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Slow Dance Art Photo Frame(スローダンス アートフォトフレーム)レビュー - 実物がスローモーションする!クラウドファンディング発の科学アート(実機レビュー:natsuki)

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Slow Dance Art Photo Frame
こんにちは、natsukiです。今回は、いつもとかなり方向性の異なる製品を紹介・レビューさせていただきます。「スローダンス アートフォトフレーム」です。製品名にもあるように、実用品では無く、「アート」です。ただし、単に飾って鑑賞するだけでは無く、その仕組みも楽しめる、いわば「科学アート」とも呼べるようなものとなっています。

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完全に普段のウインタブの守備範囲外ですが、ウインタブ読者の皆さんなら、きっとこういう製品も大好物なはず。で、具体的にどんなものか? と聞かれると、これが文章で表現しづらい。なんと、スローモーションを肉眼で見ることが出来ます! ……ちょっと何言っているかよく分からないですね。冒頭の製品写真を見ても、これがいったいどうなるのか、知っていなければ分かる人はまずいないと思います。どうなると思いますか?

なお、今回の製品はBanggoodより提供していただきました。この製品、以前より個人的にすごく興味を持っていたもので、ウインタブというサイトの性格を越えて、このたびの機会を作ってもらったことは大変うれしく思っています。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございます。余談ですが、この製品は、他の海外通販サイトとは一味違ったBanggoodの個性を象徴する製品だと思っています。その話はまた後ほど。

1.梱包の不備による破損と、今後の改善について

レビューをはじめる前に、お断りが一つあります。実はこの製品、Banggoodに中国から送ってもらったわけですが、届いたときには、大きく破損していました。具体的には、製品中央に見える大きなコイルの支柱が二本ともポッキリ折れており、また、内部も、基板を支える支柱が折れていて、基板とそれに付属するスイッチ・ダイヤル類がガタついている状態でした。幸いにして動作に関する部分は無事であったので、私の方で分解、修理して今回のレビューを行っています。

破損の原因ですが、状況を見るに、おそらく製品の問題では無く、梱包に原因があると思われます。すなわち、後でレビューを見ると分かるように、この製品は非常にデリケートな構造をしているのですが、外部包装は、箱を薄い発泡スチロール膜で巻いてビニール袋に入れただけの簡易的なものでした。内部包装も、製品の性質上、製品の型に合わせてがっちりホールドするようなものではありません。このため、輸送時の衝撃によって破損したであろう事は、現物を見ると容易に想像がつきました。

この点については、すでにBanggoodに「製品の強度に対して梱包品質が十分でない」事を伝達してあり、Banggoodより、梱包を改善し、もし破損があった場合にはカスタマーサポートまで連絡をもらえれば交換対応を行う、との返答を得ています。

本来、破損品を修理してレビューを行うのは適切ではありません。ただ、今回の場合、破損の原因は製品そのものより、梱包と輸送に起因する可能性が高いということ、また、以上のように、破損の状況、予測される原因、そして提供元とのやりとりを公表した上でレビューを行うことは、製品そのもののレビューとは別の意味でも十分にユーザーの利益となるものであると考え、記事を公開させていただきます。

それでは、レビューをご覧ください。

2.で、これは何なんだ

本題です。製品名には「フォトフレーム」なんて書いてありますが、「そういう形をしている」というだけで、写真を飾ることはできません。飾るのは、はじめから付属している「羽」などの、「軽くて」「揺れるもの」です。じゃあ、飾るとどうなるのか? 百聞は一見にしかず、付属の羽を飾ってみましょう。

傾いていてすみません。これ、動画の方でスローモーションにしているわけではありません。実際に「こういうふうに見えている」んです。ちょっとネタバレも兼ねて、部屋の明かりを付けた状態で撮ってみます。

ブルブル高速で震えているのが、分かるでしょうか? つまり、「本来高速で動いているもの」が、「肉眼でスローモーションに見える」という製品です。

3.どういう仕組みになっているのか?

Slow Dance Art Photo Frame
いったい、どういう仕組みになっているかというと、まず、対象の物体を固定する金属板が小刻みに振動しています。そして、そこに固定してある対象の物体も、高速で振動しています。

Slow Dance Art Photo Frame
一方、フレーム部分には、対象の物体を照らす照明がついているんですが、実は、この照明も、非常に高速で点滅しています。

つまり、部屋の明かりを消して、この製品の照明しかない状態では、私たちの目には、高速で振動する物体の「照明がついた瞬間の状態」しか見えていないことになります。ここでもし、対象物体の振動と、照明の点滅がまったく同じ速度であったならば、物体は完全に静止して見えることでしょう。ならば、物体の振動と照明の点滅速度が、ズレたならどうなるのか。

Slow Dance Art Photo Frame
イメージグラフを作ってみました。結構力作のつもりなんですが、これで伝わりますでしょうか? つまり、実際の振動よりも、はるかに遅い速度で揺れているように錯覚することになるわけです。

4.あらためて、筐体と同梱品

同梱品

あらためて、製品の細部と同梱品を見てみます。

Slow Dance Art Photo Frame
外部包装は、撮ってませんでした。内部包装は、こんな感じ。プチプチで包んで、発泡スチロールの切れ端を隙間に詰めてあります。残念ながら、コイル部分が破損しているのも見てとれるかと思います。

Slow Dance Art Photo Frame
同梱品一覧です。

本体、電源アダプター、ビニル袋の中には、羽が2セットと固定用ゴムのスペアが入っています。固定用の金属板が薄いので、ゴムはすぐに切れてしまいますが、普通の輪ゴムで代用してもまったく問題ありません。また、右手前にあるのはネオジム磁石4つ。

Slow Dance Art Photo Frame
ネオジム磁石は、1つずつは、ご覧のように金属板に張り付いていました。後述しますが、これは振動を調整するためのもので、磁力でひっついているだけです。

Slow Dance Art Photo Frame
そのためか、もう2つは金属板から外れて、このようにフレームに紛れ込んでいました。

なお、説明書の類いはなにもありません。使い方は複雑なことは何もなく、基本的に製品ページに書いてあるだけで十分ですが、ネオジム磁石の使い方がちょっと分かりづらいので、それは後で実際にやってみます。

筐体

筐体をぐるっと見てみましょう。

Slow Dance Art Photo Frame
Slow Dance Art Photo Frame
Slow Dance Art Photo Frame
Slow Dance Art Photo Frame
ニス塗りはキレイで、木工の加工精度も高く仕上がっています。一方で、コイルや照明のダイオードなどは、そのままの無骨な姿で、「インテリア」というよりは「実験器具」という印象が強いかも。

Slow Dance Art Photo Frame
この製品のキモである、大きなコイル。これはこれで、趣があってインテリアとしてもアリなのか?

Slow Dance Art Photo Frame
底面には、ダイヤル2つとスイッチ。手前から、機能切り替えスイッチ、点滅速度調整ダイヤル、明るさ調整ダイヤルです。

5.機能

この製品の面白いところは、揺らす対象物は、金属板に固定できさえすれば何でもかまわないというところです。それでは、付属の羽以外にも、色々なものをつけて試してみましょう。また、いくつか調整を行う機能が付いているので、それもいじってみます。

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以下の動画を見るにあたってのご注意

ここから、動画を何本も掲載しますが、ちらつきや走査線っぽいものが入って見づらいものも多いです。これは撮影時に映り込んでしまうもので、実際の肉眼では、動画に映っているようなちらつきは感じられません。実はこの製品は、仕組み上、まともに動画に映らないんですよ。だって、考えてみてください。この製品は、照明を人間が感知できないほど高速で点滅させることで特殊な視覚効果を演出しているわけですが、一方、動画撮影というのも、高速で連続シャッターを切り続けているようなものです。当然、そこには干渉が発生するので、多くの場合、撮った動画はノイズとちらつきだらけの酷いものになります。

ただし、そのときのもののはずみで、両者の位相が合ったのかなんなのか、偶然ノイズが抑制されることもあります。今回の記事中の動画は、それはもう、何度も何度も何度も何度も撮り直して、少しでも見やすいものを選んだものです。それでも、まったくノイズがなくなることはまずありません。実は、この記事のはじめに掲載した動画は、「奇跡」といってよい品質の1本です。

ともかく、動画の中のちらつきやノイズは、実際には見えないものです。また、動画を視聴するにあたって、画面の点滅によって予期せぬ症状が出る場合があるので、各自注意の上で(大画面にしない、連続して長時間見ない、体調に違和感を感じたら視聴をやめる、など)視聴してください。特に、光の刺激に敏感な体質の方は、すみませんが動画の視聴は控えてください。要は、気分が悪くなったら見るのをやめてね、ってことでお願いします。

デフォルトの羽以外のものも試す

設置する対象は、「揺れやすい」もので、固定できる棒状の部分さえあればいいわけです。が、固さや大きさなどによって、うまく揺れてくれないものもあり、色々試しながら大きく揺れてくれるものを探す楽しみもあります。

まずは、別の羽も試してみましょう。

近所のフクロウカフェでお土産に買ったフクロウの抜け羽です。

それから、植物も手軽です。

ネコジャラシですね。実際は高速で振り回されているわけで、動きはじめに種が飛び散りまくりました。

ベランダで育てている観葉植物です。

ツタです。

ツタに、水滴を付けてみました。水滴は、付けすぎると飛び散ってしまうので加減が難しいのですが、その奇妙な動きは必見です。ただ、動画だと、ちらつきが激しいのもあって、のたうつ水面の不気味さがうまく伝わりませんねぇ。

ネオジム磁石によって振動幅を調整する

磁力によって振動を起こしているので、付属のネオジム磁石を金属板に付けると、振動幅が大きくなります。一応、製品ページには「moving magnets and screws are parallel.」との説明があるんですが、分かりにくい。付けなくても、振動はします。4つ全部付けると明らかに動きが違うので、自分で追加の磁石を買い足してもいいかもしれません。では、やってみましょう。

はじめは磁石を4つ付けていて、付けたり外したりしています。磁石を付けると、揺れが大きくなるのが分かると思います

点滅速度を調整する

底面の白い方のダイヤルで、点滅速度をコントロールできます。点滅速度が変わると、視覚的には、「揺れ」の速度が変わります。なお、黄色のダイヤルは明るさの調整です。

揺れの速度を、遅い状態から、速くへ、また遅くへ、とダイヤルを回しています。

「ダブルスローモード」

製品ページには、「4 red buttons on the back.」とありますが、実際には、黒いスイッチを押すたびに4つのモードが切り替わります。4つのモードとは、「Slow motion」モード(通常のスローモーション)、「Double slow」モード、「Lighting」モード(振動せずにただ照らすだけ)、「Close」モード(電源OFF)、です。このうち、特殊なのが「ダブルスローモード」で、影分身します。と、文章で言ってもよく分からないと思うので、動画をどうぞ。

これも、動画ではなかなか伝わりづらいと思いますが、どういうものかは分かるかと思います。

Slow Dance Art Photo Frame
仕組みは、先ほどの図を利用すると、おそらくこのようになっているのかと。

いずれも、この動きの不思議さはやはり肉眼で観察してこそです。まぎれもなく、目の前にあるのは手に触れることができる実物でありながら、私たちが当たり前のことと感じている物理法則に反する動きをする様は、ついつい見入ってしまう奇妙な感動があります。流れる水をずっと見続けてしまう事ってありませんか? そういう人は、無限に楽しめますよ。

6.元はクラウドファンディング発のアイデア

この製品のアイデアは、元はアーティストのJeff Lieberman氏が考案したもので、2年前にはクラウドファンディングのKickstarterでプロジェクトを開始し、無事、資金の調達と製品開発に成功しています。参考までに、出資額は199ドル~249ドルでした。

理屈そのものは単純なので、このプロジェクトが話題になると、その後、いろいろな人が同様のものを作成しています。関係ありそうなキーワードで検索をかけてみると、かなりの数の類似品がヒットします。今回の製品も、その一環というわけですね。電子工作が得意な猛者なら、自作にチャレンジしてみてもいいかもしれません。

7.まとめ

Slow Dance Art Photo Frame
この製品は、記事執筆現在、Banggoodで6,000円強となっています。が、クーポンセール「Science Education」の対象になっていて、クーポンコード「688e1c」で15%OFFとなり、5,000円台半ばくらいまで値引きされます。コスパがどうとかの製品ではないので、この価格が高いか安いかは何とも言えないところ。ただ、KickStarterのプロジェクトは、199ドル~249ドルという価格で、余裕で目標額をクリアしていますし、また、生産からみれば、どう考えても数を売れる製品ではなく、製品の特性上、製造も一般的な工業製品のラインとは根本的に異なるでしょう。そういったことを考えると、この価格は、そうとうに頑張ったとは言えるんじゃないでしょうか。そもそも、この製品の価値は、「製品そのものの価値」ではなく、この製品でなければ得られない「経験の価値」ですから。

「科学」の面白さのひとつは、現象を整理して解き明かし、そしてそこから導き出した法則を利用して、新しい現象を生み出すことにあると思います。そして、ときに、日常的な感覚からはかけはなれた現象を簡単に起こせてしまうこともある。かつて「科学」と「魔法」が同義であったゆえんです。この製品は、ちょっと大げさに言うと、まさに、そのような科学への原始的な興味を刺激してくるものがあります。仕組みが分かるからこそ、面白い。たまには、必要性とかコスパとかを度外視した、こういう大人の夢を追いかける製品を手に取ってみるのもいいものですよ。

余談 ― この製品はBanggoodならでは

ところで、ウインタブでは、どうしてもデジモノから通販サイトを見ることになりがちなので、各通販サイトの特色が見えにくい部分もあるんですが、実は、Banggoodは、こういう科学オモチャ系のラインナップが非常に充実しています。それはもう、安価で手軽なものから、高価でガチなものまで。今回レビューした「スローダンス アートフォトフレーム」も、いかにも「Banggoodならでは」との感があります。この手の、ワクワクするような技術・発想を活かした製品に興味があるなら、是非、一度ラインナップをチェックしてみることをお勧めしますよ。製品カテゴリーがあんまり整理されていないので、あてもなく探すってのがちょっとやりにくいのが玉にキズですけど。

8.関連リンク

Slow Dance Art Photo Frame:Banggood

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コメント

  1. 匿名 より:

    私も同商品を購入しましたが、梱包はより酷くなっており、発泡スチロールの切れ端すら入っていませんでした。
    そのためかコイル部分が折れて外れ、コイル線がぐちゃぐちゃになっており、さらにフレームも二箇所接合部が剥がれた様な状態になっているというとんでもないものでした。
    修理する部品を送るから自分で修理してと言われていますが、根元から折れている部品をどう考えても外せないですし、それがダメなら半額返金しますと言われて参っています。
    日本だと壊れた商品を送ったなら全額返金か新しい商品を送るのが普通かと思いますが、中国の通販なのである程度仕方ないとは思いましたがこれほどとは…という感じです。

    • wintab より:

      こんにちは、とりいそぎこのコメントをBanggoodの担当者に見せます。ウインタブはすべてのトラブルに介入することは出来ませんが、この件に関してはnatsukiさんがすでに同様の経験をされており、Banggoodの方でも改善の努力をすると言っていて、さらに記事にもそう書いているわけですから、どこまでできるかはわかりませんが、できる範囲でお手伝いいたします。

      • 匿名 より:

        ありがとうございます。
        実は私の名前もNatsukiなので担当者が混乱しそうです(笑)

        私がやりとりしているBangoodの担当者の方からは相変わらず修理を試してみないか?と言われており、いい加減面倒になってきました。
        とりあえず修理を試してみる事にしようと思います…
        いっそのこと壊れやすいコイル部品だけ取り付けせずに送り、到着後組み立て形式にしたら良いのに…と思ってしまいますね。

    • wintab より:

      Banggoodのウインタブご担当者の方(カスタマーサポートの所属ではありません)から連絡があり、直接対応させてもらいたいのでメールアドレスを教えてほしいとのことでした。なので、ウインタブの連絡アドレス「win-tab[at]outlook.com([at]を@に変えてください)」までメールをお願いします。そのアドレスをBanggoodご担当者にお伝えします。

      • 匿名 より:

        先日はご連絡ありがとうございました。
        おかげさまで、新しい商品を再度送ってもらったのですが、また折れていました。
        接着剤でつければ治りそうなレベルだったので接着剤でつけて使用してみましたが、片方の動きが悪いです。
        そして意外と動作音が大きいのと、羽根等を取り付けるバンドがすぐ千切れますね。
        ありがとうございました。

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