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HPRT MT810の実機レビュー - 気軽に外に持ち出せ、省スペースなのがうれしい、弁当箱みたいなポータブルプリンター

HPRT MT810 レビュー
中国の周辺機器メーカー「HPRT」の最新モデル「MT810」の実機レビューです。HPRTを「周辺機器メーカー」と書きましたが、実際は「ほぼプリンター専業メーカー」です。今回のレビュー機MT810は非常にコンパクトかつ軽量で、「ロール紙」を使って印刷するタイプの製品です。

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読者のみなさんはご自宅でプリンターを使っていますか?最近は「紙を印刷する」機会がめっきり減り、ほぼ年賀状専用、という人も多いんじゃないでしょうか?あるいは比較的値の張るプリンターを写真のプリントアウト用に使っている人もいると思います。私は、と言えば、仕事上で請求書や機密保持契約書の作成のため、プリンターを使わなくてはならない、というケースが毎月数回あります。つまり、「書類にサインとか署名とか捺印が必要なので、どうしてもプリントアウトする必要がある」ということです。

これらの書類については「PDF形式でメール添付すればOK」「原本を郵送しなくてはならない」というパターンがありまして、PDFで済む場合は紙質などをあまり気にしなくていいですし、郵送が必要な場合は「A4コピー用紙」を使っています(ほとんどの取引先はそんなに厳しくないので、紙質までこだわらなくても大丈夫だと思います)。

つまり、私の場合は「プリンターの使用頻度は非常に低いが、ないと困る」という、典型的に厄介な位置づけです。なので、今回レビューするHPRT MT810はそのサイズ感と手軽さで、ある意味「救世主」になってくれるかも…、と期待していました。

なお、この製品はメーカーからサンプル提供していただきました。貴重なレビュー機会をいただけたこと、この場にて御礼申し上げます。ありがとうございました。

1.HPRT MT810 スペック

サイズ:280 × 95 × 51.4 mm / 970 g
用紙:専用のロール紙(独自仕様の感熱紙)
カラー印刷:非対応。モノクロのみ
接続方式:USB有線、、Bluetooth
対応OS:Windows、Android、MacOS、iOS
※上記重量はロール紙残量が3分の2程度のときの実測値です

まず注目したいのはやはり「サイズ」ですね。モバイル…、というか外出先に持ち出すことも十分可能なくらいに小さく、軽いです。ただし、「プリンターをカフェで使う」という人は少ないと思いますし、出張にプリンターを持ち出すケースも多くはないと思います。でも「部屋間の移動」は非常に便利ですし、「持ち出さなくちゃいけないことだってあるかもしれないじゃない!」ということです。

HPRTの既存モデルに「MT800」というのがあります。今回レビューするMT810によく似た外観をしていますが、MT800がA4サイズの用紙(普通紙)を使うのに対し、MT810は専用のロール紙を使います。

HPRT MT810 専用ロール紙
専用ロール紙はいわゆる「感熱紙」なのですが、ベース、現像剤と増感剤、安定剤の3層構造です。後述しますが、私の印象としては「とても感熱紙には見えない」ような素材感でした。そんなわけでMT810はインクリボンを使いません。

では、それほど複雑な仕様の製品ではありませんので、さっそく筐体からご説明していきます。

2.HPRT MT810 筐体

HPRT MT810 筐体色
HPRT MT810の筐体色は全部で4つあります。今回のレビュー機は画像右端の「Pearl Beige(ベージュ)」です。

HPRT MT810 レビュー 外箱
普段はあまり掲載しない外箱の画像。いいですねー、これ。お菓子を入れたり子供のおもちゃ箱にしたりと、いろいろ楽しめそうです(一応真面目に書くと、初期不良や故障時にはメーカーに送り返すため、箱はキレイに保存しておくほうがいいんですけどね)。

HPRT MT810 レビュー 同梱物
同梱物です。と言ってもPC接続及び充電用のUSB Type-A – USB Type-Cケーブルが一本と、中国語オンリーの取扱説明書のみ。ただし、正式出荷時には英語の取扱説明書が用意されると思いますし、日本語の取扱説明書も入手できるはずです(MT800には日本語のPDF形式の取扱説明書が存在します)。

HPRT MT810 レビュー 上面
上面です。ここから印刷物が出てきます。右側に電源ボタン、その横に接続状態を示すインジケーターがあります。

HPRT MT810 レビュー 左側面
左側面です。こちらには開口用のレバーとUSB Type-Cポート。

HPRT MT810 レビュー 右側面
右側面には開口用のレバーがあるのみです。

HPRT MT810 レビュー 前面と背面
前面と背面です。同じ見た目でなんにもついていないので写真は一枚のみにさせていただきます。

HPRT MT810 レビュー 底面
底面にはゴム足と各種認証マーク、そしてシリアルナンバーなどがあります。

と、いうことで、MT810は非常にシンプルなデザインで「ちょっと大きくて横長の弁当箱」あるいは「筆箱のおばけ」みたいなデザインです。シンプルでいいんじゃないでしょうか。

HPRT MT810 レビュー 開口
筐体を開口してみました。予想通り、と言いますか、当然と言いますか、インクリボンなどは見えず、ロール紙が入っているのみ。

HPRT MT810 レビュー ロール紙
ロール紙の着脱は非常に簡単ですし、特に力も要りません。誰でも簡単に着脱できると思います。ロール紙の左右に本体接続用のバーツがあり、ロール紙を交換する際はこのパーツを古いロール紙から新しいロール紙に付け替えてやるだけです。ただし、「ロールの向き」だけは間違えないようにしなくてはなりません。

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3.HPRT MT810 使用感

MT810はUSB有線接続とBluetooth接続をサポートしています。今回はPCと有線接続、スマホとBluetooth接続していくつかプリントアウトしてみました。

なお、あくまでレビュー機(市販開始前)の話ですが、PC用のドライバー、スマホ用のドライバー(アプリ)とも、手動でダウンロードし、インストールする必要がありました。また、スマホ用のドライバー(しつこいですけどスマホアプリ)はGoogle Play及びApp Storeからダウンロードができます。

HPRT MT810 PC用ドライバー

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PC用ドライバーのシステムダイアログです。ご覧の通りレビュー時点では英語のみに対応し、調整項目もかなり少ないと感じられます。

HPRT MT810 スマホアプリ

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こちらはスマホアプリ。「HiPrint」という名称で、繰り返しになりますがGoogle PlayとApp Storeから導入でき、しっかり日本語化されています。ユーザーインターフェースもよく、とても使いやすいと感じました。ただし、画質調整項目はPCドライバー以上に少なく「濃淡を3段階に調整できる」のみです。

HPRT MT810 印刷品質1

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まず、Excelの文書を印刷してみました。なお、このExcelファイルはMISOCA様のテンプレートを使わせていただいております。

左が私の手持ちのプリンター「Canon TS5100(購入時の価格が1万円を下回る安価なものです)」で印刷したもの、右がMT810で印刷したものです。余白の大きさが異なっていますが、どちらもデフォルト状態で印刷しています。また、印刷したものをスキャナーで取り込んで画像化したため、実際の印刷画質とは少し異なりますので、あらかじめご了承ください。

見比べると、やはりMT810のほうが画質が粗いことがわかります。特に罫線が若干点線ぽくなってしまいました。ただし、これは「請求書を印刷したもの」ですが、私の感覚だと、「この印刷品質で実際に請求書を発行した場合に文句を言ってくる取引先はないはず」だと思いました。また、MT810で印刷したものに印鑑を押してしばらく放置しましたが、にじみなども発生しませんでした。個人的にはビジネス文書用に十分使える印刷品質だと評価します。

…どうなんでしょうね、昔はこういうこと(印刷がわずかに粗いとか、この記事とは関係ないけれど印鑑の向きがおかしいとか…)で嫌味を言い出すような会社も見受けられましたが、もはやそういう馬鹿げた習慣を保持している会社は駆逐されているんじゃないかと思います。

HPRT MT810 印刷品質2

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次にウインタブのトップページを印刷してみました。左が手持ちのCanon TS5100、右がMT810です。この画像についても印刷されたものをスキャナーで取り込んでいます。こちらは結構大きな差がついたかな、と思います。Canon TS5100は「標準の画質で、特に何も調整せずに印刷」、MT810では「ダイアログの『Half Tone』のところで『Error Diffusion(誤差拡散法)』に設定し、色の濃さやコントラストも調整して印刷」しましたが、それでも印刷されたサムネイル画像の画質にはかなり大きな差があります。

ドライバーがもう少し高機能であれば画質はもう少し良くなると思いますが、現時点だと写真部分が主体の印刷にはあまり向かないですね。

なお、スマホでの印刷品質はPCでの印刷品質と大差ありませんが、スマホアプリの印刷品質調整項目がかなり少ないため、写真についてはPCでの印刷よりもさらに少し劣る印刷品質となりました。

また、「出来上がりの用紙サイズ」ですが、A4のコピー用紙で印刷したものと、MT810のロール紙で印刷したもののサイズはほぼ同じで、MT810のほうが縦6mmほど小さかったです。ただし、この製品が対応する用紙(ロール紙)のサイズは横幅210 mm(今回レビューしたもの。A4サイズも210 mmが標準の大きさです)と横幅110 mmの2種類しかありません。

次にMT810をスマホで使ってみたときの模様を動画にしていますので、ご覧ください。

モバイルプリンター HPRT MT810をスマホで使ってみる

あと、ロール紙の品質について少し触れておきます。

HPRT MT810 印刷
このロール紙ですが、私がよく使っているA4のコピー用紙(文具店や100均などで購入しています)と比較すると、厚みがなく、色味もほんの少しベージュっぽい感じです。ただし、感熱紙っぽくはなく、普通の紙そのもの、という印象でした。上でもご説明しましたが、印鑑を押してもにじみなどがなく、個人的にはビジネス書類のやり取りにも十分使えるものと評価します。

気になるとすれば、ロール紙ゆえに、印刷が終わった後で本体内蔵のカッターで切ることになり、その際に端っこの部分が少しギザギザになってしまう、という点でしょうか。この点は避けられないので、どうしても気になる場合は印刷後に調整する(定規とカッターでギザギザ部分をトリミングする)ことになると思います。

それと、一本のロール紙で何枚印刷できるのか?という点ですが、「A4用紙25枚」と開示されています。私の場合、プリンターで毎月数枚のA4用紙を印刷していますが、これだと「半年弱」くらいは使えそうですね。

7月28日訂正:記事公開当初「一本のロール紙でA4用紙200枚以上」と記載しましたが、これは誤りで、上記の通り「25枚」が正しいです。ご迷惑をおかけし、申し訳ありません。

4.HPRT MT810 レビューまとめ

HPRT MT810はINDIEGOGOでクラウドファンディング中で、この記事執筆時点(7月28日)での価格は1,091HKD(18,985円)です(ちょっとわかりにくいですが、INDIEGOGOの製品ページのトップ画像下、FEATURED PERKのところから購入して下さい)。また、スペアのロール紙は4本(このレビューで使用した210 mm幅のものが2本、110 mm幅のものが2本)で109HKD(1,897円)です。

あくまで私個人の、お取引先の顔を思い浮かべながらの感想とはなりますが、MT810はビジネス書類のやり取りにも十分使える品質だと思います。学校のレポートなどでも使えるでしょう。出先でプリンターを使いたい、という人やプリンターを部屋間で移動させたいという人にはとても便利な製品だと思います。

それと、冒頭に書いたように、「プリンターの使用頻度は低いのだが、なくても困る」という人にも「省スペース」というのが非常にありがたい製品です。

5.関連リンク

HPRT MT810 Wireless Paper-Inside Portable Printer:INDIEGOGO

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