こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回は中華スマホ、5.5インチサイズのハイスペックスマホ「Elephone S7」の実機レビューです。この製品は昨年から気になっていたのですが、CPUをMediaTekの「Helio X20」から「Helio X25」に換装し、さらなる性能向上を果たしたモデルを試用することが出来ました。なお、この製品は中国の通販サイト「Gearbest」に提供していただいております。Gearbestにはこの場にて御礼申し上げます。ありがとうございました。
1.スペック
OS: Android 6.0
CPU: MediaTek Helio X25(2.0GHz,Deca Core)
RAM: 4GB
ストレージ: 64GB
ディスプレイ: 5.5インチ(1,920 x 1,080)ゴリラガラス 3
SIM: nanoSIM × 2(うち1つはmicroSDと排他利用)
通信バンド: LTE 800/1800/2100/2600、WCDMA
ネットワーク: 802.11 a/b/g/n、Bluetooth4.0
入出力: microUSB、オーディオジャック
カメラ: イン5MP / アウト13MP
バッテリー: 3,000 mAh
サイズ: 150.4 x 73.2 x 7.6 mm / 175 g
この製品はCPUにMediaTek「Helio X25(10コア)」と搭載しています。最近「X27」というのが出てしまったので「最上位」ではなくなってしまいましたが、それでも十分に高性能なものであることは変わりありません。RAMは4GB、ストレージは64GBと、こちらもハイスペック機と呼ぶのには十分な容量となっています。ディスプレイはFHD解像度で、決して悪いということはありませんが、最近のハイスペック機はもう一段高精細なものを搭載するケースが増えており、その意味では少し物足りなく感じるかもしれません。また、USB Type-Cの装備もなく、カメラ性能もアウト13MPと、画素数だけでいえば「それほどでもない」という感じです。
なので、このスペック表を見て感じるのは、CPUがパワーアップしたものの、それ以外では「ハイスペック機として特筆すべき点」は決して多くないということです。いやね、こういう書き方をするとちょっとネガティブに見えちゃいますけど、そんなことはありませんから。ここのところ「VRゴーグルつき」とか「Helio X27搭載」とか、そんなんばっかり試用してきたので、「普通」だと、どうしても淡々としちゃうだけですから。
2.筺体
スペックの確認のところでは淡々としましたが、筺体はかなり素晴らしいと思います。
同梱物です。本体(キレイでしょ?ディスプレイ)のほか、英語のクイックスタートガイド(取扱説明書)、主に充電用のUSB(オス)- microUSB(オス)のケーブル(長さは約80センチほどです)、EUプラグの電源アダプター、SIMスロット用のピン、そしてケースがついてました。
少なくともGearbestで購入する場合はEUプラグとなるようです。このプラグを生かすためには日本のコンセント形状に合わせる変換アダプターを用意する(Amazonなどで1,000円以下で買えます)必要がありますが、USBポートからの充電が可能なので、PCのUSBポートなどからの充電も可能です。なので、とりあえずは焦ったりする必要はないでしょう。
この製品の特徴はGalaxy S7 Edgeのようなラウンドしたエッジ部分の処理です。開封時、すでに液晶保護フィルムが貼られていて、そのままでも使うのは大丈夫なんですけど、フィルムのサイズがラウンド処理を考慮したものとは言いがたく、せっかくのエッジ部分にフィルムの境界線がかかっており、しかも境界部分にホコリが溜まりやすくなっています。
エッジ部分を全て覆うフィルム、というのは技術的に難しいと思うので我慢するにしても、品質や貼り付けの丁寧さが足りないので継続使用する際にはフィルムを交換したいところです。じゃないとストレス溜まると思います。この製品を使うなら少しお金をかけてでもしっかりした専用フィルムじゃないともったいないと思いますよ。今年からウインタブの運営を助けてくれているPDA工房とかね。
左側面です。この面にはSIMスロットがあります。
スロットを開けるとこんな感じ。2つのSIMを挿入できますがNanoSIMしか対応しません。また、microSDカードもここに挿入することになり、microSDを使う場合はSIMは1つしか使うことができません。
下面です。この製品は最近増えてきたUSB Type-Cは装備しておらず、おなじみのmicroUSBポートがついています。またUSBポートの両側にステレオスピーカー、と思いきや、少なくとも私が色々チェックしてみた限り、ステレオではなくモノラルでした…。
上面です。この面にはオーディオジャックのみついています。
右側面です。こちらは普通のスマホと同じ、というか音量ボタンと電源ボタンがついています。ボタンのたてつけはよく、操作感も「カチッ」と決まります。
ホームボタンは指紋センサーを兼ね、方式は物理ボタンとなります。UMI Zが「見た目物理ボタン、でも実はセンサーボタン」だったのと異なり、しっかり押し込めますね。
背面です。この製品は側面が金属製になっていますが、背面素材はよくわかりません。しかし、独特の光沢があり、高級感は抜群です。また、この製品の実機レビューにあたり、他のブログなどでS7についてレビューしている記事をいくつか確認してみましたが、「背面が凹む」というのがありました。なので、実際に背面に力を加えてみたところ、確かに強めに押すと若干たわみます。なので、金属製ではないのかな、と思います。しかし、このたわみ、仮に私がこの製品を購入したとして、不満を訴えるようなものではありませんね。そんなに強く押さないでしょ?普通。なので、実機レビューでこの程度のことをあえて指摘する必要もないかな、と思います。
背面の光沢が非常にきれいなので、アングルを変えてみました。メーカーでは「オーロラみたい」ということをアピールしてますが、本当にそんな感じです。
私がこれまでに試用してきた中華スマホとしては最もまとまりのある、美しいデザインだと思います。ご覧のようにベゼルは極めて細いというか、エッジ部分のラウンドが非常にきつくなっており、正面から見た美しさは抜群ですね。また、ディスプレイについてもスペック云々ではなく、感覚的に発色が素晴らしく、素直にキレイだと感じます。
付属のTPUケースを被せてみました。素材はかなり柔らかく、しっかり筺体を保護してくれるんだろうと思いますが、ちょっとダメっすね。せっかくの素晴らしい筺体が台無しです。で、Gearbestで販売されているS7用のカバー・ケースを少し調べてみましたが、残念ながらどれもイマイチです。ちょっと危険ですが、このデザインを楽しむのなら、PDA工房の保護フィルムを前後に貼って、あとは「落とさないように気をつける」くらいかなあ、と思います。話を付属のケースに戻すと、そのままでいい、という人には悪くない品質だと思いますし、とりあえずこれを使っておく、ということでも安心できる、とは言えます。でもちょっと不本意。
3.システム
ウインタブでの中華スマホの実機レビューは「通信はしない」ことにしているので、システム構成などのチェックと、PCから流し込める各種データやAntutuベンチマークによる性能テストのみをやることにしています。まずはAndroid OSの各種設定画面を説明します。
ホーム画面は基本的に素のAndroidと思われますが、プリインストールアプリが散見されました。これらプリインストールアプリには怪しげなゲームとかショッピング系のものは一切なく、基本的にElephoneのユーティリティアプリのみです。なので、特に不快感とかはありません。また、ご覧のように日本語ロケールが含まれており、日本語化はワンタッチで可能でした。
設定メニューのレイアウトはAOSP版(Android Open Source Projectのことで、標準Androidと考えていいです)をベースにしていると思われ、一部独自のメニューが追加されています。UMI Zにあった「ターボダウンロード(Wi-FiとLTEを併用して高速なダウンロードを実現する機能)」もついてますね。試せませんけど。また、英語で「LED Notification」というのがありますが、これは各種通知の内容によって筺体前面にあるLEDインジケーター色を変化させることのできる機能の設定です。例えば「充電中は青、バッテリー残量が少ないときは赤、バッテリー残量が十分なときはグリーン」というふうに、全3色を使い分けることが出来ます。
設定メニューをスクロールさせていくと英語になっているものが出てきます。これがElephoneがカスタマイズを加えた部分、と考えていいでしょう。「Shortcut Button Settings」というのは「ホームボタンを2度押し」した際に起動するアプリを設定できる、というもので、例えば「メール」を割り当てればホームボタン2度押しでメールアプリを起動できます。
次に「Intelligent Gesture」ですが、これ、タッチ操作によるジェスチャ機能の設定です。実は私、恥ずかしながらスマホでのジェスチャ機能、というのを経験したことがないんです。で、例えば「三本指で画面を上から下にスクロールするとスクリーンショット」なんて機能があるので、試してみて素直に感動してしまいました。他にも「マルチフィンガー(三本指以上)で画面をつまむとカメラ起動」なんかがありました。ただし、あくまで「設定」であって、独自のジェスチャを登録したり、特定のジェスチャに任意の操作を割り当てることはできません。
「Navigation Bar」ですが、この製品は画面上にナビゲーションバー(○とか△とか□のアレです)を表示させることも出来ますし、ホームボタンのみでナビゲーションバーの動作を代用することもできます。ナビゲーションバー非表示のとき、ホームボタンの左側を押すと「戻る」、右側を押すと「進む」みたいに。試用時は不慣れということもあり、ナビゲーションバーを表示させたほうが操作は楽でした。
「Clear Background App」と「Task Manager」は読んで字のごとく、バックグラウンドで動いているアプリを停止させたりRAMの使用状況を確認できたりします。
また、この製品「ワイヤレスアップデート」の機能が有効です。つまり、メーカーからのOTAアップデート(Windows Updateと同様に、難しい操作なしでOSのアップデートが可能な機能です)を受け取ることができます。ここまで見てきて、この製品の設定メニューはUMI Zに非常によく似ており(要するにシステム供給元の会社が同じだろう、ということです)、Android 7へのOTAアップデートもあるのだろうと思います。また、ショップカスタムROMである可能性は非常に低いと思われます。
4.使用感
可能な範囲でいろいろと操作してみました。まず、「操作」じゃないんですけど、この製品は5.5インチのディスプレイサイズですが、筺体は先日レビューしたUMI Zよりもタテ・ヨコで数ミリ小さいです。そして、体感的にはそれよりもずっと小さく感じます。冗談抜きに「5インチでしょ」と思ったくらいです。実寸の差もありますが、筺体色がブルーで引き締まって見える、という視覚的な要因もあるのかもしれません。この記事を書いていて「ディスプレイ 5.5インチ」というところで一瞬手が止まりましたもんw
ボタン類の操作感ですが、上に書いたとおり、短期間の試用だと、画面の中(というか画面の下側)にナビゲーションバーを出したほうが使いやすかったです。ホームボタンがかなり多機能でナビゲーションバーを代用できる、というのはあるんですけど、Androidって「下にボタン3つ」じゃないですか。なので、不慣れな状態だとホームボタンだけで操作を完結させるのはちょっと厳しかったです。しかし、わずかとは言え画面の中にナビゲーションバーを出すとその分だけ表示面積が狭くなってしまうので、購入するのならホームボタン操作にしっかり慣れたいところです。
あと、これも上に書きましたが、「ジェスチャ」は便利だと思います。この記事を書くためにスクリーンショットを何枚か撮らなくちゃいけなかったんですけど、「三本指でスーッ」でスクリーンショットが撮れるのが新鮮な喜びでしたw 購入したらこの操作もしっかりマスターしたいところ。
次にスピーカーです。これはダメっすね。いい評価はしてあげられません。手元に検証用のXiaomi RedMi 3(ミドルスペック機)があり、音質を比べてみたのですが、Xiaomiの圧勝です。S7は音がこもりがちな上にペラペラの薄っぺらさです。正直ちょっとがっかりしちゃいました。ちなみに設定の「音と通知」のところでサラウンド機能などを設定できるようになっているのですが、この設定をいじっても、スピーカーで聴くぶんには「悪い意味で評価は微動だにしない」でした。
指紋認証については「かなり優秀」というのが個人的な感想です。「私の指紋はちゃんと認識されにくい」というと笑われると思うのですが、実際いろいろな製品で指紋認証を試すとエラーになりやすいんですよね。先日レビューしたUMI Zでもその傾向がありました。しかし、S7はほぼ確実に認識しました。ただ、指紋認証の精度の評価って、短時間の実機レビューだと難しいところがあり、本当ならいろいろな人の指で試したり、濡れた手とか汚れた手で試したりとかも必要なんだろうと思います。なので、この件については「私の指で普通に試した」という前提での評価とさせて下さい。
カメラですが、撮影技術の良し悪しもありますので、画質についても個人的な印象、という前置きをさせていただいた上で「公称画素数から受ける印象よりもいい」と評価します。かなりキレイに写ると思いました。ただ、ディスプレイに表示される被写体の色目は実際の色目と少し異なるような違和感を感じました。しかしまあ、私程度のカメラ利用法(ラーメン二郎の画像を撮影してTwitterに投稿するとか、備忘メモ代わりにスナップ撮影するとか、デジカメを忘れた時に使うとかで、本格的なカメラとしてはあまり使いません)だと十分すぎる性能ではあります。もしこの製品を継続利用するとしたら、気が向いた時にTwitterに投稿する画像は今よりもきれいになるだろうなあ、と思います。
カメラ機能もわりと一般的だと思います。標準、パノラマ、PIPモード(アウトカメラの画像の中にインカメラの画像を差し込んで撮影)のモードが選べ、エフェクトのメニューもあります。ま、でもスマホカメラで遊ぶ人は別にアプリを入れるんでしょうね。うちの子はSNOWで遊んでます。
5.性能テスト
PCからapkをインストールできるAntutuベンチマークでテストしてみました。
参考:
Lenovo ZUK Z2(SnapDragon 820): 132,410
UMI Z(Helio X27): 110,070
Vernee Apollo(Helio X25): 93,251
BungBungame KALOS 2(Samsung Exynos 7420): 88,439
Chuwi Vi 10 Plus(Remix OS、Atom X5-Z8300): 64,259
Teclast TBook 16 Pro(Atom x5-Z8300): 58,578
GOLE 1(Atom x5-Z8300): 55,436
マウス MADOSMA Q601(SnapDragon 617): 48,008
Teclast X89 Kindow(Atom Z3735F): 47,495
Wink Pax G1(MediaTek MT8783) : 38,553
YOKA KB2(Amlogic S912): 36,679
マウス MADOSMA Q501(SnapDragon 410): 35,663
Teclast X10(MediaTek MT8392): 31,561
Cube WP10(SnapDragon 210): 29,273
Cube T8 Super Version(MediaTek MTK8735P):23,925
ドスパラ Diginnos Mobile(Snapdragon 210): 23,785
FREETEL KATANA 01 (SnapDragon 210) : 22,724
Antutuのスコアは「だいたい予想通り」でした。同じCPUを搭載するVernee Apolloよりもわずかに低いスコアになっていますが、試行回数を増やせばスコアが逆転する可能性もあり、このくらいの差であれば実際は同等程度、と考えていいと思います。個人的にはAntutuで10万点越えのスコアというのは実用上特に必要と思いませんし、9万点のスコアが出るのなら何をしても困ることはない、と思います。ただし、実機レビューでテストすることもできませんし、できたとしても個別アプリの動作確認をする気はありませんが、「デレステ」はHelioだと(MediaTekのCPUあるいはMaliというGPUだと)うまく動作しないことがあるそうです。デレステに限らず、一部のアプリが動作しないという可能性はありますので、特定のアプリを使う目的で購入を検討している場合は注意して下さい(注意して下さい、という抽象的な表現しかできません)。でも、そういうことを言い出したら、Snapdragonとかでも起こりうるんだろうなあ、とは思います。
6.まとめ
Elephone S7 HELIO X25 VERSIONは中国の通販サイト「Gearbest」で販売中で、2月26日現在の価格は229.99ドル(26,266円)です。同じS7でもHelio X20搭載モデルよりは若干(20ドルくらい)高くなっていますが、個人的には20ドル差ならこっちにするかな、と思います。性能差というよりは精神的満足感の差、と言えるかもしれませんけど。
しかし、中華でもスマホとタブレットはずいぶん印象が異なります。スマホの方がよりグローバル品質に近い、という意味です。この製品の筺体品質は本当に素晴らしく、システムの挙動も非常に安定しています。というか、これまでレビューしたことのある中華スマホは例外なく挙動はいいですね。タブレットの場合だと一部フリーズをしたりして、挙動に不安を感じるものがあるのとは大きく印象が異なります。
だからといって中華製品が日本製品より安心、ということはありません。どこの国の、どんなに素晴らしい製品でも初期不良が皆無、というものは存在しませんし、運悪く初期不良品にあたってしまったら日本製品よりもずっと面倒なことになる、というのはスマホでもタブレットでも一緒です。しかし、そのへんのリスクを取れるのであれば、この製品は同価格帯の日本製品よりもはるかに高いコストパフォーマンスであることは間違いありません。
コメント
DSDS機はbandとどのキャリアのSIM掴んで通信出来るかが一番重要ですけど技適の問題あるからどうしようもないですね。