こんにちは。かのあゆです。10,000mAhという大容量バッテリーを搭載し、ここ最近のスマートフォンのトレンドとなっている「18:9縦横比液晶」と「デュアルレンズカメラ」を搭載したミッドレンジスマートフォン「HOMTOM HT70」をレビューさせていただきたいと思います。とにかく10,000mAhというモバイルバッテリー並の大容量バッテリーに注目されそうですが、純粋にスマートフォンとしてみた場合もかなり完成度の高い一台に仕上がっていると感じました。なお、この製品は中国の通販サイト「CAFAGO」に提供していただきました。CAFAGOにはこの場でお礼申し上げます。ありがとうございます。
1.スペック
搭載OSはAndroid 7.0”Nougat”。すでに一世代前のバージョンとなってしまっていますが、Android 8.0”Oreo”と比較してそこまで大きな機能差はないので、最新バージョンのOSにこだわる理由がない限り特に不満が起きるようなことはないかと思われます。なお現時点でHOMTOM HT70がAndroid 8.0”Oreo”以降にアップデートされるかは未定となっています。
基本的には素のAndroid準拠ですが、ホームランチャーの仕様がEMUIなどで見られるようなドロワーメニューなしでホーム画面にアプリを直接配置するタイプのものになっているほか、アイコンデザインやロックスクリーンの時計のデザインがSamsung Galaxyチックなものとなっています。
搭載CPUは日本国内でもZenfone Max Plus M1などで採用例があるミッドレンジ向けのMediaTek MT6750Tです。以前レビューしたVernee M6に搭載されていたMT6750の上位版に相当するCPUとなっており、GPUのクロック数やメモリの仕様が強化されており、そのおかげで先日実機レビューしたVernee M6よりもワンランク上の性能を実現しています。
メインメモリが4GB、ストレージ容量が64GBと、こちらも十分な容量となっています。
液晶に関しては近年のトレンドとなっている18:9縦横比のディスプレイを採用しています。ただし解像度に関しては1,440 x 720と、いわゆるHD+となっていますが、そのおかげでミッドレンジクラスのCPUを搭載しながら非常に軽快な動作を実現しています。
カメラはイン側が13MP、アウト側が16MP + 5MPのデュアルレンズ仕様となっています。
バッテリー容量は前述の通り10,000mAhとスマートフォンとして大容量のものを搭載しており、標準付属しているOTGケーブルを使用してHOMTOM HT70本体をモバイルバッテリーとして活用することも可能です。またこれだけ大容量なバッテリーだと充電に時間がかかってしまいそうなところですが、9V/3A出力に対応した急速充電対応ACアダプターが標準で付属しているため、素早く充電を完了させることが可能となっています。
ただ、残念ながら今回の実機レビューはネットワーク通信を対象としていないため、大容量バッテリーの稼働時間等のテストも出来ませんでした(通信を行わずにバッテリーのもちをチェックしても参考になりませんよね)。
USBポートはType-Cを採用。3.5mmイヤホンジャックはこちらも最近のトレンドに習って(?)廃止されているため、イヤホンを接続するには標準添付されているUSB-C to 3.5mmイヤホンジャック変換ケーブルが必要となります。
2.デザイン
付属品はUSB-Cケーブル、急速充電に対応したACアダプター(海外仕様)、マニュアル、TPUケース、USB-C to 3.5mmイヤホンジャック変換ケーブル、OTGケーブルとなっています。OTGケーブルはUSBキーボードやマウスなど周辺機器の接続のほか、前述の通り別のスマートフォンに電力を供給することも可能となっています。
前面デザインは18:9液晶を採用しているものの、いわゆる「Galaxy」風味ではなくタフネス系スマートフォンで見られるようなゴツイデザインとなっています。ただしあくまで「タフネススマートフォン風」のデザインになっているだけで、NOMU S10 ProのようにMIL-STD-810G規格を取得しているわけではありません。
18:9液晶搭載機の場合どうしてもGalaxyのクローンのようなデザインになってしまいがちですが、HOMTOM HT70のデザインは非常に新鮮なものとなっています。正直かっこいいです。
背面は光沢のある高級感のあるデザインとなります。ただし裸運用で使った場合どうしても指紋がつきやすいのと傷が目立ってきそうなので、気になる方は標準添付されているTPUケースを装着したほうが安心できるかと思われます。
今回の試用機はブラックですが、ナノコンポジット素材を採用しており、光の当たり具合で色合いが変わるのは非常にカッコいいと感じました。
指紋認証センサーはデュアルカメラの左端に設置されています。この仕様はGalaxy S8とよく似た配置となっていますが、正直この配置だと誤ってカメラレンズに触れてしまうため、カメラ下か前面あたりに配置してほしかったというのが正直な感想だったりします。指紋認証の精度は非常に高く、瞬時にロック解除することができました。
左側面にはボリュームボタンと電源ボタンがあります。
右側面はSIMスロット。
本体上部には13MPのインカメラが配置されています。
本体下部にはUSB-Cポートとスピーカーがあります。デザイン的にステレオスピーカーに見えそうですが、残念ながらモノラルスピーカーとなっています。音質のほうは音割れなどが起きることはなく「十分」な印象でした。
3.システム
使用感
前述の通り搭載OSはAndroid 7.0”Nougat”となっていますが、素のAndroidをそのまま搭載しているわけではなく、若干HOMTOMによるUIのカスタマイズが行われています。標準ランチャーはホーム画面にアプリアイコンを直接配置するタイプのものとなっています。またアイコンデザインがGalaxy S8以降のものによく似ています。
プリインストールアプリはGoogleサービス関連とAndroidシステム標準アプリに加え、独自アプリとしてバッテリーが切れそうな状況の時に最小限のアプリのみを利用できるようにして稼働時間を増やす「Super Power」とデータ移行ツール「HT Xender」が含まれています。
ロックスクリーンの時計ウィジェットのデザインもそのままGalaxyで、いろんな意味で「大丈夫なのか?」という気分になってきましたが、Galaxy要素はアイコンとこの時計ウィジェットのみで、それ以外はオリジナルのデザインとなっています。
設定の項目はほぼ素のAndroid 7.0にあるものと同じですが、独自メニューとしてiOSに搭載されている「Assistive Touch」のような仮想ホームボタンを表示する「Screen Assistant」や
各種ジェスチャー動作を設定する「TouchLetters」が搭載されています。
TouchLettersにある「Kinect」という項目で「ナビゲーションボタンのバックキー長押しでスクリーンショットを撮影する」という割り当てが可能で、「電源キー+ボリューム下」で動作するAndroid標準のスクリーンショット撮影より機能拡張が行われており、地味に便利な機能だったりします。
またVernee M6同様、18:9液晶を採用していることもあり、アプリをフルスクリーンモードに切り替える「フルスクリーンモード」という項目も搭載されています。
初期設定直後のストレージ使用容量は64GB中786MBとなっています。見た目がかなりカスタマイズされているので、システムのサイズがこれだけコンパクトに収まっているのは意外でした。
初期搭載ファームウェアのAndroidセキュリティパッチレベルは「2018年3月5日」のものが搭載されています。OTAアップデートの項目も存在しており、セキュリティアップデートやシステムアップデートも受け取り可能となっています。
カメラ
アウトカメラはこちらも近年トレンドとなっているデュアルレンズカメラとなっており、16MPのメインカメラに5MPのサブカメラを搭載しています。
明るい場所での撮影もかなりきれいに撮影できています。
また暗所でもこのクラスのスマートフォンとしてはかなり頑張っている印象で、今年レビューした中華スマートフォンの中では一番きれいに撮影できている印象でした。
またデュアルカメラ搭載ということで背景ボケ機能も使えるのですが、かなりボケのかかり具合が不自然な感じになるのでここら辺はおまけ機能かなぁといった印象でした。
4.ベンチマーク
今回もベンチマークテストはAntutu v6系最終バージョンのv6.2.7と現時点での最新バージョンであるv7.0.8で計測しています。
Antutu v6.2.7
参考:
LeEco Le Pro 3(Snapdragon 821): 161,331
LeEco Le Max 2(Snapdragon 820): 135,484
Lenovo ZUK Z2(SnapDragon 820): 132,410
UMI Z(Helio X27): 110,070
CHUWI Hi9 Air (Helio X20); 93,976
Vernee Apollo(Helio X25): 93,251
Elephone S7(Helio X25): 92,543
CHUWI Hi9 (MT8173) : 71,371
Ulefone T1(Helio P25): 67,409
Ulefone Armor 2(Helio P25): 66,331
Ulefone T1 Premium(Helio P25): 64,775
Xiaomi Mi A1(Snapdragon 625): 63,577
Blackview BV8000 Pro(Helio P20): 63,473
DOOGEE MIX(Helio P25): 61,975
DOOGEE Y6 MAX(MT6750): 45,070
CoolPad Max A8(Snapdragon 617): 43,832
Elephone P8 Mini(MT6750T): 42,593
Vernee M6 (MT6750); 39,536
VOYO i8 Plus(MT6753): 39,030
Nomu S10 Pro (MT6737T) : 37,349
Xiaomi Redmi Note 5 (Snapdragon 435) : 36,439
※マウス MADOSMA Q501(Snapdragon 410): 35,663
T-bao X101A(MT8783): 34,370
PIPO N8 (MTK8163A): 32,223
ZOJI Z7(MT6737): 30,616
Ulefone U008 Pro(MT6737): 30,103
※Cube WP10(Snapdragon 210): 29,273
VKWorld Mix Plus(MT6737):27,127
※ドスパラ Diginnos Mobile(Snapdragon 210): 23,785
※FREETEL KATANA 01 (Snapdragon 210) : 22,724
Antutu v7.0.8
参考 :
Samsung Galaxy S9 SM-G960F (Exynos 9810): 250,018
Samsung Galaxy S8 Duos SM-G950FD (Exynos 8895) : 194,363
Samsung Galaxy S8 SC-02J (Snapdragon 835) : 194,096
Sony Xperia X Performance F8132 (Snapdragon 820) : 157,502
CHUWI Hi9 Air(Helio X20); 95,498
Chuwi Hi9 (MT8173) : 88,330
Huawei P10 Lite(Kirin 658) : 78,986
Blueboo S3(MT6750T): 57,837
Nomu S10 Pro (MT6737T) : 51,425
Vernee M6 (MT6750); 50,186
T-bao X101A (MT8783): 40,933
VKWorld Mix Plus (MT6737) : 44,558
PIPO N8(MT8163A):39,785
ちょうど同じ時期に壁さんが実機レビューを行った、HOMTOM HT70と同じMT6750Tを搭載した「BLUBOO S3」とほぼ同等のスコアを計測しています。
スコア的にはエントリークラスの性能となっていますが、メインメモリが4GB搭載されていることもあってか動作上もたつきを感じるようなことは一切なく、軽快に動作します。
また前回レビューしたCHUWI Hi9 Airと異なりエントリー~ミッドクラスのCPUであるMT6750Tに搭載されているMali-T860 MP2はVulcan APIにこそ対応していないものの、意外と3Dゲームも快適にプレイすることができます。
Helio X20を搭載したCHUWI Hi9 Airでは若干もたつきがあった「鉄拳モバイル」もかなり快適に動作するのは意外でした。
全体的に、ハイエンドモデルではありませんが性能のバランスが優れており、たいていの動作で不満を感じることは少ないのではないか、と思われました。
5.まとめ
HOMTOM HT70は中国の通販サイト「CAFAGO」にて販売中で、5月29日現在の価格は189.95ドル(約20,916円)ですが、CAFAGOからクーポンをいただいており、クーポンコード「L251PZ」を入力すると152.99ドル(16,846円)となります(6月30日まで)。今回レビューした個体は本体のカラーリングがブラックでしたが、これ以外にホワイトが用意されています。
モバイルバッテリー並みの10,000mAhという大容量バッテリー搭載ばかりに目が行きそうですが、筐体デザインも個性的で美しく、性能バランスもとれてカメラ性能も頑張っているなど純粋にミッドレンジクラスのスマートフォンとしても完成度の高いものに仕上がっていると感じました。
ただしデュアルカメラ搭載の恩恵であるボケ効果に関してはおまけ程度である点と、大容量バッテリー搭載ゆえに本体重量が重くなってしまっている点、近年のハイエンドスマートフォンに倣ってヘッドフォンジャックを廃止してしまっている点は個人的には非常に残念ですが、全体的な完成度が高く、いざというときはHOMTOM HT70をモバイルバッテリーとして活用することもできるのでサブ端末としてバックに入れておく使い方もありなのではないかと感じました。
とにかく大容量バッテリーを搭載した、かっこいいスマートフォンが欲しいという方におすすめできる一台となっています。
6.関連リンク
HOMTOM HT70 : CAFAGO
※クーポンコード「L251PZ」を入力すると152.99ドル(16,846円)となります(6月30日まで)