こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。ご存知の通り、ウインタブではノートPCの実機レビューをする機会が多く、超ハイエンドなゲーミングノートからエントリークラスのスタンダードノートやモバイルノートまで、幅広いジャンルのPC製品に触れる機会が多いです。ただ、記事の「さじ加減」というのには結構苦労していまして、特に「この製品の性能はこのくらい」という部分でどう表現するか悩んでしまうことがしょっちゅうです。
記事を読まれる方々の属性は様々なので、「この製品ならどんな用途で使っても性能面に不足はありません」ということを安易には書けません。何も考えずにこう書けるのはMSIのTitanくらいなものでしょう。また、PCゲームについても、全くゲームの経験がない方もおられるでしょうし、大会出場レベルのガチゲーマーさんもおられるので、個人的には、というか私の腕前とか年齢なら「ディスプレイのリフレッシュレートなんて気にしなくていい」となりますが、実際にそう書いてしまうとブチ切れる読者も少なくないと思います。
ただ、かねてから私は「そこそこ楽しめればいい」というくらいなら、外部GPUを搭載しないRyzen(5以上)機とかCore(i5以上)機でもPCゲームを楽しめるのでは?と思っています。特にZen 3アーキテクチャ以降のRyzen 5/7、第11世代以降のCore i5/i7機(Iris Xe搭載)なら、相当数のゲームができるだろう、と思います。
そこで今回は「外部GPUを搭載しないスタンダードノートでどのくらいPCゲームが楽しめるのか」ということを試してみたいと思います。
1.テスト環境
この記事でテストに使ったPCはLenovo ThinkBook 15 Gen 5 (AMD)です。
CPU:Ryzen 5 7530U(Zen3)
RAM:16GB
SSD:512GB
ディスプレイ:15.6インチIPS(1,920×1,080)60Hz
という、ビジネス用・学習用としては十分に「良スペック」な製品で、価格も74,800円と「え?このスペックで?」と感じるくらいにお買い得なスタンダードノートです。ただし、GeForceなどの外部GPUは搭載しておらず、ディスプレイも「普通の仕様」なので、PCゲームを主目的に購入するような製品とは言えません。
…しかし、これがまた頑張ってくれました…。期待以上の実力を見せてくれたんですよね。
なお、ThinkBook 15 Gen 5 (AMD)についてはウインタブで実機レビュー記事を掲載しています。こちらもあわせてご覧ください。
Lenovo ThinkBook 15 Gen 5 (AMD) レビュー - 個性的な天板デザインで非常に高いコストパフォーマンス!使いやすい15.6インチスタンダードノート
一般に、ゲーミングPCであればメーカー独自の設定アプリが搭載されており、細かくパフォーマンスを調整できます。しかし、ThinkBook 15にはLenovo Vantageという設定アプリは入っているものの、パフォーマンスを高められるような項目はわずかです。
一応、Lenovo Vantageの「電源及びパフォーマンス」を「エクストリームパフォーマンス」にし、Windows 11の設定項目の電源設定を「最適なパフォーマンス」にして、しばらくゲームをしてみました。なお、外部GPU搭載機だと「電源接続必須(バッテリー駆動だとGPUの性能を十分引き出せる電力供給ができない)」となりますが、ThinkBook 15のように外部GPU非搭載かつCPUがノートPC用の製品であれば、電源接続とバッテリー駆動でパフォーマンスに大きな差は出ません。
そのため、以下のテストでは「バッテリー駆動」にしています。
2.Forza Horizon 5
非常に美しいグラフィックのオープンワールド・レースゲーム「Forza Horizon 5」をプレイしてみました。テスターである私がある程度プレイし慣れているというのもありますし、[PR]Xbox Game Passの対象タイトルになっているので、「14日間は100円、以降は月々850円」からこのゲームをプレイできる、という気軽さもあります(今回のテストのように「手持ちのノートPCでこのゲームをプレイできるだろうか?」と不安を感じる場合でも最低限の出費で試すことができます)。一方でサイズが100GBオーバーなので、「ストレージ256GBのノートPC」なんかにはインストールが躊躇されます。
メーカーが開示している、ゲームをプレイするための最低スペックはこちらです。
CPU:Ryzen 3 1200/Core i5-4460
GPU:GeForce GTX970/Radeon RX 470
VRAM:4GB
RAM:8GB
また、推奨スペックはこちらです。
CPU:Ryzen 5 1500X/Core i5-8400
GPU:GeForce GTX1070/Radeon RX 590
VRAM:8GB
RAM:16GB
この他に「理想スペック」というのも開示されていますが、この記事の趣旨に照らすと、はっきり言って「知る必要もない」ですね。
Forza Horizon 5には「ベンチマークモード」というのがありまして、このモードを実行することによってゲーム側が推奨するグラフィック設定がわかります。で、予想通りと言いますか「低」が推奨されました。ちなみに、この「低」というのは「下から2番めの設定」で、この下に「最低」というのがあります。また、「低」でも達成済みフレームレートは29FPSとかなり低めです。
「グラフィック低設定であればカジュアルには遊べる」というのが私の感想です。まれに処理落ちというか、画面がカクつく場面もありましたが、もともとForza Horizon 5はレースだけでなく、メキシコの景色を楽しみながらドライブするというゲーム性でもあり、まったり楽しむこともできるゲームなので、その意味ではこれでも大丈夫かな、と思いました。「重量級ゲーム」ということではあるんですが、懐が深いと言いますか、ハイエンドPCで4K解像度でも、外部GPU非搭載のノートPCでも、それなりには動く、という感じです。
3.Gunfire Reborn
ざっくり言うと「FPS形式で敵を倒しながらステージを進めていくアドベンチャーゲーム」で、ソロプレイでも十分楽しめ、本格的なFPSゲームだとまともにプレイできない私でもそれなりに爽快感を味わえます。とはいえ、全然先のステージには進めていないんですけどね…。
メーカーが開示している、ゲームをプレイするための最低スペックはこちらです。
CPU:Core i5-6400/AMD FX-8320
GPU:NVIDIA GeForce GTX960/Radeon R9 280
メモリ:4GB RAM
また、推奨スペックはこちらです。
CPU:Core i5-7500/Ryzen 5 1400
GPU:GeForce GTX1060/Radeon R9 390
RAM:8GB
私の経験上、このゲームは最低スペック・推奨スペックの記載内容に関わらず、外部GPU非搭載のノートPCでも十分快適に動作します。なので、今回のテストでも特に心配はしていませんでした。
起動直後、デフォルトの画質設定(ゲーム側でPCのスペックを見て最初に指定してくる設定)では「低」が選ばれていました。しかし、それを無視して「すごく高い(最高画質)」に画質を変更しました。
「すごく高い」画質でも全く問題なくプレイができます。ただし、テスト機のディスプレイ・リフレッシュレートが最大60Hzなので、画質設定に関わらず最大のフレームレートは60fpsで頭打ちです。そのため、腕のいいFPSゲーマーにはちょっと不満が出る可能性はあります。もちろん私の腕だとフレームレート云々を語るレベルではないので、ゲーミングPCでプレイするときと体感もスコアもあまり変わりませんでした。
4.操作性など
画像を掲載している通り、Forza Horizon 5ではコントローラー(ゲームパッド)で、Gunfire Rebornではキーボード&マウスでプレイしました。キーボード&マウスでプレイする場合「普通のノートPCで大丈夫か?」と思われるかもしれませんが、一般にゲーミングノートのキーボードは「やたらと頑丈」だったり「バックライト色の変更が可能」だったりするものの、キーピッチやキーストロークに関しては普通のノートPCとあまり変わりません。なので、ThinkBook 15のキーボードでも十分操作可能です。ただし、ノートPCの種類によってはキーボード面の強度が十分でなく、ゲームプレイ中に強打するとキーボード面がたわんでしまい、少々不快に感じられるケースもあると思います(ThinkBook 15のキーボード面は十分な強度があったと思います)。
…それと「バッテリー駆動時間」です。Forza Horizon 5を約30分、Gunfire Rebornを約20分プレイして、バッテリー消費量は82%に達しました。つまり、ThinkBook 15でPCゲームをすると1時間でバッテリーを使い切る、ということです。なので、バッテリー駆動でもゲームは楽しめますが、「やっぱり電源接続が望ましい」ですね…。
5.まとめ
Forza Horizon 5が低画質であればまともにプレイできる、という時点でおおよそテストは成功、と言っていいんじゃないかと思います。ただし、最新のPCゲームの場合はグラフィック設定は「低」にならざるを得ないという点と、非ゲーミングノートではほとんどがディスプレイの高リフレッシュレート表示に対応していない(基本的には60Hzどまり)ので、画質にこだわりたい人やガチでFPSゲームとかレースゲーム、格闘ゲームをプレイしたい人は少なからず不満を感じると思います。
実際、Forza Horizen 5についてはテスト機でプレイした後、手持ちのゲーミングPC(Core i5-11400H/RTX3060)でもプレイしてみましたが、その差は歴然でした。手持ちのゲーミングPCだとグラフィック設定は「高」で大丈夫ですし、ディスプレイのリフレッシュレートも165Hzですしね。まあ、さすがにGeForce搭載のゲーミングノートにはかないません…。一方で、リフレッシュレートが60Hzで固定されてしまうというウイークポイントはありますが、その点を除けばGunfire Rebornは外部GPU搭載有無に関わらず、プレイの快適さにほとんど差は感じられませんでした。
ただ、記事の冒頭に書いた「そこそこ楽しめればいい」のであれば外部GPU非搭載の、普通のノートPCでもいけると思います。また、現在は[PR]Xbox Game Passなど、サブスク方式・定額かつ低額の費用でPCゲームを楽しめるようになっていますので、お手持ちのノートPCが外部GPU搭載機でなくとも、比較的世代の新しいCore i5/Ryzen 5以上のCPUを搭載しているのであれば「とりあえずなにか一つインストールしてみる」のもいいんじゃないでしょうか。
6.関連リンク
Lenovo ThinkBook 15 Gen 5 (AMD) レビュー - 個性的な天板デザインで非常に高いコストパフォーマンス!使いやすい15.6インチスタンダードノート
コメント
11世代のiris Xeの時点でGT1030と同程度の性能が出ていますので、最新型のi5/Ryzen5以上であれば、最低スペックがGTX960以下のゲームは概ね最低限は遊べると思います。
ちなみにですが、現行のUMPCに搭載されているRyzen7 7840UのiGPUはtimespyのスコアでGTX1650に比肩する性能があります。
また、年末発表の次世代として噂されているStrix Point搭載のRyzen7 8850U(仮名)は、RDNA3.5-16CU搭載と言われていますので、Timespyの予測スコアはGTX1060 6GBに比肩する4200程度になると考えられます。
ここまで来るとUMPCでも殆どのゲームをFHD 60fpsで遊べる性能になるので、大多数の人はdGPUが不要になるかもしれませんね。
ゲームやらなくてもゲーミングPCの恩赦結構ある気がする。
10世代のCorei7のPC使ってたけどASUSのゲーミングノートがセールで安かったから買ってみたらサクサク感ヤバすぎてもう戻れないわ。
LoLならできそう
記事中にも書きましたが、すでに何らかのゲームを持っているとか、サブスクを試してみたいということなら、とりあえずお手持ちのノートPCで試してみてもいいのでは?と思います。