サンワサプライが小型のポータブル電源「700-BTL053」を発売しました。容量111Whというのは電圧を3.7Vとして計算する場合30,000 mAhになるので、この容量であれば「もっと大容量のモバイルバッテリー」というのが存在します。ポータブル電源とモバイルバッテリーの違いについて、よく言われるのが「ACコンセントの有無(AC電源の供給ができるか否か)、要するに直流を交流に変換するインバーターの有無」で、「ポータブル電源にはACコンセントがあり、モバイルバッテリーにはACコンセントがない」というのが一般的です。
今回ご紹介する700-BTL053にはACコンセントがあります。なので、メーカーでも「ポータブル電源」と称しています。
こちらがポート構成です。ACコンセントが1つ、USB Type-Cポートが2つ、USB Type-Aポートが4つあり、
ACの最大出力は100W、USB Type-Cの最大出力は65Wと15W、USB Type-Aの最大出力は18Wと12Wです。なお、ここは結構重要なポイントなのですが「ACとDC(USB)は同時に出力ができません」。つまり、AC出力でノートパソコンを充電している最中はスマホやタブレットをUSB出力で充電できない、ということです。
スペック表です。ここで「出力波形」のところに「疑似正弦波」って書かれていますよね?実はここも結構問題があります。「正弦波」というのは交流(AC)電流の「波形」のひとつで、ほどんど、というか全部と言っていいと思いますが、ACコンセントを備えた家電製品は正弦波による給電を想定して作られています。正弦波以外の波形を与えると、機器の劣化・故障・誤動作につながるおそれがあります。
で、安心なのは「純正弦波」という(読んで字のごとく)「正弦波そのもの」の波形が出力されるケースで、ウインタブがこれまでに実機レビューをしたポータブル電源はすべて純正弦波です。一方で700-BTL053の疑似正弦波というのは矩形波という波形を加工して擬似的に正弦波を作り出すもので、一部の電子機器に使用すると故障や誤動作を招く可能性があります。
正弦波について詳しくは、こちらの記事をご参照下さい。
正弦波とは?電源における正弦波の意味や重要性を解説:アジア電子工業株式会社
この点はメーカー側でも注意喚起しています。こちらをご覧ください。
ではノートPCに使っても大丈夫なのか?と疑問がわきますが、メーカーサイトでは「USBでもACでもノートPC充電可能」と明記されており、さすがにサンワサプライがそう言っているのなら心配はいらないと思いますね。
700-BTL053のAC出力は最大で100Wです。この画像は東京電力のサイトにあったものですが、これを見ていただくと、ほとんどの家電製品は100Wの出力では動作しないことがわかります。動かせるのは「電気毛布(50W程度)」「携帯できるサイズのミニ冷蔵庫(60W程度)」あとはPCやスマホ、タブレット、ワイヤレスイヤホンといったガジェット系でしょうか。ただ、今どきのガジェット類はどうしてもコンセントが必要、という感じでもないですよね。
サイズスペックです。ポータブル電源としては非常にコンパクトで、重さも約1キロと軽量です。
また、LEDライトも搭載しており、アウトドアシーンなどでは便利に使えると思います。
サンワサプライ ポータブル電源 700-BTL053はサンワダイレクトやAmazon、楽天などで販売中で、8月27日現在の価格は19,800円です。当初この製品の情報を見て「おお、これは素晴らしい!」と思ったのですが、AC出力が最大100Wと小さく、また疑似正弦波が使われている、ということで、今は「この仕様だとどうかなあ…」と感じています。これだとAC出力可能というのは「お守りみたいなもの」ですよね…。まあ「一応コンセントもついていて欲しい」と思われる方には悪くないかもしれません。
関連リンク
ポータブル電源 700-BTL053:サンワダイレクト
ポータブル電源 700-BTL053:Amazon
ポータブル電源 700-BTL053:楽天
2014年、低価格な8インチWindowsタブレットに触発されサイト開設。企業でユーザー側代表としてシステム開発や管理に携わっていました。「普通の人」の目線で難しい表現を使わず、様々なガジェットを誰にでもわかりやすく紹介・レビューします。