この7月にシャープから発売されたスマートフォン、AQUOS wish4のドコモ版(SH-52E)を購入したので、実機レビューいたします。2024年のAQUOSはエントリーモデルのwish4、ミッドレンジモデルのsense9、Leicaと共同開発したカメラを搭載するR9、R9 Proの4モデルが投入されていて、いずれも他ガジェットサイトやSNSでの評判が高いのですが、その中で実機レビューの数が少ないエントリーモデルのwish4をあえて選択しました(とにかく安価だったのも理由の一つですが・・・)。
ガジェットマニアががっつり使うには物足りなさを感じる部分もありますが、ガラケーから移行したご年配の方や、スマホを全く使ったことない方でもすぐ使い出せるように配慮されていて、性能も普段使いにはちょうど良く、気に入ってしまいました。
・かわいらしいデザインながら堅牢な筐体
・スマホ初心者でもわかりやすいランチャーに切り替え可能
ここがイマイチ
・スピーカーの音質はいまひとつ
・OS・セキュリティアップデート提供期間が短すぎる
・がっつり使うには足りなすぎるストレージ容量
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AQUOS wish4:じゃんぱら
1.AQUOS wish4 スペック
スペック表
AQUOS wish4 | |
OS | Android 14 |
CPU | MediaTek Dimensity 700 |
RAM | 4GB |
ストレージ | 64GB |
ディスプレイ | 6.6インチ(1,612 x 720) 90Hz |
バンド | 5G:n1/3/7/28/38/40/41/77/78/79 LTE:B1/2/3/5/7/8/12/17/18/19/28/38/39/40/41 ※SHARP公式サイトの記載です |
SIM | nanoSIM + eSIM |
ネットワーク | 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.3 |
入出力 | USB Type-C、MicroSDカード、3.5mmイヤホンジャック |
カメラ | イン8MP/アウト50.1MP |
バッテリー | 5,000 mAh |
サイズ | 167 x 76 x 8.8 mm |
重量 | 190 g |
コメント
OSはAndroid 14です。独自のアシスタント機能「エモパー」や生成AI技術を活用した迷惑電話対策機能といった独自機能はありますが、基本的には素のAndroid OSに準じたUIを採用しています。
オープンマーケットモデル、キャリアモデルともにOSアップデートは2回、セキュリティアップデートは3年提供されます。ただ今となってはOSアップデートが「2年ではなく2回まで」というのは短すぎるように感じられます。この記事を執筆している12月時点ではまだAndroid 15へのアップデートが配信されていない上に、来年5月以降には次期バージョンとなるAndroid 16がリリースされる予定となっているので、配信のタイミングによっては「OSのアップデートは1年間のみ」ということになってしまいます。
エントリークラスの端末も年々性能が向上していますし、ガジェットマニアではなくスマホを「普通の道具」として使用している一般ユーザーだとそれこそ本当に「端末が使えなくなるまで」乗り換えないという方も多いので、せめて上位モデルのsense9、R9・R9 Proと同じく「OSアップデート3回、セキュリティアップデート5年」に延長してほしいところです・・・
SoCは前モデルのAQUOS wish3から変わらず、Dimensity 700です。2022年から2023年にかけて販売されていた5Gエントリーモデルに採用されていたSoCで、中華スマホ・タブレットで採用されることが多いHelio G99や、AQUOS wish4の競合機となるFCNTのARROWS We2にも採用されているDimensity 7025と比較するとCPU・GPU性能ともに若干低めですが、WEBブラウジングやメールチェック、動画の視聴といった作業ではそこまで大きな差を感じることはありません。
RAMは4GB、ストレージは64GBです。かのあゆ自身もともと必要の無いアプリは定期的に終了する使い方をしているので、今のところ使っていてストレスを感じていませんが、さすがにRAM4GBだと今となっては心もとなく、せめて6GBは欲しかったところです。メモリ拡張機能もありますが、他社メーカーとは異なり割り当てるサイズを変更できず、具体的にどれだけ割り当てられているかも公表されていません。
ストレージも今となってはがっつり使うには厳しい容量です。しかし、インストールするアプリを必要なものだけに厳選した上で動画・画像・音楽ファイルといった大容量データはクラウドストレージ、またはMicroSDカードに保存するといった工夫をすれば意外となんとかなります(後述します)。
通信バンドはオープンマーケットモデル・キャリアモデルいずれも共通です。いわゆる「ミリ波」こそサポートしていないものの、4G・5Gともに国内主要キャリアの通信バンドをフルサポートしています。
バッテリー容量は5,000 mAhです。端末の利用状況や周囲の温度に応じて充電を自動的に制御する「インテリジェントチャージ機能」により、長い期間利用した際のバッテリーの劣化が抑えられています。
2.筐体
付属品はオープンマーケットモデル・キャリアモデル共通で、クイックスタートガイドのみとなっています。
前面です。ディスプレイはパンチホールノッチではなく、この価格帯の端末ではよく見られるティアドロップ型ノッチが採用されています。初代AQUOS wishから前モデルのAQUOS wish3まではノッチのサイズが小さめであまり気にならないどころか、逆にスタイリッシュで個性的なデザインだと思っていたのですが、AQUOS wish4ではありきたりなデザインになってしまって少しがっかりしてしまいました。
ディスプレイ保護用の初期液晶保護フィルムは装着されていないので、一緒に揃えておくことをお勧めします。
背面です。AQUOS sense9、AQUOS R9と同じく「Miyake Design」が筐体デザインを担当しています。発表当時紹介記事を執筆していて「なんか癖のあるデザインになっちゃったなぁ」と考えていましたし、実際シャープ社内でも賛否両論だったようですが、実際に手元に来てみると「かわいいしこれはこれであり!」と思えてきてしまいました(笑)
素材はペットボトルなどの廃品を再生したプラスチックが用いられています。かわいいだけではなく、エコにも優しいのがwishシリーズの魅力の一つです。質感も安っぽさはあまり感じられませんし、MIL-STD-810H準拠のタフネス性能も備えているので裸で使おう・・・と思ったのですが、やはり万が一落下させたときに破損するのが怖かったのでケースとガラスフィルムも一緒に揃えてしまいました。
左側面にはSIM/microSDカードスロット。
右側面にはボリュームボタン、電源ボタン(指紋認証センサー埋め込み)があります。
上部にはイヤホンジャックとマイク穴(サブマイク)が配置されています。
下部にはスピーカー、USB-Cポート、マイクがあります。
3.使用感
システム
OSはAndroid 14です。前述のとおり、UIは標準ランチャーも含め素のAndroid OSに準じています。
今回かのあゆが購入したのはドコモ向けに販売されているモデルのため、一部アンインストールできないキャリアアプリも含まれていますが、プリインストールされているのはAndroidシステム標準アプリ、Google純正アプリ、シャープ独自のAIアシスタント機能「エモパー」、通話音声・伝言メモアプリのみと最小限の構成です。
ガラケーから移行したユーザーや小さなお子様、ご年配の方が使用することを想定して、AQUOS wish4では標準ランチャーとして採用されている「AQUOS Home」以外にも「AQUOSかんたんホーム」「AQUOSジュニアホーム」に切り替えることが可能です。
これは「AQUOSかんたんホーム」で、ご年配の方にも見やすい大きなアイコン表示を採用しているのが特徴です。ガラケーから移行したユーザーでも迷うことなく操作できるよう配慮されています。
一番下に配置されている「楽ともリンク」によく連絡する相手を最大3つまで登録することにより、ワンタッチで電話の発信やSMSの送信が可能です。
「AQUOSジュニアホーム」は標準の「AQUOS ホーム」に準じたUIですが、「AQUOSかんたんホーム」と同じく一番下側に配置されているアイコンに最大4つまで連絡先を登録することが可能です。
近年のAQUOSスマートフォンではおなじみのAIアシスタント機能「エモパー」も健在です。あらかじめ年齢や住んでいる地域を登録することにより、おすすめ情報を定期に提案してくれます。
AQUOS sense9、AQUOS R9・R9 Proにも搭載されている迷惑電話対策機能はAIを活用して通話内容を解析し、詐欺電話と判断された場合、音と画面で通知する機能や、着信・通話中でも怪しい電話をシャットアウトして自動音声に切り替える「迷惑ストップ機能」といった便利な機能が備わっています。
工場出荷時のストレージ情報です。ドコモ版SH-52Cの場合約50GBほど空き容量が確保されていますが、がっつり使うにはやはり心もとないかな・・・というのが正直な感想です。
現在のAndroid OSではアプリのデータをMicroSDカードに移動することも出来なくなっているので、次のモデルではせめて128GBまで増やしてもらいたいところですね・・・
ディスプレイ
ディスプレイは6.6インチサイズで、解像度はHD(1,612 × 720)です。エントリークラスの端末ではよく見られる解像度ですが、ディスプレイをかなり近づけてみないとドットが目立つことはありませんし、正直解像度がFHD以上のディスプレイを搭載する端末と比較しても普段使いでそこまで差異を感じることはありません。
シャープ独自の画像エンジン「リッチカラーモバイルテクノロジー」により、美しい画質を実現していますし、リフレッシュレートも最大90Hz表示をサポートしているので、画面のスクロールもなめらかです。
スピーカー
スピーカーはモノラル出力です。上位モデルと比較すると音質はそこまで力を入れていないようで、極端に汚い・・・というわけではありませんが、少しパワー不足感があります。
AQUOS wish4では3.5 mmイヤホンジャックを備えているほか、Bluetooth接続時はLDACコーデックも利用できるので、音楽・動画コンテンツを楽しむのであれば外部イヤホンを利用した方が良いかもしれません。
カメラ
標準カメラアプリはアウト側がシングルレンズ構成のため、超広角・マクロ撮影モードが用意されていない点は物足りなさを感じるものの、AIによるシーン自動識別やポートレート撮影、タイムラプスといった機能は一通り用意されています。
AQUOS wish4のカメラはアウト8MP、イン50.1MP(広角)という構成です。AQUOS Rシリーズで培ってきた技術を取り入れた画像処理エンジン「ProPix Lite」を採用していて、美しい写真を撮影可能です。
光が少ない暗所の撮影は「夜景モード」を有効にしても弱い印象を受けました。ただ、エントリークラスの端末であることを考えると十分すぎるカメラ性能で、前述の通り超広角・マクロ撮影に対応していない点が気になるものの、個人的には十分メインでも使用出来ると感じました。
4.性能テスト
AnTuTu Benchmark v10.3.9の総合スコアは「372,990」でした。中華メーカーのスマートフォン・タブレットでよく採用されているHelio G99より若干劣る数値ですが、実際の動作は軽快でWEBブラウジングやSNSアプリの利用、メールのチェックといった作業では全くストレスを感じることはありません。
個人的にSnapdragon 8 EliteがAnTuTu300万点超え!といわれても「それで?」という感想しか出なくなってきたのもありますが、エントリークラスの製品に搭載されているSoCも性能が著しく向上していることもあって、最新性能でないと満足できないガジェクラや、重量級ゲームを最高画質でヌルヌル動かしたいというゲーマーでも無い限りこれくらいの性能で十分だと考えています。
5.AQUOS wish4 価格など
AQUOS wish4は現在オープンマーケット版がシャープ公式オンラインストア、Amazon.co.jp、家電量販店などでは34,650円で販売されています・・・が、キャリア版であれば未使用品でも2万円を切る価格で購入可能で、じゃんぱらでは今回かのあゆが購入したドコモ版SH-51Cの未使用品が16,980円で販売中です。削除できないキャリアアプリがプリインストールされている点を除けば通信バンドの仕様はオープンマーケット版と共通なので、お買い得です。
6.まとめ
今年のAQUOSはどのモデルも評判が高いのですが、エントリーモデルのAQUOS wish4は実機レビューを行っているサイトが少なく、価格も安価だったのであえて実機を購入してみました。
高性能なハイエンドモデルを追っているガジェットマニアの間では話題にすらなっていない印象が強い端末ですし、実際かのあゆ自身ストレージ容量が少ないのでメイン端末として常用するのは厳しいと感じたものの、スマートフォンを「携帯電話」として普通に使うユーザーにとってはちょうどいい性能だと思います。
予想以上に気に入ってしまったので、しばらくサブ端末として使っていくつもりです。
7.関連リンク
SHARP AQUOS wish4 ー 新デザインと強化されたカメラ性能が魅力の、購入しやすいAQUOSエントリーモデル
AQUOS wish4:シャープ
AQUOS wish4:じゃんぱら
初めてしゃべった言葉が「ソニー・TDK」という筋金入りのガジェットマニア。中学生時代NEC PC-98シリーズに出会ったのをきっかけに本格的にPDAやスマートフォン、PCの世界にはまり込む。リュックには常にPC 2台 + タブレット 1台 + ゲーミングUMPC 1台 + スマホ4台を常備。