こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回はドスパラの15.6インチゲーミングノート「GALLERIA GKF1050TGF」の実機レビューです。すでにご存知の人がほとんどかもしれませんが、ドスパラは自社のゲーミングPCに「GALLERIA」という製品ブランドを使っています。ドスパラはスティックPCや小型タブレット、モバイルノートにビジネス向きのスタンダードノートなど、モバイルPC・ノートPCのジャンルでフルラインと言える品揃えがありますが、ドスパラのコア・コンピタンスはやはりゲーミングPCだと思います。GALLERIAはドスパラの主力ブランドと言っていいでしょう。
この画像は2017年11月2日現在のGALLERIAノートPCのラインナップです。ゲーミングノートのスペックを把握する際、最も重要なのは「CPUとGPUの組み合わせ」です。GALLERIA(ノートPC)のCPUはすべてCore i7、GPUはNVIDIA GeForce GTXシリーズとなります。この組み合わせはゲーミングノートのメインストリームと言えるもので、GALLERIAの場合、エントリークラスの1品番を除いてCPUは第7世代のCore i7-7700HQ(一般にノートPC用に使用されるCore i7-7500Uとは段違いに高性能です)で統一されているため、GPUの型番で性能ランクが決まることになります。あとはディスプレイサイズですね。GALLERIAノートの主力は17.3インチの大型画面のものにシフトしつつあります。
今回レビューするGKF1050TGFは、GALLERIAノートの中で2番めに安価な製品です。しかし、ゲーミングノートとして十分な性能を持っており、売れ筋モデルでもあります。ゲーミングノートはスタンダードノートよりも価格が高いですが、スタンダードノート(GPU非搭載機)とは比較にならないくらいパワフルで、ゲーミングノートのことをよく知らない人にとっては「異次元」の製品と言えます。
さて、GALLERIAの中では比較的購入しやすいGKF1050TGF、実力はいかほど?
1.スペック
最初にスペックを確認します。ドスパラはBTO(Build to Order)メーカーなので、構成のカスタマイズ余地が大きいです。ただし、上に掲載した表の通り、型番によってCPUとGPUは固定されます。この製品のCPUはCore i7-7700HQ、GPUはGrForce GTX1050Tiとなります。この組み合わせはゲーミングノートとしては中位クラスで、おそらく最も人気のあるものです。
RAMとストレージはかなりの自由度でカスタマイズが可能です。この製品の場合、RAMは標準で8GBですが、カスタマイズにより最大32GBまでの増設注文が可能、ストレージは最低構成だと500GB HDDとなりますが、カスタマイズによりSSDに換装可能ですし、SSD + SSD、SSD + HDDといったデュアル構成(物理ストレージを2基搭載)にすることも可能です。ゲーミング用途であればストレージは非常に重要で、HDDのみの構成にはせず、SSDを搭載するほうがCPUやGPU本来の実力を発揮できると思います。また、ドスパラではSSDを搭載する場合、HDDとのデュアル構成で注文してもOSはSSD側にインストールしてくれます。
ディスプレイは15.6インチ、FHD解像度です。後述しますがおそらくIPSではありません。入出力ポートはかなり充実しており、USBは合計で4つ(うち1つは3.1 Type-C)、HDMIとMiniDisplayPortの2系統の映像出力ポート、有線LANを備えます。
また、サイズは大きめです。ゲーミングノートということで筐体が頑丈に作られてまして、仕方ないといえます。しかし厚さ28.8 mmというのは一般的なスタンダードノートよりは厚いですが、GALLERIAとしてはスリムなほうです。もともと携帯性がさほど重視されない製品ジャンルではありますが、例えば厚さが35 mmということになると(設置するテーブルやデスクとキーボード面の段差が大きくなるので)外付けのパームレストが欲しくなってしまいます。その点この製品は30 mmを切っていますし、普通に使えるサイズ感ではあります。
レビュー機のシステム構成とストレージ構成です。基本的にスペック表に記載したのと変わりません。このスペックのモデルは税込みで143,618円(10月30日現在)となります。
2.筐体
同梱物です。本体のほか、ACアダプター、「はじめにお読み下さい」というガイド本(ドスパラのPCにはほぼすべてついてきます)、各部名称が書かれた一枚もの、ドライバーなどが入っているユーティリティデイスク、Power DVDのメディアが入っていました。
ACアダプターはかなり大型で、電源ケーブル込みの重量は実測値で629 gありました。この製品を持ち歩く場合、本体の他に600 g強がついてまわる、ということになります。
筐体はオールメタルではありませんが、おそらく天板とキーボード面は金属製だと思います。
天板とキーボード面は黒無地ですが、ヘアライン加工(細かい横縞)が施されています。なお、この画像が茶色っぽく見えるのは電球色の蛍光灯の光のもとで撮影したためで、実際の筐体色は「真っ黒」です。
前面(開口部)です。この面にはポート類はありません。筐体の左右にオレンジのラインが見えますが、これはデザインアクセントでイルミネーション機能などはありません。つまり発光しません。このオレンジ色のラインの下側にスピーカーがついています。また中央部にはLEDステータスインジケーターがあります。
左側面です。画像左からセキュリティロックスロット、有線LAN(RJ45)、USB 3.0、HDMI、MiniDisplayPort、USB 3.0、USB 3.1 Type-C、マイクジャック、ヘッドフォンジャックです。「微妙に飛び飛び」な感じですね。ただし、使い勝手には全然影響はありません。
背面です。こちらにはポート類はなく、左右に通気口があるのみです。また、オレンジ色のラインはデザインアクセントで、特に機能はないです。
右側面です。この製品には光学ドライブがついていますね。ポート類は画像左からUSB 2.0、SDカードスロット、DC-INとなります。
底面です。この製品にはGALLERIAの上位機種についているサブウーファーはありませんね。底面はプラスティック素材で通気口があるのみです。
キーボードです。カラフルにバックライトが点灯しますが、この画像ではバックライトを切っています。キーボード面の素材はメタルで、表面にはヘアライン加工が施されています。キーピッチは十分な余裕があり、キーストロークはやや深めと感じました。いかつい外観ですが打鍵音は非常に静かです。
また、キーボードの右上にボタンが3つあります。このうち、一番右にあるのは電源ボタンですが、それ以外の2つが面白いです。真ん中のボタンは「P1」と書いていて、ユーザーが任意のアプリの起動を割り当てることができます。また、一番左のボタンがドスパラの誇る「クーラーブースト」ボタンです。このボタンを押すと瞬時に冷却ファンの風量を最大にすることができます。ファンはシステムが自動的に風量を調整してくれるので、通常このボタンのお世話になる機会はまずありませんが、ゲーミング時の「ここ一番」という時に使います。
キートップはフラットで、特に加工はありません。当然「強打仕様」になっていて、非常に頑丈です。
ヒンジを開口してみます。特に造形に凝ったデザインではありませんが、15.6インチとしてはやや大きめの筐体です。また、ブラックにカラフルなキーボードイルミネーションが映えます(もちろんおとなしい色にしたり、消灯したりもできます)。
正面から見たところです。ベゼル幅はそこそこあります。スリムとか軽量とか、そういう価値観の製品ではないので、これは仕方ないでしょう。なお、この画像ではウェブカメラの保護シートがついたままになっています。
ヒンジを最大開口したところです。水平位置(180度)にはなりませんが、開口角度は十分な大きさが確保されており、実用上何の問題もないと思います。
3.使用感
ディスプレイ
当然IPSだと思ってまして、スルーしそうになりましたけど、どうやらTNですw 実際、IPSかTNかを見分ける有効な方法って、「斜めとか上から(角度をつけて)見る」というのが一番わかりやすいと思うんですが、視野角は狭いです。ここのところ「IPSかTNか」ということについて悩んでしまう製品がいくつかあり、念のためにじっくり確認してみました。
確かドスパラの製品はほとんどIPS相当のような気がするんですけど、そうじゃないんですね。一般にTN液晶というのは反応速度が速いと言われ、ゲーム用のディスプレイに採用されることも多いですし、あえてTN液晶を選ぶ人もいるので、この製品の液晶がTNであるということは必ずしも悪いとは言えません。
しかし、ウインタブの場合、ゲーミングPCを純ゲーム用ととらえるのではなく、ノートPCの一形態としてとらえているため、タブレットなどでIPS液晶に慣れている読者のほうが多いと思いますから、その点ではTN液晶というのはイマイチな感があります。
ただ、視野角が狭いということを除けば画質が悪いということはありません。発色も自然な感じですし、おかしなギラツキも感じませんでした。
スピーカー
この製品のスピーカーは筐体前面にあります。上位機種に装備されているサブウーファーはありません。音質はなかなかのものだと思います。筐体が大ぶりなこともあり、割と自然な音質になります。
また、「Sound Blaster Cinema 3」というソフトウェアがプリインストールされており、低音の強化や音量の補正などの機能があります。このソフトウェアを使うと音質をある程度調整することができ、より好みに近い音を楽しむことができます。ただ、音響専門機器ではないので、よりよい音質を期待する人は外付けのスピーカーを使うほうがいいと思います。ちなみに私はこの製品の試用中、ずっと音楽を流しながら作業していましたw
キーボード
GALLERIAなので、強打仕様です。また、強打仕様のキーボード全般に言えることですが、立て付けがいい、というんでしょうか、打鍵音がかなり小さいです。図書館(自宅の近所にパソコン持ち込み可の図書館があります)で使っても周囲の迷惑にならないでしょう。
キーの配置も特に大きなクセはないですが、Windowsキーが右側にあります。これはGELLERIAなんで仕方ないです。というか、GALLERIAはWindowsキーが右にあるからGALLERIAです(本当はゲーム中に誤って押してしまわないように右側についています)。ウインタブ的にはこれは「クセ」とは言いません。
試用中に少し戸惑うのは、DELETEキーの位置くらいです。テンキーの真上にあり、Backspaceキーとかなり離れたところにあります。なので、DELETEキーを多用する人は少し慣れが必要かもしれません。あと、右側のShiftキーも小さめです。
キーボード関連のソフトウェアは2つプリインストールされています。
ひとつはキーボードのイルミネーションコントロールです。この製品はデフォルトではバックライトがレインボーカラーなので、「そのまま使いたくない」という人も多いと思います。バックライトは消灯できますし、シンプルな白のみにもできますし、光量調節もできますので、誰でも好みの点灯方法を選ぶことができます。もちろんゲーム仕様でキーボードをセグメント別に異なる色にしたりといった、本来のゲーミングノートらしい使い方もできます。
もう一つは「Shortcut Manager」という、キーマッピングやキーマクロを設定できるソフトウェアです。ゲーミング時には重宝するというか、必須ともいえるもので、うまく使いこなすと非ゲーミング時にも任意のショートカットやコマンドを登録して、より効率的に作業できるでしょう。
その他
GALLLERIAは一般に厚みのある筐体が多く、そのままだとパソコンを置くテーブルやデスクとキーボード面の段差が大きくなってしまうので、テキストライティングなんかに使う場合はパームレストが欲しくなるときもありますが、この製品は一般的なスタンダードノートよりも大きく厚いとは言え、割と自然な感じで使えます。パームレストが欲しくなるということもありません。
また、ゲーミングノート特有というか、GALLERIA特有の剛性感は特筆ものです。とにかく頑丈なので安心感もありますし、作りが良いのでキーボードの打鍵音も拍子抜けするくらい静かです。
あと、冷却ファンの音ですが、ゲームをするときはさすがに音量が大きくなるものの、常に大音量ということはなく、静かに軽めの作業をしたり、動画を観たりする程度なら気になりません。なので、この製品は必ずしもゲーム専用ということで身構える必要もありません。
4.性能テスト
この製品は外部GPUを搭載するハイパフォーマンスPCなので、「ドラゴンクエスト X ベンチマーク」「ドラゴンズドグマオンライン(DDON)ベンチマーク」そして「3D Mark」をやってみました。
参考:
マウス NEXTGEAR-NOTE i7901BA1(Core i7-7700K、GTX1080): 21,271
ドスパラ GALLERIA GKF1070NF(Core i7-7700HQ、GTX1070): 18,222
DELL ALIENWARE 17(Core i7-7700HQ、GTX1070): 18,045
ドスパラ GALLERIA GKF1060GFE(Core i7-7700HQ、GTX1060): 17,549
マウス NEXTGEAR-NOTE i4400GA1(Core i7-7700HQ、GTX1050Ti): 16,951
ドスパラ GALLERIA GKF1060NF(Core i7-7700HQ、GTX1060): 16,865
ドスパラ GALLERIA GKF1050TNF(Core i7-7700HQ、GTX1050Ti): 16,156
ドスパラ GALLERIA QSF965HE(Core i7-6700HQ、GTX965M): 14,964
※ドスパラ GALLERIA QSF965HE2(Core i7-6700HQ、GTX965M): 12,830
ドスパラ GALLERIA QF960HE(Core i7-4710MQ、GTX960M): 12,791
HP Pavilion Power 15(Core i5-7300HQ、GTX1050): 12,285
ドスパラ GALLERIA QHF960HE(Core i5-4210M、GTX960M): 10,136
※2017年10月ソフトウェアアップデート後のスコア
ドラクエベンチは2017年10月にバージョンが変更となり、若干スコアの出方が変化しているようです。サンプル数が少ないのですが、おそらく以前のバージョンよりもスコアが低めになっていると思います。それを踏まえてみると、このスコアは妥当かなと思います。17.3インチサイズでこの製品と同じCPU、GPUを搭載するGALLERIA GKF1050TNFよりも少しだけ低いスコアになっていますが、ソフトウェアのバージョンの違いということでほぼ説明がつきます。
ドラクエはもともとオンラインゲームとしてはPC負荷が小さいゲームなので、GALLERIAであればどの製品でも大丈夫なんですけどね。
参考:
マウス NEXTGEAR-NOTE i7901BA1(Core i7-7700K、GTX1080): 13,600
ドスパラ GALLERIA GKF1070NF(Core i7-7700HQ、GTX1070): 10,215
ドスパラ GALLERIA GKF1060GFE(Core i7-7700HQ、GTX1060): 9,951
DELL ALIENWARE 17(Core i7-7700HQ、GTX1070): 9,364
ドスパラ GALLERIA QSF965HE(Core i7-6700HQ、GTX965M): 8,568
HP Pavilion Power 15(Core i5-7300HQ、GTX1050): 7,235
ドスパラ GALLERIA QF960HE(Core i7-4710MQ、GTX960M): 6,374
ドスパラ GALLERIA QHF960HE(Core i5-4210M、GTX960M): 6,181
DDONはドラクエよりもはるかにPC負荷が高いゲームです。参考データの中にGTX1050Ti搭載機のものがありませんが、このゲームの場合はGPUのグレードに必ずしも比例するスコアになっていませんよね。最高品質で9,000を越えるスコアというのはまずまずといえるのではないでしょうか?
参考:
マウス NEXTGEAR-NOTE i7901BA1(Core i7-7700K、GTX1080): 6,703、17,345、37,589
ドスパラ GALLERIA GKF1070NF(Core i7-7700HQ、GTX1070): 5,280、14,030、30,686
DELL ALIENWARE 17(Core i7-7700HQ、GTX1070): 5,257、13,233、29,845
GALLERIA GKF1060NF(Core i7-7700HQ、GTX1060): 3,717、9,989、24,824
GALLERIA GKF1060GFE(Core i7-7700HQ、GTX1060): 3,625、9,784、24,233
GALLERIA GKF1050TNF(Core i7-7700HQ、GTX1050Ti): 2,492、6,858、18,179
NEXTGEAR-NOTE i4400GA1(Core i7-7700HQ、GTX1050Ti): 2,449、6,852、20,453
GALLERIA QSF965HE(Core i7-6700HQ、GTX965M): –、5,344、16,987
HP Pavilion Power 15(Core i5-7300HQ、GTX1050): 1,797、5,230、14,052
ドスパラ GALLERIA QSF965HE2(Core i7-6700HQ、GTX965M): 1,372、4,128、13,910
GALLERIA QF960HE(Core i7-4710MQ、GTX960M): –、4,014、11,109
GALLERIA QHF960HE(Core i5-4210M、GTX960M): –、3,680、10,771
※左からTime Spy、Fire Strike、Sky Diverのスコア
最後に3D Markです。スコアの方はほぼCPUとGPUの組み合わせどおり、という感じでサプライズはありません。Core i7-7700HQとGTX1050Tiを搭載する製品としては若干高めのスコア、そしてGTX1060を搭載する製品には及びません。順当にして「GPUの差って結構はっきり出るのね」ということがよく分かるデータだと思います。
5.まとめ
ドスパラ GALLERIA GKF1050TGFはドスパラ公式サイトで販売中で、11月2日現在の価格は税込み136,058円からとなっています。ちなみに試用機の構成だと税込み143,618円です。
Core i7-7700HQとGTX1050Tiの組み合わせというのはGALLERIAに限らず、他社のゲーミングノートでもよく見られます。あるいは一番のボリュームゾーンと言えるかもしれません。また、ゲーミングノートの場合はRAMやストレージなどをカスタマイズして注文するケースが多いと思うので、一概にこの製品が割高なのか割安なのかを判断するのも難しいです。
GALLERIAというのはスペックだけでなく筐体品質が抜群(言い換えると頑丈さが抜群)で、使っている間の安心感も大きいです。また、ドスパラなのでサポートもしっかりしていますし、メーカーへの安心感もまた大きいと言えます。記事の冒頭にGALLERIAの製品ラインを図示しましたが、この製品はGALLERIAの売れ筋モデルですし、処理性能や筐体品質など、トータルで見た場合の満足感は非常に高いと思います。