じCPUを搭載するMSI Stealth 15M B12Uと「ほぼ同じ」ですね。しかし、こうしてみると、同じ第12世代のH型番(Core i7-12700Hなど)には及ばないものの、第11世代のH型番やRyzenのH型番を上回る結果になっていて、Core i7-1280Pの性能は侮れない、というか、ゲーミングノートやクリエイターノートにも向く型番であることがわかります。
ラストはSSDの読み書き速度を測定するCrystal Disk Markのスコアです。このスコアはPCIe4.0 ×4接続の数値ですね。極めて高速です。製品の性質上、大容量の動画データや画像データを読み書きすることになると思いますが、それら大容量データを扱う上でも十分すぎる性能と言っていいでしょう。
4.Prestige 16 A12U レビューまとめ
MSI Prestige 16 A12UはMSIストアで販売中で、12月29日現在の価格は税込み269,800円です。
外観は「高級ノートパソコン」です。やや凝った造形になっており、素材感・質感も素晴らしいものでした。ビジネスシーンでもよく映える筐体だと思います。ミニLEDディスプレイの発色性能・発色調整機能も優れており、クリエイターの要求水準を満たす品質であると評価できます。
また、パフォーマンスも期待通りで、この製品でExcelとかWordだけ使うのはもったいない、と感じられます。職人レベルのパワポ資料制作とかAdobeのクリエイティブ系ソフトウェアをがっつり使うのに向くと思います。あと、冷却性能も悪くないのでオンラインゲームをプレイすることもできますね。
何にでも使える器用なパソコンと言えます。そして「非常に高い水準で器用」ですね。269,800円というのは絶対的な支払金額としては安くはないものの、これだけの品質を思えばむしろ安いと言えるかもしれません。
5.関連リンク
Prestige 16 A12U:MSI公式サイト 製品紹介
Prestige-16-A12UD-098JP:MSIストア