電子ペーパータブレットBOOXシリーズのラインナップを紹介します。BOOXは、ONYX社による、ディスプレイに電子ペーパー(E-Ink)を採用したAndroidタブレットのブランドです。直射日光下でも視認性に優れる電子ペーパーは、Kindle等の電子書籍リーダーのように電子書籍はもちろん、PDFをはじめとした多様なファイルの閲覧に向くほか、多くの製品では高精度なペン入力機能も備え、手帳やノート、資料への書き込みといった用途にも活躍します。OSがAndroidとはいえ、電子ペーパーに合わせて大幅にカスタマイズされ、特にプリインストールされている専用のノートアプリと資料閲覧アプリは、電子ペーパーに最適化されていてかつ非常に高性能です。閲覧も書き込みも、まさに、「紙のように使う」ことを強く追求した製品です。一般的なAndroidのアプリをインストール可能なため、ファイルの共有なども容易にできます。ただし、ほとんどのAndroid向けアプリは電子ペーパーでの利用は想定されていないため、実際に実用レベルで使えるサードパーティー製のアプリは限られます。
目次
BOOX製品一覧
BOOXシリーズ モデル一覧表
製品名 | ディスプレイ | 解像度 | BSR | ペン | OS | CPU | RAM | ストレージ | microSDスロット | スピーカー | ページめくりボタン | カメラ | サイズ | 重量 |
BOOX Go6 |
モノクロ 6インチ |
1072 x 1448 | なし | 非対応 | Android 11 | 8コア | 2GB | 32GB | あり | なし | なし | なし | 148 x 108 x 6.8 mm | 146g |
BOOX Palma |
モノクロ 6.13インチ |
824 x 1648 | あり | 非対応 | Android 11 | 8コア | 6GB | 128GB | あり | あり | なし | 16MP | 159 x 80 x 8.0mm | 170g |
BOOX Palma 2 |
モノクロ 6.13インチ |
824 x 1648 | あり | 非対応 | Android 13 | 8コア | 6GB | 128GB | あり | あり | なし | 16MP | 159 x 80 x 8.0mm | 170g |
BOOX Page 7 |
モノクロ 7インチ |
1264 x 1680 | なし | 非対応 | Android 11 | 8コア | 3GB | 32GB | あり | あり | あり | なし | 156 x 137 x 6.0 mm | 195g |
BOOX Go Color 7 |
カラー 7インチ |
1264 x 1680 (カラー 632 x 840) |
なし | 非対応 | Android 12 | 8コア | 4GB | 64GB | あり | あり | あり | なし | 156 x 137 x 6.4 mm | 195g |
BOOX Tab Mini C |
カラー 7.8インチ |
1404 x 1872 (カラー 702 x 936) |
あり | 対応 | Android 11 | 8コア | 4GB | 64GB | なし | あり | なし | なし | 194 x 136.5 x 8.3 mm | 310g |
BOOX Go 10.3 |
モノクロ 10.3インチ |
1860 x 2480 | なし | 対応 | Android 12 | 8コア | 4GB | 64GB | なし | あり | なし | なし | 235 x 183 x 4.6 mm | 375g |
BOOX Note Air4 C |
カラー 10.3インチ |
1860 x 2480 (カラー 930 x 1240) |
あり | 対応 | Android 13 | 8コア | 6GB | 64GB | あり | あり | なし | なし | 226 x 193 x 5.8 mm | 420g |
BOOX Tab Ultra C Pro |
カラー 10.3インチ |
1860 x 2480 (カラー 930 x 1240) |
あり | 対応 | Android 12 | 8コア | 6GB | 128GB | あり | あり | なし | 16MP | 225 x 184.5 x 6.6 mm | 450g |
BOOX Note MAX |
モノクロ 13.3インチ |
2400 x 3200 | あり | 対応 | Android 13 | 8コア | 6GB | 128GB | なし | あり | なし | なし | 287.5 x 243 x 4.6 mm | 615g |
※製品名をクリックするとウインタブの実機レビュー記事もしくは製品紹介記事が開きます
BOOXシリーズのスペック解説
BOOXシリーズは、非常に独特な製品のため、一般のタブレット製品と同じ基準で評価するのが難しい部分もあります。以下に、BOOXのスペックと、製品選びのポイントを解説します。
ディスプレイサイズ別の特性
サイズごとの特性と、想定されるおおまかな用途を解説します。ただし、これらはあくまで目安です。AndroidをOSにしているBOOXは、その拡張性・カスタマイズ性こそ最大の特徴であり、実際にどういう使い方で活躍するかは、まさに人それぞれと言えるでしょう。
6インチから7インチクラスのBOOXシリーズには、ペン入力機能がなく、基本的に閲覧専用のタブレットです。電子書籍やPDF資料の閲覧などに向くでしょう。ただし、BOOX Palmaシリーズは、スマホのような縦長の画面を持ち、マンガやPDF資料の閲覧には縦横比の関係でやや不向きながら、BSRの搭載で本来電子ペーパー(E-Ink)が苦手とするはずの「スクロールで閲覧する」コンテンツの表示能力を高め、またカメラも備えた、従来の電子ペーパータブレットとは大きくアプローチの異なる製品です。
7.8インチから8インチクラスのBOOXシリーズは、ペン入力機能を備え、電子書籍や資料の閲覧だけでなく、手帳・メモ帳としても使えるタブレットです。もちろん、PDFへの書き込みなども可能です。片手で簡単に扱える、取り回しのしやすいサイズ感が魅力です。
10インチクラスのBOOXシリーズは、比較的バリエーションが多く、選択肢の多いサイズです。ペン入力機能を備え、サイズからはノートとしての利用が想定されます。中でもBOOX Tab Ultraシリーズは、専用キーボードやカメラなど、電子ペーパーの可能性を開拓する「全部入り」で、BOOXシリーズのフラグシップと言ってよい製品です。
13インチクラスのBOOXシリーズは、(ディスプレイ製品を除き)BOOXシリーズとしては最大の製品で、A4とほぼ同じサイズです。ペン入力機能も備えます。このため、ノート的な使い方に加えて、紙の書類との連携や、楽譜のように視認性を重視するコンテンツなど、実際の書類を同じサイズ感で代替するのに向いた製品です。
カラー電子ペーパーの特徴と注意点
カラー電子ペーパーは、現在、日進月歩で表示能力が向上しています。とは言っても、前提として、その発色能力は液晶や有機ELと比べればはるかに劣るものです。
また、カラー電子ペーパーは、モノクロ電子ペーパーの完全な上位互換ではありません。ディスプレイの明るさ、コントラストの鮮明さ、解像度などの点では、いまだモノクロ電子ペーパーに優位性があります。例えば、文字の電子書籍や、モノクロのPDFファイルを閲覧する場合には、モノクロ電子ペーパーの方が快適に使用できるでしょう。従って、カラーとモノクロのどちらを選ぶべきかは、わりと悩ましい問題です。もっとも、技術の進歩によって、その差は縮まりつつあります。
BOOX Super Refresh(BSR)とは?
BOOX Super Refreshとは、電子ペーパーの大きな欠点である反応速度の遅さを、従来品に比べて劇的に改善する機能です。とはいえ、あくまで「電子ペーパーとしては」という水準なので、動画を再生したり等には相変わらず向きません。
実用上の非常に重大な違いは、「スクロール」の快適性が向上することです。あらゆるWEBサイトやSNSアプリなど、Androidで閲覧する一般的なコンテンツの多くは、スクロールして表示することを前提としているため、この機能によってBOOXの汎用性が大きく広がります。また、テキスト入力の快適性が向上するのも、見逃せない点です。
ペン入力について
BOOXシリーズは、いち早く高精度のペン入力に注力してきた製品です。その精度、摩擦感を含めた書き味ともに、専門のペン入力デバイスに勝るとも劣らない品質を誇ります。また、純正のノートアプリや文書閲覧アプリの書き込みも、非常に高機能なものとなっています。7.8インチ以上の現行製品は、すべてペン入力機能を備えています。この、手帳やノートのような「紙のような手書き入力デバイス」としての使い勝手の良さは、BOOXシリーズの大きな魅力の1つです。
ただし、電子ペーパーディスプレイの反応速度や残像などがボトルネックとなるため、優れたペン入力機能を十分に発揮できるのは、基本的に純正アプリのみです。例えば、アイビスペイントなどのサードパーティー製アプリは、実用に耐えません。これは、反応速度を改善したBSR対応機種でも同じです。
Android OSのバージョンについて
BOOXは、電子ペーパータブレットという特殊性から、通常のAndroidに比べて、インターフェースをはじめとして、相当にメーカーによるアレンジが加えられています。また、画面分割などの機能も、Androidの基本機能としてではなく、BOOX側の独自機能として提供されたりしています。従って、Androidのバージョンが違っても、さしあたり実用上の差はほぼないといってかまいません。ただしもちろん、バージョンが新しい方が、セキュリティやアプリの対応などで安心であり、より長く使っていけるということはあるでしょう。
なお、Androidのバージョンとは関係無く、BOOXのファームウェア自体も常に進歩していて、インターフェースの変更や新機能の追加がなされています。これらは、ファームウェアアップデートで旧機種にも追加される場合もあれば、機種固有の機能もあります。例えば、BOOX PalmaとBOOX Palma 2は、カタログスペック上だけでみると変化はわずかながら、表が煩雑になるので省略しましたが指紋認証が追加されている他、システム面で、純正カメラアプリとAIアシスタントという、使い方次第ではかなり重要な機能追加がなされています(BOOX Palmaはスキャンアプリはあったがカメラアプリがなく、しかもサードパーティー製カメラアプリとはかなり相性が激しい)。
CPUとRAM(メモリ)について
BOOXシリーズのCPUの型番は、基本的に非公開です。そもそもが、一般的なAndroidタブレットとは特性が違いすぎて、どのくらいが適正な処理能力とメモリサイズなのかということは、比較対象が少なくスペックから判断するのは困難です。ただ、多くのBOOXシリーズを試用したり日常的に使ってきた経験から言えば、BOOXとして想定される用途で、処理能力やメモリーに不満を感じたことはありません。電子ペーパーを知り尽くしたメーカーとして、BOOXのCPUとRAMの構成は信頼してよいと思います。
ストレージについて
BOOXのストレージ容量は、文字中心の電子書籍などを読むには十分ですが、大量のマンガやスキャンPDFファイルなどを保存する場合には、不足がちな機種もあります。機種によってはmicroSDカードでのストレージ増設に対応しているものもあるので、大量のデータを保存したい場合は、チェックしておくとよいでしょう。
カメラについて
最近の一部のBOOXシリーズには、カメラを備えるものも出てきました。ただし、電子ペーパーディスプレイに、液晶や有機ELディスプレイ並みの表示は不可能なため、たとえカメラ性能が十分であっても、その場で写り具合を細かく確認できないので、「画像を撮る」目的には不向きです。基本的には、カメラというより「スキャナー」だと考えるとよいでしょう。
関連リンク
メーカーサイト:
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E-Ink製品専門ECサイト
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