ラジコン搭載用無線超小型カメラ「Eachine TX06」レビュー - 製品レビューと見せかけてオピニオン記事です(natsuki)

Eachine TX06
こんにちは、natsukiです。今回は、Banggoodで購入した小型カメラ「Eachine TX06」をレビューします。1,000円ちょいで買える、とっても安くて楽しい製品です。が、しかし、後からがっかりさせるのは申し訳ないので、先にお断りしておきます。おそらく、この記事をお読みの方の多くは、この製品、買っても使えません。技術とか知識的な意味ではないです。法規制によるものです。技適もありますが、さらに厳しい別の規制で。

スポンサーリンク

この記事の目的は、Eachine TX06の使用を通して、日本の電波規制の現状を知っていただくことにあります。ただし、ズルい言い方かもしれませんが、議論をするつもりもありません。現状の規制は正しい、あるいは必要である、あるいはそういう制度になっているんだからあれこれ言っても仕方ないじゃん、という考えもそれはそれでかまわないと思います。なら、なぜこんな記事を書いているかというと、この話題は現在進行形で流動的であり、また「利」も絡むものだからです。この後触れる、今回の製品を使用するために必要なすさまじく面倒な手続きも、それまでまったくNOであったものを、ここせいぜい5,6年で一部の人が制度をこじ開けてなんとか使用する細い道を切り拓いたものです。そして、この話は非常に大きなビジネスチャンスに結びついています。「利」あるところ、人は動く可能性があります。こうやって少しでも問題提起していくことで、今後、より適切な制度の修正や運用、またはビジネスの創出につながっていく可能性は十分にあると考えています。そんな可能性の種をまくものとして、お付き合いいただければと思います。

1.製品概要

この製品は、小型のドローンに搭載し、いわゆる「FPV(First Person View)=一人称視点」を提供して、このカメラを通した操縦をすることを想定したものです。

従って、極めてとがった特徴を持っています。第1に、凄まじく軽い。公称2.8g。1円玉3枚以下。最優先事項として、軽さの限界を追求している製品です。第2に、受信機の問題もありますが、非常に遅延が少ない。第3に、広角レンズです。やってみれば分かりますが、FPVでの操縦は、視野角120度くらいはないと厳しいです。ギリギリまで小さくしてあるので、画像性能はたいしたことありません。カメラ単独での録画もできません。録画するなら、受信機側でやるしかありませんが、この手のカメラは画質が低いだけでなくノイズも入りまくりなので、基本的に撮影には向きません。空撮画像などを撮りたい場合は、もうちょっと出してカメラ自身に録画機能の付いたものを使いましょう。

出力も低く、屋内利用が想定されています(受信機が優秀なら数百メートル届かせることも可能は可能らしいですが)。なお、やや難しい話になりますが、周波数を変更するためのスマートオーディオ機能も付いています。スマートオーディオ機能については、今回は使いません。興味のある方は調べてみてください。数値上のスペックは以下の通り。

送信出力:25mW
周波数:5.8GHz、6バンド、48チャンネル
入力電圧:3.3~5.5V
消費電流:280mA
カメラの解像度:700TVL
ビデオフォーマット:NTSC/PAL(レビュー品はNTSC)
視野:120度
アンテナ寸法:35mm×4.2mm
アンテナ:真鍮ダイポールアンテナ
サイズ:14×13.8mm
重量:2.8g(ケーブル抜き?)
その他:スマートオーディオ対応

FPV用カメラとしては、最低限ながら必要十分な構成です。

Eachine TX06
こんな感じの箱で届きます。小さいながら二重構造の段ボールに、中は密度の高い発泡スチロールの緩衝材が詰められてあり、非常に強固です。これなら、配送時に乱暴に扱われても、そうは壊れません。

Eachine TX06
開封したものです。外してありますが、カメラにはキャップも付いています。赤黒の線が電源で、カラフルな方がスマートオーディオがらみです。そっちはどのみち使わないんで切り落としちゃってもいいんですが、貧乏性なのでぶら下げています。そして、この種のFPVカメラは、動作が非常に単純で、電圧3.3~5.5Vの電源につないでやればそれだけで動作します。もちろんデリケートな製品ではあるので、より安全に運用するためには電圧電流を調整する回路を通すにこしたことはないんですが、とりあえず、3.7Vのリポバッテリーなり乾電池3つ直列なりにつないであげれば十分動作します。

Eachine TX06
実測は、ごらんのとおり、3.8g。公称スペックの2.8gはいくら何でもなので、まあこんなところだろうと思いましたが。にしても、1円玉4枚弱。いやまて、ケーブル外せば2.8gいくか?

2.小型ラジコンカーに搭載してみる

先述のように、このカメラは小型ドローンへの搭載を想定しています。が、適切な電圧の電源につないであげればすぐ動作するので、何にでも付けられます。今回は、なんかどっかで手に入れた、おもちゃの、本当におもちゃのラジコンカーに付けてみます。風の力で壁に張り付くという触れ込みのやつでしたが、パワー不足で、張り付きはするけど、そこから動くと落ちるというシロモノです。たしか500円くらいで買ったやつ。こういう、ちょっとした工作の材料には最適ですね。

Eachine TX06
パカッと開けてみれば、案の定、3.7Vリポバッテリーを使っているので、その線を追っかけて、基板とつながっているところに追加でハンダ付けしてあげるだけです。画像はすでにハンダ付け後のものです。電源スイッチよりも前の部分でハンダ付けしているので、プラグをつけて着脱可能にして、プラグを抜けばカメラがOFFになるようにしておきます。このカメラ、それなりに発熱するんですよ。小型ドローンの電池保ちはせいぜい5分なので、カメラも、連続使用は5分を目安にプラグを抜いて冷却しましょう。

カバーには、カッターでケーブルをカメラにつなぐための穴を開けてやります。真ん中のでっかい丸いのが、壁張り付き用のファンですね。もともとスイッチ切り替えで動かさないようにできるので、封印。

Eachine TX06
ハンダ付け部分です。ミスって、ギヤボックスを少し溶かしてしまっていますが、幸い問題なく動きました。このように、基本的に、「充電式」の機器は、ほぼ間違いなく3.7Vバッテリーを使っているので、動作電圧が3.3~5.5Vのこのカメラをつなぐのは非常に容易です。あんまりパワーのあるやつは、ちゃんと回路通した方がいいとは思いますけど。Amazonで、オフロードジープのラジコンが1,000円~3,000円程度で売っていますが、そういうのにつないでも面白いですよ~。ただし、乾電池駆動の場合は、3本直列以外は一気に難易度が上がります。乾電池は入れる電池の種類によっても、電圧が変わりますし。まあ、やめといた方が無難です。

Eachine TX06
カメラの緩衝材として入っていた発泡スチロールは、カメラ固定用スタンドの素材として最適です。

Eachine TX06
紫外線凝固接着剤でスタンドを接着します。結論から言うと、これは接着方法の選択を誤りました。概ね固まりはしたんですが、やはり溶剤の一部がラジコンカーのプラスチックや発泡スチロールと溶け合ってしまって、嫌な臭いが抜けません。どんな種類のものでも、発泡スチロールに接着剤はマズかったですね。とりあえず、固定するという目的については大丈夫です。

Eachine TX06
こんな風に、カメラサイズよりわずかに小さい切り抜きを作って、またレンズとケーブルに合わせた切り込みも入れ、カメラを固定しました。

スポンサーリンク

Eachine TX06
後ろのヒレみたいなのは、ケーブルクリップとして作りました。できあいの部品で作ったので、端子の形状が合わず、変換ケーブルをかませるというみっともないことになっています。動きゃいいんだよ、動きゃ。というわけで、完成です。

Eachine TX06
なお、このカメラの映像を録画する受信機を持っていないため、以下の動画のカメラ映像は、受信ゴーグル「Eachine VR006」にスマホのカメラを押しつけて固定するという、むっちゃアナログな手法で撮っています。よく見るとスマホのカメラが写り込んだりしていますが、ご了承ください。

それでは、実際に動かしてみましょう。

ラジコン搭載用無線超小型カメラ「Eachine TX06」

分かりますか? この楽しさ。

3.それ、違法ですよ

Eachine TX06

クリックで拡大します

ええ、知ってます。以上の行為は、一般的には御法度です。技適? それだけじゃない。こういったリアルタイム画像送信に使用される安価で軽量なカメラは、5.8GHz帯の電波を発信します。日本で5.8GHzの電波を発信する機器を使うには、第1に使用者は免許を取得することが必要で、第2に発信器を「無線局」として開局申請を行い、その許可を得なくてはいけません。なお、技適については、開局申請とその審査の過程でクリアすることになります。これらの手続きについて具体的な説明をしていたらすさまじく長くなるので、それは割愛します。ともかく、「免許」と、発信器ごとの「申請」が必要ということです。ちょっと調べていただければ、これらのクリアがとてつもなくめんどくさく、お金と時間と労力がかかることはすぐに分かるかと思います。

なんで、そんな厳しい規制の対象になるのか? 総務省によれば、「特に、5.8GHz帯は、DSRCシステムに割り当てられており、主として高速道路のETCシステムや駐車場管理等に用いられていますので、それら付近での使用は避ける等、運用の際には配慮が必要です。」とのこと。うん、目的は分かります。インフラにダメージを与えたらマズいですからね。

でもでも、こいつの出力はたかだか「25mW」ですよ。1キロ先まで届くような、空撮用ドローンの強力なやつとはわけが違います。え、そんな細かいことまで区別していられないって? いやいや、電波に関する規制は、周波数、出力、利用形態などによって、非常に細かい区分があります。それよりもなによりも、規制する目的と、手段がかみ合っていません。免許を持って開局申請を通れば使ってOKという制度は、実効性の問題として「インフラへの電波干渉を抑止する」ことにはなんの制限にもなっていませんよね。車で言ったら、免許制度だけあって、交通ルールが無いってことですよ。しかもその免許内容は、技術的知識と電波法に限定した法知識に基づくもので、これも車で言ったら、操縦方法は知らなくても、エンジンの仕組みを知っていたら取れるようなものです。いかにも、「現在の状況でトラブルが起こることはまずあり得ないけれど、法律がそうなっているからつじつまだけ合わせておくね」といった体の制度です。

え?私ですか? 当然、こうやって公開しているのは、私はそれらの規制をクリアしているからです。「私は」ね。「免許を持った人間」が「開局申請を通った無線局」で発信しなくてはならないので、「免許を持っていない」子供に操縦させたらダメです。いかにちぐはぐな制度かよく分かるでしょう?

じゃあ、国内製品で、2.4GHz帯利用の同様のカメラはないのか? 一応あります。やはり、ラジコン用として。しかし、非常にレアで、ネット上で探しても情報は極めて少なく、価格もそうとういいお値段する。部品から組み立ててラジコンするくらいの人なら、頑張って法規制をクリアして5.8GHz帯のカメラを使いますからね。今さら、わざわざ低スペック高価格の2.4GHz帯カメラを使わんでしょう。

または同様の機能を持ち、合法のもので近い特性を持つものなら、Wi-Fi対応の小型監視カメラがあります。2.4GHz帯を使い、技適を通っていて(通っていない製品もあるので注意)、視野角も十分(120度~150度)あり、microSDカードでの録画に対応して独立電源で稼働。安いのだと、だいたいAmazonで4,000円~5,000円くらいです。ただし、重さは20g以上はする。また、カメラ性能も、カメラ側が動いている場合にどの程度ブレずに見えるかは未知数。それに、遅延の問題がある。Wi-Fi付きアクションカメラって手もありますが、重量がどうしても50gはしてしまう。殻割りして削る猛者もいますが、それでも20gは越えます。

目的を達成できればいいというだけなら、今回のようなラジコンカーならそれでいいんですよ。多少重くたって走りますし。スピードを求めなければ、遅延の問題もものによりけりですが我慢の範囲内でしょう。または、積載量のあるドローンもなんとかなるかな。実際、1万円前後からで、サイズ20cm×20cmクラス以上のドローンなら、2.4GHz帯の広角カメラを積んだものは多くあります。というか、国内正規販売の空撮向けドローンは、建て前上それが主流か。どこで飛ばすかというのはまた別の問題として。

しかーし、そういう代用品の話ではないんです。今回の記事の目的は、日本の電波規制の現状を知っていただくことです。こんなものに厳しい規制がかかっていて、しかも使用する場合の許可制度は、規制の建て前上の目的とまったくかみ合っていないという。

こういった縛りから、日本の国内メーカーは5.8GHzカメラをまともに製造していません。それだけではなく、娯楽用ドローンというのは、最先端技術をいかに総合して廉価に一般人の手に送り出すかという商品なわけですが、ここに日本の会社はほとんどノータッチなのが現状です。ドローン搭載カメラなんて、世界ではほんとうに日進月歩で、次々とより良く安いものが開発されているのに、日本企業からは何もない。どうしようもなく、悲しいくらいに。

4.まとめ

このEachine TX06は、Banggoodで記事執筆現在、セール価格で1,191円です。EachineはBanggoodの自社ブランドで、ともかく廉価なドローン関係製品をバシバシ提供していますが、ドローン用カメラの中でもスペックがある程度抑えられているとはいえ、この価格は破格で、Eachineブランドの面目躍如とも言える製品です。

また、受信ゴーグルも、ちゃんとしたものを買うとキリがないですが、スマホへの受信機なら、BanggoodやAliexpressで探せば、1,000円台半ばからあります。ちなみに、日本の電波関係の法規制はすべて「発信」に関するものなので、受信機は法律上の問題はありません。

そんなこと言っても、カメラ側を使えないんじゃしょうがないですけれどね。

現在、技術の進歩によって、各種のドローンを非常に安価に手にできるようになったため、関係する制度が大きく揺れています。特に東京オリンピック開催に向けて、「有効性のある」規制の整備が急務とされ、実際急ピッチで法令の制定改正やそれに基づく取り締まり強化も進められています。

一方で、これだけ手軽にドローンが手に入るということは、いや、ドローンに限らず、すでに手軽に安価に無線通信によるリモートコントロールとFPVを利用できるという現在の技術水準は、非常に大きなビジネスチャンスの到来でもあります。ドローン専門店や練習場など、関係ビジネスは展開されはじめているものの、現状では、はっきり言って規制に押される一方で、規制も織り込んでビジネスにしようというものはほとんど見られず、「細々と」といった様相でしょう。それでも、はじめに触れたように、一部の人の努力により、まったくダメだったのが、あまりに現実と乖離した手続きながらも、法律上のつじつまをとりあえず合わせて使用できるようにする道は切り拓かれてきたわけです。そして今後、安全を確保し人権を保護するための規制と、その規制への対応も含めてビジネスとして成立させる、という両立は、十分可能だと思います。

私は、電波技術の専門家ではありません。もしかすると、「たとえ25mWの出力でも干渉によるインフラへのダメージの可能性が少しでもある以上、現状のような抜け道があること自体が許せない」という意見があるかもしれません。だとしたら、5.8GHzを徹底的に取り締まるのか、それとも将来的により自由に解放するためにインフラの改修を進めていくべきなのか、といった対策が必要で、後者はこれはこれで大きなビジネスチャンスのはずです。まあ、本当に危険性があるなら、抜け道のような制度自体認可されないと思いますけどね。

視野を広げれば、このような技術の進歩による新たな娯楽をビジネスチャンスとした現在進行形のモデルとして、eスポーツがあります。まだ、これからの日本のeスポーツ市場がどうなるかは分かりませんけれど。具体的な部分ではもちろんまったく違うものの、企業が新技術に支えられた娯楽へ参加する制度的知識的設備的なサポートを行ったり、娯楽を行える空間を提供することで市場を開拓するという意味では、共通する部分はあると思います。

現状を知る人が増えるということは、大げさな言い方をすれば、世論形成の土壌となり、それ以上にビジネス面では潜在的顧客が増えるということです。楽観的すぎる考え方かもしれませんが、今回の記事のような情報が少しでも多く出回ることは、電波制度の今後や、それをめぐるビジネス状況がよりよき方向へ向かう下地作りとして、決して無駄ではないと思っています。

5.関連リンク

Eachine TX06:Banggood
ドローン等に用いられる無線設備について:総務省電波利用ホームページ

スポンサーリンク