こんにちは、かのあゆです。Huaweiに関する状況は日に日に悪くなっていく一方ですが、ついにスマートフォン製造を続けていけるかどうかも危うい状況になってしまいました。5月22日に英ARM社もHuaweiとの取引を停止するという報道がありました。これにより、Huawei独自のCPUであるKirinの開発もほぼ不可能となり、スマートフォンの製造すら困難な状況に陥ってしまいそうです。
目次
1.現在のスマホに搭載されているCPUはARMの技術がベース
英ARM社は現在スマートフォンやタブレットに搭載されている「ARMアーキテクチャ」のライセンスを各メーカーに提供しており、QualcommやMediaTek、Samsung、Apple、そしてHuaweiの関連企業であるHisiliconなどはこの設計に基づいてカスタムしたCPUを製造しています。
英ARM社がHuaweiとの取引を停止することになると、ARMアーキテクチャ関連の技術が一切使えなくなってしまい、Kirinシリーズの開発・製造を続けるのは事実上不可能ということになってしまいます。
2.Qualcomm、IntelもすでにHuaweiとの取引を中断済み
「それならば独自CPUの搭載をやめてQualcommなりMediaTekなりの別メーカーのCPUを搭載すれば?」と思われる方もいるかもしれませんが、すでにQualcommはHuaweiとの取引を停止しています。MediaTekのCPUについては、一部の地域で販売されている「Honor 8S」でHelio A22が搭載されているものの、MediaTek製CPUも英ARM社の技術に基づいて製造されているため、おそらくMediaTek製のARM系CPUに置き換えるのも難しいのではないかと思われます。
またHuaweiはWindows 10搭載ノートPC「Matebook」シリーズも展開していますが、これに関しても現在搭載されているCore iシリーズを製造しているIntel、Windowsを開発するMicrosoftとの取引を停止されていて、ノートPCに関しても現状のままでは新製品の投入が難しい状況になっています。
3.別のアーキテクチャに移行という道も。ただし既存のアプリとの互換性は・・・
ARMやIntel x86以外にもCPUのアーキテクチャには色々なものが存在しており、かつてWindows CE系PDAに搭載されてきたMIPSやSuperH、技術がオープンで公開されているRISC-Vなどが存在し、これらのアーキテクチャに移行すればスマートフォンやノートPCの製造自体は可能です。
特にMIPSに関してはAndroidが標準でサポートしており、かつては中華タブレットなどでも搭載した製品が市場に出回っていましたが、ARMアーキテクチャとの互換性の問題で動作しないアプリが多く、それほど普及しないまま市場から消えてしまっており、現在開発中のHuawei独自OSが既存のAndroid向けアプリとの互換性もサポートする方向であることを考えるとこの辺をどうにかしないと厳しい状況になりそうです。
4.まとめ
現在Huaweiをとりまく状況は非常に危ういものになっており、23日になってARMだけでなく日本企業であるパナソニックもHuaweiとの取引を停止するという報道が入ってきています。このままではHuawei独自OSどころか端末メーカーとしての存続も危ういと言えるかもしれません。
特に英ARM社の取引停止は致命的で、自社のKirinだけでなく、他社のARM系CPUの搭載も困難になってしまうため、事実上スマートフォンの新製品を開発することは難しいと思われます。例年通りであれば今秋にはMateシリーズの新モデルが投入されるはずですが、この状況ではそれどころではなく、最悪スマートフォン製造業から撤退という最悪な結末を迎えてしまう可能性もゼロとは言えません。
なんとか早期に解決されてほしいと願っています。
5.関連リンク
Huawei: ARM memo tells staff to stop working with China’s tech giant : BBC
コメント
華為は、2018年に売上高12兆円、純利益1兆円になったとか。このゴタゴタを機に、ある島国の利に聡い人が、3.5兆円で買ったARMを中国に売ろうとしてるんじゃないだろうか。
ソンな人だけでなく、株価が落ちた華為やその関連株を買い、制裁解除後に売り抜けようとする人なんて、ゴロゴロいるんだろうなぁ。
仮にAndroid互換OSが完成しても、ARMの技術無しにそれが完全動作するCPUを作ることは難しいって事ですね。