こんにちは、natsukiです。まず真っ先に、この記事は、オーディオマニア向けのものでは無いことを、強く強く(笑)強調しておきます。音質をあれこれカスタマイズする世界に、ちょっと興味はあるけど、話が複雑で金額も大きすぎて手を出してこなかった、って人へ向けての「有線イヤホン」入門記事です。「でも、オーディオ沼ってお高いんでしょう?」「いえいえ、こんな安くから試せますよ」というのが主旨です。なので、とりあげるのは「数千円程度」の価格帯で、「変化を感じられる」製品の組み合わせをピックアップしました。底なし沼の水辺で遊ぼうゼ。
なお、音源本体には、パソコン「Lenovo YOGA770」を使用しています。ソフト面ではDolby Atomsのシステムを備え、レビューは、制御アプリ「Dolby Access」からイコライズを「バランス」にして行っています。一方、オーディオの有線接続のハード面では、普通の3.5mmオーディオジャックやUSBという、これといった特徴の無い機器です。
目次
1.有線イヤホン「KZ Castor」― スイッチで音響を変更可能!なドンシャリイヤホン
製品概要と特徴
お金をかけずに自分の好みの音を追求してみたい、そんなあなたにお勧めするイヤホンはこれ、有線イヤホン「KZ Castor」。KZ Castorは、格安ながら高品質かつややマニアックな製品を輩出するブランド「KZ」の製品です。このブランドのイヤホンはドンシャリ型の音作りが多く、このKZ Castorも類に漏れず、低音の輪郭を崩さずにゴンゴン響かせてくれます。
一般的な音響設計の「Harman Target Version(シルバー)」と、低音補強型の「Harman Target with Improved Bass Version(ブラック)」の2バージョンを展開。私が持っているのは、ブラックの方。せっかくのKZなので、やはり低音で遊ばなきゃね。
そしてここが最大の特徴。何と、物理的なスイッチが付いていて、好みで音質をカスタマイズできます。4つのスイッチの組み合わせで、低音と中高音を、それぞれ2段階ブースト可能。デフォルトでは、低音域はそのままで、中高音域を最大ブーストの設定になっていました。このギミックもあって、サイズはかなりデカい。耳への固定は、イヤホン本体だけでなく、ケーブルも耳の上に回して引っかけるタイプなので、固定に難はありませんが、軽量のワイヤレスイヤホンなんかに比べれば、重量感はあります。
KZのイヤホンは、KZ Castorを含め、当然のごとくリケーブルに対応。ケーブルのコネクタは形状が何種類かあるのですが、KZ Castorは「QDC」端子です。最近のKZブランドのケーブルコネクタは、多くがこの形状ですね。
音質
音質は、微細な表現を逃さないクリアなサウンドながら、バランスはこれでもかというくらいのドンシャリ。良くも悪くも、音を「作ってしまう」タイプのイヤホンです。
特徴を分かりやすくするために、あえて先に、不向きなジャンルのクラシックで説明しておくと、例えば、ベルリンフィルのストラヴィンスキー「火の鳥」終盤では、ホルンソロの伴奏を奏でる弦楽器の微かなトレモロをしっかりキャッチしてオオッと思わせますが、弦楽器にメロディーが受け渡されるとやや固めの音質に不穏な予感が、続くフルートソロはキラキラしすぎてまるで日本刀で産毛を剃られているよう、ここで、ナルホドこういうイヤホンなのねと納得。そしてクライマックスは、予想に違わず金管・弦楽器ともに荒々しい攻撃的なサウンドに。
というわけで、原音忠実とはかけ離れた音作りなので、クラシック音楽には向きません。しかし、同じオーケストラ曲でも、アクションやSF映画のサントラ、ゲーム音楽など、迫力を求めるならアリ。特に、ハリウッドアクション映画の音楽なら何でもいいです、その壮大な響きはぜひ一聴あれ。壮大と言っても、残響感は少なくわりと音を近く感じる解像度重視のサウンドなので、グワっと響きで押し切るのではなく、音の情報量が押し寄せる緊張感のあるクライマックスを味わえます。ここは、さらにスイッチで低音にブーストをかけて、変化を味わうことでさらに楽しい。
原音忠実ではないものの、室内楽やジャズなど小編成の器楽曲では、音の臨場感が高いので、弦楽器の「擦れ」や、ギターの掠れ音など、おそらく本来の響き以上に奏者の「音楽の息づかい」が強調され、これはこれで面白く聴けます。
最も合うジャンルは、もちろん、テンション高めのヴォーカル曲。とりあえず、西川貴教「FREEDOM」聴きましょう。思わず絶叫しそうになるのを堪えるのは、相当の自制心が必要になります。FREEDOMッッッッ!!!! 音の情報量の多い複雑な曲、歌手の呼吸を感じたい曲、いずれも問答無用でテンションが上がります。歌唱力の高い歌手であればあるほど、手に汗握る緊迫した音楽体験を得られます。スイッチでのカスタマイズは、「Harman Target with Improved Bass Version」で低音をさらに増強するとさすがにボーカルが引っ込んで聴こえてしまうので、私はデフォルトの中高音域ブーストが合っているかと思いますが、これも低音でブンブン煽るのがよければそれもできるので、お好みで。
ともかく、クセは強いですワ。が、それだけに、スイッチのギミックもあいまって、「自分で音を追求してる」という満足感の強い製品です。
拡張性
先に触れたように、このKZ Castorは、リケーブルに対応します。また、当然ながら、イヤーピースの交換も可能。で、KZ Castorのデフォルトケーブルって、いかにもチープなんですよね。それから、これは個人差の大きい部分だとは思いますが、イヤーピースも、3種類のサイズが付いてくるものの、どれも私の耳にはフィット感がいまいち。素材のシリコンがやや固めなので、汎用性は低いと思います。本製品が得意とする低音を感じるにはフィット感って重要なので、ワザと換えたくなるような欲求を煽ってるんじゃないかと勘ぐってしまうくらいです。少しでも隙間を感じれば変更推奨。なお、イヤーピースを装着するノズル部分の形状はイヤホンによってまちまちですが、KZブランドははじめからカスタマイズ上等なので、普通のイヤーピースであれば問題なく装着できるはずです。
販路と価格
AmazonでもAliexpressでも売っています。いずれも出品者が多数いるので、「KZ Castor」で検索してみてください。Amazonでは、出品者によって頻繁に割引の対象になるので、そのとき割引の付いている出品者で、おおむね3,000円前後で買えます。Aliexpressでも、頻繁にアプリからの比較的大幅なコイン割引の対象となり、コイン割引込みで1,000円台前半から半ばで購入可能です。私は例によってAliexpressで購入しているので、私の購入元を下記にリンクしておきますが、上記のように、出品者が多く割引対象による価格変動が激しいので、そのときどきの安い出品者と信頼性を見極めてください。
KZ Castor:メーカーサイト
KZ Castor:Aliexpress「The Digital Life Emporium Store」(私が実際に購入した出品者です)
2.安物のUSB DACは効果があるのか?→ ある!有線イヤホン使うならとりあえず買っとけ
USB DACとは?
世の中には、USB DACなどと称される製品があります。USB DACというのは定まった名称ではなく、要するにUSBからオーディオジャックへの変換アダプターっぽいのにDACを内蔵してますよ~、というものです。DACといえば、そこそこゴツいそれなりのサイズの筐体で、価格もどんなに安くても1万円前後から数万円くらいというのが伝統的なイメージでしょう。ところが、最近だと、1,000円程度で買えて、サイズも、単なるUSB-オーディオジャック変換アダプタと変わらないようなものを見かけるようになりました。当然、これで本当に音質がよくなるのかよ?と疑問に思ってしまうわけですが、論より証拠、試してみようじゃあ~りませんか。
「CX31993」チップ搭載DAC
私が使っているDACがこれです。こいつ、何しろ正式な製品名がありません。「CX31993」というチップを積んだDACという、ただそれだけ。購入はAliexpressで1,000円以下。怪しさの極みですね。
箱なんかもなく、ご覧のようにビニル袋に突っ込んで、発泡スチロールの梱包材で巻いてあっただけの、いわゆるバルクでした。Aliexpressでは同等品が膨大な出品者から出されていて(中身まで本当に同等品かは知りません)、いつもどれかしらは比較的大幅なコイン割引の対象になっているので、特にセール時期でなくても、アプリからのコイン割引を使えば1,000円以下で手に入るでしょう。
チップとスペックについて
DACの根幹ともなるチップについて、軽く解説を。Aliexpressの格安DACで、よく見かけるのが「CX31993」と「ALC5686」。この両者は、今回のような1,000円前後の格安DACにも搭載されているものでありながら、なんとビット深度/サンプルレートが32bit/384kHzでの再生が可能です。もっとも、CDの音質が16bit/44.1kHz、Youtubeの推奨音質も24bit/44.1kHzです(YOUTUBEの高音質追求の話はそれはそれでややこしいので省略)。ビット深度/サンプルレート、それからビットレートなどの意味するところは、今回の記事では脇道なので省略します。感覚的なものながら、今回の記事で紹介しているくらいのグレードの製品での視聴環境であれば、いわゆるハイレゾ音源を聴くにしても、せいぜい24bit/96kHzくらいのデジタル音質が分相応かと思います。これ以上のデータ量をそれと分かるくらいにしっかり再生したいなら、さすがにそれなりに金をかけましょう。なので、数値はどう考えてもオーバースペックです。まあ、大は小を兼ねるということで。
サイズ
サイズは、見ての通り、小さい。USB Type-Cとオーディオジャックの単なる変換アダプターにしか見えません。なんなら有線イヤホンに付けっぱなしでもいいでしょう。
設定
DACをパソコンに挿したら、設定のオーディオメニューから、DACの設定を行いましょう。とはいえ、上述のように、YOUTUBEで聴くくらいなら、ビット深度を24bitにしておくくらいで、実際のところほとんど音響は変わりません。ハイレゾ音源を聴くなら、それに合わせましょう。
使用イヤホン
イヤホンは、KZ Castorの他に、相当前に買って使っている、UGREEN製の1,000円台半ばで買える有線イヤホンでもチェック。UGREENなので、まあ、大ハズレしない品質はあります。元々は、WEB飲み会用に、ワイヤレスイヤホンだとバッテリーが気になる場合があるので買ったものです(笑)。
UGREEN イヤホン 有線 マイク付き 3.5mm:Amazon
音質
結論を言います。全然違う!弱音の表現力、音の解像度や空間表現、低音の迫力に高音の伸びなどなど、すべてにおいて分かりやすく音質がグレードアップ! ハイレゾとか、そんなん関係無しで、音源がYOUTUBEだろうが、イヤホンを換えようが全然違います。正直、ここまではっきりとした変化があるとは思っていませんでした。うーむ、恐るべし。
販路と価格、類似品
結論。1,000円程度の、USB-オーディオジャック変換アダプターとサイズが変わらないような安物USB DACでも、音質はわりと劇的に改善します。1,000円台クラスの有線イヤホンでも、十分に違いが分かります。
私が使っているものは、先述のようにAliexpressで1,000円以下で手に入れたものですが、Amazonでも「CX31993」と検索すると、おそらく同等品が1,000円台半ばで手に入ります。Amazonだと、箱とUSB Type-Aへの変換アダプターが付いてくるものが多いので、コスパはどっちで買ってもあまり変わりません。あるいは1,000円台であればAnker、BUFFALO、UGREENあたりの有名メーカーが「24bit/96KHz」スペックのものを出しています。スペックはダウンするものの、先述のように「24bit/96KHz」でも十分なので、これら信頼できるメーカーのものを買った方が安心かもしれませんね。ちなみに2,000円台ならば、UGREENも32bit/384kHz対応で、DACのみのものと充電ポート付きのものを出しています。
有線イヤホンで音楽を聴く人には、これらUSB DACを文句なしにお勧めします。かさばらず、1,000円台の出費で、それまでよりワンランク上の音楽体験を買えます!どのみちスマホで有線イヤホンを使うなら、最近のスマホは3.5mmオーディオジャックを廃止したものも多いので、変換アダプターが必要になります。であれば、ちょっとだけ足してDAC内蔵のものを買いましょう。
Hifi USB DAC タイプCから3.5mmのヘッドフォン:Aliexpress「Digital World Store Store」(私が実際に購入した出品者です)
Anker USB-C & 3.5 mm オーディオアダプタ ハイレゾ対応 高耐久:Amazon
バッファロー USB Type-C 3.5mm 3極 4極 オーディオ 変換 アダプター ハイレゾ対応 DAC搭載:Amazon
【ハイレゾ音質】 UGREEN USB C イヤホンジャック変換 USB C-3.5mm イヤホン変換アダプター DAC搭載:Amazon
UGREEN Type-C to 3.5mm イヤホン 変換アダプター L字型 3極/4極 TRRS対応 メスからオス イヤホンジャック DACチップ搭載:Amazon
UGREEN USB C イヤホンジャック 変換 タイプc イヤホン変換アダプタ DAC搭載 32bit/384KHz:Amazon
UGREEN USB-C to 3.5mm オーディオ変換アダプター タイプC イヤホン 変換 PD 60W 高速充電 DAC搭載 Hi-Res 32Bit/384KHz(充電ポート付き):Amazon
3.リケーブルで遊ぶ!―「NICEHCK RedAG」に換えて聴く
ケーブルのコネクタ形状に注意
さて、KZ Castorは「リケーブル」、つまりケーブル交換に対応しています。はたして、ケーブル交換で音は変わるのか? いよいよ、オカルトじみた領域に踏み込んでいきます(笑)。
基本的な話として、イヤホンのケーブルコネクタの形状は色々とあり、比較的よく見るものはMMCX/2pin(0.78mm)/QDCなどです。KZ Castorのコネクタは「QDC」です。QDCは、もともと2pin(0.75mm)の固定力を上げた改良版として出てきた経緯があるので、2pin(0.75mm)と互換性はありますが、固定力は落ちるので、やはりQDCコネクタを備えたケーブルを使いたい。ともかく、ややこしいですが、これが合わないとどうしようもありません。ピンがわずかに太い2pin(0.78mm)をQDCに挿しても問題無く使えるという情報もありますが、自己責任で。
ケーブルを「NICEHCK RedAG」にチェンジ
私がKZ Castorをリケーブルしているケーブルは、この「NICEHCK RedAG」。NICEHCKも、やはりマニアックな製品を輩出するブランド。イヤホンそのものも販売していますが、特にイヤホンケーブルのブランドとして名をはせているイメージがあります。ネット上でいろいろ情報を漁っていると、KZイヤホンと相性が良いようなので購入。「AG」とあるように、このケーブルのウリは純銀製ケーブルを採用していること(厳密には純銀線と純銅線)。イヤホン側のコネクタ形状MMCX/2pin(0.78mm)/QDCと、オーディオジャック側も2.5mm/3.5mm/4.4mmのそれぞれ3種類のタイプに対応した、3×3=9種類のバリエーションがあります。Aliexpressで、約1,200円で購入。Amazonだと約3,000円ですが、記事執筆現在、QDCと3.5mmの組み合わせは販売していません。
「NICEHCK RedAG」の外観
色は「Red」の名の如く、印象的な濃赤。デフォルトのケーブルと比較するとかなり太く、ややかさばりはします。外側は布製で、タッチノイズに強くなっています。ケーブルマネージャーはありますがスカスカで、固定はできません。役立つのは収納時にバタつきがマシになる程度でしょう。
「NICEHCK RedAG」にリケーブルして音は変わるのか?
肝心の音質変化です。うん、私の耳だと、変わって聴こえますね。中高音域がさらにスッキリして細かな情報量が増えた感があります。シンバルのクラッシュ音なんかはより硬質に聴こえます。KZ Castorは、もともと中高音域が華やかですが、その特性がもうひと回り際立つ感じ。特に女性ボーカルで、恩恵が大きいように思います。例えばYOASOBI「勇者」は、ボイスチェンジャーと肉声のコントラストがひときわ映え、呼吸や発音を強調するRADWIMPS「すずめ feat.十明」の臨場感がさらに増すといったところ。
ただし、DACほどの変化はありません。これで「別に変わらないじゃん、プラシーボじゃねーの?」と思ったら、おめでとうございます。オーディオ沼の引き返しどころです(笑)。違いを感じてしまったあなたは……、これで納得するか、別の音の変化を求めて、もう一歩、もう一歩と沼に沈んでいくか……?
販路と価格
「NICEHCK RedAG」は、Aliexpressだと、頻繁にアプリからのコイン割引の対象になって、おおむね1,000円台前半から半ばで購入可能です。やはり多数の出品者がいるので、そのときの価格と信頼性を勘案してください。私が購入したのは、「NICEHCK Official Store」という、一応NICEHCKの公式Xアカウントからリンクしている出品者です。Amazonでは、販売はしているものの、記事執筆現在、上述のようにQDCと3.5mmの組み合わせがないので、KZ Castorでは使えません。
Nicehck redag 4nピュアシルバーHi-Fiイヤホン同軸ケーブル:Aliexpress「NICEHCK Official Store」(私が実際に購入した出品者です。6月27日現在セールになっておらず、高いです)
NICEHCK RedAg 4N単結晶純銀 イヤホンリケーブル 高導電性銅のシールド層 第2世代純銀ケーブル:Amazon(記事執筆現在は、KZ Castorで使えるコネクタ形状のものは販売していないので注意)
4.イヤーピース ― とりあえず耳にフィットすれば良し
イヤーピースも、音質を変えます。素材がどうとか構造がどうとか細かい話は置いておいても、とりあえず、耳へのフィット感が高ければ、全然聴こえ方が違ってきますからね。ほとんどのイヤーピースは、まず、大まかな素材から、「シリコンタイプ」と、低反発のウレタン素材による「フォームタイプ(コンフォートタイプ)」に大別されます。とりあえず、より一般的なシリコンタイプの話のみします。ぶっちゃけ、私があまりフォームタイプの装着感が好きでないというだけなんですが。
で、ともかくフィット感が良ければいいので、デフォルトのものでも、100円ショップで買ってきたのでも、耳に形が合えばOK。そして私の耳の場合、KZ Castorのデフォルトのイヤーピースは、先述のようにどれもしっくりこないんですよ。別に、以前から持ってるイヤホンのを使ったっていいんですが、現在手持ちで個人的に最高のフィット感の「XROUND FORGE NC」は、残念ながらノズルの形状がかなり異なるため、イヤーピースを使い回せません。
と、いうことで、買っちまったのがコレです。フィット感で評判の高い「AZLA SednaEarfit XELASTEC II」。この製品は「熱可塑性エラストマー」素材を採用していて、要するに体温で変形して耳の形状にフィットするというもの。サイズは、できれば店頭で確認できればベストですが、それができない場合でも、3サイズセット売りをしているのでまとめ買いすれば安心。実際に、さすがの評判に違わぬフィット感。ペタペタする質感に好みが分かれるかもしれませんが、万能に聴ける、文句なしに非常に優れたイヤーピースです。た、だ、し、です。3サイズセットの価格はAmazonで3,500円。イヤーピースに3,500円……。えーっと、KZ Castor本体と、USB DACと、ケーブルNICEHCK RedAGの総額より高いンすけど……。沼の淵で遊んでいたつもりが、油断してズブっと踏み込んでしまった感じですね。
ええ、分かってます。この製品は今回の記事から主旨が少し逸れました。実際のところ、実売約200円の「ソニー ハイブリッドイヤーピース EP-EX11M」で十分だと思いますよ。天下のソニーによる、ド定番ロングセラーベストヒット万能製品です。
AZLA SednaEarfit XELASTEC II Standard:Amazon
ソニー ハイブリッドイヤーピース EP-EX11M:Amazon
5.まとめ
今回の記事では、低価格で、音質の方向性としては、ドンシャリ型イヤホンをさらに突き詰めて攻めてみました。価格では最後のイヤーピースでやや暴走してしまいましたが、Aliexpressを使う前提なら、KZ Castorで遊び尽くすのに、本来は予算5,000円ほどあれば十分です。これで、ボーカル曲や映画やゲームのサントラなどは、(原音忠実とは言い難いとはいえ)十二分以上に楽しんで聴けます。
率直に言って、このくらいのグレードだと、「オールマイティに良い音」を追求するのはさすがに無理があります。しかしだからこそ、特定のジャンルや曲に応じて、製品のクセや長所を活かした「自分好みのサウンドを追求する楽しみ」を感じられることでしょう。
さて、ここから先、とりあえずこの辺で満足しておくか、さらに「良い音」を求めてグレードを上げていくか、同価格帯の製品を並べて音質のバリエーションを広げるか、それは皆さん次第ってことで。