こんにちは、natsukiです。SOUNDPEATSの新製品、「CCイヤーカフイヤホン」のレビューをお届けします。まず先に、結論。このイヤホン、既存の私が聴いてきたイヤホンとはまったく異なる音響で、一聴して、ナンダコレハ!こんな体験があるのか!?と問答無用で感動しました。私がイヤーカフ型のイヤホンをはじめて使用したというのもありますが、それにしても、非常に大きな衝撃を受けた製品です。一方で、イヤーカフ型というのは、やはりクセも強く、使用環境を選ぶとも感じたのでそのあたりもお伝えします。なお、この製品は元々「PearlClip Pro」という名称で、日本での製品名は「CCイヤーカフイヤホン」となるようです。そのため、箱やアプリなどに「PearlClip Pro」の表記も残っています。また、レビュー品はメーカーからの提供になります。
・従来型のイヤホンとはまったく異なる「新しい音楽体験」を得られる製品
・イヤホンとは思えない広がりを持った音響空間
・現実世界に溶け込む、自然でリアルなサウンド
・迫力があるのに押しつけがましくない低音
・周囲の音はそのまま聞こえるので、歩きながらでも安全
・常識的な音量なら音漏れは心配なし
ここはイマイチ
・騒音のある環境との相性は致命的に悪い
・弱音表現はやや苦手
・耳の形にもよるが、激しい運動には向かない
販売サイトはこちら
SOUNDPEATS CC イヤーカフ イヤホン
※製品ページの563円OFFクーポンとクーポンコード「WINTABNETSP2」を併用すると5,316円(12月6日まで)
目次
1.基本スペック
基本的なスペックは、次の通りです。
形状:イヤーカフ型
接続:Bluetooth5.4
対応コーデック:AAC,SBC
ドライバー:12mmデュアルマグネットダイナミックドライバー
防水性能:IPX5
最大持続時間(イヤホンのみ):6時間
最大持続時間(ケース込み):24時間
マルチポイント:対応
通話用ノイズキャンセリング:対応
アプリ:PeatsAudio
カタログスペック上は、特に目立ったものはありません。ワイヤレスイヤホンとして、一般的なものです。防水性能はIPX5なので、雨に濡れたくらいなら問題ないでしょう。対応コーデックは、SBCとAACまで。よりハイスペックなコーデックに対応していないのを残念に思う向きもあるかもしれませんが、後述のように、音響特性から、緻密さで勝負するタイプではないので、これで十分です。通話用ノイズキャンセリングは、その名の通り、こちらから発した音をマイクで拾うときのノイズキャンセリングであって、周囲の音を軽減するいわゆるアクティブノイズキャンセイリングは搭載していません。というか、後でも強調しますが、外部のノイズを「キャンセルしない」のが、この製品のメリットでもありデメリットでもあります。
2.筐体
では、実機を見ていきます。
同梱品はこのとおりシンプル。右上のはステッカーです。
ケースです。レビュー機のカラーは「ブラック」です。メーカーの製品ページには、他のカラーの写真も載っていますが、記事執筆現在、発売しているカラーバリエーションは、この「ブラック」だけのようです。ケース前面には、充電インジケーターとペアリングリセットボタン。
ケース背面には、関節部に「SOUDPEATS」のロゴと、充電用USB Type-Cポート。
開けるとこんな感じ。
イヤホン本体です。これ、左右の形がほぼ同じなので、初見では区別つかなくなるんじゃなかろうかと不安になったんですが、ご安心ください。ケースにしまうたびに10秒で左右がリセットされるようになっています。うーん、よくできてる。
片方重量は、ほぼ6gです。
3.音響
聴いた瞬間分かる、感動の空間表現
このCCイヤーカフイヤホンの音響の特徴は、何と言っても、一聴して分かる自然で広大な空間表現と、現実世界に溶け込むリアルな音響です。娘が聴いた瞬間の一言、「何これ、立体音響?スゴっ」というのが、端的に表しているでしょう。
一般的なイヤホンの音響空間が「頭の中に広がる」感覚だとするなら、この製品は、あたかもそこに音源が実際に存在するかのように、自然に外部で鳴ります。物理的には、耳道の手前で音が発せられ、そこに優れた低音表現能力が加わることで、リアリティある空間が演出されるんです。また、密室にいるかのようなヘッドホンとも違った、開放感を感じさせます。カナルタイプやオープンイヤータイプのイヤホンとはまったく異なる、聴いた瞬間「こんな響きがあるのか!」と感動する音響です。
バランスと特性
以下は、イコライズは「SOUNDPEATSクラシック」、かつ「ダイナミックEQ」ONの状態での評価です。バランス的にはかなりの低音強調です。ただこの低音強調による残響感が、擬似的な「環境音」となって、広大な空間を感じさせてくれます。結果的に、あまり硬い音にはならず、低音の音量が上がっても不自然さは感じさせません。全体的にはドンシャリ型で高音も強いため、中高音はシャープに響きます。「ダイナミックEQ」をOFFにすると、スッキリする分、やや高音過多で曲によっては音質のザラつきが目立ちます。「ダイナミックEQ」は、この製品の利点である空間表現を強調してくれるので、まずはONで聴くことをお勧めします。
全体的に、残響感のある音響のため、音源は一定の距離を置いて鳴っている感覚となります。従って、音源に「寄る」ような緻密さはないものの、実際の演奏を聴いているようなリアリティを感じさせてくれます。なお、コーデックがSBCとACC止まりですが、僅かな繊細さを競うような音響ではないため、これで十分音楽の魅力を楽しめます。従来型のイヤホンとは、突き詰めていく方向性が違うと言えます。
かなり色々な音源を聴いてみましたが、どれを聴いても、他イヤホンとは大きく異なる「CC イヤーカフ イヤホンの音」となるので、以下、個別の楽曲ではなくジャンルによる印象をまとめます。
ポップス系ボーカル曲は、男声女声に限らず、自然に楽しめます。もともとポップス系はドンシャリ型のバランスと相性がいいので、文句なしです。低音が強いので、ロック系の曲の場合も迫力は十分。
クラシック音楽は、ティンパニやバスドラムが大音量ぎみで、フルートやバイオリンソロなど高音がやや痩せて聞こえるなど、この製品のバランス加減が音色に影響するものの、広大な空間表現との相性は素晴らしいの一言。原音再現ではないけれど、体験として満足できる音響になってます。あと、後述のように、イヤホンの特性として大きめの音量で再生する必要があるため、音量のレンジの幅の大きい曲での弱音はやや苦手な傾向があります。曲によって、特性がハマる曲と外れる曲の差が激しいかもしれません。この辺のバランスや音色が気になる場合は、イコライズで調整するとよいでしょう。
ゲームについて、後述のゲームモードなら、原神のようなタイミングの雑なゲームは十分楽しめます。これも、空間表現が素晴らしいので、FPSや原神のような、3D空間を動き回るゲームこそ適しているでしょう。例えば、原神をプレイしていて、通常のイヤホンであれば、ゲーム内の町中の話し声や周囲の音を現実の音と聞き間違えることはありませんが、このイヤホンだと、ゲーム内の音が現実の音に溶け込んで、後ろで誰か話したかと振り返ってしまうくらいです。
良くも悪くも、周りの音がよくきこえる
形状から来る特性として、当然のことながら、周りの音はよくきこえます。これは、かなり強烈なメリットでもあり、デメリットでもあります。
メリットとしては、もちろん、周りから何か声をかけられたときに聞き逃しにくく、あるいは歩きながら聴いているときの安全性が比較的高い、ということがあります。また、音響面では、この「外界と連続した音響」が、本製品の白眉である自然な表現を実現しています。
デメリットとしては、当然の如く騒音のある環境とは致命的に合いません。とりあえず、都市部の駅や、電車内では、音楽を楽しむことは不可能です。本機は、常識的な音量ならば音漏れは気にしなくて大丈夫ですが、こういった騒音のある環境で無理矢理聴き取れるくらいの音量を出すと、さすがに音漏れも問題になります。車の多い大通りでも、駅や車内とはレベルが違うものの、わりと厳しいものがあります。商店街のアナウンスやショッピングモールのBGMなんかとも干渉しまくり。基本的に、比較的静かな環境で楽しむための製品で、通勤通学時用にはお勧めしません。
常識的な音量なら、音漏れは気にならない
このような形状だと、音漏れが気になりますが、しっかり指向性が効いているのか、常識的な音量なら音漏れが気になることはないでしょう。ただし、上記のように、周囲の騒音に対抗して音量を上げたりすると、問題になります。
一般的なイヤホンより、やや大きめの音量で鳴らす必要がある
耳の入り口で鳴らすため、親機の音量は、一般的な他のイヤホンよりやや大きめにする必要があります。配信やYOUTUBEの公式チャンネル、CD取り込みといった商業的に録音されている音源は、最小音量もキッチリ鳴るように調整されているので、基本的に問題ありません。ただし、例えば自前の録音などで絶対音量が小さい場合や、または、クラシック音楽の一部の楽曲ような音量のレンジが非常に広い曲の弱音だと、聴きにくいことがあるかもしれません。
4.その他使用感
装着感
ご覧のような、耳を挟み込む形状。装着感も、一般的なイヤホンとは異なります。なお、耳の形状の個人差はあるかもしれませんが、「収まりが悪い」というようなことはなく、実際に挟んでみれば、「この位置」というのはちゃんと自然に定まります。宣伝文句だと、「ほぼ”つけてる”感がない」とか言ってますが、それはないですね(笑)。イヤリングほどではないものの、やや「ぶら下げてる感」があります。固定は、軽く走るくらいなら外れることはないと思います。ただし、この「ぶら下げてる感」のため、激しく動くと振り回されるような感じがして、そっちが気になります。あまりスポーツには向かないでしょう。歩くくらいなら問題ありません。
メガネやマスクと干渉しないというのも、ウリになっています。耳道に突っ込む形状ではないので、メガネやマスクで耳道が圧迫されるという人は、こちらの方が楽になるでしょう。その辺は、各自の耳の形状や、メガネのツルが合っているか、マスクのゴムの張力がどうかというあたりにもよると思います。一般論として、マスクは多少は耳道を圧迫するのでこっちの方が楽だとは思います。
なお、装着時は、はじめは両手を使いますが、多少慣れると、指三本で間隔を開けるようになってくるので、片手でできます。
タッチ操作
タッチ操作は、カナル型やオープンイヤー型ワイヤレスイヤホンに比べて、慣れるまではタッチ部分の当たりをつけにくいかもしれません。また、デフォルトではシングルタッチでの操作が有効になっているのですが、このような形状の特性から誤タッチをしやすいです。幸い、アプリでかなり細かく操作を設定できるので、シングルタッチは封印しておくことをお勧めします。総じて、通常の形状のワイヤレスイヤホンに比べて、やや操作はしにくいものの、もちろん使用に支障があるほどではありません。
5.アプリ
このCCイヤーカフイヤホンは、アプリ「PeatsAudio」によって、様々な設定が可能です。なお、このPeatsAudioは、最近のSOUNDPEATS製品には共通して使えるようで、先日レビューした「SOUNDPEATS Air5」にも使えます。当然ながら、製品によって、メニューは違います。
PeatsAudio:Google Play
PeatsAudio:App Store
ホーム画面
基本画面です。右上の三本線マークから設定画面に移ります。言語は、英語、中国語、ドイツ語、日本語に対応。ただ、日本語だと、一通り使用した限りだと「ムービーモード」のアナウンスが入っていませんでした。英語が無難かと思います。
また、ホーム画面から「タッチコントロール無効」「ゲームモード・ムービーモード」「ダイナミックEQ」のON/OFFも可能です。これらのうち、「ゲームモード・ムービーモード」は、タッチ操作への割り当ても可能です。
キーカスタマイズ
キーカスタマイズの自由度は、かなり高くなっています。上の画面は、私が自分が使いやすいように設定を変えた後です。先に触れたように、デフォルトではシングルクリックにも機能が割り当てられていますが、誤タッチをしやすいので、個人的には切っておくことをお勧めします。
ゲームモード・ムービーモード
ゲームモードは、0.06秒の遅延をうたいます。余談ですが、遅延を体感的に測るには、カメラを使ってみると、スマホ側のシャッター音とイヤホンのシャッター音の両方が鳴るので、遅延のほどが分かります。で、ゲームモードならかなり遅延は緩和されますが、あるかないかで言えばあります。原神くらいタイミングに雑なゲームであれば、十分プレイ可能です。音ゲーとかシビアなものは、やはりワイヤレスでは厳しいと思います。
ムービーモードは、ただでさえ大きい残響を、さらにグワングワン響かせてこれでもかというくらい空間を演出します。音楽試聴には向きませんが、名称通り、アクション映画などを見るときには、イヤホンとは思えない体験が可能です。この製品の得意分野に輪をかけた、そうとうに悪ノリした音響なので、一聴の価値あり。
イコライズ
イコライズは、分かりやすく直感的に調整可能です。
ちなみに、「適応型EQ」は、聴力テストを行って個人の耳に合わせたイコライズを行うものですが……、これキツいっす。この製品は、周囲の音がまる聞こえなわけですが、深夜でも、テストを行っている途中に車が通ったり風が強く吹いたりしますからね。一定時間安定して静寂な環境って、なかなかないんだってことを実感させられます(笑)。
アカウント画面
アカウント画面です。見たまんまで、特に解説は要らないかと思います。
6.まとめと価格など
いや、これはスゴいイヤホンです。「圧倒的な音響空間」「現実に溶け込む自然なサウンド」という特徴が、従来私が聴いてきたイヤホンとはレベルが違う。久々に「音楽体験そのものを買う」製品に出会いました。
外部の音がまるまる聞こえてしまうという構造は、極端なメリットとデメリットになっています。外部の音を聞き逃しにくく、音響面ではリアリティある表現を実現する一方、騒音には決定的に弱く、基本的に、それなりに静かな環境で使う製品です。
SOUNDPEATS CC イヤーカフ イヤホンの通常価格は7,280円ですが、この記事公開時点でAmazonブラックフライデーセールが開催されており、SOUNDPEATSから読者向けにクーポンもいただいていますので、5,316円で購入できます。製品ページの563円OFFクーポンと読者クーポン「WINTABNETSP2」を併用した場合。セール期間は12月6日まで)。
なお、ブラックフライデーセールが終了する12月7日以降も5%OFFクーポンコード「SPCCPPRM062」が使えます(12月31日まで)。
個性が明確なだけに、この音のために買ったんだ!という満足感はひとしおな製品だと思います。
7.関連リンク
SOUNDPEATS CC イヤーカフ イヤホン:Amazon
※製品ページの563円OFFクーポンとクーポンコード「WINTABNETSP2」を併用すると5,316円(12月6日まで)
ウインタブをきっかけに、海外通販で奇天烈なガジェットを漁ることにハマる。趣味は旅行(自然も史跡も)、アマチュアオーケストラなど。自分の知識欲も満たせるので、楽しんで記事を書いています。興味を持ったもの、面白いと思ったものを、読者の皆さんと共有できれば幸いです。