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AudioSense DT200 レビュー - Knowles社製2BA搭載のイヤホン。耳にフィットする形状で遮音性も高く、フェイスプレートもかっこいい!(実機レビュー)

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こんにちは、ゆないとです。今回は、AudioSenseのDT200というイヤホンの実機レビューをお届けします。この場を借りて実機提供をしてくださったAudioSenseに厚く感謝申し上げます。DT200はカスタムIEM(In Ear Monitor)のような耳にフィットする形状と、2基のバランスド・アーマチュアドライバを搭載したオーディオ向きのイヤホンです。1万円台なので気軽に購入できるイヤホンではありませんが、音質・ビルドクオリティともに質の良い製品になっており、AudioSense製品の中でもメインと呼べるイヤホンだと思います。

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1. スペック

スペック表
再生される音の強さを表す出力音圧レベルは”99dB”です。ここは数値が大きければ大きな音が、小さければ小さな音が出るという指標になります。イヤホンの場合、一般的には90〜110dBが平均と言われていますが、このイヤホンは他の製品と比べて、後述するインピーダンスが影響して鳴らしにくい→オーディオプレイヤーの音量を大きくしないといけないでしょう。

再生周波数帯域は”20Hz〜22kHz”です。再生可能な周波数の範囲を表すこの数値ですが、数値としては必要な範囲はカバーしていますのでどの楽曲でもしっかりと再生してくれます。

遮音性能は”30dB”とされています。端折って説明すると約30dBほど聴こえる音を下げてくれるということです。例えば、地下を走行する列車内は約90dB前後の騒音があると言われていますが、30dB下げてくれるので50~60dB程度になります。これだと普通の会話や静かなオフィス内のレベルということになります。数値だけ見れば高い遮音性があることがわかります。ただ、たいていのイヤホンのスペックには遮音性を表す数値が明記されていないことがほとんどで、使用するイヤーピースや使用者によっても変わるので何とも言えませんね。

インピーダンスは”14オーム”です。インピーダンスとは電流の抵抗値のことですが、数値が高ければ高いほど抵抗が大きく、音源の余計なノイズが乗りにくくなります。しかし、その分音量も小さくなってしまいます。インピーダンスは再生側(スマホやオーディオプレイヤー)とイヤホン側でそれぞれ数値があるのですが、理想は再生側がイヤホン側よりも小さいことです。この製品の数値は特段鳴らしにくいという数値ではありません。

ただこの製品はスペック表には記載がありませんが、電解コンデンサを搭載しているためインピーダンスは高くないものの出力音圧レベルは99dBなので、いつもより大きな音量にしてあげる必要があるかもしれません。電解コンデンサを搭載する利点は、その仕組みを利用して電圧を一定に保って、抵抗としても働くのでノイズを除去することができるということです。

ドライバーは2機のバランスド・アーマチュアドライバー(BAドライバー)を搭載しています。世界でもトップのシェアを誇るKnowles社のBAドライバーを使用しています。自分の耳型に合わせて作るカスタムIEMで採用されていることはもちろんのこと、日本で発売されている有名なメーカーでも搭載されていることが多いです。BAドライバーはダイナミックよりも小型化できるので、イヤホン本体のサイズも小さくできることが特徴です。しかし、構造上1つ1つの価格が高くなってしまうことと、イヤホンを制作する際に仕組み上設計に工夫が必要なため高い技術力も必要だったりします。各ドライバの特徴はここがわかりやすいです。
【第97回】ここらでまとめてみようか? いまのイヤホンドライバーの種類と特徴を!:PHILEWEB

また、DT200はケーブルを着脱することができます。断線した際や好みの音質へ変えるため新たにケーブルを購入して交換することができます。イヤホンとケーブルのコネクタ形状は”MMCX”というものが採用されています。この種類のコネクタを搭載するイヤホンやケーブルは多いので、選択にも困らないと思います。

2. 外観

外箱
外箱は真っ黒で、イヤホン本体の内部の構造がわかるようなデザインになっています。2基のBAドライバからそれぞれ1つずつのラインがノズルまで繋がっていることがわかります。

付属品
各種付属品です。保証書と説明書、ケーブル、シリコンタイプとフォームタイプのイヤーピース(S,M,L)が付属しています。ケーブルのプラグは3.5mmです。

イヤホンケース
箱から取り出すとイヤホンはしっかりとしたケースに収まっていました。普段からイヤホンを収納しておくためのケースにするには少し大きなサイズとなっていますが、剛性はそれなりにある気がします。ケースは別売りもされています。

フェイスプレート
フェイスプレートです。カスタムIEMでよくあるカーボンデザインで色はシルバーになっています。右にはメーカーロゴ、左には製品名が付いており、その上からシェルと同じくレジンでコーティングされています。フェイスプレートは曇りもなくカスタムIEMにも負けない質感です。

シェル
ノズルは金属っぽく見えるもののコーティングされたような少しザラザラした手触りで粗めな印象です。ノズルの先はイヤーピースが勝手に抜けないよう少し太くなってひっかかるようになっています。ノズルへ繋がる音導管の元にBAドライバが2基あることを覗くことができます。

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シェル内部
内部は空洞ではなく「内部充填」されているようです。だいたいのIEMは基本シェル内部は空洞なことが多いですが、一部の製品では内部にもレジンを入れるモデルがあります。内部の部品のはんだ付けが外れたりしにくくなるという利点がある一方、内部の修理が難しくなるのが難点です。カスタムではなくユニバーサルタイプのイヤホンではほぼ無いと思います。国内のアーティストに人気のFitEarというメーカーのカスタムIEMでは内部充填のモデルがあります。カスタムを手掛けるメーカーなだけあって内部充填をしても非常に美しくクリアなものです。

難しい工程なだけあって、この製品では少し濁ってしまっています。金色のMMCXコネクタの隣には”220 6.3V VT”と表記された電解コンデンサが搭載されています。結構大きな部品ですね。

フィルター
ノズルは塵や耳垢が混入しないようフィルターが装着されています。軽く触れてみましたがしっかりと固定されていて簡単に外れたりすることはなさそうです。

サイズの比較
サイズ感を見るため、手持ちのイヤホンと並べてみました。並べてみたもののサイズ感がわかりにくいですね。ただ、こういった形状のIEMにしては結構小さいです。私が試聴したことのある製品で近いサイズ感というと、qdcのNeptuneというモデルが近いと思います。

3. 使用感

装着感

前述のとおり小型で耳にピッタリと収まります。私は他の人に比べても耳が小さいのですが、シェルもノズルも丁度良い大きさです。比較的耳が小さな人にも収まるでしょう。そうは言ってもステムが太めではあるため、耳の穴が小さな人は小さなイヤーピースを選択することをおすすめします。私も普段はノズルが比較的細いユニバーサルイヤホンを選ぶようにしておりMサイズのイヤーピースをしようすることが多いですが、今回はSサイズのものを使用して丁度良かったです。

遮音性

遮音性は高いです。今回のレビューでは付属のものではなく手持ちのシリコンタイプのイヤーピース(Sedna Earfit Light Short)で装着しました。コロナのせいで外に出られず公共交通機関での性能は試せていませんが、静かな部屋で手を叩いてみてもほぼ聴こえませんし、自宅周辺を散歩したのですが車の走行音もすごく抑えられています。外音をある程度聞きたいという方には向きませんが、外でも静寂で快適なリスニング状態が欲しい方は非常に満足できる遮音性だと感じます。

音質

音質についてです。手持ちのAstel&Kern「A&Futura SE100」に接続してハイレゾ音源と呼ばれる”96 kHz/24bit”以上のFLACファイルで試聴しました。

まずは印象ですが、リスニング向きでボーカルに焦点のあったイヤホンです。定位(音の位置感)はあまり感じられませんが、サウンドステージはまとまりがあって、各楽器がわかれて大まかに聴き分けることができる程度の分離がわかります。キリッとした硬めの音ではあるものの、モニター向きというよりはステージの空気感、雰囲気を感じられる音質です。

高域は余裕があり、無理やり出ているような感じではなくハッキリと伸びのある音を出しています。低域は深くまでは沈み込まないものの、ボーカルや高域を邪魔しない程度に迫力のある音です。ピアノ、ボーカル、ドラムなどの音は特に気持ちよく聴くことができるイヤホンと言えます。低域に味付けされたイヤホンが好みの人は付属のフォームタイプのイヤーピースにすると低域がブーストされるためおすすめです。

これまでの印象はオーディオプレイヤーに接続してのものです。おそらくスマホに繋げて利用する方が多いように思うので愛用のOnePlus 7 Proにも接続してみました。やはり鳴らすのにパワーが必要なだけあり、全体的に明瞭さが抜けてしまった印象です。低域はボヤケてしまい高域はハイハットなどはハッキリとした印象が薄れてしまっており、電子音などがある楽曲では若干刺さるように感じる部分もあります。ボーカルにフォーカスされているのは変わらないので、スマホによっては大きいと感じるギリギリの音量まで上げてなんとかなるかな…という感じです。もしスマホでも快適に楽しむのであれば出力が足りていないため、小型のアンプを間に挟むなどすると良くなるはずです。

4. 価格など

AudioSense DT200はHiFiGoにて149ドル(15,956円)で販売されています。購入前まで手続きを進めてみると、送料無料のようです。しかし海外からの発送になるため、輸入手数料が掛かる可能性もあります。

2BAのイヤホンは個人的に良いなと感じる音質であることが多いモデルが多く、この製品もその1つになりました。ダイナミック型や3BA・4BAとドライバの数がより多いものよりも2BAは好印象であることが不思議と多いです。「Ultimate Ears UE5」だったり、「Campfire Audio IO」や「final B3」はここ最近試聴した中でも目を瞠る良い音でした。

この製品は2BAながらアニソンやロックなどのボーカルや空気感を楽しむのに最適なので、入門機あるいはサブとして是非一度試してもらいたいと思いました。今は外にも気を遣って出ないといけない状況なので、おとなしくオーディオライフと洒落込むのも良いのではないでしょうか。私は毎日オーディオを楽しんでおります。

5. 関連リンク

AudioSense DT200:HiFiGo

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コメント

  1. m.os.ota より:

    ダイナミック型ばっかり手にしてしまう自分なのですがこれを機会にBAタイプに手を出してみるのもよいのかも・・・
    (未だマイベストイヤホンがYAMAHA EPH-100な自分)

    • 匿名 より:

      ダイナミック派の方でしたら、2BAのイヤホンが良いかもしれませんね。
      入門と思って1BAを聞いてみると低音が音として聞こえてこなくて、
      ダイナミックのように振動が伝わらなくて物足りないと思うかもしれません。
      (それがBAの特徴(特長)でもあるのですが)
      2BAはそれを補う低域専用のBAがあるので、BAの特長を楽しめます。

    • ゆないと より:

      コメントありがとうございます。YAMAHA EPH-100は、イヤーピースの形状は独特ですが、クリアな音で非常に良いイヤホンですよね。ポタフェスというイベントで試聴させてもらい、惚れてすぐに購入しに行ったくらいです。
      是非BAドライバ搭載イヤホンもお試しください!ドライバが1基でも低域から高域までしっかり鳴らしてくれる製品があれば、多ドライバで繊細な表現をする製品もあるので、より自分の好みの音を見つける楽しさがあります。好みの製品が見つかりますように!