ちょっと珍しい?Core i5-12600(無印)と内蔵のIntel UHD Graphics 770のベンチマークスコア - 最大4.8GHzでシングルコア性能が強い!

Core i5-12600(無印)のベンチマークスコア
こんにちは、近郊ラピッドです。今回は私用で購入したCore i5-12600、及び内蔵グラフィックス(iGPU)のIntel UHD Graphics 770のベンチマークを取ってみました。末尾にKの付いた12600Kの方が遥かに有名ですが、無印の方は果たしてどのような性能を発揮するでしょうか。なお、今回取り上げるCPUはデスクトップ向けですのでご注意ください。

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1.Core i5-12600の概要

製品名 Core i5-12600
世代 第12世代Core(Alder Lake)
Pコア/スレッド数 6C/12T
Eコア/スレッド数 (無し)
ベースクロック 3.3GHz
Pコア最大クロック 4.8GHz
Eコア最大クロック (無し)
L2キャッシュ 7.5MB
L3キャッシュ 18MB
内蔵グラフィックス(iGPU) Intel UHD Graphics 770
32EU(最大1.45GHz)
対応メモリ規格 DDR5-4800・DDR4-3200
MTP 117W
PBP 65W
製造プロセス Intel 7

Core i5-12600のスペック表です。まず目立つ点ですが、12600にはEコアが搭載されていません。4基搭載されているK付きの12600Kとは根本的にスペックに差が付けられています。

このCPUのように「600」で終わる型番のCore i5は無印としては高性能な型番となっていますが、マイナーな存在に甘んじています。コストパフォーマンスが優秀で圧倒的にメジャーな存在である「400(F)」系統や、vPro対応などの企業向け機能(「600」系統にも搭載)が含まれ、少しスペックも引き上げられた「500」系統を採用する方が一般的で、「600」系統の市販PCは少数に留まっています。「500」系統が在庫切れの際、仕方なく買うような型番というのが実情だと思います。

目立たない理由は、その中途半端な立ち位置にあると言えるでしょう。今回取り上げる12600もCore i5-12400(F)よりコストパフォーマンスに劣り、その一方でEコア4基が追加されたCore i5-12600Kや、8+4コアのCore i7-12700(F)と比べるとマルチコア性能は大きく劣ります。そのため、第一候補に選ばれることがまず無いと言える状況です。

しかし、このCPUを選択するメリットもあります。どのような特徴のあるCPUなのかを、ベンチマークから見て行きたいと思います。

2.Core i5-12600のベンチマーク

測定条件

ベアボーン ASRock DeskMeet B660
CPUクーラー CPU付属の純正リテールクーラー
メモリー DDR4-3200 8GB×2
OS Windows 10 Home
外部GPU MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G OC
CPUの設定 MTP:117W PBP:65W tau:28秒(MTPが持続する時間、tau経過後はPBPに制限される)

※今回測定するCPUはPコアのみのため、Windows10環境でも特に問題はないと判断しています。

今回は付属のリテールクーラーを使い、そしてCPUの電力設定はデフォルトのままにしてあります。もっと良いグレードの冷却装置に置き換え、PBP(ベース電力)を引き上げることでよりマルチコア性能を引き出すことが可能ですが、その分追加で費用が掛かります。

PCMark10

外部GPU(RTX 3050 Desktop版)非搭載時

Core i5-12600(無印)のベンチマークスコア

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外部GPUに頼らず、iGPUだけでPCMark10を実行してみました。

Core i5-12600(無印)のベンチマークスコア

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Core i5-12600(無印)のベンチマークスコア

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CPUやiGPUのクロックや消費電力の変化です。MTPは117Wですが、ほとんどのシーンで65W以内に収まっています。クロックは最大約4.8GHzに達しており、スペック通りにブーストしています。温度も終盤以外は比較的穏やかで放熱は問題なさそうです。

このブーストクロックの高さによって高いシングルコア性能を発揮した結果、外部GPUの力を借りなくとも5000ポイントを上回り、Alder Lake世代のCore i7搭載ノートPC(外部GPU非搭載機種)と遜色ないスコアとなりました。ただ、後述しますがiGPUがお世辞にも高い性能とは言えないため、外部GPU搭載時よりもDigital Content Creationが大幅に低くなってしまいます。いくら4.8GHzまでターボするといえども、このiGPUでは6000ポイントの壁を超えるのは難しいようです。

外部GPU(RTX 3050 Desktop版)搭載時

Core i5-12600(無印)のベンチマークスコア

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3万円台から入手可能で比較的手頃なRTX 3050を搭載して、PCMark10を実行してみました。RTX3050はRTX 30シリーズの中では廉価なモデルに位置付けられており、ゲーマーには少し物足りない性能かもしれませんが、8GBのVRAMを搭載しているため、この価格帯にしてはコンテンツ制作や機械学習の能力は高めとなっています。

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上記の画像の通り、Digital Content Creationのスコアが大幅に上がり、総合スコアは7000ポイント越えを達成しています。

CPUもGPUも3万円台とそこまで高価ではありませんが、20万円台のゲーミングノートPCと並ぶレベルのスコアを出せたので、買って良かったと思いました。むしろ、Core i5とRTX 3050で7000ポイントを軽く超えてきたので正直驚きました。

3DMark(Intel UHD Graphics 770のベンチマーク)

Core i5-12600(無印)のベンチマークスコア
Core i5-12600(無印)のベンチマークスコア
Core i5-12600(無印)のベンチマークスコア
12600に搭載されているiGPU、Intel UHD Graphics 770のベンチマーク結果です。なお今回はCPUスコアも併記しています。CPUスコアは普通なのに、Graphicsスコアが妙に低いので少しシュールな画像となっています。

32EU(実行ユニット数)しかないので計測前から予想は付いていましたが、低いスコアとなりました。昔のゲームならともかく、現代のゲームをプレイするには厳しいスコアとなっており、ノート向けAlder Lake(最大96EU)の方がずっと高性能です。

それでもComet Lake(第10世代Core)まで搭載されていたUHD Graphics 630(Time Spyのグラフィックススコアの中央値が424)よりは性能が底上げされており、マルチディスプレイを構築したり、高度な3Dグラフィックス能力を必要としないゲームを動かすには十分な性能だと言えます。Deskminiなどの外部GPUが搭載不可能な超小型ベアボーンに組み込む場合は、24EUしかないCore i5-12400よりも有利です。

余談ですが、Core i7などの上位グレードに搭載されているUHD Graphics 770は少し最大クロックが高いので、その分少しだけ性能が上がります。

CINEBENCH R23

Core i5-12600(無印)のベンチマークスコア
CINEBENCH R23の結果です(なお、ここでは他のCPUと比較する際に、CPU-Monkeyのデータを参考にしました)。

Core i5-12600(無印)のベンチマークスコア

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マルチコアテスト時のクロックの変化です。最初は4.4GHzで駆動していましたが、すぐに電力制限が掛かって3.6~3.7GHz辺りで推移しました。

Core i5-12600(無印)のベンチマークスコア

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CPUの消費電力と温度の変化です。排熱はリテールクーラーでも出来ていますが、使用したベアボーンが小型で熱がこもってしまうため最大温度は89度となっています。余裕のあるケースならばもっと低い温度になると思います。ちなみに騒音は中々大きく、うるさく感じましたので、高負荷な作業を頻繁に行う場合は静音のクーラーに置き換えた方が良いでしょう。

PCMark10では65Wを下回るシーンが大半でしたが、こちらの場合はtauの時間が終わるまで100Wを超え、その後もずっとPBPに張り付く結果となりました。この辺りからも、PCMark10の方は普段使いの使用感に近づけたテストで、CINEBENCH R23の方はCPUコアをフルに使うような高負荷な作業の処理能力を測定するテストだと分かります。

今回はデスクトップ向けのCPUであり、高負荷な作業を実行することが多いと思われるため、こちらのスコアの方が参考になると思います。

スコアについてですが、今回はPBP:65Wの設定のため、マルチコア性能はCore i5-12400(約12000pts)と同クラスになりました。値段が少し高い12600K(MTP無制限で約18000pts)はEコア付きで電力制限も緩いためかなり差があります。ただし、PBPを65Wから110W辺りに引き上げれば全コア4.4GHzを維持できるため、3.7GHz辺りに制限される65W時よりも理論的には2割程度スコアが上昇すると思われます。

一方でシングルコア性能は明確に12400(1600pts前後)と差が付き、12600KやCore i7-12700(約1900pts)に近い優秀な結果となりました。アプリケーションの立ち上げや並列化されていない処理を高速に実行できることを期待できます。しっかりと長時間最大クロックを維持できるのはデスクトップ向けCPUらしい点ですね。

まとめると、マルチコア性能はそこそこの一方で、シングルコア性能は高価なゲーミングノートPCに並ぶ水準と言えるでしょうか。

コメント

スペック表からも察することができますが、このCPUは単コアのターボブーストが比較的強力な点が特長となっています。

最大4.8GHzというクロックはCore i7-12700の最大4.9GHzよりも0.1GHz低いだけで、かなり高速な部類です。そのため、12600は価格の割にはシングルコア性能が優れているCPUとなっています。PCMark10が予想以上に高いスコアだったのも、これが原因です。

マルチコア性能はCore i5-12400クラスで十分だから、少し性能が底上げされた内蔵グラフィックスやシングルコア性能が欲しい、という方に合っている製品と言えるでしょう。また、PBPを上げれば全コアに負荷が掛かる時でも4.4GHzまでブーストが効くのも利点です。

余談

実は最初、筆者は定番のCore i5-12400を買おうと考えていたのですが、直前になって高いシングルコア性能が欲しくなり、Core i7-12700と迷っていました。

しかし、Core i7は5万円弱(検討していた当時の価格で、現在はもう少し高くなっています)する上に、PBP:65Wではあまり性能を活かすことができません。DeskMeet B660と言った小型ベアボーンでは消費電力の設定は低めにせざるを得ないため、Core i7を買っても性能を持て余してしまうと判断しました。

そこで、ほとんど最大ブーストクロックが変わらない割にはずっと安い12600に注目し、購入することにしました(ちなみに12600Kは組み合わせるベアボーンが正式対応していないので除外していました)。当時約3万3000円であり、購入のハードルは比較的低かったように感じます。

Alder LakeなのにEコアが無いのはちょっと寂しいとは思いましたが、高度な動画編集をしたり、大規模なソフトウェアを開発するようなプロではない筆者にとってはそこまで高いマルチコア性能は必要ではありません。

コストパフォーマンスに優れた選択ではないとは思いますが、シングルコア性能がしっかりと高く、PCMark10のスコアも期待以上だったので個人的には満足しています。

3.Core i5-12600の総評

Raptor LakeやZen 4など、華やかなCPUがデビューする中ですが、ほどよいマルチコア性能と、まだまだ高速な部類と言えるシングルコア性能を持ち、そして騒音が大きいとはいえ普通に使う分には問題ないリテールクーラーの付属するCore i5-12600はバランスの良いCPUだと思います。価格も税込3万4790円程度(2022年10月現在、TSUKUMO)と比較的手頃で、予算を抑えつつもシングルコア性能を求める方には最適なCPUです。この価格で1900pts近いスコアを出せるのは驚異的です。

小型ベアボーンとも相性が良く、内蔵グラフィックスも32EUで12400よりも多めになっているので、外部GPUを搭載できない超小型ベアボーンに組み込むCPUとしても優れた製品だと思います。

このように良い製品ではあるのですが、Core i5-12400、12600K、Core i7-12700と言った他の型番の方がインパクトが強く、目立つのは仕方がないように思います。12400を少し強化したCPUが欲しいと言う需要も、最大4.6GHzの上にiGPUが強化されたCore i5-12500が満たしているため、どうしてもマイナーな存在になってしまいます。K付きのようにEコアが付いていれば全く違った評価になっていたと思いますが……しかし前述の通り、無印にもかかわらずシングルコア性能はCore i7に近いため、個人的には結構お勧めできるCPUだと感じます。

4.終わりに

自作PCやベアボーンキットは色々好きなパーツを選んで、自分の用途に合った性能にチューニングできるのが最大のメリットです。コストパフォーマンスを考えた場合は定番のパーツを選ぶのが無難ですが、敢えて主流とは違うパーツを選ぶのもいかがでしょうか。上手に組み合わせれば結構節約できるかもしれません。

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