AGMのタフネススマホのフラッグシップモデル「Glory PRO」の実機レビューです。Gloryシリーズには他に「Glory(無印)」「Glory SE」がありますが、このGlory PROはシリーズ最上位モデルで、「100dbの大音量スピーカー」「赤外線暗視カメラ」「サーマルカメラ」など、タフネススマホらしい機能が盛り込まれています。
なお、レビュー機はAGMよりサンプル提供していただきました。この場にて御礼を申し上げます。ありがとうございました。
・110dbと大音量かつクリアな音質のスピーカー
・IP68/IP69K/MIL-STD810H準拠のタフネス筐体
・赤外線暗視カメラに加え「サーマルカメラ」も搭載
・搭載CPUのSnapdragon 480 5GはAntutu 34万点
ここはイマイチ
・搭載CPUから見ると価格が高い
販売サイトはこちら
AGM Gloryシリーズ:AGM公式サイト
目次
1.Glory PRO スペック
スペック表
AGM Glory PRO | |
OS | Android 11 |
CPU | Qualcomm Snapdragon 480 5G |
RAM | 8GB |
ストレージ | 256GB |
ディスプレイ | 6.53インチ(2,340 x 1,080) |
LTEバンド | 5G:n1/2/3/5/7/8/28/41/66/77/78 FDD-LTE:B1/2/3/4/5/7/8/12/13 17/18/19/20/25/26/28A/28B/66 TDD-LTE:B34/38/39/40/41 |
SIM | nanoSIM x 2(SIM2はmicroSDと排他) |
ネットワーク | 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.0 |
入出力 | USB Type-C、microSDカード、3.5mmイヤホンジャック |
カメラ | イン16MP/アウト48MP+20MP+2MP+サーマル |
バッテリー | 3.7V/6,200 mAh |
サイズ | 174.8 x 84.2 x 17.5-23 mm |
重量 | 360 g |
コメント
OSはAndroid 11で、カスタムUIは採用されておらず、「素の」Androidに準じたものになっています。Androidの最新バージョンは「12」ですが、Google Pixelシリーズなど、一部の機種を除けば、まだ普及に時間がかかりそうなので、この点は仕方のないところでしょう。ただし、かのあゆが確認したところ、AGMは既存モデルへのOSアップデートは提供していないようなので、Gloryシリーズに関してもAndroid 12へのアップデートを受け取れる可能性は小さいと考えるほうが良いかもしれません。
CPUはSnapdragon 480 5Gです。Snapdragon 400番台といえば、かつてはそこまで性能が高くない…という印象でしたが、Snapdragon 480 5Gに関しては後述するAnTuTu BenchmarkのスコアでMediaTek Dimensity 810 5Gを搭載するPOCO M4 Pro 5Gに迫る数値を計測しており、十分メイン端末として運用できる性能となっています。RAMは8GB、ストレージは256GBという構成で、microSDカードによるストレージ拡張にも対応します。
ディスプレイは6.53インチサイズで解像度はFHD+(2,340 × 1,080)です。近年ミッドレンジスマートフォンでも採用され始めている高リフレッシュレート表示には対応していませんが、タフネススマホで90Hz以上のリフレッシュレートに対応している製品はまだ少なく、Glory PROの製品特性上も特に気にならないでしょう。
カメラはイン16MP、アウト48MP(メイン) + 20MP(赤外線暗視) + 2MP(マクロ) + サーマルカメラという構成です。ナイトビジョンモードに対応する赤外線暗視カメラ自体は以前実機レビューを行ったAGM H3にもありましたし、他社製品でも見受けられますが、サーマルカメラについてはまだ搭載製品は多くありません。
ワイヤレスネットワークは802.11a/b/g/n/ac/axとBluetooth 5.1に対応します。4G、5Gともに国内キャリアのバンドもサポートしていますが、技適の電磁表示は確認できませんでした。ドコモ系のVoLTEには対応しています。
バッテリー容量は6,200 mAhで、Qualcomm QuickCharge 3.0、およびUSB PDによる急速充電に対応しています。
2.Glory PRO 筐体と使用感
付属品はマニュアルなどのペーパー類(マニュアルは日本語がありませんでした)、SIMピン、QuickCharge 3.0対応のACアダプター、USB-C to Cケーブル、で、袋に入っているのはUSB-Cポート用の予備パッキン ×2です。Glory PROはUSBポートがゴムパッキンで覆われているのですが、その予備用ですね。予備のパッキンが付属する製品はこれまで見たことがありません。
前面です。デザインは同じAGMのH3に近いものになっており、ティアドロップ型のノッチを採用しています。
背面です。後述する110db出力の大型スピーカーを中心にアウトカメラレンズが配置されているデザインは個性的に感じます。また、このスピーカーは「こんもりと」盛り上がった形状です。
左側面にはSIMトレイ、アプリケーションボタンがあります。
右側面には電源ボタンとボリュームボタン。なお、側面の画像がやたらと傾いていますが、これは背面のカメラ部分が盛り上がっているためです。
上部にはアウトドアシーンで役に立つLEDライトが2つ搭載されています。
下部にはパッキンで覆われてUSB-Cポートと3.5 mmイヤホンジャックが配置されています。付属品のところにあった予備パッキンはここで使います。
システム
前述の通り、Androidのバージョンは「11」です。独自UIは採用されておらず、Pixelなどに見られるような「素の」Android OSに準じたソフトウェアが搭載されています。
プリインストールされているアプリはAndroid OS標準システムアプリとGoogle関連のアプリ、独自アプリの「クリーナー」、「FMラジオ」、そしてトランシーバーアプリ「Zello」と最小限となっています。タフネススマホによくインストールされている「ツールボックス」アプリはGlory PROにはありませんでした。カメラアプリが2つ搭載されていますが、こちらに関しては後述します。
内蔵ストレージ容量は256GBです。システムで使用している容量は21.77GBと大きめですが、大容量ストレージを搭載しているのでmicroSDカードを追加しなくても容量不足で困ることはないでしょう。
工場出荷時に搭載されているファームウェアで適用されているAndroidセキュリティアップデートは「2021年12月5日」と、この記事を執筆している時点で最新のものが適用されていました。
ディスプレイ
前回レビューしたAGM H3はエントリースペックで解像度はHD(1,520 ×720)でしたが、AGM Glory PROではFHD(2,340 × 1,080)の高解像度ディスプレイを搭載しています。パネルはIPS液晶が採用されており、画質は十分美しいものとなっていました。
ただし、DRM Infoで確認できるWideVineレベルは「L3」だったので、残念ながら動画配信サービスでHD画質での視聴はできません。
スピーカー
AGM Gloryシリーズの内蔵スピーカーはモノラルですが、「110db」という大音量を出すことができます。110dbという数値は自動車のクラクションと同じものになります。さすがに部屋の中で最大音量まで上げて音楽を再生する勇気はありませんでしたが、ボリューム設定を80%にした状態でも相当な大きさでした。
レビュー前はそこまで音質にこだわったスピーカーではないのだろうな…と思っていたのですが、意外と音割れもなくクリアなのでアウトドアシーンでの音楽再生や動画視聴にも活躍してくれそうです。
カメラ
AGM Glory PROはカメラアプリが2つ入っています。こちらは通常のカメラアプリで、「ナイトビジョンモード」や「夜景モード」などの機能があります。
サーマルカメラは標準カメラアプリではなく、「IR Camera」という別アプリで起動します。IR Cameraは写真だけでなく、動画の撮影も可能です。
画素数48MPのソニー製CMOSセンサーがメインレンズに採用されており、AIによるシーン識別にも対応しているので、明るい場所の写真や飯テロ写真をきれいに撮影することができます。飯テロ写真のサンプルはファミマの油そばですが、なかなかおいしそうに撮れていると思います。一方夜景に関しては「ナイトモード」が備わっていますが少しぼやけ気味な点が気になりました。
赤外線暗視カメラも備わっているので、暗い場所でも(モノクロ撮影になりますが)はっきりとした写真を撮影することができます。
Gloryシリーズの中でも最上位のPROのみに備わっているサーマルカメラは様々な物体の温度を簡単に確認することが可能です。ちなみに上は熱々のホットコーヒー、下はかのあゆがモバイルノートとして持ち歩いているMacBook 2017のものとなります。ニーズのある人は限られるかもしれませんが、ウインタブ的にはスマホやパソコンの実機レビューで「どれだけ発熱しているのか」を確認するのに役に立ちそうです。
3.Glory PRO 性能テスト
参考:
ASUS ROGPhone 5S(Snapdragon 888+):846,862
ASUS Zenfone 8(Snapdragon 888):785,280
Mi 11T(Dimensity 1200 Ultra):582,178
Xiaomi Pad 5(Snapdragon 860):566,309
Realme GT Master Edition(Snapdragon 778G):542,182
Xperia 1 SOV43(Snapdragon 855):511,163
Xiaomi Mi 11 Lite 5G(Snapdragon 780):500,573
Samsung Galaxy Fold SCV44(Snapdragon 855):414,302
OnePlus Nord CE 5G(Snapdragon 750):384,505
iiiF150 R2022(Helio G95):350,565
POCO M4 Pro 5G(Dimensity 810):349,498
OnePlus Nord N10(Snapdragon 690):342,506
POCO M3 Pro 5G(Dimensity 700):330,303
CHUWI HiPad Plus(MT8183):172,713
Samsung Galaxy Note FE(Exynos 8890):177,984
OUKITEL C22(Helio A22):99,664
AGM H3(Helio P22):84,184
geanee ADP-503G(MT6737M):46,316
すでにご説明したとおり、AGM Glory PRO 5GはCPUにSnapdragon 480 5Gを搭載しています。日本国内では2万円台で購入できるエントリーモデルに搭載されていることが多いCPUですが、総合スコアはMediaTek Dimensity 810 5Gに迫るものとなっており、「Snapdragon 400番台は低性能」というイメージはすでに過去のものとなっています。
GPUの性能もDimensity 810 5Gと同程度となっており、最高画質設定にこだわるのでなければ3Dゲームも楽しめる性能を備えています。この性能であればメイン端末としても十分活躍できるでしょう。
4.Glory PRO レビューまとめ
AGM Glory PROはAGM公式サイトで販売中で、12月30日現在の価格は799ドル(約92,000円)です。搭載CPU「だけ」見てしまえば日本国内ではOPPO A54S/A55やRedmi Note 10 JEといった1~2万円台で購入できるエントリーモデルと同等なので「高い!」と感じる人も多いかと思われます。
実際Glory PROがただのタフネススマホだったらかのあゆ自身「高い」と感じたと思いますが、この機種は「ガチ」にハードな環境で活用したいユーザーに向けて「大音量スピーカー」「赤外線暗視カメラ」「サーマルカメラ」「懐中電灯としても活躍できるデュアルLEDランプ」「超低温環境でも稼働可能」などタフネススマホに求められる要素をすべて詰め込んだモデルとなっていて、そもそも「ハイスペックスマホでゲームをやりたい」ユーザー向けの製品ではありません。
似たようなコンセプトの京セラ DuraForce ProシリーズやCAT S61(こちらもサーマルカメラを搭載しているタフネススマホです)も搭載CPUは決して高性能なものではないので、立ち位置的にはこれらの製品に近いものになっています。
高価なモデルではありますし、おそらくガジェクラ向けでもないでしょうが、「本物志向のタフネススマホ」をお探しなら、真っ先におすすめできる一台だと思います。
5.関連リンク
AGM Gloryシリーズ:AGM公式サイト
AGM Glory PROの実機レビュー(その2)- 超本格派の5Gタフネススマホ、ナイトビジョンとサーマルカメラが楽しい!