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ロジクールのトラックボール「MX ERGO S」と「ERGO M575SP」を使い比べてみた!

ロジクールのトラックボール2機種を使い比べてみた
ロジクールのトラックボール「MX ERGO S」と「ERGO M575SP」を同時にテストする機会に恵まれました。私はトラックボールのヘビーユーザーではなく、相当昔(20年以上前)に2年ほどトラックボールを愛用していたことがありますが、それ以外だと「ウインタブの実機レビューとその前後の期間」くらいしかトラックボールは使いません。これはおそらく、多くの読者の方々と大差ないくらいの利用経験だと思います。知ったかぶりをしても仕方がないので「このくらいの知識レベル・経験レベル」である、ということを事前にお伝えしたうえでレビューをさせていただきます。

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今回レビューするロジクールのMX ERGO SとERGO M575SPの実売価格を最初にお伝えしておきます。MX ERGO Sが16,020円(1年保証)~17,622円(2年保証)、ERGO M575SPが7,623円です(いずれもロジクール公式サイトで製品ページにある10%OFFクーポンを使用した価格。10月11日現在)。ロジクールのマウスやキーボードで「MX」とつくものは「ハイエンドクラス」の製品なので、さすがにいいお値段です。一方のERGO M575SPはロジクールとしてはMX ERGO S以外では唯一のトラックボール製品であり、ロジクール的には「中価格帯」の製品ではあるのですが、市場全体でみると「全然安物とは言えない」くらいのお値段です。というかERGO M575SPでも高価格帯のトラックボールと言っていいでしょう。

なので、今回の比較レビューは最強の同門対決、アントニオ猪木VSジャイアント馬場くらいのハイレベルな勝負になると思います。なお、このレビューはメーカーより実機をサンプル提供していただき実施しています。

1.スペック比較

ロジクールのトラックボール「MX ERGO S」と「ERGO M575SP」を使い比べてみた!

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まず、スペックを比較してみます。接続方式はどちらもBluetoothとUSB無線の2種類で、USB無線は「Logi Bolt」というロジクールの独自方式です。ロジクールのUSB無線方式には「Unifying」と「Logi Bolt」があり、比較的古いモデルにはUnifyingが、比較的新しいモデルにはLogi Boltが使われています。両者には互換性がありませんが、この2機種の場合はいずれもLogi Bolt方式なので、1台のレシーバーで2機種を接続することもできます(1台のレシーバーで最大6機種の接続が可能です)。

次に対応OSですが、ERGO M575SPがAndroidに対応していない(動作保証されていない、というだけで、実際にはAndroid上でも動くと思います)という以外は変わりません。センサー方式も両者同じで解像度(マウスカーソルの敏感さの指標)もほぼ同じです。

ボタン数は異なります。MX ERGO Sが8ボタン、ERGO M575SPが5ボタンです。特に「ホイールのティルト」に対応するのがMX ERGO Sのみ、というところに使用感の差が出てくるかもしれませんね。

それと、MX ERGO Sは充電式でバッテリー内蔵、ERGO M575SPは電池式です。ここはお好みの問題かと思いますが、個人的には「夜に電池が切れてもコンビニまで走らなくてもいい」充電式のほうが好みです。

最後に大きく異なるのが「重量」ですね。サイズは両者あまり違わないのに重量が100 g以上も違います。このあたりは筐体構造の違いが要因なので、この後ご説明します。なお、トラックボールはマウスとは異なり、「本体を動かさない。もっと言うと本体がきちんと固定されていないと使えない」ので、重量が重いので持ち運びに不便ということは言えますが、重量が重いので使いにくい、ということはありません。

2.外観の比較

ロジクールのトラックボール2機種を使い比べてみた

左:ERGO M575SP、右:MX ERGO S

2機種を並べてみました。後部の処理が少し異なっていて、ERGO M575SPのみ溝状の模様(凹凸)が入っているのと、ホイール周辺のデザインが異なっているものの、「大筋では同じ」と言っていいでしょう。また、トラックボール製品にはMX ERGO SやERGO M575SPのように「親指でボールを操作する」ものが多いですが、「人差し指と中指でボールを操作する」タイプのものもあります。ただ、繰り返しになりますが、ロジクールが扱うトラックボール製品はこの2機種のみです。

ロジクールのトラックボール2機種を使い比べてみた

この画像はMX ERGO Sですが、サイズ感は両者同じです。一般的なマウスよりもかなり大型で「まさにかぶせ持ち」という感じになります。

ロジクールのトラックボール2機種を使い比べてみた

ロジクールのトラックボール2機種を使い比べてみた
MX ERGO SとERGO M575SPで大きく異なるのがここです。MX ERGO Sのみ「2段階で角度調整が可能」です(ERGO M575SPにはこの機能はありません)。また、MX ERGO Sもこの2パターンの角度でしか使えません。この中間くらいの角度にしたい、というのは無理です。

ロジクールのトラックボール2機種を使い比べてみた

左:ERGO M575SP、右:MX ERGO S

ERGO M575SPと比較すると、角度がついた状態(画像下)でははっきりと違いがわかり、角度がつかない状態(画像上)では若干ERGO M575SPのほうが角度が大きいかな、という感じになります。

どちらの機種のどの角度が一番使いやすいか、ということについては「人それぞれ」なので、ここでは何とも言えません。ただ、個人的な感想としては「MX ERGO Sの角度がついた状態」が最も手首に負担が小さいと感じられ、「エルゴノミクス!」だと思いました。

ロジクールのトラックボール2機種を使い比べてみた

MX ERGO Sの底面

ここで2機種の底面を比べてみます。MX ERGO Sは底面にプレートがあり、マグネットで本体に取り付けられています。このプレートが可動し、本体に角度がつけられるような構造です。プレートを外すと各種認証マークが出てきますが、上部に電源ボタンがある以外、操作できるものはありません。でも、右端にちょっと大きめの穴が空いていますよね?この穴にボールペンなどを差し込んでボールを外せるようになっています(後述します)。

ロジクールのトラックボール2機種を使い比べてみた

ERGO M575SPの底面

こちらはERGO M575SP。乾電池式なので電池カバーがあり単3乾電池1本が入ります。それと、ここは声を大にしていいたいのですが、「ERGO M575SPはUSBレシーバー(Logi Boltレシーバー)を本体の電池横に収納できる構造ですが、MX ERGO SにはUSBレシーバーを収納する場所がありません」。いやね、MX ERGO Sを使う場合、少なからぬ確率でUSBレシーバーを失くしますよ?市販されているほとんどの無線マウスにはレシーバーを収納する場所があります。私が知る限りレシーバーを収納できないのは「ロジクールのハイエンド、MXシリーズのみ」です。ロジクールさん、ここはなんとかしてください…。そんなに難しい注文じゃないと思うけどなあ…。

ロジクールのトラックボール2機種を使い比べてみた
トラックボールの「ボール」は着脱できます。MX ERGO Sの底面の説明のところに書いた通り、底面の穴にペンなどを差し込んで押してやると簡単に外れますね。経験上、私の手が汚いだけかもしれませんけど、ボールとボールを支持している石(多分硬度のある宝石)の部分は確実に汚れます。なので、たまにボールを外して掃除しましょう。

3.従来モデルからの変更点

2機種とも「ニューモデル」です。というか、どちらも「定番かつロングセラー」と言える従来モデルがあり、従来モデルから大きく変わることなく新機能を追加した、という感じになっています。主な変更点は以下の通り。

USB無線方式がUnifyingからLogi Boltに

上でもご説明しましたが今一度。ロジクールには「Unifying」と「Logi Bolt」という2種類のUSB無線接続技術があります。いずれも優れた規格ではあるのですが、両者には互換性がありません。また、規格としてはLogi Boltのほうが新しく、直近で発売された無線接続機能を持つ製品はすべてLogi Bolt方式を採用しています。一方、ERGO M575SPの従来モデルERGO M575とMX ERGO Sの従来モデルMX ERGOはロングセラー商品のため、Unifying方式を採用していました。

今回のモデルチェンジにより、MX ERGO S、ERGO M575SPのどちらもLogi Bolt方式に変更されました。この結果、比較的発売時期の新しいロジクール製品とUSBレシーバーを共有できるようになりました。

ボタンが静音に

MX ERGO S、ERGO M575SPとも「左右クリックボタンが静音に」なりました。ERGO M575SPの従来モデル「ERGO M575」についてはウインタブで実機レビューをしており、現在も手元にレビュー機がありますが、もともとホイールや進む・戻るボタンはクリック音がかなり小さく、左右クリックボタンのみやや大きめのクリック音がしていました。それがERGO M575SPになって「体感的にはすべてのボタン・ホイールが静音化した」と感じます。

一方でMX ERGO Sについてはウインタブで従来モデルを使用したことはなく、今回が初めての使用体験となりますが、左右クリックボタンに関しては確かに静音化され、クリック音がほとんど気になりません。ただ、ホイールボタンや進む・戻るボタン、解像度切り替え(ポインタ速度切り替え)ボタンは「全然静音じゃない」ので、ちょっと中途半端な気もします。まあ、圧倒的にクリックの頻度が多い左右クリックボタンが静音化された、というだけでも大きな改善なのかもしれませんが、できれば進む・戻るぼたんも静音化してほしかったところです。

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4.Logi Options+

ロジクールのトラックボール2機種を使い比べてみた

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ロジクール製品は(私が知る限りすべて)Logi Options+というアプリで各種設定を行います。Windows PCをお使いの場合はロジクール製品をPCに接続すれば自動的にダイアログ(画面右下に「インストールしますか?」というメッセージが出ます)が表示され、それに従えばすぐにインストールできます(ダイアログが表示されない場合はこちらからダウンロードできます)。

このレビューで使用したPCにはあらかじめLogi Options+が入っていましたが、トラックボール2機種を接続しただけでこのようにトップ画面に機種のアイコンが表示されました。

で、Logi Options+で設定できる項目は2機種で結構違っています。

ロジクールのトラックボール2機種を使い比べてみた

ERGO M575SP(クリックで拡大します)

ロジクールのトラックボール2機種を使い比べてみた

ERGO M575SP(クリックで拡大します)

まず、ERGO M575SPですが、操作割り当てが可能なのは「進む・戻る(この画像では私がカスタマイズしたので音量を上げる・音量を下げるになっています)」とホイールのミドルボタンの3つ。この画面にはありませんが、「左右ボタンのスワップ(入れ替え)」もできます。それとポインタ速度(解像度・DPI)の設定もできます。

ロジクールのトラックボール2機種を使い比べてみた

MX ERGO S(クリックで拡大します)

ロジクールのトラックボール2機種を使い比べてみた

MX ERGO S(クリックで拡大します)

MX ERGO Sでは「進む・戻る(この画像では私がカスタマイズしたので音量を上げる・音量を下げるになっています)」ボタンとホイールの3操作(左右チルトとミドルボタン)ボタン、そしてトラックボール横の「ポインタ速度を変更」ボタンで操作割り当てが可能です。

またホイールの方向を「標準/反転」から選べ、スムーズスクロール(Webページなどでスクロールによる画面の動きが滑らかになる)の指定もできます。もちろんポインタ速度(解像度・DPI)の設定もできますし、「左右ボタンのスワップ(入れ替え)」も可能です。

このように、カスタマイズ余地はMX ERGO Sのほうが大きく、さらにロジクールの独自技術「FLOW(複数のPCやデバイス間でファイルやデータを共有・移動できる機能)」が使えるのはMX ERGO Sのみです。

なので、マウスにせよトラックボールにせよ、ボタン割り当てなどをフルカスタマイズして使いたい、というニーズのある方、また「FLOW」を駆使して複数のPC間で(ファイルの移動やコピー&ペーストなど)シームレスに使いたいという方はMX ERGO Sが向きます。一方で、ポインティングデバイスとして基本的な機能が使えればOK、という方ならERGO M575SPでも(それなりの拡張機能が使えますし)十分に使いやすいと思います。

5.使用感

ポインティングデバイスとしての使用感は大差ありません。どちらもボールは滑らかに動きますし、基本操作部分に関してはLogi Options+でお好みの設定にできますので、「間違いなく快適」に使えます。というかですね、ロジクール製品であって、より安価なERGO M575SPでも実売価格が7,000円を越える価格なわけで、使いにくいはずもありません。サイズ感は両者ほぼ同じ、握りやすさ(かぶせやすさ)にも差は感じられませんでした。「ちょっと無理やり」になりますが、使用中に手を大きく動かすようなことをした際は重量が重く、底面にプレートを備えたMX ERGO Sのほうが安定感が大きかったですが、それはあくまで「無理やり試した」結果であって、普通に使うぶんには両者とも安定感はありました。

ただ、MX ERGO Sの「角度調整機能」は秀逸です。私は角度をつけた形状で使いましたが、この形状のほうが明らかに使いやすかったです。2機種をとっかえひっかえ使っていて、角度調整ができないERGO M575SPのほうに違和感が感じられました(ただ、角度調整機能というものを知らなければこのような感想は持たなかったと思います)。

「基本操作における使用感」から少し外れて、「ボタンの操作割り当て機能やFLOW対応」「ホイールにチルト機構があるかないか」「充電式か電池式か」そして繰り返しになりますが「角度調整に対応しているか」といった機能面ではやはりMX ERGO Sに軍配が上がります。これは価格差を考えれば当然とも言えますね。でもねえ、いつも3ボタンマウスを使っていて、ボタン割り当てとかホイールのチルトなんて知らん、という人も多いと思いますし、実際そういう使い方が悪いわけでもないので、MX ERGO Sのみに備わっている機能に関心がないのであれば、あえて高価なMX ERGO Sにする必要もないと思います。

6.まとめ

ロジクール MX ERGO SとERGO M575SPはロジクールオンラインストアやAmazon、楽天などで販売中で、10月11日現在の価格はMX ERGO Sが16,020円(1年保証)~17,622円(2年保証)、M575SPが7,623円です(いずれもロジクールオンラインストアで製品ページにある10%OFFクーポンを使用した価格)です。

どっちがいいか、と言われれば「高価でロジクールのフラッグシップモデルであるMX ERGO S」です。ただし、「いい」という理由はポインティングデバイスとしての基本機能に差があるということではなく、MX ERGO Sのほうがより多彩な機能を備えていて、角度調整もできる(よりエルゴノミクス)など、かゆいところに手が届く的な便利さにあります。特にポインティングデバイスをフルにカスタマイズして使うような人にはMX ERGO Sの機能性は大歓迎されるでしょう。

一方でERGO M575SPも決して安価な製品ではなく、ポインティングデバイスに求められる基本機能・基本性能でユーザーを裏切ることはありません。なので、ポインティングデバイスを「買ったまま」の状態で使うことが多いという人ならERGO M575SPでも大きな満足感を得られると思います。

あ、そうそう、「トラックボールを使ったことがないけど、大丈夫かな?」という方もおられると思います。その答えになるかどうかはわかりませんが、私は今回のレビューでレビュー機2機種をとっかえひっかえ2週間ほど使い続けましたが、「もうすっかり慣れました」。また、製品特性上「手のひらをがっつりかぶせて使う」ので、手がラクですし、特に「MX ERGO Sの角度をつけた状態」だと手首の疲れが減少したと感じています。このあたりはどうしても個人差が出てきますけどね。

7.関連リンク

MX ERGO S

MX ERGO S:ロジクールオンラインストア
MX ERGO S(オンライン限定モデル):楽天
MX ERGO S:楽天
※オンライン限定モデルは保証期間が1年、通常モデルは保証期間2年、という違いがあります
MX ERGO S:Amazon

ERGO M575SP

ERGO M575SP:ロジクールオンラインストア
ERGO M575SP(オンライン限定モデル):楽天
ERGO M575SP:楽天
※オンライン限定モデルは保証期間が1年、通常モデルは保証期間2年、という違いがあります
ERGO M575SP:Amazon

執筆者:ウインタブ
2014年、低価格な8インチWindowsタブレットに触発されサイト開設。企業でユーザー側代表としてシステム開発や管理に携わっていました。「普通の人」の目線で難しい表現を使わず、様々なガジェットを誰にでもわかりやすく紹介・レビューします。
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