こんにちは、natsukiです。Aliexpressで販売中の、トンデモPCをご紹介します。見た瞬間に分かる人は分かると思いますが、大前提として「購入は絶対に勧められない」製品です。しかし、そのままスルーするには、あまりにも面白すぎる。実際にこういうのを作ってしまうところが、まず興味深い。世界にはこういう製品もあるんだなぁという、ネタとしてご覧いただければと思います。
1.注意事項
強調しておきますが「買ってはいけません」。下記のように、ブランドとしては大真面目に売っているらしいのですが、しかし、製品としてきちんと仕上がっているかは別問題。配送品質から、ビルドクォリティ、システム、OSのライセンスなどなど、あらゆる面であまりにも危険な香りのする製品です。
ブランドの「Crelander」は、一応、公式サイトやYOUTUBEチャンネルが存在します。バイク用品からパソコンまで、(正直なところゲテモノ系の)電子ガジェットを幅広く扱うブランドで、液晶ディスプレイ表示付きのバイク用バックパックなんかは、日本のAmazonでも販売しています。ちなみに、今回紹介する「Crelander YG14D」は、公式サイトにはまだ製品ページが無いものの、公式YOUTUBEチャンネルには紹介動画があります。
CRELANDER:ブランド公式サイト
とはいえ、明らかに自社開発しているわけではなく、OEM製品がほとんどのようです。つまり、とりあえず「最低限の体裁は整った」ブランドではありますが、製品の出所は、率直に言ってはなはだ怪しい、といったところです。
え?何か聞いたことある? はい、実は過去にも、やはり同様なトンデモPCを紹介したことがあります。品質はさておき、ネタ的な意味では面白すぎるブランドです。興味のある方はご覧ください。
Crelander Laptop - 何もかも奇妙でツッコミが追いつかない!デュアルスクリーン搭載ノートパソコン:ウインタブ
2.スペックとシステム構成
Crelander YG14D |
|
OS |
Windows 11 Pro(Windows 10も可能) |
CPU |
Intel N95 |
外部GPU |
なし |
RAM |
16GB/32GB |
ストレージ |
128GB/256GB/512GB/1TB SSD |
光学ドライブ |
なし |
ディスプレイ |
14インチ:2,240×1,440ピクセル 60Hz×2 10.5インチ:1,920×1,280ピクセル 60Hz×2 |
ネットワーク |
Wi-Fi、Bluetooth |
入出力 |
USB 3.0×2、Type-C(詳細不明) miniHDMI、microSDカードリーダー 3.5mmオーディオジャック、DC-IN |
カメラ |
Webカメラ(200万画素) |
バッテリー |
7.4V/5000mAh |
サイズ |
14インチ:315.5 × 211.5 × 16.8 mm 10.5インチ:不明 |
重量 |
14インチ:1.5~1.8Kg? 10.5インチ:不明 |
スペックはご覧の通り。最大の特徴は、全面デュアルスクリーン。言うまでもなく、「ASUS Zenbook Duo (2024) UX8406」「Lenovo Yoga Book 9i」などのデザインをコピーしたものでしょうね。そういう、国際的有名メーカーのフラグシップ製品をマネして、安価で作ってしまうところが、面白くもあり恐ろしくもあるところです。また独特なのは、14インチサイズと10.5インチサイズの、2つのラインナップを揃えていること。特に10.5インチサイズは、国際大手メーカーでは、現行製品に似たものがありません(かつて、片面をE-Ink電子ペーパーにした、10.8インチの「Lenovo Yoga Book C930」なんてのがありましたね)
なお、まっとうな製品の紹介は、以下の記事などをどうぞ。
ASUS Zenbook Duo (2024) UX8406 - ASUSの「2画面ノートPC」が大きく変わりました!Core Ultra搭載、「割と普通っぽく」も使えます:ウインタブ
Lenovo Yoga Book 9i - 久しぶりに登場したYoga Bookはデュアルスクリーン搭載モバイルノートに!第13世代Core i7搭載で性能も妥協していません:ウインタブ
CPUは、Intel N95と、エントリークラスです。このため、価格はセール時で5万円台~6万円台と、全面デュアルスクリーンという構成ながら非常に安く抑えられており、この低価格も「本当に大丈夫か?」という不安をあおります(笑)。Intel N95なら、エントリークラスとはいえ、通常のノートパソコンであれば、WEBブラウジングやオフィスソフト、イラストソフトも線画主体であれば十分に扱えるくらいの力はあるはずですが、はたして全面デュアルスクリーンを制御しきれるだけのパワーがあるかは知りません。メモリはスペック表では8GBからで、実売は16GBと32GBの2種類。オイオイオイオイ、チョット待て、Intel N95は対応メモリが最大で16GBまでのはずなんだが……。まあ、例えばこういうところにも、ヤバげな香りはするわけです。ストレージは、スペック上は64GB~2TB、実売は128GB~1TBのワイドバリエーション。ちなみに、OSはWindows 11 Pro(ホントか?)で、注文時に指定すればWindows 10にもしてくれるそうです。
3.筐体など
筐体については、実機が稼働している動画が、CrelanderのYOUTUBEチャンネルに上がっているので、ご覧ください。
とりあえず、電源が付いて動きはするらしいですよ(笑)。こういうマイナーブランドの製品は、製品画像と実機が色々違うことも往々にしてあるので、こうしてしっかり実機の動画をアップしているのは良心的と言えるでしょう。
ご覧のように、全面2画面を実現。360度フリップする構造です。
キーボードは、外付けの他、スクリーンの片方を使う場合は、3つのモードが用意されているようです。
もちろんこんな使い方も……。背面側にスタンドなどのギミックがあるわけではないので、どうやって固定するんだとか突っ込んではいけません。
スクリーン片面は無駄になりますが、当然タブレットモードも可能。
それからいわゆるテントモード。私は、コンバーチブル型PCの場合、周辺機器が柔軟に使えるので、テントモードを最も多用しているのはたびたび述べているとおりです。まあ、この製品ではスクリーンの片方が無駄になりますが。
ポート構成です。USBが全部で4つと、それなりに充実しています。もっとも、2つあるUSB Type-Cの機能は開示されていません。最低限のUSB 3.0準拠と思っておいて、映像出力やPD給電対応は期待しない方がいいでしょう。また、動画からするとこの画像は14インチ版のようで、10.5インチ版も同様かは分かりません。
ギャハハと笑って済ませるところ、……ではあるものの、まっとうな国際大手メーカーの製品がある14インチ版はともかく、現行製品で他に似た構成の製品がない10.5インチ版は、モバイルな用途を考えるとそれほど処理能力は要求しないだろうし、それで5~6万円の価格であればと、恐ろしいことにかなり魅力的に思えてしまいます。
4.販路と価格
販売は、Alexpress内の「Crelander Store」で販売中。年始セール価格で、選択する構成によって幅があるものの、14インチ版、10.5インチ版いずれも、5万円台から6万円台です。率直に言って、「安すぎて怖い」でしょう。
なお、この製品は明らかにOEMで、Crelanderブランド以外でも、同等品が多数の出品者から販売されています。また、別シリーズと思われる、13.3インチでCPUにN100を採用した製品も、複数の出品者から出品されています。いずれもこの年末年始に出現したようで、なんだか、一定のノウハウがあるのか、「全面デュアルスクリーンを作ってみよう」という流行が訪れているようですね。
見てきたように、いちおう、作っている側は本気のようです。ただし、繰り返しになりますが、品質面は未知数、というより危険です。ビルドクォリティはもちろん、システム的にデュアルスクリーンを制御しきれているのか、メモリ32GBは挿しているだけで動かないんじゃないか、OSのライセンスは大丈夫かなどなど、その他何が起こってもおかしくありません。当然ながら、実際の購入はとても勧められたものではありません。こういうなんでも作ってやろうという気概はたいしたもので、また、この命知らずなチャレンジ精神こそが中華のモノ造りの裾野を支えているんでしょう。そういう意味で、非常に面白く興味深い製品です。
5.関連リンク
Crellander-デュアルフェイスラップトップ:Aliexpress「Crelander Store」
Crelander-デュアルタッチスクリーンを備えたラップトップ:Aliexpress「Crelander Store」
Aliexpressではよくあることですが、なぜか、同じ出品者なのに2つの商品ページがあります。割引の適用などに違いがあるようです。
購入は勧められないが、Aliexpressで手に入る色々と面白すぎるPCの紹介記事
Crelander Laptop - 何もかも奇妙でツッコミが追いつかない!デュアルスクリーン搭載ノートパソコン:ウインタブ
チャレンジ精神があふれすぎる!?Aliexpressで販売されている、超!変わり種ノートパソコンたち(購入はおすすめしません):ウインタブ
コメント
記事を面白くするためにDisは必要かもしれませんが、実機レビューしてからDisにしませんか?
万人にすすめられなくとも思ってる以上に出来がよい可能性はないですか?
商品紹介としてのエビデンスが足りないバイアスが効きすぎた記事かと感じます。
N95搭載ミニPCが2万円台、$150〜200程度なので、それをバラしてディスプレイ2枚付けたと考えれば、OS費用込みでもアリエクで5〜6万日本円は比較的妥当だと思います。
この記事、不快。
公称は別として、N95は32ギガも認識できるんですよね。
怪しいとはいえ証拠もなくこんなペラペラとよく批判できますね
前はこんな商品も「楽しい」と評していたのに