こんにちは、natsukiです。あまりにも面白すぎるトンデモPCを紹介します。どこかで見たことある、キーボード面に第2のディスプレイを搭載した変わり種ノートパソコン「Crelander Laptop」です。ひと目見て察する人は察すると思いますが、思いっきりネタ製品です。はじめに言っておきます。まかり間違っても、購入を勧めることはできません。ただしこれ、確かにきわめて危なっかしい製品ながら、細部をよく見ると、単なるパチモンと片付け切れない奇妙奇天烈摩訶不思議なことがたくさんあるんです。こういう(良くも悪くも)はっちゃけた製品があるんだというお話です。
目次
1.Crelander Laptop スペック
Crelanderとは?
発売元である「Crelander」は何者かというと、ちゃんとメーカーサイトがあります。どうやらLED付きバックパックが主力商品のよう。このサイトトップ画像のバックパックは、日本のAmazonにも出品がありますね。
なんですが、他にもやたら手広く手がけています。これらの製品の多くも、それぞれに(ネタ的な意味で)楽しいのですが、このCrelander Laptopの破壊力の前では霞むので、今回は割愛します。興味のある方はご覧ください。ともかく、Aliexpressに多くある名前だけブランドとは違って、製品紹介のサイトくらいはあるメーカーということです。ただし、パソコンもいくつか手掛けてはいるものの、主力製品ではなく、失礼ながらとても技術力のあるブランドとは思えません。
とりあえず、注文すれば、ディスプレイが2つ付いて起動はするパソコンが届く、というくらいの信頼性はあるようです。
Crelander Smart Electronics:メーカーサイト
スペック
Crelander Laptop のスペックは次の通りです。
Crelander Laptop |
|
OS |
Windows 11 |
CPU |
Intel Core i7-10750H |
外部GPU |
外付け可能 |
RAM |
8GB/16GB/32GB/64GB |
ストレージ |
128GB/256GB/512GB/1TB/2TB SSD ストレージ2基搭載可 |
光学ドライブ |
なし |
ディスプレイ |
メイン:16インチ液晶(1,920×1,200ピクセル?) サブ:14インチ液晶(1,920×550ピクセル)、タッチ対応 |
ネットワーク |
802.11 ac/b/g/n、Bluetooth 4.2 |
入出力 |
USB 2.0×1、USB 3.0×2、USB Type-C×1、 HDMI、オーディオジャック、LAN(RJ45)、DC-IN External Graphics Card Interface |
カメラ |
Webカメラ(画素数不明) |
バッテリー |
不明 (ACアダプター:19V 3.42A) |
サイズ |
356×247×28.6mm |
重量 |
2.5kg |
これ、ASUS Duoシリーズとは完全に別の筐体だ!
見た目だけでなく、スペックもいろいろ面白すぎるンですが、とりあえず外見から行きましょうか。はい、どこからどう見てもASUSが送る名物シリーズ「ZenBook Duo」や「Zephyrus Duo」のパクりです。
Zenbook Pro 14 Duo UX8402ZA:ASUS
ZenBook Pro Duo 15 OLED UX582ZM:ASUS
ROG Zephyrus Duo GX650PY:ASUS
しかし、ただそれだけで終わりません。デザインをパクるだけならよくある話ですが、この製品の場合はそんな簡単なことではないでしょう。だって、ASUSのDuoシリーズと言えば、唯一無二のデザインを輩出するASUSの中でも特に極まった製品です。つまり、ハード面にもそれを制御するソフト面にも、天下のASUSの技術の粋が詰まっています。それを、ポッと出の謎中小メーカーにマネできるとはとうてい思えない。とはいったって、実際に売っているのは事実なわけで、いったい何じゃコリャとなるわけです。
ぱっと見想像するのは、(そんなことが可能なのかどうかは別問題にして)ASUS Duoシリーズの型落ち品や部品を流用してリブランドしたんじゃないかということ。サイズや第10世代Intel Core i7といったことからすると、「Zenbook Pro Duo 15 OLED (UX582)」あたりが近いかな?とも思ったんですよ。しかしよく見ると、Duoシリーズのどの機体とも異なる筐体であることが分かります。
これがメーカーが掲載する実物の写真です。この他、購入者のレビューなどからも確認してみました。すると、
・側面の構造とポート構成が違う
・キーボードが縦5列(ASUS Duoシリーズは縦6列で、タッチパッド上部にもキー有り)
・ディスプレイ上部のWEBカメラまわりの形状が違う
・底面が違う
・天板も同心円スピン加工ではない(笑)
などなど、まったく別物であることが分かります。なんと、本気で筐体から独自に作っているらしい。
2.あまりにも多すぎるツッコみどころ
と、作っている方は相応に手をかけてオリジナル製品として作っているようなんですが、スペック情報をよく見たり、Aliexpressやネット上の買ってしまったチャレンジャーたちの書き込みを見ると、残念ながらというかやはりというか、いろいろと問題があるようです。製品情報そのものもそうとうにいい加減な様子。その一方で、RAMやストレージのカスタマイズ性が高かったり、なんと外部GPU接続に対応していたりと、デュアルディスプレイ以外にもやたらと挑戦的な要素があります。怒濤のツッコミを並べてみましょう。
メモリとストレージはとってもワイドバリエーション
メモリとストレージのバリエーションは非常に豊富です。画像は公式サイトのものですが、Aliexpressまで見ると、RAMは8GB~64GB、ストレージは128GB~2TBという、すさまじいワイドバリエーションです。
メモリとストレージのカスタマイズ性がノートパソコンとは思えないくらい高い
そのメモリとストレージですが、DIYのカスタマイズ性が異様に高い。メモリは2スロット、そしてストレージもM.2 SSDが2スロットあり、底面の蓋から簡単にアクセスできるようです。
もっとも、M.2 SSDの規格は、なぜかPCI-Expressの2280サイズにSATAの2242サイズとチグハグです。
基本的な製品情報がいい加減
CPUは、Intel第10世代のIntel Core i7-10750Hを搭載と明記されています。末尾Hは、Core i7の中でも特にハイスペックな型番です。なぜ第10世代?というのは、たまたま手に入ったからということにして、ひとまず置いておきましょう。
問題は、このこのデカデカとした製品紹介画像。ええ、Intel Core i7-10750Hは「6コア」「12スレッド」です。やっちまいましたな。
さらにメインディスプレイの解像度についても、2つの情報があります。Aliexpressには両方の解像度の製品が別々に出品されているので、一見、2つのバージョンがあるかのようにも見えますが、購入者のレビューを見ると1,920×1,200ピクセルが正しいようですね……。これらは、最大限善意に取ると、開発当初から構成が変わったのかなとも思いますが、結局のところよく分かりません。いずれにしても、最も基本的なスペック情報なのにいい加減が過ぎる。このように、やはりメーカーとしての全体的な信頼性はイマイチと言わざるを得ません。
グラフィックカードの外付けに対応
これが側面のポート類。ノートパソコンとしては、充実している方でしょう。なお、USB Type-Cの規格は不明です。いやいや、そんなことより……
もう、面白すぎます。なんと、外付けでグラフィックカードの増設に対応とのこと。しかも、増設には独自のアタッチメントが必要らしい。なお、このアタッチメント付きのバージョンは、Aliexpressのみで扱いがあり、メーカー直売にはありません。ここもいい加減なのが、まずポートの位置。上の画像はAliexpressのもので、ご覧のように背面に独自のポートがあるようです。しかし、その他の製品画像を見る限り、この位置には何もありません。ホントにあるのか?というと、購入者のレビューを見ると、確かに背面に「PCL EXPRESS」と表記されたポートがあるみたいです。そして、仕様に関する情報が少なすぎる。上の画像が実質的にすべてです。レーン数?知らんがな。
キーボードが謎配列
先に見たように、キー配列はモバイルキーボードやUMPCなどに見られる縦5列。すると、一定のムリが想像されるわけですが、実際のところかなりの変態配列っぽいです。公式の情報にはキー配列がはっきり分かるものがなく、以下はあくまで購入者のレビュー画像から読み取ったものであることをご承知おきください。で、まず右上の一般的にBackSpaceやDeleteが置かれるところに、電源キーがある。ここまではWindowsとしては使いづらいながら、Macなどにも見られる配列です。大きな問題は、どうも右側Shiftキーがなく、「Enterキーの下がDeleteキー」っぽいんですね。GPD Pocketなど、私もずいぶん変態配列を見てきましたが、削除系のキーがEnterの下側にあるというのは前代未聞です。意味が分かりません。ちなみに、BackSpaceは無いようです。これはもはや、後退のネジを外したメーカーの姿勢と受け止めていいんでしょうか?
システム面も不安なところあり?
ASUSのDuoシリーズは、ただディスプレイが2つあるというだけでなく、様々な独自機能やいくつかの有名アプリ専用の機能など、システム面でもデュアルディスプレイの利点を最大限活かせるように工夫が凝らされています。当然ながら、Crelander Laptopに同レベルのものを期待することはできないでしょう。これも、購入者の書き込みを見ていると、輝度設定が効かないなどの不安なものが散見されますが、この辺はどこまでが個体差や環境によるものなのかの判別までは難しいものもあるので細かくは指摘しません。でもちゃんと映るらしいですよ(あたりまえ)。まあ、デュアルディスプレイとして認識すればいいんじゃないですかね。なお、Aliexpressの商品ページには、システムを入れ直すとドライバとかがダメになって使えなくなる可能性があります、といったような意味の警告があります。
3.販路と価格など
いちおう、販路を見ておきましょう。まずはメーカーサイトです。ただしメーカーサイトでは、大きなウリのはずの外部GPU接続キットのオプションを購入できません。または、Aliexpressの「Crelander Store」から。こちらには、外部GPU接続キット付きオプションがあります。
そして謎なのが、Crelander Laptopの出品ページが、記事執筆現在こんなにたくさんあること。Aliexpressでは、検索対策か、オプションやセールの別か、製品情報が変わったときに既存のページを修正するよりも新しく作った方が楽なのか、同一出品者が同一商品に複数のページを作ること自体はよくあるんですが、それにしてもこの数は異常です。ちなみに、右下の「Crelander-デュアルスクリーンラップトップ,14インチ,ラップトップ,Intel Core…」のみ、外部GPUキットのオプションを選択できます。
もっとも、この出品者、トップブランドマークがついてるわけでもないので、Crelander製品を専門に扱っているのは確かながら、Crelanderの公式ショップかは分かりません。また、2017年出店という、それなりの老舗ではあるものの、記事執筆現在フォロワー数は1,000弱でフィードバック数も少なく、そうとうの零細出品者です。ただ、こういった不安な製品だと、トップブランド無しの零細出品者だとしても、まだAliexpressで買う方が、Aliexpress側の保証がある分マシと言えるかもしれません。……もしも、まさか、万が一、よもや、買おうなどという気を起こしてしまったらの話ですが。
価格は、構成のバリエーションが非常に豊富なために幅があり、Aliexpressで、最小構成だと10万円を切り、最大構成で130,000円強といったところでした。まあ、構成を考えれば安いくらいですが、ご覧の通り、あまりにもアブない製品なので、すでに価格がどうこうの話ではないような気もします。
一見、ASUS Duoシリーズのパチモンでありながら、そもそもコピー元が簡単にマネできるような製品でないこと、RAMやストレージに外部グラフィックボード接続など、ノートパソコンとしては他に類を見ない異常なくらい高いカスタマイズ性を持った構成になっていること、残念ながら情報がいい加減で製品全体としての信頼性も危うい部分が見られるものの、一応使えるくらいのレベルにはあるらしいなど、もう、属性盛りすぎでどこからツッコめばいいのかワケが分かりません。とりあえず、これを作って売ろうと思う気概と、実際に作ってしまう実行力には、恐るべきものがありますね。うーむ、世界は広大だ。
4.オチ
(Crelanderブランド最有力商品LEDバックパックのAmazonでの製品紹介画像)
5.関連リンク
Crelander Laptop Core i7 10th Generation Touchscreen Gaming Laptop PC:メーカーサイト
ストアカテゴリー > デュアルスクリーンのラップトップ:Aliexpress「Crelander Store」内の商品カテゴリー
コメント
なんだこのパソコンは・・・たまげたなぁ。
こいつはまた最高にクールなやつが出てきましたね、これぞ中華アイテムとしか言いようがない。
オチまで完璧ですね
まあ製品の出来はその..がんばれ
これは危ないと分かっててほしくなるやつ
昔よくあった無名中華会社のスマートフォンのような
皆様コメントありがとうございます。
この製品は、まず見た目のパチモン感が先に来ながら、記事にも書いたとおり、オリジナル要素もかなり追求しているんですよね。こういうのを作っちゃうこと自体が、面白すぎます。