TeclastのAndroidタブレット「T50 Pro」の実機レビューです。「Tシリーズ」はTeclastのタブレットの中では最上位に位置し、その中でもこのT50 Proは最上位…ちょっとややこしいですけど、要するにT50 ProはTeclastタブレットのトップモデルです。
目次
1.Teclast T50 Pro スペック
スペック表
Teclast T50 Pro | |
OS | Android 13 |
CPU | MediaTek Helio G99 |
RAM | 8GB(拡張機能により最大16GB) |
ストレージ | 256GB |
ディスプレイ | 11インチ(2,000 × 1,200) |
LTEバンド | FDD LTE:B1/3/5/7/8/20 TD-LTE:B34/38/39/40/41 |
SIM | nanoSIM × 2(SIM2はmicroSDと排他) |
ネットワーク | 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth5.2 |
入出力 | USB Type-C、microSDカードリーダー |
カメラ | イン8MP/アウト20MP+0.3MP |
バッテリー | 8,000mAh |
サイズ | 257 × 162 × 7.5 mm |
重量 | 480 g |
コメント
OSはAndroid 13、CPUはHelio G99です。昨年までは「中国メーカーのAndroidタブレット上位モデルはUNISOC T618(T616)搭載」が定番でしたが、ここ最近Helio G99搭載のタブレットが増えています。UNISOC T616のAntutu Ver. 9のスコアは25万点程度(ウインタブの過去のレビュー実績では27万点という製品もありました)、Helio G99は35万点~37万点くらいなので、一気に性能アップした、ということになります。
RAMは8GB、中国メーカーの間で最近流行のRAM拡張機能も搭載しており、最大で16GBとして使えます。ストレージもT50の128GBから256GBに倍増しました。また、microSDカードによるストレージ拡張も可能です。
T50 Proはカメラの画素数も高いです。イン側8MP、アウト側20MP+0.3MPの補助レンズのデュアル構成です。撮影品質にも期待できそうですね。
また、T50 Proは技適も取得しており、背面下部に技適マークと認証番号が記載されています。実際に楽天モバイルのSIMを使い、通話ができることを確認しました(VoLTEに対応しています)。ただし、ドコモ(B19、B28)やau(B18、B26)はカバーされていません。
では、筐体の外観から見ていきます。
2.Teclast T50 Pro 外観と使用感
同梱物です。取扱説明書と保証書、充電用のUSB Type-C – USB Type-Cケーブル、ACアダプター、そしてSIMピンです。レビュー機のACアダプターはEUプラグ(そのままでは日本で使えません)で最大18W出力のものでしたが、Amazon製品ページには「18Wアダプターは別売りです」という説明がありましたので、Amazon販売モデルにはACアダプターが付属しない可能性があります。
取扱説明書には日本語も含まれていましたが、製品固有の説明ではなく、「Androidの操作方法をざっくり説明しているだけ」の内容なので、ウインタブ読者にはあまり意味がないかもしれません。
レビュー機は海外配送だったため、外箱は少し凹んでいましたが、筐体はしっかり保護されており、前面と背面に保護シートが貼られていました。特に背面の保護シートはキズつき防止のため、貼ったままでもいいんじゃないかと思います。
前面です。ベゼル幅はそこそこ細いですね。Teclastは製品画像を盛る(デザインがよく見えるように画像加工する)ことでは定評がありますが、この画像が「本当のベゼル幅」です。
また、前面には液晶保護フィルムがあらかじめ貼られていましたので、とりあえず保護フィルムを注文する必要はありません。
背面です。背面パネルは金属製で、「Tシリーズだけに」手触り(質感)は高水準です。
「カメラ部分の張り出し」です。かなり飛び出していますので、キズつきが心配です。T50 Proはケースが別売りとなりますが、筐体保護の観点から本体と一緒にケースも購入されることをおすすめします(AmazonでT50 Pro用のケースが多数販売されています)。
上面には電源ボタンと音量ボタンがあります+ボタンのたてつけは良く、カチッとした感触です。
下面です。こちらにはボタン類はありません。画像左側に小さな穴がありますが、おそらくこれはマイクと思われます。
左側面にはスピーカーグリルが2つ。
右側面にもスピーカーグリルが2つあり、中央にUSB Type-Cポート、右側にSIM/microSDスロットがあります。
SIMスロットは「NanoSIM × 2もしくはNanoSIM + microSDカード」が利用可能です。
3.Teclast T50 Pro システム
T50 ProはAndroid 13を搭載しています。実は私、Blackview製のAndroid 13搭載のタブレットを実機レビューしていますが、それ以外にAndroid 13を搭載するタブレットを試すのは今回が初めてです。Blackviewの場合、Doke OS_Pという独自UIを搭載していますので、Android 12と13の見た目上の違いはあまり大きなものと感じなかったのですが、T50 Proは「素のAndroid」に近いUIなので、12と13の外観に結構大きな差があることに気づきました。
まず、画面下部に「タスクバー」が表示されるようになりました。また、アプリ一覧画面(ドロワー)もタスクバーのアイコンから呼び出せ(従来どおり画面下から上にスワイプ、でも呼び出せます)、表示スタイルも変わっています。なお、この画像に写っているAntutuベンチマークのアイコンは私がレビューのためにインストールしたもので、プリインストールアプリではありません。
また、一部のベーシックなアプリや通知画面のみとなりますが、横持ち時に2列表示ができるようになりました。スマホだと「Android 12と13は(機能面はともかく)UIはあまり変わり映えしない」と感じていましたが、タブレットでは割と大きなUIの改善がなされていますね。なので、TeclastのようにUIをあまりカスタマイズしないメーカーのタブレット製品ではAndroid 12と13の違いは結構大きいです。
Android 13の大画面デバイス用の改善についてはこちらをご参照ください。
タブレットと大画面のサポート:Android デベロッパー(Google)
従来の中国メーカー製品は、はっきり言ってOSまわりのOTAアップデートにほとんど期待できなかったのですが、T50 Proについて、私がレビューを開始してから一度OTAアップデートがありました。この画像の左側に「セキュリティアップデート:2023年4月5日」と記載されていますが、この記事執筆時点だと「5月5日」になっています。これ、もちろんうれしい改善なんですが、長らく中華タブ、中華スマホをウォッチしてきた身としては「サプライズ」だったりします…。
「素のAndroid」と書いてきましたが、実際、設定画面などはほぼ完璧に日本語化されています。ただし、ごく一部、Teclastが独自に実装している機能もあります。私が確認したのは「RAM拡張」の機能で、このように英語のままになっていました。まあ、この程度なら全く問題にならないと思いますけど。
4.Teclast T50 Pro 使用感
ディスプレイ
手持ちのPCモニター(27インチIPS液晶、FHD解像度、100%sRGBのもの)と比較してみましたが、発色品質は悪くないと思います。ただ、ちょっと青み(寒色)が強いと感じました。とはいえ、このように他のモニターと見比べるようなことをせず、T50 Pro単体で使う場合は気にならないレベルだと思いますので、普段使いでは十分満足できるだろうと評価します。
T50 ProはWidevine L3です(DRM Infoで確認)。そのため、動画サブスクリプションサービスではHD以上の画質での視聴はできません(YouTubeならHD画質視聴は可能です)。この点はご注意ください。従来モデルのT50はWidevine L1でしたし、T50 ProはTeclastタブレットの最上位モデルでもありますので、非常に残念に思います(私個人は視力が悪いので、別にSD画質でもそんなに文句はないんですけどね)。
スピーカー
T50 Proは「SWEET 4」という4スピーカーシステムを搭載しています。私は過去にTeclastの4スピーカー搭載のタブレットをレビューしたことがありますが、その経験に照らせば音質は大幅に改善されています。薄型軽量なタブレットということもあり、どうしても音質は軽めになってしまいますが、個人的には音楽鑑賞にも使えそうなくらいにクリアな音質になっていると評価します。
サイズ感
T50 Proのレビューの直前にBlackview Active 8 Proというタフネスタブレット(重さ1キロ弱)のレビューをしていたこともあり、T50 Proのサイズ感はタブレットとして「素晴らしい!」と思いました。厚さはわずかに7.5 mm、重さも(11インチというちょっと大きめのサイズながら)500 gを下回ります。
Helio G99搭載でパフォーマンスが大きく向上!という点に目が行ってしまいますが、実際のところ普段使いするタブレットとしてはむしろサイズ感のほうが重要なんじゃないか、と思いますね。この価格帯にしてこの薄さ、軽さというのはT50 Proの最大のセールスポイントの一つだと思います。
5.Teclast T50 Pro カメラ
Teclast T50 Proはアウト側に20MPを含むデュアルカメラを搭載しています。そのため、カメラ品質についても少し詳しく確認してみました。
カメラアプリですが、「多機能のような、そうでもないような…」という感じです。
多機能、という意味ではこのように撮影モードとホワイトバランスを細かく設定できます。一方で撮影サイズについては20MP、8MP、5MPの3種類のみで縦横比は4:3しか選べません。また、ズームは最小1倍(標準倍率)、最大4倍までで、マクロモードなどやパノラマモードはありません。動画は最高で2,560 × 1,440、他にFHD(1,920 × 1,080)、HD(1,280 × 720)、VGA(640 × 480)の解像度で撮影可能です。
では撮影例を。なお、撮影モードの「無効」というのは事実上「オート」ということだと思います(デフォルトで無効になっているので)。また、掲載画像はサイズを縮小しています。
商業施設の看板を撮影してみました。画質は決して悪くはないのですが、ちょっと暗いですね。事前にホワイトバランスを調整してやるべきだったかも。
ちょっとしたスナップ写真なら思った以上にキレイに撮影できますが、やはり明るさ(ホワイトバランス)が不安定で、思ったより暗い感じになっているものがあります。
やはりちょっと暗くなってしまいますが、食べ物の写真もキレイに撮れます。これなら飯テロにも使えそうです。
夜間の撮影は正直「厳しい」です。ノイズが多く、まともに撮れない、という感じです。この他に撮影場所を変えながら何枚か撮影してみましたが、この画像が一番マシ、くらいでした。
今回は夜間の撮影を除きすべて「オート」、カメラ任せで撮影しましたが、出来上がった画像を見ると「暗い」と感じられるものが多かったです。なので、撮影モードやホワイトバランスは撮影シーンに応じてこまめに調整してやる必要がありそうです。ただし、画質に関しては依然スマホには及ばないものの、タブレット製品としては高く評価できると思います。
…あとは、タブレットのカメラにどこまで期待するか、どのくらいの頻度で使う機会があるか、ということでしょうね…。
6.Teclast T50 Pro 性能テスト
参考(過去データから一部抜粋):
Xperia 5 II(Snapdragon 865):503,502
Xiaomi Mi 11 Lite 5G(Snapdragon 780):500,573
HUAWEI P30(Kirin 980):464,638
Oneplus Nord CE 2 5G(Dimensity 900):430,049
Redmi Note 11 Pro + 5G(Dimensity 920):427,053
Samsung Galaxy Fold SCV44(Snapdragon 855):414,302
OnePlus Nord CE 5G(Snapdragon 750):384,505
Blackview BV9300(Helio G99):374,388
Blackview Active 8 Pro(Helio G99)371,109
iiiF150 R2022(Helio G95):350,565
POCO M4 Pro 5G(Dimensity 810):349,498
OnePlus Nord N10(Snapdragon 690):342,506
AGM Glory G1S(Snapdragon 480):340,864
AGM Glory Pro(Snapdragon 480):340,772
POCO M3 Pro 5G(Dimensity 700):330,303
Redmi Note 11 Pro(Helio G96):336,280
POCO M4 Pro 4G(Helio G96):311,030
Redmi Note 11S(Helio G96):307,755
realme narzo 50(Helio G96):287,043
DOOGEE S98(Helio G96):277,159
Redmi Note 11(Snapdragon 680):277,105
Blackview OSCAL C70(UNISOC T606):230,995
Blackview A95(MediaTek Helio P70):227,817
Blackview BV8900(Helio P90):203,298
Teclast T40S(MT8183):192,774
CHUWI HiPad Plus(MT8183):172,713
Samsung Galaxy Note FE(Exynos 8890):177,984
Blackview BV6600 Pro(Helio P35):102,808
Antutuベンチマークについては現在Ver.10がリリースされていますが、過去データが乏しい(というか、ウインタブには過去データがない)ので、比較しやすいVer.9を使いました。
スコアのほうは予想通り「30万点台の後半」…ではあるのですが、先日レビューをしたBlackview Active 8 Proよりも少し低めの数値となりました。私の勝手な思い込みだと「Helio G99ならAntutuは37万点か38万点」となるはず(あくまで私の思い込み)なんですけどね。ただし、このくらいのスコア差なら使っていて体感差はなく、「できること」も変わらないと思います。
現状ハイエンドCPUであればAntutu100万点越えですし、ミッドハイクラスの製品でも50万点以上になるのがむしろ普通だと思いますので、それらと比較すると低めのスコアと言えます。
しかし、このスコアでも画質設定を落とす前提なら多くのゲームが楽しめます。また、ゲーム以外の用途でシステム挙動がもたつくことはまずありません。なので、「ゲーム専用機」としてタブレットを購入するのでなければ、このスコアで十分かと思います。
7.Teclast T50 Pro レビューまとめ
Teclast T50 ProはAmazonで販売中で、7月10日現在のセール価格は税込み29,800円…だったのですが、現在「在庫切れ」になっています。メーカーに確認したところ、近日中に入荷します、とのことでした。
先日レビューしたBlackview Active 8 Proと比べると「普通のタブレット」です。でも、従来モデルから処理性能が大幅に上がり、OSのAndroid 13はタブレット向けにUIが使いやすいものとなり、筐体も薄型軽量(厚さは従来モデルと変わりません)と、「あちこちずいぶんレベルアップしているなあ」と感じさせてくれました。税込み29,800円というセール価格はUNISOC T616を搭載する中国メーカーの上位タブレットのAmazonでの価格よりも数千円高価ではありますが、個人的には「そのくらい余計に支払う価値は十分」な製品だと思います。
ただし、Widevine L3という点は残念でした。近年動画サブスクを利用している人は多いと思いますし、そもそもAmazonのプライム会員ならAmazonプライムビデオの相当数のタイトルが追加料金なしで視聴できますのでねえ…。この点はTeclastにぜひ改善をお願いしたいところです。
8.関連リンク
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