AvidPad S30の実機レビューです。「AvidPad(アビドパッド)」という名称を初めて目にする方もおられると思いますが、中国メーカーの製品で、最近になって日本市場で積極的に販売が開始されています。昨年後半より「深圳市悦易电子商务有限公司」名義でPR TIMESで多くのプレスリリースも打っていますし、今回のレビュー品「S30」は日本の法規制に合わせ、技適マークも取得しています。
ウインタブでもPR TIMESには目を通していてAvidPadのことが気になり始めていたところ、ちょうどいいタイミングでメーカーさんからレビューの依頼をいただきました。ということで今回はじめてAvidPadを試してみたいと思います。なお、レビュー品はメーカーさんよりサンプル提供していただいたものです。
ここがおすすめ
・8.68インチと片手でつかめるサイズ感、とても持ちやすい
・ゲーム以外の普段使いには困らない性能
・シンプルでクセのないユーザーインターフェース
・15,000円弱で購入できるリーズナブルな価格設定
ここはイマイチ
・ディスプレイ解像度は低め
・カメラ品質が非常に低い
販売サイトはこちら
AvidPad(アビドパッド) S30:Amazon
ガラスフィルム:Amazon
カバー型ケース:Amazon
手帳型ケース:Amazon
1.製品概要
スペック表
AvidPad S30 | |
OS | Android 14 |
SoC | UNISOC T606 |
RAM | 6GB(拡張機能により最大16GB) |
ストレージ | 128GB |
ディスプレイ | 8.68インチ(1,340 × 800) |
LTEバンド | FDD:B1/3/5/8/18/19/26/28full、TDD:B40/41 |
SIM | nano SIM ×2(うち1つはmicroSDと排他) |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth5.0 |
入出力 | USB Type-C 、microSDカードリーダー、オーディオジャック |
カメラ | イン8MP/アウト20MP |
バッテリー | 5,500 mAh |
サイズ | 213 × 125 × 8 mm |
重量 | 325 g |
コメント
AvidPad S30は8.68インチディスプレイを搭載する、Androidタブレットとしては小型の製品です。OSはAndroid 14と新しく、SoCは中国タブレットに搭載例の多いUNISOC T606です。またRAMは6GBで拡張機能により最大16GBとして使え、ストレージは128GBです。このスペックはウインタブの経験上「エントリークラスながら、タブレットとしての普段使いであれば問題なく使える」くらいです。ただし、ゲーム向きではありません。
スペック面で近いのはBlackview Tab 60です。SoC、RAM(拡張前の容量)、ストレージ、そしてディスプレイの仕様が全く同じです。ただ、発売時期の関係でAvidPad S30のほうが新しさがある、ということは言えます。OSのバージョン、拡張後のRAM容量(Tab 60は拡張後12GB)、カメラ画素数(Tab 60はイン5MP/アウト8MP)、そしてLTEバンド(Tab 60はauのプラチナバンド18やドコモのプラチナバンドB19をカバーしません)などの点で「スペック表の上では」AvidPad S30が優れています。
片手でも持ちやすく、Widevine L1なので動画サブスクでHD画質視聴が楽しめ、価格もお手頃と、気軽に購入を検討できる製品である、と言えるでしょう。
では、外観から見ていきます。
2.外観と使用感
今回メーカーさんからサンプルとして送っていただいたのはAvidPad S30本体(画像下の白い箱)、専用ケース(画像左上)、専用ガラスフィルム(画像右上)です。
同梱物です。取扱説明書、保証書、USB Type-C – USB Type-Cのケーブル、ACアダプター(チャージャー)、そしてSIMピンです。取扱説明書は日本語になっており、ごくベーシックな内容ながら他社製品の説明書よりも数段親切な内容なので、初めてAndroidタブレットを購入される方には役立つと思います。またACアダプターは日本のコンセント形状に合うもので、出力は10Wでした。AvidPad S30は18Wの急速充電に対応しますので、急速充電能力をフルに活かすためには付属のアダプターでは力不足ということになります。まあ、実用上は10Wのアダプタで十分かとは思いますが、この点はご注意下さい。
前面です。上下ベゼルは「それなり」の太さですが、左右ベゼルは結構細いですね。この結果横幅が小さくなり、この記事のトップ画像にあるように標準的な手の大きさの成人男性であれば片手でつかめます。また、Webカメラ(インカメラ)は「縦持ち時の上部ベゼル」です。まあ、8インチなので仕方ない(他社製品もほとんどがこの位置です)ですが、横向きにしてWebミーティングなどをするとちょっと不自然に感じられるかもしれません。
ディスプレイの発色品質はいい意味で「普通」です。使っていて色味は気になりませんでした。また、後述しますが設定メニューに「コントラスト&カラー」という項目があり、色味を微調整することもできますので、それを踏まえるとクセがない発色にできると言えるでしょう。
ただ、解像度が1,340 × 800と低め(中国タブの中位クラスの10インチタブレットは1,920 × 1,200解像度であることが多いです)なのは、人によっては気になるかもしれません。例えばブラウザーでウインタブのサイトを閲覧すると、フォントや画像に少し粗さを感じます。同じ解像度のBlackview Tab 60ではこういう印象は持たなかったんですけどね…。動画視聴では画面の粗さは感じませんでした。
動画と言えば「Widevine」です。S30はWidevine L1なので、動画サブスクリプションサービスでHD画質視聴ができます。ウインタブではAmazonプライムビデオでHD画質視聴ができることを確認しました。また、つい先日OTAアップデートがあり、NetflixでもWidevine L1となりました。YouTubeについてはWidevineとは無関係にHD画質視聴できます。
背面です。筐体は樹脂製と思われますが、キレイに塗装されており、安っぽさは感じられません。また、背面下部には技適マークと番号も記載されています。
カメラバンプの張り出しはかなり小さいです。ですが、多少の段差がありますので、(タブレット本体および接地するテーブルやデスクなどの)傷つき防止のためにケースを一緒に購入されることをおすすめします。
左右側面です。右側面には電源ボタンと音量上下ボタン、左側面にはSIM/microSDスロットがあります。ごくオーソドックスな配置です。
上側面と下側面。USBポートとイヤホンジャックは上側面ですね。下側面にはスピーカー。このスピーカーは一応ステレオなんですが、左右の間隔が狭くてステレオ感は弱いです。また横向きにして動画視聴などをする際は「片側から音が出る」感じになりますので、動画視聴にもあまり向きません。ハイエンドスマホのように上側面と下側面に1つずつスピーカーがあればよかったんですけどね。
音質そのものは悪くありません。低音はあまり効きませんが、全体的にクリアに聴こえ、低品質なものによく見られるこもった感じの音ではありません。この価格帯の8インチタブレットとしては納得できる品質だと思います。
次にオプション品のケースを。柔らかいTPU(熱可塑性ポリウレタン)製で、当然ですが高級感とかはありません。
また、色も「白の半透明」なので、AvidPad S30のキレイな背面が見えなくなってしまいます。しかし、実用品として筐体を保護するには十分な品質ですし、素材が柔らかいので着脱も容易です。なので、ウインタブとしてはこのケースは「必要」だと考えます。
3.システム
AvidPad S30のOSはAndroid 14ですが、「かなりプレーン」です。また、アプリ一覧ですが、ご覧の通りNetflixとかAmazonプライムビデオ、X、Zoom、LINEが入っていました(アンインストール可)。まあ、割とニーズのあるアプリばかりだと思いますが、LINEなんかはたぶんS30では使わないでしょうね…。
設定メニューのUIも「素のAndroid」という感じで、独自機能は多くありません。また、S30はRAM拡張機能があり、ストレージ領域の一部をRAMとして使え、最大16GB(標準の6GBプラス拡張10GB)になります。ただし、拡張されたRAMは物理RAMのように高速には動作しませんし、S30の性能から考えて拡張機能を使う必要性は高くないと思います。
また、S30はディスプレイサイズが8.68インチということもあり、大画面デバイス向けUI(画面下にタスクバーが表示される、アプリの2列表示が可能など)には対応していないようです。
ディスプレイの発色を調整する機能もありました。画像左のコントラスト&カラーは中国製品ではよく見かける機能で、色味の調整には役立ちます。上の方でも触れましたが、個人的にS30のディスプレイ発色は割と素直だと感じました。購入された方がもし使っていて青みがかっている、黄みがかっていると感じられる場合でもコントラスト&カラーの機能で微調整はできます。
画像右の「ビデオ表示の強化」ですが、こちらは私の感覚だと効果が実感できませんでした。対応しているアプリも少ないですし。
私、中国タブのレビューでは「FMラジオ」をチェックしています。中国タブレットの多くがFMラジオを搭載しているのですが、ほとんどの場合日本の周波数に合わず(最低でも90MHzくらいになっている)使えません。しかしAvidPad S30は一番下が65MHzなので、ほとんどの日本のFM局が受診できます。
FMラジオの利用には有線イヤホンの接続が必要(アンテナとして使うため)ですが、インターネット接続なしでも使えるというのは非常時にはメリットになるかと思います。ただし、受信感度は「場所による」と言いますか、私の場合は屋外ではよく聴けたものの、自宅内ではあまり感度は良くなかったです。
4.カメラ
AvidPad S30はイン8MP/アウト20MPと、価格の割に高い画素数のカメラ(特にアウトカメラ)を搭載しています。
カメラアプリは「え?これだけ?」というくらいにシンプルです。設定項目は本当に「画像右の通り」で、画素数の調整と場所データの保存有無しかありません。HDRのオン/オフ、セルフタイマー(3秒と10秒)、グリッド線の表示、インカメラ/アウトカメラの切り替えはできますし、ピンチイン/ピンチアウトでズーム撮影もできますけど、それ以外の機能はないです。また、撮影した画像の調整(コントラストとかフィルタなど)はできます。
ただねえ…、このカメラは設定云々以前に「厳しい」です。
これらはすべてS30のアウトカメラで20MPで撮影したものです。ピントも甘いですし発色も悪く、はっきり言って「まともな写真は撮れない」です。公表されているスペックだと「アウトカメラ20MP」なので、多少は画質に期待しますよね?実際に出来上がりの写真のサイズも20MPですが、「とても20MPの画質じゃありません」。「メモ」として使うくらいでしょうか。
5.性能テスト
Antutuベンチマークのスコアは24.7万点でした。搭載のSoCがUNISOC T606なので、概ね妥当な結果だと思います。比較的システム負荷の小さいパズルゲームとか2Dシューティングゲームなら問題なく遊べると思いますし、ゲーム以外の用途であれば割と快適に動作します。まあ、製品特性から考えて「これでいいかな」と思いますね。
6.レビューまとめ
AvidPad S30はAmazonで販売中で、5月28日現在の価格は14,949円です(製品ページにある5,000円OFFクーポンおよび5%OFFクーポンコードを使用した価格です)。
この価格を踏まえて評価すると、まずディスプレイの発色品質やスピーカーの音質は十分なものだと思います。ただし、ディスプレイ解像度がやや低めであるのが気になる方もおられるでしょうね。動画の場合はHD再生(720p)をカバーできる解像度なので、そこまで画質を心配する必要はないと思いますけど。
SoCのUNISOC T606というのは1万円台後半から2万円くらいの中国タブレットでは標準的と言える型番で、ベンチマークスコアも標準的と言えるものでした。ゲームに関してはタイトルを選ぶというか、原神などの3Dゲームを高画質でプレイするのは無理で、比較的軽めのタイトルなら十分楽しめると思いますし、ゲーム以外の用途、Web閲覧とか動画視聴ではストレスを感じません(私の主観です)。
プリインストールアプリにLINEとかZoom、Amazonプライムビデオ、Netflixなどが含まれている点についても親切だと思いました。これらのアプリは不要ならアンインストールもできますしね。
レビューしてみて、唯一「これはダメだろ!」と思ったのがカメラです。タブレットのカメラはそんなに使用頻度が高くはないですし、そもそもカメラ品質に期待してタブレットを購入される方も少ないと思いますが、「20MPを謳っておいてこの撮影品質」はやめてほしかったですね。イン2MP/アウト5MPとかの仕様であれば納得できたんですけど。
そして何より、8.68インチという小ぶりなサイズが素晴らしいです。というか、ここがAvidPad S30の購入検討にあたって最も重要なポイントですよね。1万円台前半から半ばくらいのタブレットは10インチ級のものが主流で、8インチ級の製品はそれほど選択肢が多いとは言えません。その中にあってスペックのバランスが良く、価格も手頃なAvidPad S30の存在は光るなあ、と感じました。
7.関連リンク
AvidPad(アビドパッド) S30:Amazon
ガラスフィルム:Amazon
カバー型ケース:Amazon
手帳型ケース:Amazon