こんにちは、natsukiです。今回は、Android OS搭載のスマートウォッチ「LEMFO LEM14」を実機レビューします。Android OSを搭載したスマートウォッチというのは、理論上は、スマホとまったく同じなわけで、UMPCならぬ「UMスマホ」なロマンがありますよね。実用面では、総合的に見てまだまだな面もありながら、それだけに、工夫を楽しんだり進歩を実感できるガジェットです。このLEMFO LEM14は、スペック上はエントリースマホに匹敵するものを持っているので、どこまでできるのか期待が高まります。
レビュー機は、Banggoodよりサンプル提供していただきました。この場を借りてお礼申し上げます。なお、ウインタブでは、すでに、類似機種との比較も兼ねた紹介記事や、近いスペックを持ちながらよりとがった筐体の「Kospet Prime 2」の実機レビュー記事もありますので、合わせてご覧ください。
目次
1.スペック
LEMFO LEM14 | |
OS | Android 10 |
CPU | MediaTek Helio P22 (MT6762V) |
RAM | 4GB |
ストレージ | 64GB |
ディスプレイ | 1.69インチIPS(450 × 450 ピクセル) |
LTEバンド | B1/2/3/5/7/8/12/17/20 |
SIM | Nano SIM |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n、Bluetooth 5.0 |
入出力 | POGO Pin |
センサー類 |
心拍数:有り 血圧:無し 睡眠:無し?(商品ページにはSupportとの記載あり) 万歩計:有り |
カメラ | 8MP+13MP(実サイズは1.5MP+5MP) |
バッテリー | 1,400mAh(?) |
サイズ | 文字盤長50.5 mm、厚さ18.5 mm、バンド込みの全長265 mm |
防水防塵 | IP68 |
バンド付け替え | 可:幅 24mm サイズ |
重量 | 96.5g(実測) |
連携スマホ側OS | Android 6.0 以上 / iOS 11.0 以上 |
連携スマホアプリ | Wiiwatch2 |
スペック表を確認しておきます。まず、システム面に注目すると、OSはAndroid 10、CPUはMediaTek Helio P22。後述のように、Antutuは走りませんでしたが、通常のスマホでのAntutuスコアは7万点台くらいになるはずです。そして、RAMは4GB、ストレージ64GBと、普通のエントリースマホ並みのスペックとなっています。カメラも、13MPに8MPと、これも画素数だけならエントリースマホ並み。はたして、この性能が、「スマートウォッチ」という形態でどう活きるのか!?なお、バッテリー容量については、ソースによって1,100mAh~1,600mAhまで、表記がいろいろあってよく分かりません。まあ、普通のスマホとはいろいろ違いすぎるので、数字を出されても目安にならないからいいでしょう。
防塵防水はIP68と、いちおう「水没しても大丈夫」な設計となっているようです。これも、商品ページにはIP67とIP68の記載が混在していますが、実機本体にはIP68との記載がありました。いずれにしても、あくまで防護措置と考えて、これつけて泳いだり風呂入ったりはやめておいた方がいいとは思いますけど。雨天程度なら気にしなくていいということですね。センサー類もいろいろついてはいますが、血圧計は無しです。また、睡眠モニターについて、商品ページには「Sleep Monitor / Support」との記載がありますが、これも実際に使ってみると、機能を見つけられませんでした。商品ページの記入ミスかと思います。
2.筐体
まずは、箱。実際には配送関係のラベルが貼ってあり(海外通販ではよくある)、画像は丁寧にはがしたものです。箱は紙製ながらしっかりとした造りで、内部に固めのスポンジ素材の緩衝材も入っているので、保護能力は十分でしょう。
同梱品一覧です。
換えのバンドもついています。
こちらは、充電用のケーブル。また、けっこう重要な点として、データ通信にも対応しています。このLEM14は、ストレージが64GBもあるので、音楽プレーヤーとしての用途も見込めます。そういった用途からも、パソコンから大量のデータを有線で送り込めるのは、非常に便利。
そしてこちらも面白い。充電スタンドですが、バッテリーを内蔵しています。つまり、LEM14専用のモバイルバッテリーになっています。汎用的な出力ポートは持たないので、一般的なモバイルバッテリーとしては使えません。また、いちおうマグネットを備えてはいるものの、磁力は非常に弱く、安定した場所に置かないとLEM14への充電はできません。カバンの中で充電しておく、というのはできないということです。とはいえ、まだまだ電池保ちが不安なAndroidスマートウォッチにとって、このスタンドの有用性はとても高い!素晴らしい気遣いです。容量は2200mAhとのこと。先述のように、本体の容量がよく分からないのですが、ロスも考えると、1回フル充電プラスアルファくらいで考えておけばいいでしょう。
本体は、見ての通り、かなり落ち着いたデザインとなっています。バンドもレザー調。こうして画像だけを見ると、驚くほど普通の腕時計に見えます。もっとも、それは縮尺の問題で、もちろん実際にはデカくて厚みはかなりあります。主張を抑えたデザインもあって、高級感があるというほどではありませんが、チープ感もない、よく仕上がった質感です。ディスプレイ上部にカメラとマイク、右側面に、電源ボタン、サイドカメラ、戻るボタンがあります。なお、デフォルトの文字盤は、トンネルを進むようにかなり激しくアニメーションします。このちょっとどぎついくらいのアピールは、「スマートウォッチだよ」と主張があって楽しいですね。もちろん、文字盤はものすごくたくさんの種類から自由に選択できて、ほとんどの文字盤は、穏やかなアニメーションになっているのでご安心ください。
左側面はスピーカー。
背面は、ポゴピン、SIMスロット、センサーです。
PDA工房に専用フィルムあります
スマホ以上に、腕につけていれば何かとぶつかる機会は多いので、保護フィルムは欲しいところですね。おなじみPDA工房に作っていただきました。もちろんジャストサイズ。小さいので、貼る難易度は低いです。
なお、貼らずに数日、その後は貼ってから試用しましたが、タッチ感度の低下などは見られませんでした。タッチ操作の感度は、小さいせいかやや思い通りに行かないところがあるのですが、それはもともとで、フィルムによる変化は特に感じませんでした。
3.使用感
つけ心地
装着感です。もちろん、腕時計としてはそうとうにゴツい。身につけていて、かなりの重量感は感じます。ただ、デザイン的には落ち着いているので、ギリギリ、普段使いも……いや、これは意見が分かれるか(笑)
これだけの重さはあります。スペック上は90gなんですが、ちょっと重めですね。参考までに、今どきのG-Shockはおおむね50gからです。
ボタンによる基本操作
ボタンは、先ほど見たように2つ。上のボタンが「電源」。下のボタンが「戻る」。「電源」ボタンは、スリープの他、アプリ起動時は「ホーム」ボタンとして機能し、また、長押しで画像のように、いくつかの機能を呼び出せます。この「四角い(丸い)スクリーン」機能は非常に重要で、LEM14の丸いディスプレイに、角を落として表示するか、角まで入れて小さく表示するかを切り替えます。
操作性
当然ながら、タッチ操作での操作性はいいわけなく、一定の工夫は必要です。文字入力については、基本的には音声入力に頼るつもりでいた方がいいでしょう。最近の音声入力の精度はかなり高いので、これでずいぶん使えます。もちろん、問題はまわりの目ですが……
キーボードや12キーでのフリック入力の場合、すでに.TAOさんも同種の製品で提案しているとおり「Gboard」などのフローティングモードがお勧めです。もっとも、多くの画面で、そもそもキーボードが入力欄を隠してしまって、何を入力しているのか見えないという事態は頻発します。こればかりは仕方ない。
後は、小さいせいか、「タップ」「長押し」「スライド」の相互の操作ミスがそこそこ発生します。また、2点での拡大縮小は、もちろん対応しているものの、操作は困難で、例えばGoogle Mapの拡大縮小なんかは苦労します。
タッチ操作の工夫としては、電池式や充電式の、先の細いタッチペンがあると、操作性はかなり改善します。ガチ利用していくなら、よく使うアプリによっては必須かもしれません。
ユーザーインターフェース
ユーザーインターフェースは、上のような9画面から成ります。上下左右のフリックで切り替え。また、長押しでレイアウト変更なども行えたりします。基本的には、少しいじくりまわせば、直感的に操作できるようになる、よくまとまったインターフェースになっていると思います。
一点だけ不満は、アプリが1画面しかなく、ここにすべてのアプリが入るため、お目当てのアプリを探し出して起動するのがやや面倒なこと。一応、画像のように、設定でアイコン表示によって1画面に多くのアプリを表示することはできますが(表示方法は4種類)、よく使うアプリのみを登録する画面があると、なお良かったかな。
ヘルストラッカーとして
センサーは、万歩計と心拍数だけです。先述のように、睡眠センサーがついているというような情報もありますが、その機能は見当たりませんでした。万歩計は、常時稼働しています。心拍数センサーは、関係アプリから計測を行ったり、スポーツモード時のみ稼働します。何もしなければ記録されません。
スポーツ機能から、スポーツの種類に合わせて、カロリー消費とかなんやかんやを記録したりできますが、しょせんは心拍数と歩数からのみの情報です。また、そこそこ重量があるため、軽いジョギング程度ならともかく、これをつけて球技とかをやろうというのはキツいと思います。ヘルストラッカーとしては、簡易的なものと思っておいた方がいいでしょう。
スマホ専用アプリ「Wiiwatch 2」
Bluetoothで接続したスマホ側からは、「Wiiwatch 2」アプリで連携機能を使います。説明書にQRコードが載っていますが、Google PlayやApp Store経由でダウンロードした方がいいでしょう。
主な機能としては、ヘルストラッカー、時計の文字盤のダウンロード、ファイルのやりとり、スマホの通知をLEM14に表示させる設定、あたりです。ヘルストラッカーとしては、歩数、心拍数、体重、体脂肪率の記録が可能ですが、LEM14側のセンサーが歩数と心拍数しかないので、体重と体脂肪率は、記録するなら自分で記入することになります。時計の文字盤ダウンロードは、LEM14本体でもできますが、画面が小さくて探しづらいので、スマホ側からの方が探しやすいですね。
スマホの通知をLEM14に表示させることができるのは、これだけです(スマホにインストールしていないアプリも表示されます)。メール通知もできないのかよ!?と一瞬思ってしまいますが、よくよく考えてみると、端末や電話番号に依存しないものは、そもそもLEM14側にインストールしろってことですね。そういう意味では、実は必要なのは「電話」「SMS」「LINE」くらいです。
LEM14からスマホへの操作
LEM14の「アシスタント」アプリから、Bluetoothで連携したスマホへの操作が可能です。できることは、以下の通り。
・接続:スマホとの接続。
・リモートキャプチャ:カメラ操作。
・ミュージックコントロール:音楽操作。
・ファイル送信:ファイルのやりとり。
・私のデバイスを探します:スマホのアラームを鳴らします。
まあ、こんなものでしょう。
その他の特殊アプリ
ほとんどのアプリは、見れば分かると思いますが、やや特殊なアプリとしては以下のようなものがあります。
・ダイヤルマーケット:文字盤のダウンロードができます。
・デスクトップの設定:文字盤の切り替え、アプリの表示方法選択などができます。
・システムの最適化:顔認識やパターンロックなどはここにあります。
カメラ
カメラアプリは、ホワイトバランスや撮影シーン選択、HDRなど、案外に設定できる項目がたくさんあります。た、だ、し、画素数は、サイドカメラ5MP(1920×2560ピクセル)、フロントカメラ1.5MP(1080×1440ピクセル)です。これは、カメラの設定項目で画素数を選べるので、そこにも明記されている画素数です。ちなみに、3:4の縦長になります。スペック上は、サイドカメラ13MP、フロントカメラ8MPなんですけど……、センサーは13MP+8MPなんだけど圧縮されるってこと?それともハッタリ?念のため、デフォルト以外のカメラアプリでも撮影してみましたが、画素数は変わりませんでした。ここは残念ですね。
サイドカメラにて。作例です。本来1920×2560ピクセルのものを、1200×1600に縮小していますが、だいたい品質は伝わるかと。ただこれはかなりきれいに撮れた方で、「動きに弱く手ぶれしやすい」「サイドにカメラがあるのでアングルを決めるのに慣れがいる」「1m以内程度の近い被写体はそもそもピントが合わない」など、案の定かなりいろいろ厳しいカメラではあります。
せっかく夜景モードがあるので、夜景を。まあ、こんなものでしょう。おおむね肉眼で見たままで、健闘しているかな。基本的に、遠景の方が得意なようです。スペック上のサイドカメラ13MPは、ついつい期待してしまいますが、蓋を開けてみればまだまだ。アプリそのものの設定項目は意外にしっかりしているので、今後の発展に期待ですね。
電池
スリープ状態(万歩計は稼働)では、案外持ちます。4時間で10%~10数%消費。終日は余裕でしょう。起動してなんやかんやしている場合、カメラとか設定とかあれこれいじっていて、30分で約10%消費しました。充電速度は、ポゴピンで10分10%強くらい。だいたい1時間半あればフル充電いけます。状況に応じて、ポゴピンケーブルと充電スタンドと合わせて使えば、電池はかなり保たせることが可能かと思います。
ベンチマーク
画像は、Geekbench 5です。Antutuと3D Markは、うまく走りませんでした。もちろん、通常のスマホと比較することにあまり意味はありませんが、とりあえず、Helio P22搭載の通常のスマホとおおむね同じくらいのスコアは出ています。
4.まとめ
予想通り、ディスプレイの小ささから、やはり、入力や操作に一定の難はあります。が、逆に言えば、そこをなんとかすれば、けっこう使えます。
例えば、Bluetoothでイヤホンなどにつないでの音楽プレーヤーとしては文句なしに有用でしょう。ちょっとした調べ物も、音声入力をいとわなければ、十分に実用的です。SkypeやZOOMなどの、画像通話系アプリとの相性も良いです。動画視聴も普通にこなせます。これだけのスペックがあれば、ゲーム系でなければ挙動はサクサクなので、工夫次第で使い道はいくらでも広がりそう。64GBの容量は、使い切る用途が思い浮かびません(笑) カメラについては、まだちゃんと「カメラ」として使うのは厳しいですね。メモと、WEBカメラ用途レベルかと。
サイズ的には、なんとか普段使いができるレベルに収まってきている……かな?デザインは悪くないと思います。遊びまくらなければ、バッテリーは終日は持つし、また、モバイルバッテリーを兼ねた充電スタンドの存在もあって、今までネックだった電池保ちについては、改善されています。
「スマホとして普通に使える」というものではないですが、ハードとシステムについてはかなり成熟してきたことは実感できますよ。あとは、何に使うか、用途と工夫次第ですね。特性を分かって買う分には、期待に応えてくれる仕上がりになっていると思います。うん、なんだかこう、SFの世界がじわじわ寄ってきた感を味わうには十分な出来かと。
価格は、Banggoodで、クーポン「BGJPLE1293」を使って167.99ドル(17,825円)の送料503円となっています(クーポン期限は2月28日です)。比較の難しい製品ではありますが、この実力で言えば、納得価格と思います。
6.関連リンク
LEMFO LEM14 Watch Phone紹介ページ:Banggood
LEMFO LEM14商品ページ:Banggood
WiiWatch 2:Google Play
WiiWatch 2:App Store
LEMFO LEM14 保護フィルム:PDA工房
コメント
プラスチック感凄くてガチャガチャで出てきそうな見た目でムリだわ
実際のところ、強烈な存在感が先に立つので、チープ感がどうのとかいう以前の問題かとは思います……
流石にバッテリーが重要な製品で「容量が参考にならない」はちょっと…実物あるんだからカメラの画素数と同じように実測すれば良いのでは。
記載スペックがおかしいことは海外いろんなところ、それこそBanggoodのQ&Aでですら指摘されていますので、それに触れたほうが良かったと思います。なおBanggoodの当該ページの記載も流石に修正されていますので、注意が要ります。
バッテリーについては、いくつかのアプリで確認しようとしたのですが、うまく動作してくれずによく分からなかったというのが、正直なところです。
比較的定番と思われるAccuBatteryというアプリで確認しようとしたところ、まずこのアプリの「充電」タブの「設計容量」では1,000mAhと表示され(これは手動設定前の初期値?)、「推定容量」はしばらく使っていても表示されません。そして、「健康度」タブには、しばらく使っていれば「バッテリーの健康」「推定容量」「設計容量」が表示されるはずなものの、放電―充電を数サイクル行っても、いずれの数値も表示されず。「設計容量」も「健康度」タブ側では表示されません。ちなみに、機種が「LEM14」だということは検出します。
他にAmpereというアプリで見ると、Max.Capacityが2,900mAhと表示されます。いくらなんでもそれはないでしょう。
0%から100%まで、USB-ポゴピンに電流計かませて測る手もありますが、これだと充電ロスがどの程度あるか分からない。
もちろん設定画面のバッテリーまわりなどのメニューはチェックしましたが、放電容量を示したものは見当たりませんでした。
書き込みをいただいてから、念のためAccuBatteryを入れ直して様子を見ていますが、やはり表示されません。
比較的広く使われているAccuBatteryやAmpereでまともに計測できない以上、他のアプリで計測できてもそれが正しいかどうかははなはだ怪しく、検証を諦めた次第です。
ただ、この程度のこと止まりで、あまり深く掘り下げてもいません。
何か、検証できる良い方法があるとよいのですが。
電話Appで*#0228#入力して、Battery Status見るって方法も併用してはいかがでしょうか?(使えない機種も多々有るようですが)
情報ありがとうございます。
早速やってみましたが、残念ながら表示されませんでした。
なにぶん特殊な(かつおそらく未熟な)端末なので、なかなか常識的な手が通じませんね。