こんにちは、壁です。今回はスマホレビューとなります。試用したのはXiaomi Mi 8 Lite。本国では『青春版』となっている、要はMi 8シリーズの若年層向けの廉価版モデル。スペックを見るとどこに廉価な要素があるんだろ?と首を傾げてしまいますが、そんなXiaomi Mi 8 Liteをレポートしていきたいと思います。
なお、今回も中国の通販サイト「Banggood」より端末の提供をしていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございます。それでは、最後までお付き合い下さい。
1.スペック
このスペック表はグローバルROM版のスペック表になります。中国国内版との違いは対応バンドで、このスペック表からB2、B4、B20、B28が外れる形になります。
OSはAndroid 8.1ベースのMIUI 10です。MIUIは初めて触りますね。結構、評価が分かれるUIですが、使うのが楽しみです。なお、本機はAndroid 9へのアップデートの対象となっており、順次アップデートがなされていくと思われます。
RAMは4GB、6GB、ストレージは64GB、128GB。今回の試用機は4GB+64GB版です。ディスプレイサイズは6.26インチ。要は6インチにノッチ部分の0.26インチが追加された感じ。その割にはXperia XA1 Ultraよりも少し小さいボディサイズとなっています。
後程、写真で見比べてみますが、参考程度にXperia XA1 Ultraのプロポーションは165×79×8.1mm、重さは188gです。
ディスプレイはMi8 SE以上の上位モデルだとディスプレイがOLEDとなるのですが、本機はIPS液晶を採用。発色はXperia XA1 Ultraよりも自然。焼き付きとか考えると液晶でも全然問題ないんですけどね。
SIMスロットは片方がmicro-SDと排他。本機試用前にスペックを調べていたのですが、媒体によってはmicro-SDスロット無しの表記があって、あれ?と思っていたのですが、実際に実機で確認したら、排他仕様でした。
待ち受けはデュアル4G仕様、DSDVに対応しています。ウインタブでは通信周りのテストは対象外となっていますが、ドコモ回線だとBand 1、Band 3、Band 28に対応しています。
本機ではオーディオジャックは省かれ、USB-Cポートが1つのみです。後述しますが、3.5mmオーディオジャック変換ケーブルが付属しています。
カメラはメイン(リア)が12MPと5MPのデュアルレンズカメラ。12MP側のイメージセンサーはソニー製IMX363、5MP側はサムスン製S5K5E8の組み合わせ。この組み合わせは先日レビューしたDOOGEE S70と同一です。フロントカメラは24MPのシングルレンズ。イメージセンサーはソニー製のIMX576。一見、上位モデルと同一スペックのようにも見えますが、光学式手振れ補正といった補正機能が省かれています。カメラの詳しい性能などは作例も交えて後述します。
2.筐体
まずは化粧箱から。側面には「Global Version」のステッカーが貼り付けてあります。このバージョンでなければ日本語対応していません。購入の際はくれぐれもご注意を。
同梱品はペーパー類2種、専用ソフトケース、オーディオ変換ケーブル、SIMピン、USBケーブル、海外仕様のACアダプタとなっています。
取扱説明書は残念ながら日本語の表記はありませんでした。
正面と背面です。今回の試用機のボディカラーはブラックです。他にトワイライトレッド、リームブルーの2色があり、両方ともグラデーションカラー仕様になっています。背面の素材は強化ガラスで鏡面加工が施されています。テッカテカです。ケース無しで使おうものなら指紋やら脂やらが目立ちます。サッと拭き取ってキレイに保ちたくなること請け合い。
背面に貼られているステッカーにはSIMスロットの取り扱い方などが記されていますが、警告のところに「本機の背面は開かないよ」の趣旨の文言が。
底面はマイク、USB-Cポート、スピーカーが配されています。スピーカーの音は悪くありません。
右側側面に電源キー、ボリュームキー。こうして側面から見ると画面とカメラが出っ張っているのが分かりますね。どうにも落ち着かないのですが…。側面の素材はアルミ合金となっており、クロームブラック塗装が施されています。
本体上面には通話時ノイズキャンセリングや動画撮影用のセカンドマイクがあります。ホントにイヤホンジャックがありません。
専用のケースとケースを取り付けた状態。これによりディスプレイとカメラの出っ張りがツライチになります。なんというか、初めからケースありきの設計なのかと思ってしまいます。
ディスプレイが出っ張っている端末はそう珍しいものでもなく、少し古いですがVAIO Phone Bizなどはそうでした。アレの画面が出っ張っているのは衝撃吸収性を確保するためとかだったと思いますが、本機がそこまで踏み込んでいるのかは分かりません。
Xperia XA1 Ultraと比較。本機は数字で見るよりも、ずっとコンパクトに見えます。側面の厚さは同じぐらいに見えますが、カメラ部分の出っ張りでそう見えてしまいますね。
重さも金属筐体、背面ガラスでありながら20gほど本機が軽く仕上がってます。もっと言えば、バッテリー容量も本機の方が多かったりします。
レヴォーグのセンターコンソールポケットに収まるか試してみましたが、流石にムリでした。Galaxy S9でピッチリなので予想はしていましたけどね。それでも、ディスプレイサイズの割にはコンパクトに出来ていると思います。
3.システム
ホーム画面です。XperiaやGalaxyなどのようにアプリケーションドロワーはなく、アプリを直接ホームに配置するタイプのUIです。実はこれまでドロワーがあるタイプしか扱ったことなく、こういったタイプは初めて触るのですが、意外とすんなり使えて自分でも驚いてます。
一番左端はフィード画面になっており、株価やスケジュールを表示できるようになっています。
設定画面です。デバイス情報など、システムの項目が一番上に来る珍しいタイプですね。各項目ごとに分かれているので、探しやすいのが好印象でした。
また、標準音楽プレイヤー用向けと思われますが、イコライザーもありまして、設定画面で変更できるようになっています。セキュリティパッチは2018年12月1日付けとなってますが、おそらくはAndroid 9へのアップデートのタイミングで更新されていくと思います。
流石に日本国内ではあまり知られていないとはいえ、世界的には大手と言ってもいいXiaomiですから、定期的なセキュリティアップデートが期待できると思います。
RAM 4GB、内部ストレージ64GBの構成がいよいよ「エントリー」の位置付けになってきたのかなぁという気がします。これでも十分足りますし、micro-SDも使えますしね。他にちょっと気になった点を2点ほど。
生体認証は指紋認証のみ
中華スマホではデフォルトで装備されている、顔認証システムは設定画面を見ても本機では見当たらず…。ただ、他社製品でも顔認証は「指紋認証ほどセキュアじゃないよ」という旨の但し書きもあったりしますし、指紋認証でも十分なのかも。
日本語対応しているけど…
一部の項目は翻訳ミスなのか、直訳しただけなのか、小首を傾げるものがチラホラ。例えば、「ホーム画面と最近」など。ただ、そもそも日本で展開しているブランドではないですから、そこは大目に。むしろ、日本語対応しているだけでもありがたいですよね。
では、次に行きましょう。
4.カメラの使用感
さて、今度はカメラを使ってみます。AI機能で自動でシーン認識してくれるそうですよ。まずはカメラUIをチェック。
カメラアプリの初回立ち上げで、このようにAIを強くアピールしてきます。
カメラUIです。オーソドックスで扱いやすいUIです。基本はAIによるフルオートで撮ることを前提にしていますが、本機はマニュアルモードが結構いいんですよ。これはまた後程。
右側をスライドさせると撮影モードを選択できます。動画は4K(30fps)をサポート。いよいよ、ミドルレンジクラスでも4K動画撮影が楽しめるようになってきました。指紋センサーでシャッターを切ることも可能。この機能はセルフィーに最適ですね。自然な持ち方で撮影できますし。
では作例を。
早朝の限界集落。流石に大手メーカーだけあり、チューニングが見事。本機と同じカメラ構成を持つ、前回のレビュー機であるDOOGEE S70と比較してみても、センサーの性能に丸投げにしているだけじゃなくて、しっかりとソフトウェアが作り込まれていることが分かると思います。
いつもの漁港でいつものクルマ。DOOGEE S70と比べてよく分かるのが夜景や暗所での処理。S70も悪くはないのですが、センサーの性能を引き出しているとは言い難かったですね。
とりわけ、暗めの室内だとピクセルが潰れまくってたS70と違い、こちらは天井の模様もくっきりと表現できてます。何気にParagonを正面から撮るの初めて。
コーヒーとモカロールケーキのセット。AIはちゃんと料理の判定。ただ、見た目とはちょっと違うので…。
マニュアルモードでホワイトバランスを弄ってあげたら見た目に近くなりました。本機のマニュアルモードはかなり使えます。それを証明してくれるのがこの1枚。
オリオン座と限界集落です。周囲に街灯が一切ないので星空の撮影にはもってこい。本機のマニュアルモードにおけるシャッタースピードの調整幅は広くて、最大32秒間、シャッターを開けたままにすることができます。長時間開けられるということは、それだけ光を取り込めることになるので、夜景や星空を撮るときには非常に有利なのです。
注意点はシャッターを開ける時間が長いということは手振れに非常に弱いということ。なので、三脚固定が必須となります。また、光を多く取り込めるということは、周囲の明かりも撮影の障害になりやすく、街灯の多いところでは若干撮りにくくなります。
スマホで星空撮影するのに大きな要素は2つ、『シャッター速度』と『ISO感度』です。この2つをうまく調節して撮影してみて下さい。
それからデュアルレンズには、もはや当たり前なボケ撮影も試してみましたが、イマイチ不自然な感じが残るのはハイエンドモデルでもあること。しかし、コレを使わずとも意外とボカしの効いた写真が撮れたりするのが本機のスゴイところでもあります。
このようにカメラ性能に関しては、大手メーカーに力を見せつけてくれる恰好になりました。上位モデルとは違い、光学式手振れ補正といったアシスト機能は充実していませんが、AI機能によるシーン自動検出は素晴らしく、フルオートでもバシバシ撮れます。
ちなみに、ペットを撮ろうとニャンコにカメラを向けたらAIのアイコンがニャンコ(※ペットモード)になり、敬虔な猫派であるワタクシはXiaomiを熱烈支持することにしました。
5.オーディオの使用感
オーディオ性能に関してはデータがホントに少なく、ハイレゾ音源対応かどうかの有無すらも分からない状態。さてさて、Powerampさんはどう判断するのやら…。
おやおや?24bit 192khzで出力ということはハイレゾ対応ですよ、コレは。ハイレゾ非対応モデルでこの項目を出すと、サンプリング周波数の『実際』の項目が48khzになるので、これが選択通りに192khzで出力しているのならハイレゾ対応とみて間違いないと思います。ハイレゾドライバはSnapdragon標準のDirect HDです。
でも、イヤホンジャックが…。
と、思っていたのですが、本機に付属の変換アダプタはコンパクトにできていて、イヤホンのキャリングケースの中に丁度いい感じで収まるようになっています。
いつも持ち出しているfinal E2000のキャリングポーチにジャストフィット。これぐらい持ち運びに便利なら、変換アダプタも案外悪くないなぁと思ってしまいます。
ところで、変換アダプタにより音質は違うのかと思い、以前レビューしたBLUBOO S3に付属していた変換アダプタと本機のそれで聞き比べてみましたが、意外なことに音質は変わらなかったです。もしかしたら、自分の耳が鈍いだけかもしれません。いや、そんなことはないと思われてる方はご報告いただければ幸いです。
6.性能テスト
Antutuベンチマークの結果ですが、ミドルレンジクラスとは言うものの、もう少しでSnapdragon 820機に迫るほどのスコアを叩きだしています。
Media-Tek Helio P20を積む、Xperia XA1 Ultraの倍のスコアです。実際に使い比べるとXperia XA1 Ultraはなんと言いますか、ミドルレンジクラス特有の引っかかり感というか、そうものが感じられるのですけど、本機だとそれがないですね。数字通りの動きの違いが分かります。これぐらいのスコアですと、ゲームも意外と動いてくれると思います。
試しに『ドリフトスピリッツ』をプレイしてみましたが、Xperia XA1 Ultraで感じられたロードのもたつきはなく快適にプレイできました。ただ、フォントがいわゆる中華フォントになってたりしますけど、そこは気にならないと思います。
7.まとめ
Xiaomi Mi 8 Lite(4GB/64GB版)は中国の通販サイト『Banggood』で3月25日現在、228.49ドル(25,750円)で販売中です。6GB/128GB版はドル289.99ドル(32,681円)となっています。これだけの高性能機が2万5000円台で買えるのは驚きですし、他のMedia-Tek製CPUを搭載したモデルたちが遠くに霞んでいってしまうほどです。いやいや、彼ら彼らの味があって僕は好きですヨ。
充実した機能と性能を持ったカメラに、ハイレゾ音源にも対応しているオーディオ面など、おおよそ、廉価版とは思えない…というか、廉価版とは何か?と哲学的に考えてしまいます。
もっとも、Pocophone F1などをリリースしてきているXiaomiですから、これぐらいは朝飯前なのかもしれませんけどね。本格的な日本進出のアナウンスは聞こえてきませんが、本機を触っているいるといつか来ないかなぁと思ってしまう次第です。
Xiaomi入門にぜひどうぞ。沼にハマってしまうかもしれません。
8.関連リンク(Banggood)
Xiaomi Mi8 Lite Global Version(4GB/64GB)
Xiaomi Mi8 Lite Global Version(6GB/128GB)