こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。2016年夏版のWindowsタブレット機種比較特集です。今回から10インチについて比較してみたいと思います。でも、10インチ未満の製品と比較して10インチサイズというのは非常に製品が多く、とても一度の記事では集約しきれません。また、読者の方々がこの特集記事を購入検討に使われるとした場合でも、予算とか使い方とかはそれぞれ異なると思うので、低価格なタブレットと高価格の2 in 1を一つの記事に集めてもあまり意味がないかな、と思います。
そこで、「スペックはそんなでもないけど、低価格で使いやすいもの」をピックアップしました。具体的には「せいぜい5万円まで。気軽に使えるタブレットが欲しいので、キーボードが付属するかどうかにはこだわらない。でもせっかくこれから買うんだからCPUはCherryTrailで」ということにしてます。特に「せいぜい5万円まで」というところを重視しました。
目次
1.ASUS TransBook T100HA
実売価格: 37,480円(税込み、Amazon)~
OS: Windows 10 Home 64ビット
CPU: Intel Atom X5-Z8500
RAM: 2GB / 4GB
ストレージ: 64GB
ディスプレイ: 10.1インチIPS(1,280 x 800)
ネットワーク: 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0
カメラ: イン192万画素 / アウト500万画素
入出力: USB 3.1 Type-C、microUSB、microHDMI、ヘッドフォンジャック、microSD
※キーボード側にUSB 2.0
バッテリー: 11時間
サイズ:
(タブレット)265 x 175 x 8.45 mm / 580 g
(キーボード込み)265 x 175 x 19.45 mm / 1.08 kg
紹介記事:ASUS TransBook T100HA - Atom搭載 2 in 1の「絶対王者」CherryTrailを搭載する!
安値サイト(Amazon):ASUS TransBook T100HA
ASUSのTransBookシリーズは比較的低価格な2 in 1として非常に多彩なバリエーションがある人気製品です。なので、今回の特集記事でも何度か登場することになりますが、まずは一番プレーンなものから。
このクラスのWindows タブレットの場合、CPUはAtom Z8300(CherryTrail)、RAMは2GB、ストレージは32GBというのが多いのですが、TransBook T100HAはCPUがAtomでもワンランク上のZ8500、RAMは2GB(限定で4GBモデルもあります)ですがストレージは64GBあります。このスペックだけでも魅力的なのですが、「ヒンジ付きのキーボード」が付属します。TransBookシリーズの筐体は低価格帯の2 in 1としては非常にデキがよく、キーボードを接続すればほぼ完全なノートPCとして使用することができます。これだけの内容で実売価格が4万円を切っている、というのはすごいことですね。
2.マウス MT-WN1001
実売価格: 31,597円(税込み、Amazon)~
OS: Windows 10 Home 32ビット
CPU: Intel Atom X5-Z8300
RAM: 2GB
ストレージ: 64GB
ディスプレイ: 10.1インチIPS(1,280 x 800)
ネットワーク: 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0
カメラ: イン192万画素 / アウト192万画素
入出力: USB 3.0、microUSB、miniHDMI、ヘッドフォンジャック、microSD
バッテリー: 6.7時間
サイズ:
(タブレット)259.5 x 174 x 10 mm / 598 g
(キーボード込み)サイズ非公開 / 928 g
紹介記事:マウスコンピューター MT-WN1001 - 10.1インチ2 in 1もCherryTrail化してリニューアル!
製品ページ(Amazon):マウス MT-WN1001
※Amazonでの価格31,597円は6月18日現在のクーポン割引適用後のものです
マウスコンピューターは日本メーカーとしていち早くWindows タブレットにCherryTrailを搭載し、8インチ、8.9インチ、そして10.1インチと各サイズを取り揃えている、タブレットファンにはとてもありがたい会社です。
MT-WN1001はこのクラスのWindowsタブレットとしては標準的なスペックで、CPUにAtom Z8300(CherryTrail)を搭載し、OSは32ビット、RAM2GB、ストレージ64GBという構成で、カタログスペックという点では上に紹介したTransBookのほうが上、ということになります。
また、キーボードも付属しますが、ヒンジ付きではなく、タブレットカバーを兼ねるタイプで、カバー部分を台座にして、そこにタブレット本体を立てかけて使用するタイプです。このタイプは実用性という点ではヒンジ付きのものよりも劣りますが、その分軽量化することができ、実際MT-WN1001はキーボード込みの重量が928 gと、1 kgを切っています。
3.acer Aspire Switch 10 E
実売価格: 35,359円(税込み、Amazon)
OS: Windows 10 Home 64ビット
CPU: Intel Atom X5-Z8300
RAM: 2GB
ストレージ: 64GB + HDD500GB(キーボード側)
ディスプレイ: 10.1インチIPS(1,280 x 800)
ネットワーク: 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0
カメラ: イン200万画素 / アウト200万画素
入出力: microUSB、microHDMI、ヘッドフォンジャック、microSD
※キーボード側にUSB 3.0
バッテリー: 12時間
サイズ:
(タブレット)262 x 180 x 10.95 mm / 630 g
(キーボード込み)262 x 180 x 25.75 mm / 1,28 kg
紹介記事:acer Aspire Switch 10 E - 10インチ 2 in 1の本命機、CherryTrailと新色をまとう!
製品ページ(Amazon):Acer Aspire Switch 10 E
※Amazonでの価格35,359円は6月18日現在のクーポン割引適用後のものです
私はAspire Switch 10 Eの旧モデルを持っています。非常に気に入っていますが、最近は娘に奪われてしまい、あまり使わせてもらえません。すいません、ちょっと脱線しましたが、この製品の筐体は非常に素晴らしい、というのが個人的な感想です。
Aspire Switch 10 Eは低価格なヒンジ付き2 in 1として、ASUS TransBookシリーズのライバルといっていい存在ですが、私から見て日本国内の販売という点ではASUSのほうが巧みで、販売実績としては差をつけられているんだろうと思います。TransBookとの比較でいうと、Aspire SwitchはCPUがAtom Z8300とワンランク低く、RAMも2GB固定、そしてWi-Fiが2GHz帯しか対応しない、というところが弱いのですが、キーボードドック側に500GBのハードディスクを内蔵している、というのが魅力です。この点だけでAspire Switchの勝ち!と考える人もいるでしょうね。
4.ドスパラ Diginnos DG-D10IW3
実売価格: 31,104円(税込み)
OS: Windows 10 Home 32ビット
CPU: Intel Atom X5-Z8300
RAM: 2GB
ストレージ: 32GB
ディスプレイ: 10.1インチ(1,920 x 1,200)
ネットワーク: 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0
カメラ: イン200万画素 / アウト500万画素
入出力: USB 3.0、microUSB、miniHDMI、microSD、オーディオ
バッテリー: 7.5時間
サイズ: 260 x 168 x 9.6mm / 590 g(キーボード込み935 g)
紹介記事:ドスパラ Diginnos DG-D10IW3 - キープコンセプトの正常進化、安心のドスパラクオリティ(実機レビュー)
製品ページ(ドスパラ):Diginnos DG-D10IW3
ドスパラもマウスと同様、小型のWindows タブレットの製品を積極的にリリースしてくれる、ありがたい会社です。しかしねえ、もともとゲーミングPCが得意なBTOメーカー2社が小型タブレットに積極的、というのも面白い話ですよね。ただ、適切にパーツを組み上げて信頼性の高いゲーミングPCを作っている会社ですから、小型タブレットに関しても高い信頼性はあります。
さて、Diginnos DG-D10IW3はOS、CPU、RAM、ストレージ構成についてはやや低めのスペックとなりますが、ディスプレイは1,920 × 1,200と最も高精細ですし、タブレット本体側にフルサイズのUSB 3.0ポートを備え、Wi-Fiもac規格に対応するなど、決して低スペックなものではなく、むしろキーボード接続をしない利用シーンでは最も優れている、といえるかもしれません。
また、この製品はこれまで紹介してきたものと異なり、キーボードは付属せず、別売りとなります。しかし、キーボードをセットしても価格は35,425円なので、比較機種中決して高額ということにはなりません。
5.ONKYO TW2A-73Z9
実売価格: 37,800円
OS: Windows 10 Home 32ビット
CPU: Intel Atom X5-Z8300
RAM: 2GB
ストレージ: 64GB
ディスプレイ: 10.1インチ(1,280 x 800)
ネットワーク: 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0
カメラ: イン200万画素 / アウト500万画素
入出力: USB 3.0、USB 2.0、microUSB、microHDMI、microSD、オーディオ
バッテリー: 9.5時間
サイズ: 254 x 165 x 10.5mm / 640 g
紹介記事:ONKYO TW2A-73Z9 - CPUだけでなく、基本機能にもこだわった10.1インチWindows タブレット
製品ページ(ONKYO):ONKYO TW2A-73Z9
ONKYOというのはオーディオ機器メーカーなのでは?とオールドファンは考えてしまいますが、この製品はそのONKYOブランドです。Windows タブレットとしてはやや影が薄いのですが、ちゃんと最新モデルになっています。ドスパラのDiginnos DG-D10IW3と同様に、標準ではキーボードが付属しません。CPUはCherryTrailのAtom Z8300、RAMは2GB、ストレージが64GBと、特に目立つ感じはしませんが、Wi-Fiは5GHz帯、それもac規格に対応しますし、タブレット本体にフルサイズのUSBポートが2つ、というのは大きな特徴です。
また、この製品はキーボードやケースなどのオプション類が充実していて、ニーズに合わせていろいろなものを追加できる、というのも魅力ですね。
6.geanee WDP-104-2G32G-CT-LTE
実売価格: 45,576円(税込み)
OS: Windows 10 Home 32ビット
CPU: Intel Atom X5-Z8300
RAM: 2GB
ストレージ: 32GB
ディスプレイ: 10.1インチ(1,280 x 800)
ネットワーク: 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0、LTE(SIMフリー)
カメラ: イン200万画素 / アウト500万画素
入出力: USB 3.0 Type-C、microUSB、microHDMI、microSD、microSIM、オーディオ
※キーボード側にUSB
バッテリー: 5時間
サイズ:
(タブレット)268.5 x 183.3 x 8.9 mm / 678 g
(キーボード込み)268.5 x 183.3 x 19.4 mm / 1,298.5 g
紹介記事:geanee WDP-104-2G32G-CT-LTE - CherryTrail、キーボード付属、そしてLTE対応の10.1インチ Windows タブレット
製品ページ(NTT-X):geanee WDP-104-2G32G-CT-LTE
geanee WDP-104は今回の対象機種中で唯一LTE対応のSIMフリー機となっています。それ以外のスペックは標準的なものですが、価格がやや割高に見えるのはそのためです。しかし、ヒンジ付きのキーボードが付属しますし、構成内容を考えれば決して割高ではありません。MVNOのデータ専用SIMが非常に低価格になっている昨今、単体でデータ通信ができるタブレット(2 in 1)というのは大きな存在感がありますね。
7.キーボードを重視するなら
今回の対象機種中、キーボードが付属するのはASUS、acer、マウス、geaneeの4機種、別売りながらキーボードが用意されているのがドスパラとONKYOの2機種で、すべての機種でキーボードが使えます。「キーボードはいらないから」という人はドスパラかONKYOになるんでしょうけど、ウインタブとしてはせっかく「パソコンの一種であるWindows タブレット」を購入するのなら、ましてやディスプレイサイズが10インチなのであれば、使用頻度にかかわらずキーボードは用意すべき、という考え方なので、できればキーボードセットで購入したほうがいいと思っています。
では、独断ですが、キーボードをセットした際の使い勝手がいい順に並べてみます。
1位 acer Aspire Switch 10 E
2位 ASUS TransBook T100HA
3位 geanee WDP-104
4位 マウス MT-WN1001、ドスパラ Diginnos DG-D10IW3
製品評価というのは各人それぞれの基準があるので、絶対的な正解というのはないんですが、あくまでも私の経験に基づく評価を書きました。まず、2 in 1としてキーボード接続を念頭に入れるのなら、キーボードはヒンジ付きのほうがはるかに使いやすくなります。ヒンジのないマウスやドスパラの製品も、デスクやテーブルなど安定した場所で使うぶんには快適ですが、構造上奥行きが必要なので新幹線のテーブルとかファーストフード店の狭いテーブルだと使えない場合がありますし、安定性も低いので膝の上などでは使いにくくなります。
ヒンジ付きの製品の中でAspire Switch 10 Eを1位としたのは私の実体験によります。Aspire Switchのマグネット式ヒンジは非常に強固かつ着脱がスムーズで、筐体にお金をかけていることがよくわかります。この筐体は上位クラスの製品のようにマグネシウム製とかではないですが、実用性ということなら上位クラスの製品に一歩も引けを取りません。またTransBookは2位としていますが、これも決して悪いわけではなく、この筐体が長年にわたって多くのユーザーに愛されていることを思えば、実用性にはなんの不満も出ないと考えていいでしょう。
あと、geaneeを3位としたのは、申し訳ないですが実機を試用したことがなく、順位のつけようもない、ということです。ただし、ヒンジ付きなので少なくとも3位にはできるよね、という意味で書いていますので、どうかご了承ください。
8.システム性能なら
パソコンとしての基本構成、OSのビット数、CPU型番、RAM、ストレージを比較してみます。
ASUS TransBook T100HA: 64ビット、Atom Z8500、2GB(4GB)、64GB
マウス MT-WN1001: 32ビット、Atom Z8300、2GB、64GB
acer Aspire Switch 10 E: 64ビット、Atom Z8300、2GB、64GB+500GB
ドスパラ Diginnos DG-D10IW3: 32ビット、Atom Z8300、2GB、32GB
ONKYO TW2A-73Z9:32ビット、Atom Z8300、2GB、64GB
geanee WDP-104: 32ビット、Atom Z8300、2GB、32GB
ここまでを見ると、ASUS TransBookのRAM4GB版が最も高性能、ということになります。ついで64ビットOSを搭載し、キーボード側に500GBのHDDを搭載するacer Aspire Switchですね。あとは32ビット機で、ストレージに余裕のあるマウス MT-WN1001とONKYO TW2Aが続きます。まあ、ここまでで決めるとしたらASUSでしょうね。
個人的にはCherryTrailといえどもAtomというCPUでできることには限りがあり、例えばインストール型のオンラインゲームなんかはAtomのどの型番であっても厳しいし、それ以外でも重量級の作業(高度な画像加工や動画のエンコーディングなど)に直面してしまったら、もはやAtomでは対処が難しい、というのがありますので、Z8300とZ8500の違いとか、32ビットと64ビットの違いとかは、ベンチマークテストでは差がでても実用上はそれほど大きな体感差にはならない、と考えます。
つまり、気になるならASUSですが、あまり強くカタログスペックにこだわる必要はない、と思います。
9.付加機能なら
ここでは上に書いたことと重複してしまう部分がありますが、各機種の特色を簡単に書いてみます。
・ASUS TransBook T100HA:ヒンジ付きキーボード、カタログスペックが最良
・マウス MT-WN1001:軽量キーボード付属
・acer Aspire Switch 10 E:ヒンジ付きキーボード、HDD500GB搭載
・ドスパラ Diginnos DG-D10IW3:高精細ディスプレイ、802.11ac対応、本体にフルサイズUSB3.0、キーボード別売り
・ONKYO TW2A:802.11ac対応、本体にフルサイズUSB2つ、キーボード別売り
・geanee WDP-104:ヒンジ付きキーボード、802.11ac対応、LTE対応
こんな感じでしょうか。キーボードについては上に書いてしまったのでいいとして、ここではまずLTE対応のgeaneeを挙げたいと思います。というか、SIMフリー機を探しているなら他に選択肢はありません。geaneeで決定です。逆にLTEの必要性を感じない人にはgeaneeは割高に映りますね。
個人的にはタブレット単体での利用ならドスパラが最もいいと思います。ディスプレイとフルサイズUSB 3.0を本体側に備えている、というのが理由です。でも、これらキーボード以外の特徴と、キーボードの出来のよさのどちらを優先するか、といえば・・・
10.まとめ
最終的に1台選ぶ、というのは今回はやりません。難しすぎます。ただ、この記事を書いていて感じたのは、どの製品も非常に割安感が大きい、ということです。Atom機ゆえに高負荷の作業には向きませんが、テキスト入力とか表計算、あるいはパワーポイントでの資料作成といった事務系のビジネス用途なら十分ですし、タブレットとしてストアアプリとか動画視聴をするににも支障はありません。それでいて3万円台から購入できてしまう、というのはすごいことだと思います。あとは、どんなふうにしてタブレット(2 in 1)を使っていきたいのか、ということを自分で決めるだけっすね!
11.関連リンク
Windows タブレット、2 in 1機種比較 - 8インチ未満は激安だけど選択肢は少ない(2016年夏版)
Windows タブレット、2 in 1機種比較 - かつての主役、8インチはニューモデルが少ない(2016年夏版)
Windows タブレット、2 in 1機種比較 - 意外に使いやすい8.9インチ、なにげにおすすめ!(2016年夏版)
コメント
acerは確かに良いけどいつも他社より2割ぐらい重いのが気になる。
こんにちは、コメントありがとうございます。同感ですw
10インチ2in1の利点としてUSB給電しかできないときでも給電できる(たいていは電力不足で電源OFFで充電、電源ON時は節約)というのがあるんですよね。とくに空港や飛行機内では助かります
こんにちは、コメントありがとうございます。DC-INを使うかUSBポートを使うかという件は意見が分かれてまして、DC-IN派は充電しながらUSBポートが使える、という考え、USB派は余計なケーブルを持ち歩かなくて済む、という考えなんですよね。私はDC-IN派かな。