DOCKCASEのUSB Type-Cハブ「Dockcase Studio Smart USB-C Hub 8-in-1」の実機レビューです。Dockcaseの製品は以前「10-in-1 USB-C ハブ DPR10P-ES」という製品をレビューしていて、これが「めちゃめちゃカッコよかった」んですよね。今回レビューするStudio Smart USB-C Hub 8-in-1は前回のレビュー機とは仕様が大きく異なり「CFexpress Type-AとType-Bを含む4つのカードリーダー」を搭載する、どちらかと言うとクリエイター向けの製品です。そしてやっぱり「めちゃめちゃカッコいい」です。
なお、このレビューはメーカーよりサンプル機の提供を受け実施しています。
・USB Type-Cケーブル1本で周辺機器をワンタッチで接続
・タッチ対応のモニター
・CFexpressカードを含む4つのカードリーダー、3つのカードを同時使用可
・USBポート、HDMIポートとも高規格
・最大100WのUSB PD充電に対応
・アルミ合金製で質感の高い筐体
ここはイマイチ
・タッチ操作にちょっとクセあり
・カードリーダー以外のポート数は少なめ
・同等クラスの製品よりも価格は高め
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1.スペック表
Dockcase Studio Smart USB-C Hub 8-in-1 | |
スクリーン | 1.9型(320 × 170) |
インプット(PC接続) | USB Type-C |
アウトプット | HDMI(最高8K@30Hz, 5K@60Hz, 4K@120Hz) USB Type-C(PD100W, 充電入力専用) USB 3.2 Gen2 Type-C(10Gbps, データ専用) USB 3.2 Gen2 Type-A(10Gbps) SDカードリーダー(UHS-Ⅱ) microSDカードリーダー(UHS-Ⅱ) CFexpress Type-A(800MB/s) CFexpress Type-B(1000MB/s) |
サイズ | 97.8 x 55 x 17.8 mm |
重量 | 118 g |
2.製品の特徴
レビューに入る前に、Dockcase Studio Smart USB-C Hub 8-in-1(以下、Dockcase Studioと言います)の特徴を簡単にご説明します。
Dockcase Studioは8つのポート(もしくはスロット)を備えるUSB Type-Cハブです(ウインタブではUSB以外のポートを備えた製品を「ドッキングステーション」と呼んでいますが、Dockcase Studioはメーカーが「ハブ」と称しているので、表記を「ハブ」に合わせます)。
USBではType-Aポート1つとType-Cポート2つを装備していますが、Type-AとType-Cのうちの1つは「Gen2規格」なので、データ転送速度は最大10Gbpsと高速です。ただし、このType-Cポートはデータ転送のみに対応し、映像出力とUSB PDには対応しません。一方で、USB Type-Cポートがもう1つありますが、こちらはUSB PD専用で最大100Wの充電が可能、しかしデータ転送や映像出力には対応しません。
HDMIポートは最大で8K@30Hzでの映像出力が可能です。
Dockcase Studioのポート構成の大きな特徴は、カードリーダーが4つある、という点です。SD/microSDはいいとして、CFexpressカードリーダーもType-A、Type-Bの2つあります。CFカードはデジカメなどで使われているものなので、必ずしもすべてのユーザーに必要なものとは言えませんが、逆にニーズのある人には素晴らしいハブである、ということが言えますね。
さらに、この4つのカードリーダーのうち、最大で3つを同時に使えます(CF Type-AとType-Bのみ同時には使えません)。
そしてこれ、1.9インチのモニターです。このモニターで様々な設定や操作が可能です。
最後に重要なことを。Dockcase Studioの機能をフルに使うためにはお使いのPCのUSB Type-Cポートの規格が「Thunderbolt 3/4であること」もしくは「USB 3.2 Gen2以上の規格で映像出力とUSB PDに対応していること」が必要です。ただし、USB Type-Cポートが「USB 3.2 Gen1で映像出力とUSB PDに対応」の場合はデータ転送速度が5Gbpsとなりますが、それ以外は普通に使えます。USB Type-Cポートが映像出力に対応していない場合はDockcase Studioを接続しても映像出力はできず、またUSB PDに対応していない場合はDockcase Studioからの充電ができません。この点には十分ご注意ください。
3.外観
同梱物です。取扱説明書は日本語を含む多言語で書かれており、基本的な使い方がきっちり説明されていました。USB Type-CケーブルはDockcase StudioとPC本体の接続用で、40Gbps・240Wと極めて高規格です。ただし、Dockcase Studioそのものは最大の転送速度は10Gbpsですし、充電の電力は最大100Wなので、「余裕を持った」仕様ではあります。
前面です。…PCに接続していないとただの箱、という感じですが、うっすらモニターあるのがわかりますね。
背面です。ヒートシンクのような凹凸があります。発熱対策なのか、それとも滑り止めなのか…。
両側面には多数のポートとスロットがあります。白い字でポート名が書かれていますので、間違えることもないでしょう。
側面(短辺)の一方にあるUSB Type-Cポートには「HOST」と書かれています。ここに付属のケーブルを挿してPCと接続します
もう一方の側面(短辺)にはロゴマークがあるのみ。
筐体素材はアルミ合金製でモニターのある面には強化ガラスが貼られています。手に取るとずっしりとした感触で、質感は素晴らしいです。
4.試してみた
テスト環境
PC:Lenovo ThinkPad X13 Gen 4
※Thunderbolt 4ポートでDockcase Studioを接続
ポータブルSSD:HyperDisk X(512GB NVMe)
※転送速度理論値1,000MB/s
microSDカード:無名ブランド・64GB・UHS1・U3
※転送速度最低30MB/s保証
外部モニター:KTC H27E22P(27インチ)
※リフレッシュレート280Hz、ただしHDMI接続だと最大240Hz
充電器:ThinkPad純正のもの
※出力65W
本来ですとCFカードでもテストすべきなんですが、残念ながら私はCFカードを所有しておらず、またSDカードもありませんので、今回はUSB Type-AポートにポータブルSSDを、microSDカードリーダーにmicroSDカードを、HDMIポートにモニターを、そしてUSB PD専用ポートにPCの純正ACアダプターを接続して動作を確認しました。
各種設定
まず、テスト環境のところで記載したPCおよび周辺機器を接続すると、このような一覧画面が表示されます。グレーの部分は「何も接続していないポート」、色付きの部分は「周辺機器を接続しているポート」を意味します。
左下のオレンジ色の部分(microSDカード)のところをタッチするとこの画面になります。SD/microSDに関しては「接続(挿入)されているか、いないか」のみが確認できるのと、接続中のカードの温度が表示されます。「データ転送中」などのメッセージは表示されません。また、転送速度の表示もありません。
左下の紫の部分(HDMI)をタッチすると、接続モニターの情報が出てきます。
さらにもう一度タッチすると、HDMIのモードを「バランスモードとエクストリームモード(USB3用のデータ伝送ラインを映像データ用に使用し、最大解像度とリフレッシュレートを上げる)」に切り替えられます。ただ、私の環境だとバランスモードでもFHD@240Hzにはできましたので、4K解像度など、非常に高い解像度にする場合にエクストリームモードを使うのかもしれません。なお、エクストリームモードを使用する場合、他のポートの転送速度がUSB2.0規格に制限されるとのこと。
また、VDM(Video Data Mode)も選べ、家庭用ゲーム機(Nintendo Switchなど)と接続する際に使います(今回はテストしていません)。
左下から3番目の紫の部分(USB Type-Aポート)のところをタッチするとこの画面になります。今回はUSB Type-Cポートには何も接続せず、USB Type-AポートにポータブルSSDを接続したのですが、しっかりUSB 3.2 Gen 2規格として認識されています。
ポータブルSSDを外し、USB2.0規格のUSBメモリースティックを接続すると、このように正しく表示が変更されました。
次に右上のブルーの部分(充電器)をタッチするとこの画面になります。ここはちょっと問題がありました。私が接続したのは65WのACアダプターですが、Dockcase Studioには60Wと表示されています。それと、Max Inputが41W、Max Outputが36Wと表示されていますよね。
もう一度タッチするとPDの規格選択画面と、Dockcase Studioへの給電に何Wを割り当てるか、という選択画面が表示されます。今回私はDockcase Studioに5Wを割り当てる設定にしているので、一つ上の画面のInput 41WとOutput36Wの差分が5Wある、ということですね。
ただし、65Wの急速充電器を接続しているのにInput41Wというのはおかしいです。おかしいんですけど、その原因がDockcase Studioにあるのか、私のACアダプターにあるのか、それともThinkPadにあるのか、という切り分けができませんので、ちょっと「モヤッ」とした結果になりました。
これは設定画面です。左のException Monitorというのは各ポートの動作異常をモニタリングするものですが、レビュー期間中に動作異常は発生せず、エラー画面などは確認できませんでした。また、リセット(Restore)ボタンやファームウェアのアップデートボタンもあります。なお、ファームウェアのアップデートに関しては公式サイトに「Firmware Upgrade」というページがありますが、ここを見ると「メールをくれ」としか書いておらず、試せませんでしたw
5.感想とまとめ
Dockcase Studio Smart USB-C Hub 8-in-1は外観がとてもカッコよく、筐体の質感も素晴らしいです。また、以前レビューした「10-in-1 USB-C ハブ DPR10P-ES」よりもモニターサイズが大きく、タッチパネル化した、というのも大きな改善点だと思います。
一方で、「モニターでできること」はそこまで多くはないと感じました。接続している周辺機器の規格を正しく「表示」することには優れていますが、「調整」できることは「HDMIの出力モードを切り替える」「充電器を接続する際、Dockcase Studio本体に割り当てる電力」くらいでした(CFカードについてはテストできていませんので、ここではコメントができません)。また、できれば「USBやmicroSDの転送速度の表示」に対応して欲しいですね(現状は非対応)。
1.9型のモニターは操作性に少々クセがありました。「タッチ」というよりは「長押し」という感じの操作感になり、ちょっと反応が鈍いのでは?と感じました。「長押しっぽくタッチする」とか、コツを掴めば特に支障はないんですけどね。
以前レビューした10-in-1タイプとは製品特性が異なります。モニターのサイズとかタッチ対応といった点では今回のDockcase Studioのほうが上ですね。しかし、結局のところCFやSD、microSDといった「カード類」をヘビーユースしているか否か、ということで、どちらを選ぶかが自ずと決まってくるのではないかと思います。
個人的には「カード類をあまり使わないのなら、USBポート4つと有線LANポート、USB PDにも対応する10-in-1 ハブのほうが向く」と感じました。複数のカードを同時に使うような場合はDockcase Studioのほうがいいですよね(Dockcase Studioなら3つのカードリーダーを同時使用できます)。
Dockcase Studio Smart USB-C Hub 8-in-1はAmazonで販売中で、12月31日現在の価格は24,999円です。Dockcase製品全般に言えることですが「少しお値段はお高め、しかし機能性に優れ、デザインとか質感は抜群!」です。
6.関連リンク
Dockcase Studio Smart USB-C Hub 8-in-1:Amazon
DOCKCASEのストアフロント:Amazon
2014年、低価格な8インチWindowsタブレットに触発されサイト開設。企業でユーザー側代表としてシステム開発や管理に携わっていました。「普通の人」の目線で難しい表現を使わず、様々なガジェットを誰にでもわかりやすく紹介・レビューします。