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GMKtec AD-GP1 レビュー - Radeon RX7600M XTを搭載し、6万円台で買えるコンパクトな外付けGPU(eGPU)

アクセサリ

GMKtec AD-GP1
GMKtecのeGPU(GPU BOX)「AD-GP1」の実機レビューです。eGPUとは「外付けのGPU」のことで、これを使えば手持ちのPCが外部GPU搭載のゲーミングPCやクリエイターPCに早変わり、という魔法のような箱ですね。AD-GP1はノートPC用の高性能なdGPU(外部GPU)、AMD Radeon RX 7600M XTを搭載しています。

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なお、このレビューはGMKtecからレビュー機のサンプル提供を受け、実施しています。

ここがおすすめ
・高性能なGPU、Radeon RX7600M XTを搭載
・OCuLink/USB4のいずれでもPCと接続可能
・製品特性の割に発熱、ファン音は控えめ
・競合製品よりも安価
ここはイマイチ
・ハブ・ドッキングステーションとしての機能なし
・ACアダプターが大きい
販売サイトはこちらです
GMKtec AD-GP1:GMKtec 公式サイト(※日本円決済可)
GMKtec AD-GP1:Amazon

1.スペック

スペック表

  GMKtec AD-GP1
dGPU
AMD Radeon RX 7600M XT(8GB, 120W)
ディスプレイ出力 DisplayPort2.0 (4K 120Hz、8K 60Hz)×2
HDMI2.1 (4K 120Hz、8K 60Hz)×2
I/O ポート Oculink(PCIE4.0x4)(入力)
USB4 Type-C(外部電源60W/100W)(入力)
 DC入力
寸法 163.9×110.5×39.9 mm
素材 プラスチック(ABS+PC)+金属
付属品 ACアダプター(240W)
電源ケーブル、OCuLinkケーブル
USB Type-Cケーブル(40Gbps)

コメント

搭載GPUはRadeon RX 7600M XTです。RDNA3アーキテクチャを採用した高性能な型番で、競合製品(ONEXGPUやGPD G1など)にも搭載例が多いです。後ほどベンチマークスコアを掲載します。

競合製品の多くは映像出力ポートの他にUSBポートなどを搭載していたり、SSDスロットを備えていたりして「ハブあるいはドッキングステーション」としても使える構造になっていますが、AD-GP1の出力ポートはDisplay PortとHDMIの「映像出力のみを合計で4つ」搭載しており、Type-Cポートから接続デバイスの充電ができるものの、便利なハブ・ドッキングステーションとしての機能はありません。そのぶん競合製品よりも価格が安く、割り切った仕様とも言えます。

ちょっとお得感があるのが「OCuLinkケーブル付属」という点ですね。競合製品の多くはOCuLinkケーブルが別売りになっており、買うと2,000円から5,000円くらいはします。

2.外観

GMKtec AD-GP1 同梱物同梱物です。画像左から電源ケーブル、OCuLinkケーブル、ACアダプター、USB Type-Cケーブル、保証書です。レビュー機には取扱説明書が付属していませんでした。

GMKtec AD-GP1 ACアダプターACアダプターは巨大です。なんなら本体よりも大きいんじゃないか、と思うくらいです。出力も240Wと大きく、「外部GPUって電力を使うんだな」と実感させられます。

なお、GMKtec AD-GP1は「電源必須」です。見た感じコンパクトなので電車の中でも使えそうに錯覚してしまいますが、バッテリーは内蔵していませんし、そもそもバッテリー駆動だとRadeon RX7600M XTは全く実力を発揮できないはずです。

GMKtec AD-GP1 上面上面です。ブラックとシルバーのツートンカラーで、シルバーの部分が樹脂製、ブラックの部分が金属製で、通気口が開いています。

GMKtec AD-GP1 側面上面のロゴを基準にすると、こちらは「上側面」となります。ポートはすべてこの面に集中しており、左からDisplay Port×2、HDMI×2(以上が出力ポート)、OCuLink、USB4 Type-Cポート(以上が入力ポート、ただし、Type-CポートはUSB PDに対応し、接続デバイスの充電に使える)です。周辺機器を接続できるUSB Type-AポートとかSSDスロット、SDカードリーダーなどは一切ありません。

AD-GP1ができるのは「OCuLinkもしくはUSB4ポートでPCに接続し、Display PortもしくはHDMI(あるいは両方)でモニターに映像を出力する」「USB Type-Cポートで接続デバイスを充電する」ことのみです。うーん、シンプルでわかりやすい…。

GMKtec AD-GP1 側面

下側面

GMKtec AD-GP1 側面

左側面

GMKtec AD-GP1 側面

右側面

他の面にはポート類やボタン類はありませんが、やたらと通気口があります。また、下側面の左下に通電時に光るLEDインジケーターがついています。なお、使用中は一番下の画像、右側面から排気しますが、熱風とまでは言えないものの、結構熱い風が出ます。

3.PCやモニターとの接続

AD-GP1のPC・モニターとの接続方法は「何通り」かあります。

まず、PCとの接続は「OCuLink」と「USB4」のいずれか(もしくはいずれも)になります。そのため、どんなPCであってもAD-GP1と接続できるわけではない、という点に注意しましょう。

お使いのPCに…
OCuLinkポートがある→AD-GP1を接続可能
Thunderbolt 3/4ポートがある→AD-GP1を接続可能
USB4ポートがある→条件付きでAD-GP1を接続可能(※)
上記いずれのポートもない→AD-GP1の接続不可

※USB4規格には「PCIeトンネリング(USB4を介したPCIeデータ転送)」という仕組みがあり、AD-GP1のようなeGPUを接続する際に不可欠です。しかし、この仕組みはUSB4の必須要件ではなく、オプションとして定義されているため、すべてのUSB4ポートが対応しているわけではありません。そのため、AD-GP1を使用するには、事前にお使いのPCのUSB4ポートがPCIeトンネリングに対応しているかを確認する必要があります。一方、Thunderbolt 3/4規格ではPCIeトンネリングが標準仕様として含まれているため、AD-GP1との接続が可能です。

次に、モニターとの接続です。AD-GP1をノートPCと接続し、ノートPCのディスプレイをそのまま使う場合は接続上の問題はありません。ここでは外部モニターとの接続について説明します。

・AD-GP1のHDMIポートもしくはDisplay Portを使う
・PCのHDMIポートもしくはDisplay Port、USB Type-Cポートを使う
AD-GP1の映像出力ポートでもPCの映像出力ポートでも、モニターに出力することはできます。望ましいのは「AD-GP1の映像出力ポートを使用する」ほうです。直感的にわかるんじゃないかと思いますが「PCからAD-GP1に映像信号を送り、AD-GP1が処理した映像データを再びPCに戻し、そこからモニターへ出力する場合、OCuLinkやUSB4の帯域を消費することになる」のですが、「AD-GP1の映像ポートから直接モニターに出力すれば、PCを経由しないため、帯域の無駄を防ぎ、より高速かつ効率的に映像を処理できる」ということです。これはより帯域の狭いUSB4で接続する際のほうが影響が顕著になります。

このレビューでは主に

・PCとAD-GP1をOCuLinkで接続
・外部モニターへの出力にはAD-GP1の映像ポート(HDMI)を使用
・ノートPCとの接続はPCのThunderbolt4ポートを使用、ノートPCの内蔵ディスプレイに出力

としています。

4.パフォーマンスの測定

テスト項目として、3D Markの「Time Spy(DirectX 12 ベース)」「Fire Strike(DirectX 11 ベース)」「Port Royal(リアルタイムレイトレーシング性能の測定)」、および、世の中的に「熱い」と思われる「モンスターハンターワイルズのベンチマーク」を試してみます。

ミニPC「GMKtec EVO-X1」と

GMKtec EVO-X1 AI ミニ PC 外観

OCuLinkで接続

GMKtec EVO-X1とAD-GP1

手元に同じメーカーのミニPCであるGMKtec EVO-X1がありますので、EVO-X1とAD-GP1をOCuLinkで接続しました。同メーカーの製品なので相性もベストでしょうし「王道パターンの接続」と言っていいでしょうね。実際ケーブル一本で接続が完了し、EVO-X1側でも問題なくRadeon RX7600M XTを認識しました。

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GMKtec AD-GP1 3D Mark(OCuLink)

3D Mark(OCuLink)

3D Markのスコアです。これだけだとわかりにくいので、ウインタブの過去データから、割とスコアの近いものを掲載します。

HP Victus 16(i7-13700HX、RTX4070):12,677、27,892、7,528
ASUS ROG Zephyrus G14 GA403(Ryzen 7 8845HS/RTX4060):10,138、22,587、5,644
Lenovo LOQ 16IRH8(i7-13620H、RTX4050):9,087、20,397、4,999
※左からTime Spy、Fire Strike、Port Royalのスコア

3D Markは搭載CPUによってもスコアが変わりますので、断言することはできませんが、ほぼGeForce RTX4060 Laptop GPUと同等くらいですね。RTX4070には及ばない感じ。AAAタイトルのゲームプレイやコンテンツクリエーションをしっかりこなせる性能と評価できます。

GMKtec AD-GP1 モンハンワイルズ(OcuLink)

モンスターハンターワイルズ(OCuLink)

人気沸騰の最新ゲーム、モンハンワイルズのベンチマークについてはウインタブに過去実績がありません。しかし、これを見る限り中画質でも高画質でも十分プレイを楽しめそうです。

USB4で接続

次に接続PCはGMKtec EVO-X1のままで、ポートをOCuLinkからUSB4に変更して試しました。

GMKtec AD-GP1 3D Windowsの設定(USB4)

USB4接続だと「PCモニター」として認識される

USB4ポートで接続すると、PCモニターとして認識され、Radeon RX760M XTも認識されました。いろいろ調べてみましたが、USB4でeGPUをPCに接続する場合、このようなケースが起こり得るようです。USB4の「Display Alt Modeが優先されてしまった」ということらしいですが、とりあえずここでは原因究明を後回しにして、一方のディスプレイを無効化(非表示にして)作業を続行しました。

GMKtec AD-GP1 3D Mark

3D Mark(USB4)

3D MarkのスコアはOCuLink接続のほうが上…ではあるのですが、Time Spyではほぼ無視できる(いわゆる「ばらつき」の範疇)のに対し、Fire Strikeではその差が少し大きめ、Port Royalに至っては約10%もの差になっています。

OCuLink接続とUSB4接続でスコア差(性能差)が出る要因として挙げられるのは、OCuLinkがPCIe 4.0 x4接続(帯域64Gbps)であるのに対し、USB4の帯域は32Gbpsほど(公称40Gbpsだが20%ほどロスが出る)、という「帯域制限の差」です。で、ここまではほとんどの人が知っていることですが、テスト種類によって差が出たり出なかったり、というのはおそらく…、

・Time SpyはDirect X12ベースなので規格が新しく、最適化が進んでおり、帯域制限の影響が少ない(帯域を効率的に使っている)
・Port Royalはレイトレーシングのテストで、 レイトレーシングは帯域依存度が高いため帯域制限の影響を強く受ける

と推測しました。これは正しくないのかもしれませんが、結論として、ゲームタイトルによってはOcuLink接続にするかUSB4接続にするかで10%くらいの性能差が出てしまう、ということは言えますね。

GMKtec AD-GP1 モンハンワイルズ(USB4)

モンスターハンターワイルズ(USB4)

モンハンワイルズのスコアですが、ここでもOcuLink接続時に比べて16%~19%もの差をつけられています。これは単純に「モンハンワイルズは非常に負荷の大きなゲームタイトルなので、帯域制限の影響が大きかった」と考えていいでしょう。

このことから、最新のAAAタイトルなど、負荷の大きなゲームになるほどOCuLink接続とUSB4接続の性能差が顕著になる、と言っていいと思います。

ノートPC「ThinkPad X13 Gen 4」と

私が所有するノートPC「Lenovo ThinkPad X13 Gen 4」とAD-GP1を接続しました。ThinkPad X13 Gen 4はOCuLinkポートはないもののThunderbolt 4ポートがありますので、問題なくAD-GP1と接続できるはず…だったんですが、結構苦戦しました。

当初AD-GP1を全く認識せず、設定アプリのUSBの項目を確認したり、デバイスマネージャーでRadeon RX7600M XTを認識できているかを確認したり、BIOSでThunderbolt 4のPCIeトンネリングが有効になっているかを確認したり…といったことを試してみましたが、どうしても認識ができませんでした。

最終的にAMD Adrenalin Edition(最新ドライバー)のインストールとレノボの設定アプリからBIOSのアップデートをしたところ、ようやくAD-GP1を認識できました。まあ、上で接続したEVO-X1はAD-GP1と同じGMKtec製ですし、OCuLinkポートもついていたので労せずして接続ができましたが、異なるメーカーのPCの場合はこんなふうにあちこち調べないとうまく接続ができないのかもしれません。

ちなみに、AD-GP1がPCに接続できない、という話はネット上にいくつかあり、それは私も知っていました。また、AD-GP1ではなく、GPD社やONEXPLAYERのeGPUで一部のノートPCやミニPCに接続できないトラブルがある、ということも知っていました。接続できない理由が「相性」なのであれば私にも何も言えませんが、「BIOSのアップデート、AMDの最新ドライバーのインストール、PCIeトンネリングが有効になっているかの確認」といったことをすれば、接続できるケースのほうが多いんじゃないか、とは思います。特にPCIeトンネリングについては「ポートの仕様としては対応しているが、BIOSで無効化されているケースがあり」、この点は日頃気にしていないので、わかりにくかったです。

GMKtec AD-GP1 3D Mark(ThinkPad)

3D Mark(ThinkPad)

こちらが3D Markのスコア。EVO-X1とはそもそも搭載CPUに性能差があります(ThinkPad X13はCore i7-1355Uです)ので、単純比較はできません。ただ、このスコアに比較的近い過去データとしては

ASUS TUF Dash F15(i7-11370H、RTX3070):7,767、17,671、5,136
MSI Pulse GL66 11U(i7-11800H、RTX3060):6,974、15,408、4,088
※左からTime Spy、Fire Strike、Port Royalのスコア

このあたりかな、とは思います。まあ「(Core i7-1355Uという、ゲーム向きとは言いにくいCPUを搭載したPCであれば)RTX3060といい勝負くらい」としておきましょうか。なお、このスコアはEVO-X1でのスコアと比べるとかなり低く感じられますが、外部GPU非搭載のPCが出せる数値ではありません(Ryzen AI 300シリーズやCore Ultraシリーズ2搭載機の内蔵GPUのみでのスコアよりも遥かに高いです)。

GMKtec AD-GP1 モンハンワイルズ(ThinkPad)

モンスターハンターワイルズ(ThinkPad)

上に掲載した図と異なり、この画像のみ「中画質と低画質」であることにご注意下さい。PCのCPU性能がEVO-X1より低いこと、および外部モニターではなく、ノートPCのディスプレイに映像データを戻している(つまり、Thunderboltの帯域を双方向で使っている)ことにより、スコアはかなり低めになりました。

発熱とファン音

いつもレビューしているノートPCやミニPCとは性質が異なる製品ですし、「それなりには…」と覚悟してテストしましたが、発熱、ファン音とも予想以上に小さめでした。動作中は筐体の右側面から風が出ます。熱風とまでは言いませんが、結構な温度と思われ、まともに風が当たると不快感があります。まあ、コンパクトな製品でもありますので、配置(設置場所)を変えれば問題ないです。

モンハンワイルズのテスト中、HWiNFO 64を使ってGPU温度をチェックしましたが、最高で64℃、GPUホットスポットン温度は75℃と低く、他のGMKtecの製品と同様、発熱対策がしっかりなされていると評価できます。

ファン音は「ミニPCのパフォーマンスモードよりは騒々しい」ですが、ゲーミングノートのターボモード(常に最大風量になるモード)よりはずっと静かです。また、ノートPCやミニPCとは異なり、本体で風量を調整する機能はないので、そのまま受け入れるしかないですねw ただ、上に書いた通り「それなりには…」ということを理解した上で使うような製品なので、それを思えば「静かなほう」とは言えます。

5.レビューまとめ

GMKtec AD-GP1はAmazonとGMKtec公式サイトに製品ページがありますが、3月6日現在、Amazonでは在庫切れになっています。GMKtec公式サイトでの価格は68,800円です(円決済が可能ですが、価格は為替レートにより日々変動します)。

Radeon RX7600M XT搭載のeGPUが6万円台というのは競合製品と比べて非常に安いです。一方で競合製品が持つ「ドッキングステーション機能」や「SSDスロットやmicroSDスロット」はなく、「外付けGPU」に特化した製品です。

特におすすめなのは「GMKtecのミニPC、特にOCuLinkポートがついているもの」、「OCuLinkポートがついたミニPCやゲーミングUMPC(現状、OCuLinkはまだニッチ的な位置づけなので、主に中国メーカーの製品に限られます)」との組み合わせです。OCuLink接続であればAD-GP1が搭載するRadeon RX7600M XTのパフォーマンスを最大限に発揮できると思います。

また、Thunderbolt 3/4やPCIeトンネリングに対応するUSB4ポートを搭載するノートPCやミニPCとの接続もおすすめですが、ThunderboltやUSB4の場合はBIOSの設定や更新、ドライバーの導入など、ちょっと面倒な思いをする可能性はありますね。最悪「どうやっても接続できない」ケースもありえます。

利用目的としてはやはり「PCゲーム」であったり「コンテンツクリエーション」がイメージされますが、(Microsoftがどう旗を振ろうと)AI処理でもGPUのパワーが重要になりますので、対応するソフトウェアの充実が条件にはなりますが、AI処理にも向きます。

あと、省電力という観点では、このレビューで試したThinkPad X13のように「薄型・軽量モバイルノートを仕事用として使い、高いグラフィック性能がほしいときだけAD-GP1を接続する」というのも有効な使い方だと思います。

6.関連リンク

GMKtec AD-GP1:GMKtec 公式サイト
GMKtec AD-GP1:Amazon

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